公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会は、セキュアなコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを導入。大容量のファイルも送受信できるメーラーや、データ共有が手軽にできるDriveなどの活用で、職員と外部関係者がスムーズに業務情報をやり取りできる環境を構築しました。企画部長の平川さん、Top League Next PROJECT MANAGERの瓜生さんに、導入前の課題と導入後の具体的な活用シーンについてお話しいただきました。
事業内容と皆さんの役割をご紹介ください。
平川さん :
当協会は、日本ラグビーの普及と強化を通じた社会発展への貢献、日本のスポーツの国際的競技力向上などを主なミッションとしています。私の所属する企画部は、事業計画の策定・推進、ITの活用推進とそのリスクマネジメントがメイン業務で、現在は今年開催されるラグビーワールドカップ2019日本大会に向け、その組織委員会との調整業務も行っています。
瓜生さん :
私はTop League Next PROJECT MANAGERとして、ジャパンラグビートップリーグの競技運営と事業企画に携わっています。
LINE WORKS導入以前は、どのような課題に直面していましたか。
平川さん :
これまで担当者へのさまざまな通達はグループウェアのメーラーからメーリングリストで一斉送信するかたちだったので、その情報とは無関係な職員にもメールが配信されていました。また、メーラーの使い勝手や添付できるデータ容量の制限から、多くの職員がそれぞれに使いやすい別のメーラーに転送して業務データをやり取りしている実態があり、秘匿すべき情報が漏えいする危険性がありました。
瓜生さん :
競技の運営マニュアルやデザインデータなどは、容量がかなり大きい場合があります。メールに添付できる容量が10MBほどしかなく、不便に感じていました。
また、日常的な連絡にはeメールよりLINEの方が手軽なことから、かなりの職員が個人のLINEを業務に使っており、セキュリティ面の不安もありました。
平川さん :
当協会はラグビー競技の登録者や、日本代表チームのファンクラブ会員といった個人情報を扱っています。そのデータは外部で保管しているとはいえ、万一流出すると莫大な被害が想定されることもあり、情報共有の効率化と万全な安全対策を図るため、セキュリティが担保され運営側で管理ができるグループウェアの導入を検討するようになりました。
LINE WORKSを選定された理由と、導入までの経緯を教えてください。
平川さん :
チャット形式で素早く情報をやり取りできる、大容量のデータをセキュアに送受信できるメール機能があり、国内外を問わず無料通話もでき、クラウドストレージのDriveがあるなど、多彩な機能を備えていることに魅力を感じました。それらに加えて導入の大きな決定要因となったのは、ITの専門スキルを持たない職員でも簡単に運用管理ができることでした。
導入にあたっては、機能や操作に関する説明会を実施したほか、LINE WORKSのホームに操作マニュアルを掲示し、不明な点は各職員が自ら確認できるようにしました。説明会に参加できなかった職員のために、説明会の模様を撮影した映像もDriveにアップしています。また、LINE WORKSをメインのメーラーとするためのマニュアルも配布し、十分な移行期間を設けました。移行は任意としましたが、導入後はほぼ全職員がLINE WORKSのメール機能を使っています。
瓜生さん :
多くの職員が個人的にLINEを利用しており、導入に際しても十分な説明を受けられたため、LINE WORKSの操作に戸惑う職員はほとんどおらず、ごく短期間で定着しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンとその効果についてお聞かせください。
平川さん :
通常の業務連絡はLINE WORKSのメール、外出している職員に急いでメッセージを発信したい場合はトークというように、状況に応じて的確なコミュニケーションが取れるようになりました。メールには数十秒の保留送信を設定しているので、[送信]クリック後でも設定時間内なら送信を取り消せます。これにより誤送信のリスクが軽減され、トークのログ管理もできるため、セキュアな環境が構築されたと思っています。
組織全体にとって最も恩恵が大きいのは、協会職員や外部委員会の委員、当協会の活動をサポートしてくれるボランティアスタッフや協力会社様などの間でのファイル共有が、メールではなくLINE WORKSのDrive機能で行われるようになったことです。機密性の低いファイルはDriveの「リンク共有」機能を利用し、リンク先URLを生成・通知しています。機密性が必要なものは「アクセス権限」の設定から開示パスワードを設定することでセキュリティ対策としています。以前のようにメーラーの容量制約を受けることもなく、スピーディかつ安全に情報を共有できるようになりました。
瓜生さん :
地方の競技会場に出張する場合、以前は試合ごとの運営管理シートをプリントして持参していましたが、LINE WORKS導入後はスマホで閲覧できるようになりました。シートの内容に変更があれば、更新された内容をDriveから手軽にダウンロードすることができます。
トップリーグ部の職員として実感しているのは、トークによって競技の運営管理上の連絡が以前より緻密に行えるようになったことです。ジャパンラグビートップリーグの競技会場は全国各地に及んでおり、試合開催時には事務局職員と現地の職員が常にさまざまな情報をやり取りしています。観客数や試合中のスコア速報、試合終了後の公式記録などは協会の広報部にも伝えますが、以前よりスムーズになりました。会場に出店された飲食店の写真や、試合開始前に行われるイベントの動画なども手軽に送れるので、組織内での情報共有が飛躍的に効率化したことを実感しています。
ほかにLINE WORKSのどんな機能を活用されていますか。
平川さん :
カレンダーで全職員や部署ごとのメンバーのスケジュールが把握できるようになり、会議などの日程調整に何度もメールをやり取りする必要がなくなりました。「共有設備」機能を利用することで空き時間も容易に検索できるので、会議室や協会車などの予約も簡単にできます。こうしたことは、業務省力化に大きく貢献しています。
職員によっては、トークの「通訳」機能を活用しています。ラグビーの国際統括団体などから送られる英文の通達文書は当協会の国際部で翻訳・要約されますが、メールがCCで担当者にも届いた場合など、事前に内容のアウトラインをつかみたいときには、テキストをコピーしてトークに貼りつけると日本語に自動翻訳されるため便利です。
LINE WORKSには「自分にトーク」という自分専用のトークルームがあり、メモや翻訳に活用しています。
協会職員は全国各地で活動していることから、アンケート機能を使って自然災害発生を想定した安否確認テストも行いました。迅速なレスポンスが得られたことから、有事の際に有効であることが確認できました。
管理者に必要な操作もわざわざマニュアルを参照することなく直感的にでき、専任のIT管理者を置く余裕のない当協会のような100名程度の小規模な組織にとって、LINE WORKSはまさに最適なコミュニケーションツールだと思っています。
スケジュール調整もスムーズに
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいですか。
瓜生さん :
外部の委員会とは外部トーク連携でやり取りをしていますが、イベント企画会社や警備会社などとも連携すれば、当協会が主催する競技やイベントの運営をより円滑にできるのではないかと思います。
平川さん :
現在、アジア初開催となるラグビーワールドカップ2019日本大会や、2020年の東京オリンピックに向けての準備に注力していますが、当協会のラグビー普及事業や強化は永続的に継続します。当協会と国内外の協力機関との重要なコミュニケーションツールとしてLINE WORKSの活用レベルをさらに高め、ラグビー文化のさらなる醸成に生かしていきたいと考えています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2019年2月当時のものです。