南ひばりが丘町内会(札幌市厚別区)
2023-08-04
業種
NPO・団体等
目的・効果
遠隔支援 コンプライアンス・セキュリティ スマートフォン活用 グループウェア 予定の見える化 業務の見える化 FAX削減・ペーパーレス 導入のしやすさ
主な活用機能
トーク
グループ
掲示板
アンケート
お話を伺った方
IT管理者 布施 由起治さん(左)  
会計監査(元総務部長) 上田 敏照さん(中)  
総務部長 滋野 広司さん(右)
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現役世代も参加しやすい町内会を目指し、LINE WORKSで運営を効率化。紙の回覧板をデジタル化し、役員の作業量を50%削減しました。

札幌市厚別区の住宅街、南ひばりが丘町内会は、全141世帯が属しています。高齢化が進む同町内会では、若い世代による役員の担い手不足を解決するために、役員の負担となっていた紙作業を軽減し、日中は働いている現役世代も参加しやすい運営スタイルを模索しています。その一環として取り組んだのが、電子回覧板です。住民の連絡網を作るため、1,000名まで無料で利用できるLINE WORKSの「非営利団体向け特別プラン」を活用。年配の方を置き去りにせずに町内会運営への若い世代の参加を促進しています。

 

本事例のポイント
  • 町内会の回覧板をLINE WORKSに置き換え、情報の一斉共有が可能に
  • 掲示板機能で資料を共有することで、紙資料の印刷や配布の負担が軽減
  • 日中仕事で忙しい現役世代が参加しやすく、担い手が増えることを期待

南ひばりが丘町内会の概要をお聞かせください。

布施さん:

南ひばりが丘町内会は札幌市厚別区の住宅街に位置しており、全141世帯の町内会です。世帯の年齢層は、50代以上が約8割を占め、50代未満は2割程度に留まります。近年の役員の年齢構成も50~80代が7~8割を占めています。

 

町内会運営に関して、以前はどのような課題がありましたか。 

布施さん:

町内会の加入率は100%なのですが、なかなか役員を確保できず、毎年次の役員を探すのに苦労していました。特に若い世代のなり手が見つからず、その要因の一つには、役員のやることの多さがありました。若い世代が働きながらでも参加しやすいようにするためにも、町内会の運営を見直し、役員の作業負担を減らす必要がありました。

 

滋野さん:

私自身、町内会運営に従事する中で、回覧板の配布が特に苦痛でした。回覧板を皆さんに回すためには、平日に区民センターへ資料を取りに行き、総務部が資料を仕分けて束ね、各家庭に配布する必要があります。正直これらの作業は本当に手間で、こうした負担が町内会役員を敬遠する要因だと思っていました。

 

 

上田さん:

従来からの回覧板は住民側にも課題がありました。例えば、回覧板が一番最初に回ってくる家と最後の家では、閲覧に時間差が生じてしまいます。共働きの家庭や旅行で不在にしている家庭では回覧板が数日間止まってしまうこともありました。このような時間差が原因で、イベントの申込締切日までに全世帯に回覧板が行き渡らない事態もしばしば発生していました。また、雪が降った時に隣家まで歩いて回覧板を渡すのは大変だという声もありました。

 

課題解決の手段として、LINE WORKSを選定された理由を教えてください。

布施さん:

第一に挙げられるのが、使いやすさです。住民間でIT知識にばらつきがある町内会だからこそ、一般的に広く利用されているLINEと操作性が似ており、年配の方も含めて誰もが使いやすいUIである点が、非常に魅力的でした。

 

また、プライバシーが守られるという点も重要なポイントでした。たとえ近所の方であっても、個人情報を共有することに抵抗感を抱く住民もいます。LINE WORKSを利用すれば、プライベートで使用しているLINEの連絡先や電話番号等を交換する必要がありません。

 

さらに、町内会費から費用を捻出しなければならない状況から、町内会のような団体であれば、無料で利用できる非営利団体向け特別プランがあるのもLINE WORKSを選定した大きな理由でした。

