芝信用金庫
2026-07-27
業種
金融・保険
目的・効果
従業員間の連絡 支店・店舗との連絡 取引先との連絡 コンプライアンス・セキュリティ スマートフォン活用 ノウハウ共有 LINEとの連絡 グループウェア 予定の見える化
主な活用機能
トーク
グループ
アンケート
管理
お話を伺った方
事務統括部 事務企画グループ 課長 塩木 翔太さん(左)
事務統括部 システムグループ 長島 侑大さん(右)
本店営業部 副部長 鈴木 万織さん
本店営業部 営業課 新井 亮太さん
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厳格なセキュリティと外部連携を両立したDX基盤。現場の積極活用で「名もなき業務」削減を実現

東京都港区に本店を置く芝信用金庫は、創業100周年を迎えた地域密着型の信用金庫です。金融機関にとって最大の課題である「厳格なセキュリティ」と「顧客・外部との連携」を両立するため、全職員へのスマホ支給と同時にLINE WORKSを導入。管理者側でファイル送受信やダウンロードを細かく制御できる点を活かし、安全性と現場の利便性を両立。写真報告の効率化や社内問い合わせの集約など、攻めと守りのバランスが取れた活用を推進しています。

 

本事例のポイント
  • 【外部トーク連携】顧客や不動産業者との3者グループで業務連携を迅速化
  • 【管理】ファイル送信やダウンロードの制御で安全性と利便性を両立
  • 【トーク】社内問い合わせの集約でシステム部門の月間約10時間を削減
  • 【カレンダー】本部受付の来客管理をスケジュール共有で効率化

事業の特徴と、DX推進に向けた取り組みについて教えてください。

塩木さん:

当庫は1925年の創業以来、「市民のために」「地域のために」という想いのもと、お客様に寄り添いながら地域の発展に貢献してきました。2025年には創業100周年を迎え、経営理念の刷新や記念事業にも金庫を挙げて取り組んでいます。とりわけ近年は、コロナ禍を経てお客様の本業支援の高度化が求められるようになりました。M&Aや事業承継といった経営課題への支援ニーズが急速に広がる一方、限られた人員の中でも質の高い業務を継続しなければなりません。そこで、セキュリティを担保しながら情報伝達を迅速に行い、業務の標準化・効率化だけでなく、業務の高度化も図っています。

 

LINE WORKS導入前、どのような環境で業務をされていたのですか。

鈴木さん:

以前は職員個人の携帯端末がなく、外出中にお客様からご連絡をいただいても帰店するまで対応できない状況でした。連絡手段は来店・訪問・電話・FAXが中心で、営業としてはお客様とのコミュニケーション機会をもっと増やしたいという思いが常にありました。口頭のやり取りは記録にも残りにくく、金融機関として正確性を求められる場面で改善の余地を感じていたところです。

 

 

長島さん:

社内の情報共有は閉域網上のグループウェアが中心でしたが、外出先からは閲覧できず速報性に限界がありました。当庫は電話文化が根強く、事務職は共有PCでの閲覧となるため全職員に情報が均一に届かないこともあり、即時性を補う手段が求められていました。

 

数あるツールの中でLINE WORKSを選んだ決め手は何ですか。

長島さん:

導入検討時にはスマートフォンプロジェクトチームを立ち上げ、別のビジネスチャットやショートメッセージも含めて網羅的に比較しました。営業店で複数のアプリをトライアルしたところ、LINE WORKSの利用率が圧倒的に高い結果となりました。LINEと同じ使い勝手で現場がすぐに使いこなせた点が大きく、またクラウド型で端末にデータが残らないため紛失時にもログイン制限で情報を保護できる点が評価されました。

 

塩木さん:

管理者画面のわかりやすさも決め手でした。外部トーク連携やファイル送受信、ダウンロード制御を細かく設定できるため、金融機関として守るべきルールを維持しながら現場の利便性を高められると判断しています。ISOなどの国際認証を取得しており、データが国内サーバーで管理されている点も社内の理解を得る材料になりました。既存グループウェアは正式文書の蓄積、LINE WORKSは即時性を活かすフロー型の役割と、明確に使い分けています。

 導入時、現場への展開はどのように進めましたか。

塩木さん:

全職員へのスマホ支給と同時に導入しましたが、当初は社内利用に限定し、用途やルールを段階的に整備しました。「何ができるか」よりも「何に使ってよいか」を先に定めるところから始めています。

 

長島さん:

LINE WORKSの操作で戸惑う声はほとんどありませんでしたが、スマホそのものに不慣れな世代への対応は必要でした。マニュアルを配布しても電話で問い合わせてくる方が多く、この経験がのちの「問い合わせ口」の仕組みを着想するきっかけにもなっています。

