大阪、神戸、姫路を拠点に、企業給食の製造と宅配を手掛ける株式会社浜の家様。本部と配送を担当する配達員との連絡に、LINE WORKSを有効活用されています。アナログな携帯電話での連絡からLINE WORKSに切り替えて以降、業務に劇的な変化があったといいます。今回は総務・配送責任者である岩崎さんと、配送を担当する佐々木さんにお話を伺いました。
事業内容と皆さんの役割を教えてください。
岩崎さん :
当社は2008年の創立以来、お弁当スタイルの企業給食の製造と宅配を行っております。当社近隣から遠方まで幅広いエリアのお客様に、品数や栄養バランスにも留意した日替わりの給食をお届けしています。お客様の数は約2,000社で、1日に約18,000食もの給食を、総勢75名の配達員が配送しています。私は総務・配送責任者として日々配達員と連絡をとり、お客様のもとへ正確に給食をお届けできるよう管理しています。
– 佐々木さん :
私は配送部門に所属し、お客様への配送を担当しています。現在は入社3年目です。
LINE WORKS導入以前に課題となっていたのはどのような点ですか。
岩崎さん :
当社ではもともとPCは1台しかなく、使用するのは数名でした。業務のほとんどは紙や電話、FAXで行うというアナログな環境でした。本部から配達員へ、または配達員同士が連絡をとる際には、会社が支給している、いわゆるガラケーと呼ばれる普通の携帯電話による通話とショートメールを使用していました。
毎朝、お客様から電話やFAXなどで、本部にその日の給食発注数の連絡が入ります。しかし注文を受けた時点では、すでに配達員が配送に出発していることがほとんどです。そのため本部スタッフが注文票に注文内容を手書きして、それを電話で読みあげて配達員に伝達するという方法をとっていました。配達員は配送と同時進行で、その日の注文数を聞き対応することになります。
電話でのやりとりではどうしても伝達ミスが生じ、間違った数をお届けしてしまうことがありました。また、配達員が注文数確定後に出発するため、配送中に給食数が不足することもあります。その場合は配達員と総括担当者が、個別に電話で連絡をとって数の調整をしていました。私は35名の配達員を管理しているのですが、配達員からの電話が殺到してしまい、電話がつながらず対応が遅れることもありました。特に午前10時~10時半には配達員全員から中間報告がくるのですが、この時間帯は電話回線がパンク状態でした。給食は昼までに必ず配送する必要があるため、午前中の仕事の比重が圧倒的に大きくなります。午前中だけで約200 件もの通話があり、電話での連絡に限界を感じていました。
ひとりの配達員が20~30社の配送を担当しており、なかには70社担当している者もおります。電話がつながらなかったり連絡に時間がかかったりすることは、配達員にとってもストレスだったと思います。
LINE WORKSを導入した経緯や決め手を教えてください。
岩崎さん :
電話での連絡に限界を感じるなかで、会社が支給している携帯電話をスマートフォンに変更することを検討しました。本部が受けた発注内容を電話ではなく、注文票を撮影して画像で共有できないかと思ったのです。そんなとき、付き合いのあった会社からLINE WORKSを紹介していただきました。
まずLINEにインターフェイスが似ているので、すっと馴染むのではないかと思いました。LINE WORKSのグループトークで給食数の不足や余剰を配達員同士が共有できれば、私が橋渡しをしなくても配達員各自が自発的に動いてくれるのではないかという期待もありました。
トライアルでは20~30代の配達員と、ふだんLINEを使っていない50代の配達員数人を対象に、使いこなせるかどうか、導入にあたってどこが不都合になるかなどを検証しました。各自のスマートフォンでLINE WORKSを使用することも視野に入れていたので、個人のスマートフォンを業務に使うことに抵抗を感じるか否かも確認したいと思いました。これまで電話が中心だった連絡を、スムーズにメッセージに移行できるかも重要なチェックポイントとなりました。