LINE WORKS運用開始までの経緯を教えてください。

布施さん:

はじめに、運用開始前に2ヵ月間のトライアル期間を設けました。希望者のみ、回覧板をLINE WORKSに置き換えてのトライアル利用を行い、そのフィードバックをもとに本格導入を決定しました。結果的には非常に良好で、半数以上がLINE WORKSに登録をしてくれました。

 

その後も登録者は徐々に増えており、現在では最高齢83歳の方を含む70%の世帯がLINE WORKSを利用しています。中には、LINE WORKSの導入を機にガラケーからスマホに機種変更をした方もいました。残りの30%は引き続き紙の回覧板を希望しておりますが、LINE WORKSによる電子回覧板は強制せずに、紙も併用して配布しています。

ITに不慣れな方には、LINE WORKS導入にあたりどのようなサポートをされましたか。

布施さん:

操作に不安が残る方やLINE WORKSの電子回覧板を検討している方を対象とした、勉強会を実施しました。勉強会では、トークの閲覧方法やLINE WORKSの通話機能等、基本的な使い方について説明しました。勉強会後には「私もLINE WORKSやってみます」と言ってくださる方もいて、実施した甲斐がありました。

 

南ひばりが丘町内会が作成した勉強会用資料

LINE WORKSの活用方法および導入効果をお聞かせください。

【掲示板】回覧板の情報共有スピードの向上および役員の作業負担軽減を実現
【アンケート】総会の出欠確認を関係者全員にスピーディに共有
【グループ】役員に資料を一斉共有し、総会の進行を効率化

 

滋野さん:

最も活用しているのは、掲示板機能を活用した電子回覧板です。区民センターに取りに行った紙の資料をスキャンアプリでPDF化し、掲示板に掲載しています。これにより、紙を扱う量が大幅に減少し、ペーパーレス化を進めることができました。さらに、紙の回覧板を束ねて配布する作業が減ったため、体感ですが作業量は従来の半分ほどになったと感じています。

 

掲示板上の回覧板の投稿一覧。最新の投稿だけでなく、過去の回覧板の情報もいつでもどこでも見られる

 

上田さん:

紙の回覧板から電子回覧板に切り替えたことで、大事な情報をタイムリーに情報共有することができました。例えば、冬季には除雪センターから排雪作業に関するお知らせが前日もしくは前々日に私たちの元に届きます。そのお知らせを回覧板で住民に共有するわけですが、いちいち紙の回覧板を作っていては時間がかかってしまい、当日までに住民全員に情報を届けることはできませんでした。しかし、掲示板であれば、連絡事項を投稿するだけで、一斉に情報共有ができ、住民側もすぐに情報を受け取ることができます。また、好きなタイミングで閲覧できたり、過去の投稿を繰り返し見直せたりと、さまざまなメリットを感じていただけているようです。

 

掲示板の投稿画面。掲示板にも既読機能があるため、誰がどの情報を読んだのか、簡単に把握できる。年配の方の見守りにもなり、閲覧していない住民には個別にフォローの連絡を行うことができる

 

布施さん:

総会資料をLINE WORKSのトークで事前に共有し、議事をスムーズに進めるための工夫をしています。そのほか、アンケート機能を使って総会の出欠確認をしたり、役員間のグループで連絡を取り合ったりすることで、1人ひとりだけではなく、一斉に情報共有や意見回収ができ、町内会運営が大幅に効率化されました。

 

アンケート機能を用いて、勉強会の満足度調査を実施したこともある。自動集計可能で、手作業でまとめる負担なく意見回収

今後のLINE WORKS利用の展望を教えてください。

布施さん:

LINE WORKSの活用の幅を広げていきたいと考えています。例えば、将来的には町内会費の集金を電子マネーで実施したいと考えていますが、その際に、掲示板やグループトークなどで集金日の告知を行うことにより、集金作業を円滑に完了できると考えています。

 

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年11月当時のものです。