鹿児島県庁は、コロナ禍に伴うテレワーク体制の強化を受けてLINE WORKSを導入したことで、在宅勤務時の連絡にとどまらず、鳥インフルエンザ発生時には関係者間でスピーディに情報を共有して的確な対応をするなどの成果を挙げました。自然災害発生時には、職員に対して速やかに情報を発信できる緊急連絡ツールとしても活用しています。行政機関にとって重要なコミュニケーション基盤としての役割を担っています。
本事例のポイント
-職員約8,000名に導入し各部署でタイムリーな意思疎通が可能になり業務速度がアップ
-県庁職員のみならず外部業者との緻密な連絡が可能に
-自然災害等による非常時の職員間の緊急連絡手段として活用
鹿児島県 総合政策部 デジタル推進課の役割と皆さんの業務内容をご紹介ください。
松下さん :
デジタル推進課は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた鹿児島県のデジタル化を促進するべく、2021年度に新設された組織です。行政機関はLGWAN(統合行政ネットワーク)接続系、個人番号利用事務系、インターネット接続系の3系統を分離することでセキュリティを確保しており、私は主にそれら庁内ネットワークの整備を担当しています。
有馬さん :
私も主として庁内ネットワークの維持管理に携っており、設備の拡張計画立案や、障害が発生した際の対応などを行っています。
LINE WORKSの導入に至った背景をお聞かせください。
松下さん :
離島が多く、台風などによる自然災害が発生しやすい鹿児島県では、重要なインフラである庁内ネットワークを概ね6年ごとに見直して最適な状態に保っています。直近では2022年3月に更新しました。更新を設計していた2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、職員が円滑にテレワークを実施できる環境を充実させる必要に迫られました。
有馬さん :
働き方改革に伴うテレワーク促進に向け、庁内で運用しているグループウェアに個人の端末からアクセスできる仕組みは既に導入していたのですが、多数の職員が一斉にテレワークを行うには即時コミュニケーションを図れるツールが不可欠です。そこでビジネスチャットの導入を検討するようになりました。
松下さん :
多様なチャットツールがある中で注目したのが、プライベートのコミュニケーション手段として、多くの人が利用しているLINEの操作性が踏襲されているLINE WORKSでした。チャット機能に加えて音声・ビデオ通話機能が備わっていることや、API連携による組織メンバー情報の連携構築が容易であることなども決め手となり導入を決めました。
有馬さん :
自治体にとってはセキュリティ性の高さも重要な判断基準となりますが、国際規格認証によってセキュリティ性の高さが保証されていることに加えて、外部の協力会社の担当者のLINE WORKSやLINEと安全につながれる外部トーク連携を備えている点にも魅力を感じました。
運用開始に向けてどのような準備をされましたか。
松下さん :
まずデジタル推進課で試用して使い勝手を確認したうえで、全職員を対象にアカウントを発行し、2021年4月より組織全体での試験運用を始めました。2022年1月まではBYODによるモバイル版アプリのみを利用し、同年2月から業務用PCでのPC版アプリの運用も行い、本運用を開始しました。
管理機能はどのように活用していますか。
有馬さん :
BYODでの利用を認めているため、情報セキュリティ対策として、ファイルのダウンロードは業務用PCでのみ可能とする設定を行いました。また、パスコードロック機能を有効にしてモバイル版アプリは起動時にパスコード入力によるロックをかけることでセキュリティ性を高めています。
松下さん :
職員全体の利用状況も把握したいので、アクティブ率などの利用状況を数値データで随時チェックできるのも便利です。
また、2022年3月には庁内の人事管理システムとAPI連携させ、LINE WORKSアカウントの追加・修正・変更・削除などが人事情報に紐づいて自動的に行われる仕組みを構築。煩雑になりがちなアカウント管理を省力化することができました。
LINE WORKSは庁内コミュニケーションにどのような変化をもたらしましたか。
・タイムリーな意思疎通が可能になり業務速度が向上
・テレワーク時でも活発なコミュニケーションが実現
・リアクション機能で会話を妨げずに職員どうしの距離感を縮める
松下さん :
メール、掲示板、スケジューラなどは既存のグループウェアで従来どおり使う一方で、スピーディに双方向の意思疎通をしたい場合にLINE WORKSを活用するという使い分けが全庁で自然に定着しました。トークは用件を手短に伝えるのに最適なので、当課に限らず庁内のどの部門も比較的カジュアルな連絡によく利用しています。
特にテレワークの日にトークや通話を活発に使っており、「コロナ禍における在宅勤務時のコミュニケーションツールとして活用する」という大きな導入目的を果たせたことにも満足しています。
有馬さん :
LINE WORKSは業務に特化したツールでパソコンでの通話は個人の通信費もかからず連絡できます。打ち合わせたいときは複数のメンバーによる音声通話やビデオ通話も手軽にできるという点でも、テレワーク時の業務効率が高まりました。
個人的には送信相手に通知が届くことなく、スタンプよりも手軽に気持ちを伝えられるリアクション機能が気に入っていて、トークの流れを止めることなく感情を示せることが、職員どうしの距離感を縮めることに役立っているように思います。
庁内ネットワークを運用管理するデジタル推進課ならではの活用事例があればご紹介ください。
松下さん :
庁内ネットワークの日常的な点検は、外部の協力会社に委託しています。その会社もLINE WORKSを利用しているので、外部トーク連携で担当者とトークグループを作成し、障害発生時にはその報告が迅速かつセキュアに当課の担当職員たちに共有されます。
有馬さん :
障害に関する報告はこれまで電話やメールで受けていましたが、口頭による説明だけでは詳しい状況が分からず、メールではタイムリーなやり取りができないため、迅速に対応できないケースがありました。今は不具合を示す写真と共にトークで送ってもらえるので状況が把握しやすく、不明点の確認もメールよりずっとスピーディにできるようになっています。
緊急時の連絡手段としても役立っているそうですね。
・部署内の緊急時の対応方針をグループノートに投稿して共有
・鳥インフルエンザ発生時に素早く連絡を取り合い的確に対応
松下さん :
以前は自然災害が発生すると部署ごとに電話連絡をして、庁外にいる職員の登庁を促したりしていましたが、トークなら状況の共有や案内を一斉に発信でき、未読/既読も判別できることから、緊急時の連絡ツールとしても位置付けました。当課に所属する約30名の職員は、台風接近時などの対応方法をノートで共有していますが、同様に共有している部署は他にもあり、LINE WORKSを緊急時の連絡手段として活用する体制が整備されつつあります。
LINE WORKSのグループトークのノート機能のイメージ
2021年度に県内の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した際、本庁、出先機関を問わず関係者のグループを作成して状況の共有や措置の方針等を随時伝達。緊急事態にスムーズに連絡を取り合え、「迅速に的確な措置が講じられたのはLINE WORKSを導入してくれたおかげ」と多くの職員から高い評価を得ました。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
松下さん :
行政機関としてテレワークをはじめとする働き方改革の推進や業務継続性の向上に力を注ぐためにも,より一層の活用を行っていきます。
有馬さん :
これまではトークと通話の利用が主体でしたが、未活用の機能も使って業務効率化させ、より円滑な行政の運営に役立てることで県民に貢献したいと思います。
【お話を伺った方】
松下 一歩さん
庁内ネットワークの運用保守を担当。LINE WORKS導入に際しプロジェクトマネージャーの役割を果たした。
有馬 悠太さん
庁内ネットワークの運用保守を担当。松下さんとともにLINE WORKSの導入を主導。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年9月当時のものです。