その結果、LINE WORKSにはほとんどのスタッフが好意的な反応を示しました。若い世代はふだんからLINEに慣れているため、LINE WORKSでメッセージを送ることを面倒だとは感じなかったようです。50代の配達員も使いこなしているようでした。この結果をふまえ、検討開始から約1ヶ月で導入を決意しました。
導入にあたり工夫した点を教えてください。
岩崎さん :
現在は配達員75名、本部・製造メンバー45名がLINE WORKSを利用しています。導入にあたり、会社支給のスマートフォンを使用するか、BYOD(※)にするかという選択肢を提示しました。自分のスマートフォンを業務に使用することに抵抗を感じる人が多いのではないかと配慮したのですが、意外にもほとんどのスタッフがBYODを選択しました。地域や社員の年齢によって差はありますが、全体的には約7割のスタッフがBYODを選んでいます。BYODを選んだスタッフには、通信費として補助金を支給することで、個人が私物を使うことによる不利益を発生させないように配慮しました。
※BYOD…従業員が私物の端末を業務に活用すること。
LINE WORKSの具体的な利用シーンを教えてください。
岩崎さん :
LINE WORKS導入後は注文票をスマートフォンで撮影して、トーク機能で本部から配達員に画像で共有しています。口頭で読みあげるよりも手間や時間が省けますし、何よりも正確性が格段にアップしました。近隣エリアを担当する配達員と総括担当者でグループを作成し、トークルームで給食数の不足や余剰をリアルタイムで報告しています。もし給食数が足りない場所があれば、別の配達員が代わりに不足分を配送してフォローするようにしています。
事故やトラブル発生時にも画像ですぐに情報を共有できますし、位置情報をトークで共有することで居場所を同エリアの配達員に知らせることもできます。配達に関する注意事項や、運転に関する講習会開催の告知など、配達員全員に周知したいことをホーム(掲示板)に書くこともあります。製造スタッフへの連絡にも使用しており、製造数の急な変更などがあったときにも重宝しています。
佐々木さん :
注文票が画像で送られてくるようになってからは、電話でやりとりをしていたときのような聞き間違いがなくなり、納品ミスを防げるようになりました。緊急時にはLINE WORKSの通話機能も活用しています。
午前10時の中間報告は、同エリアを担当する3名の配達員と管理担当者の岩崎とのグループトークで行っています。給食数不足の連絡があったときも、配達員同士でやりとりをしてすぐに動けるようになりました。これまでのアナログな方法と比較すると、LINE WORKSは非常に画期的なツールで、業務も劇的に効率化できたと感じます。
トークでの配達員同士の配達個数調整のやりとり
LINE WORKS導入後、どのような変化がありましたか?
岩崎さん :
以前は午前中だけでも200件ほどの通話があったのですが、LINE WORKS導入後は30件以下に激減しました。これまで電話に要していた時間を大幅に削減できましたし、口頭でのやりとりゆえに発生してしまう納品ミスが減り、顧客満足度向上にもつながっていると思います。
「配送が遅れている」「数が足りない」などと誰かがLINE WORKSで連絡すると、すぐに別の配達員がヘルプに行くようになりました。状況が各自に迅速にシェアされることで、配達員が指示を受けなくても自ら行動してくれるようになり、本部の負担も軽減されました。配達員同士でトラブル処理してくれた場合は、本部でもLINE WORKSの履歴で経緯を確認できるので安心です。
佐々木さん :
以前のように携帯電話で通話をすることが格段に減ったため、運転に集中できるようになり、より安全な配送ができるようになりました。LINE WORKS導入によって、誰かにトラブルがあればすぐにサポートできるようになり、配達員同士に協力意識が芽生えました。本部の指示を待つのではなく、自発的に動けるようになったと思います。業務が効率化できたのはもちろん、チーム意識が強くなったことは非常にすばらしい変化だと思います。
※掲載している内容、所属やお役職は取材当時のものです。