毎日往復2便運航の村営フェリーによって沖縄本島と結ばれている、人口約1,200名の伊平屋島。村から乗船券の販売を委託されている有限会社伊平屋給油所は、船に積載して運送される自動車の予約管理を効率化するため、LINE WORKSを導入しました。島民から口頭による車両航送の予約申し込みを受けた社員がその内容をトークで切符売り場の担当者に伝えるとともに、空き状況をカレンダーで速やかに確認できる体制を整えることで、予約内容の伝達ミスやオーバーブッキングの発生を効果的に防いでいます。
本事例のポイント
- 個人LINEの業務利用をなくして公私を区別
- 島民から受けたフェリーの予約依頼をトークで共有し、言い忘れや伝達ミスを防止
- フェリーの予約状況をわかりやすく可視化してオーバーブッキングを回避
沖縄県伊平屋村の概要をご紹介ください。
叶さん :
伊平屋村は、沖縄県の有人島として最も北に位置する伊平屋島を主島とする人口約1,200名の村です。伊平屋島の面積は約21㎢で、産業の中心は水産業と農業ですが、最近は豊かな自然や歴史文化等の資源を活用した観光促進や、移住者への支援にも力を入れています。
村営フェリーの運行では、LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
宮城さん :
伊平屋島と沖縄本島を結ぶ唯一の公的な交通手段が村営フェリーです。約350名の旅客と普通自動車40台ほどを積載できる船が就航し、伊平屋島の前泊港と沖縄本島の本部半島に位置する今帰仁村運天港を毎日2回往復しています。私が代表を務める有限会社伊平屋給油所は、島内のガソリンスタンドと携帯電話の販売代理店を経営するほか、フェリー乗船券の販売業務を伊平屋村から委託されています。多くの参加者が来島される毎年10月頃のマラソン大会の時期を除いて、旅客の乗船予約は不要なのですが、積載台数に限りがある自動車の運送には普段から事前の予約が必要です。予約情報はフェリーが発着する港にある切符売り場で集約するのですが、その管理の仕方がアナログであるためにさまざまな不都合がありました。
大見謝さん :
切符売り場には、8名の社員がシフトを組んで毎日2名ずつ勤務しています。自動車運送の予約は、原則として切符売り場に電話をいただくかお越しいただくかして受け付けることになっているのですが、人口が少ない島なので、お客さまが売り場以外で顔見知りの社員に予約を依頼するケースが少なくありません。その依頼を社員から伝えられた切符売り場の担当者は、紙の予約管理台帳を参照して空きがあれば正式に予約を登録しますが、そうでない場合はオーバーブッキングとなるので、お客さまに日程変更をお願いするという手戻りが発生します。また、口頭での伝達には日付や便名の言い間違いや聞き違いによる手配ミスが起きやすく、予約を頼まれた社員が切符売り場の担当者に伝え忘れてしまうこともありました。
宮城さん :
予約を申し込まれたことを切符売り場の担当者にLINEで伝える社員もいましたが、プライベートなやり取りに埋もれて見落とされる可能性があります。社員が公私の区別をしっかりつけられるようにすることも会社の責務なので、何らかの手段でこの状況を改善したいと考えるようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選定された理由を教えてください。
叶さん :
地域コーディネーターとして伊平屋村の活性化をサポートしている私は、予約にまつわる課題を解消するには、複数の社員が情報をタイムリーに共有できるビジネスチャットが不可欠だと思いました。ツールをリサーチしたところ、多様な業種や業態で活用されているLINE WORKSの存在を知り、フェリーの予約業務を効率化するには最適だと判断して導入を提案いたしました。
宮城さん :
LINE WORKSは、日常のコミュニケーション手段として使っているLINEに操作性が近いと聞き、すぐに使いこなせるようになることが期待されたので、叶さんにアカウントの発行やその後の運用管理をお願いして導入することを決めました。
LINE WORKSの具体的な利用シーンと導入効果をお聞かせください。
【トーク】予約申し込み情報を迅速・確実に切符売り場の担当者に伝達
【カレンダー】日付・便ごとの正確な予約状況を可視化
大見謝さん :
LINE WORKSの導入と同時に、予約業務に携わる全社員をメンバーとするグループトークルームをつくりました。切符売り場の外でお客さまから予約を申し込まれた社員は、その情報をその場でトークして共有。内容を確認した売り場の担当者が予約状況を確認し、空きがあれば正式に予約を受け付けるという流れが整いました。予約を依頼された社員が切符売り場の担当者に口頭ではなくトークで共有するようになったことで、伝え忘れがなくなり、日付などの言い間違いや聞き違いも防げるようになりました。
宮城さん :
予約申し込みの情報を個人LINEで切符売り場の担当者に発信することがなくなり、公私混同の状態を改めることもできました。
大見謝さん :
LINE WORKSの運用に慣れたころから、カレンダー機能を利用して担当者全員が予約状況を正確に把握できるようにする取り組みもはじめました。切符売り場で自動車運送の予約を正式に受けるたびに積載できる残り台数をカウントダウンして、予定表の予約日には便ごとに「あと○台」と登録。その結果、お客さまから予約を依頼された社員はその場で空き状況を確認でき、オーバーブッキングをすることがなくなりました。
空き状況の確認にカレンダーを活用。便ごとにあと何台積載できるかが明確に分かり、オーバーブッキングをするおそれがなくなった
叶さん :
積載数の残りを登録するといったカレンダーの活用は誰がアドバイスをしたわけでもなく、社員が自発的に考案して実践するようになったものです。LINE WORKSの浸透ぶりが伺えます。
今後、LINE WORKSの活用をどのように発展させたいと思われますか。
宮城さん :
現在のところフェリーに積載する自動車の予約業務に特化して利用していますが、将来的にはそれ以外の業務情報を社員間で伝達・共有するためのアプリとしても活用することを考えたいと思っています。
【お話を伺った方】
叶 雅美さん
2012年から2019年まで観光コーディネーターとして伊平屋村役場に勤務。2020年に地域コーディネーターとして独立し、伊平屋村やその他の地域の活性化を推進している。
宮城 普巳嗣さん
ガソリンスタンドの運営やフェリー乗船券の販売などを行う有限会社伊平屋給油所の代表取締役。
大見謝 美好さん
有限会社伊平屋給油所で経理やフェリーの予約業務などを担当。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年3月当時のものです。