株式会社 忍
2021-10-08
業種
運輸・倉庫
目的・効果
従業員間の連絡 予定の見える化 業務の見える化 導入のしやすさ 電話・メールの削減
主な活用機能
トーク
グループ
カレンダー
お話を伺った方
代表取締役 向井 大介さん  
総務部 萩原 雅美さん
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ドライバーが多い運送業はLINE WORKSの中に会社が有り。売上アップとビジネスマインドを備えたセールスドライバーの育成につながっています。

近畿圏を中心に配送事業を行う株式会社 忍は、孤立しがちなドライバーとのコミュニケーションを強化するためにLINE WORKSを導入。配送業務の報連相や日々感じたことをリアルタイムに共有し合うことで会社の一体感が生まれ、業務品質の向上とセールスドライバーとしての成長につながっています。同社の皆さんに、LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお話しいただきました。

 

本事例のポイント
  • 社員間の活発な意思疎通を促し、働きやすい職場環境を醸成
  • 個々のドライバーの運行状況を共有し合い、配送業務を効率化
  • 速やかな業務連絡が取引先との信頼関係を強化
  • 業績アップが社員の給与に還元され、採用にも貢献

御社の事業内容をご紹介ください。

向井さん :

アルバイトを含め約30名の従業員が在席し、22台のトラックを保有する当社は、近畿圏を軸に事業を展開する運送会社です。主な荷主は中央卸売市場や青果物の生産者、食品会社で、冷蔵・冷凍車で温度管理をしながらの食品運送がメインですが、それ以外にも多様なお客様からさまざまな品物の配送を請け負っています。

 

かつて卸売業に従事していた私は、配送ドライバーを、荷物を運搬するだけの存在として扱う運送会社が多いと感じていました。そのような業界を改革し、セールスドライバーとして成長してもらえるような運送会社を立ち上げようと決意し、2016年にトラック1台で運送会社を設立しました。

 

以前はどのような課題を抱えていましたか。

向井さん :

「忍」の社名には、任務をしっかり遂行し、入手した情報を確実に持ち帰ることを旨とした忍者にならってほしいという願いを込めています。しかし、売上が拡大して社員が増えるにつれて、個々の社員を手厚くケアすることが難しくなりました

 

1人でトラックに乗ることの多いドライバーは、他の社員と面と向かって意思疎通をする機会がなかなかありません。孤立していると自分だけが苦労をしているかのような錯覚に陥り、気持ちがマイナスになりがちです。そのような状況を改善するには、会社の一員として社員どうしが思いを伝え合えるようなコミュニケーションツールを活用することが不可欠だと考えました。

課題解決の手段としてLINE WORKSを選択した理由をお聞かせください。

向井さん :

まず活用したのは、どのドライバーも日常的に利用している個人LINEでした。各ドライバーの配送状況などを全社員で共有するとともに、社会人として必要な心構えなどを私が折に触れ全社員に発信。その取り組みは定着しつつあったのですが、個人LINEで業務に関する情報をやり取りすることは、コンプライアンスの観点から望ましくないと思い当たりました。そこで、個人LINEに替わるツールとして注目したのが、LINEに似た操作性を備えるLINE WORKSでした。人の出入りが激しい運送業界にあって、もし退職したとしても個人端末に業務情報が残らず、アカウントを会社で管理できる点にもメリットを感じて導入することを決めました。

LINE WORKSを社内のコミュニケーションツールとして定着させるために、どんな工夫をされましたか。

向井さん :

社内コミュニケーションの初歩として、自ら情報を発信することの重要性を教えました。配送完了時の報告といった会社に連絡すべき必須の情報に加え、業務現場で起きるありとあらゆる出来事や自分が感じたことを、悩まずそのまま発信するよう促しました。ドライバーからの情報発信は、配送業務の効率化に役立つだけではなく、社員どうしの仲間意識が培われて働きやすい空気が醸成されると思ったからです。

 

萩原さん :

テーマに沿った情報を発信できるよう、翌日の配車予定や出退勤の報告、配送状況の連絡といった業務関連の情報を共有するためのグループに加え、社長が社員教育につながるアドバイスをするグループ、自身の長所をアピールしたり、他者への感謝を述べたりするグループなど、多数のグループトークルームを作成しました。

多様なテーマのグループトークルームを用意
向井さん :

配送業務で荷物の破損や誤配等が発生した場合、すぐに報告してくれれば荷主に謝罪するなどして問題が大きくならないうちに対処できるのですが、ドライバーによってはそのことを会社に伝えずに隠そうとする場合があります。失敗を責めたりはしないと約束したうえで、ミスを起こした際に速やかにその報告をするためのグループなども設けました。そうした取り組みを続けた結果、次第に多くの社員が情報を発信することの大切さを理解して、積極的にトークを活用してくれるようになりました。

LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。

 ・迅速な情報共有で業務の品質と生産性が上がって売上に貢献、給与にも還元
・各ドライバーの業務や予定がLINE WORKSに一元化され無駄なやりとりを排除
・お互いを思いやる社内コミュニケーションが良好な人間関係を構築
・就職内定者が業務内容や会社の雰囲気を把握する手段としても活用

 

向井さん :

LINE WORKS導入後は、ドライバーが到着見込み時刻を適宜知らせてくれるようになり、配送先や荷主にその情報を伝えられるようになりました。また、ドライバーたちが自ら道路の混雑状況をタイムリーに共有できるようになったことは、配送の迅速化に寄与しています。

 

荷物を配送した際にドライバーが受け取った受領書は、事務所から荷主にメールやFAXで送ります。以前はドライバーが帰社してから事務担当者がコピーするなどして送信していましたが、LINE WORKS導入後は、ドライバーが配送先で受領書を撮った写真をグループトークに送り、直ちに事務担当者が荷主にメールもしくはFAXで送るフローを確立しました。そのスピーディさは荷主から信頼を得る要因となっています。

ドライバーが受け取った受領書の写真を事務担当者に送信

日々の運行スケジュールは配車担当者が作成しますが、配車情報をLINE WORKSで共有するようになってからは、ドライバーどうしが自発的にトークで打ち合わせをし、乗務するトラックを途中でドライバーチェンジすることが可能になりました。より効率的な配送が実現することで利益率を高め、通常の1.2〜1.5倍の売上につながっています

 

創業して7年経ちましたが、LINE WORKSによる社内コミュニケーションの改善で、サービス品質が飛躍的に向上し、「忍さん、給与高いね」と言われるまでに成長しました。

社員自身がより効率的な業務の仕方を工夫
萩原さん :

重要な業務情報を必要とする人に確実かつ迅速に伝わり、誰に情報が伝わったかを既読機能で把握できるのも便利です。またカレンダー機能によって、来社や会議、車検、個々の社員の休日などを全社員が共有できているので、人に聞いて回るような無駄がなくなりました。今では「LINE WORKSの中に会社がある」といった感じで、なくてはならないコミュニケーションツールです。

業務日程や各社員のスケジュールを共有。色がかかっている部分は社員が自分で休暇を登録して共有している

 

また、運転中に体調を崩したドライバーがいると、手の空いている別のドライバーがサポートを申し出るなど、離れている仲間を気遣い、お互いをフォローし合うという発想が、以前と比べて明らかに見られるようになりました。

 

また、ドライバーどうしが顔を合わせることが少ないなか、例えば「配送先の近くでこんなランチを食べた」といったカジュアルな情報も共有するようになり、お互いの距離感が縮まって社内に一体感が醸成されてきたことを感じます。食べ物や景色といった写真は、会社のSNSに投稿して企業PRにも活用させてもらっています。

社員が互いに感謝の気持ちを伝え合う風土も形成された

最近はSNSを通じて御社に興味を持つドライバーの方もおられるそうですね。

向井さん :

当社ではLINE WORKSの社内活用をSNSで紹介しています。そうした取り組みに共感して入社してくれる人には、内定段階でLINE WORKSのアカウントを配付しています。普段顔を合わさないドライバーが多い当社にとってはLINE WORKSの中が職場のようなものですので、あらかじめ会社の雰囲気がつかめると思っています。

 

最近入社した若手社員は、前職で大手運送会社の協力会社のドライバーとして勤務していたようですが、他の社員とのコミュニケーションがまったくなく、お互いが社員であることさえ知らないような職場環境にストレスを感じていたのが転職動機でした。当社のSNSを見てくれて、LINE WORKSで社員どうしが活発に意思疎通をしているところに魅力を感じてくれたようです。同じ配送でも、命じられた業務を1人で黙々とこなすだけだったのが、当社では常にトークを通じたコミュニケーションがあり、先輩や同僚からさまざまなアドバイスをもらうことができます。その中で、ただ荷物を運ぶだけではなく、お客様とのやり取りやチームワークによる効率改善を自分たちで考え高めることで、仕事に対する張り合いを感じてくれています。

LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。

向井さん :

規模の小さい運送会社では、コミュニケーションの重要性がまだ十分に認識されていないようですが、業界・業種・事業規模を問わず、今の時代にはスピーディな情報共有ができなければビジネスは成り立ちません。古い体質が残る運送業界に新風を吹き込み、働きやすい環境を整備するためにも、引き続きLINE WORKSでコミュニケーションを促進していくつもりです。

 

 

【お話を伺った方】
向井 大介さん

2016年に株式会社忍を創業した代表取締役。

 

萩原 雅美さん

経理、営業補佐、広報などを担当。

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年8月当時のものです。

 

【資料公開】運輸・倉庫業界向けLINE WORKS導入事例集