 顧客や外部関係者との連携はどのように実現したのですか。

塩木さん:

現場から「お客様ともっとスムーズにやり取りしたい」という要望が強く上がってきました。外部連携を全面禁止するのではなく、どうすれば安全に実現できるかという観点で設計を進めたのがポイントです。お客様からファイルを受け取ることは可能にしつつ、当庫側から外部へのファイル送信は制限しています。信用金庫で顧客との外部連携を開放している例は非常に少なく、業界内でも先進的な取り組みだと考えています。

 

外部トーク連携によるお客様や不動産業者とのグループトーク。複数の関係者と同時に情報共有でき、電話の往復が大幅に減少した

営業の現場ではどのように活用していますか。

鈴木さん:

個人のお客様向けでは、お客様・不動産業者・当庫担当者の3者でグループトークを作るケースが代表的です。住宅ローンの案件では不動産業者に書類手配をお願いする場面が多いのですが、3者が同じ情報を即座に共有できるため、2者に別々に電話していた手間がなくなりました

 

新井さん:

入庫した時点でスマホにLINE WORKSが入っていたので、最初から使える環境でした。正直、入庫前は歴史ある金融機関なので電話やFAXが中心だろうと思っていたのですが、いい意味で驚きました。法人営業でも活用が進んでいて、たとえば、企業の社長と経理担当者と当庫担当者で3者グループを作り、融資に必要な情報を一度に共有する使い方をしています。取引先はITやコンサル、製造、広告、人材と業種も多岐にわたりますが、特に若い経営者の方ほどLINEでのやり取りを歓迎してくださいます。以前は部署共通のメールアドレスで対応していたため外回りから戻らないと確認できませんでしたが、LINE WORKSなら外出先でもすぐに応答でき、お客様から「レスポンスが早くて助かる」という声をいただくようになっています。

 

不動産担保の写真報告にも変化があったそうですね。

鈴木さん:

融資では必ず物件の現地確認が必要で、以前はデジカメで撮影し、USBメモリでPCに取り込んでから印刷・スキャンしてデータ化していました。今はスマホで撮影してトークで送信し、帰店後にPC版のLINE WORKSからダウンロードして申請書に添付するだけです。スマホへの画像保存は制限し、ダウンロードはオフィスPCのみに限定することで安全性も確保しています。この写真報告の効率化だけでもかなりの時間の業務削減につながっており、導入効果の中でも特に大きな成果となりました。

「問い合わせ口」という独自の仕組みについて教えてください。

長島さん:

本部の各部門に、専用の問い合わせ窓口となるLINE WORKSアカウントを設けています。このアカウントを部門の共有スペースに置いたiPadにログインさせ通知音が鳴るようにしておくことで、現場の職員がトークで質問を送ると、部門内の手が空いている誰かがすぐに気づいて回答できる体制です。現在7部門で運用しており、従来は詳しい個人に電話が集中していた属人化を解消できました。蓄積した問い合わせ内容をFAQシステムに反映するサイクルも回しています。

 

塩木さん:

テキストで送ろうとすると要点を整理してから打ってくれるので、電話よりも的確なやり取りになるという副次的な効果もあります。システムグループだけでも月に100〜200件の問い合わせがあり、月間約10時間の業務削減につながっています。現場全体の「名もなき業務」の削減に大きく寄与しています。

 

各部門の「問い合わせ口」アカウント 事務統括部やシステムグループなど、部門ごとの窓口アカウントに現場から質問が寄せられ、チームで回答する運用を実施

掲示板やカレンダーの活用についても教えてください。

鈴木さん:

掲示板では、全職員に見てほしい情報を本部がピックアップして発信しています。部活動の試合案内などフランクな投稿もあり、スマホからでも確認できるため情報の到達率が格段に上がりました。

掲示板での情報発信 100周年事業のWebマガジンや部活動の試合案内など、全職員に届けたい情報をピックアップして掲載

 

塩木さん:

カレンダーは本部の来客受付にも活用しています。受付用の専用アカウントを用意し、来客予定のある担当者がカレンダー登録時にこの受付アカウントを共有先に含めると、受付に設置したiPadのLINE WORKSカレンダーに来客スケジュールが表示されます。受付担当者がひと目で予定を把握でき、来庫されたお客様の担当者へトークですぐに連絡できるため、お待たせすることなくお迎えできるようになりました。

 

アンケートの活用例を教えてください。

長島さん:

デジタル社員証の導入時、約740人分の全庫員の顔写真を収集する必要がありました。アンケートを活用したところ、ログインユーザー情報で誰からの送信かすぐに照合でき、以前のようにデジカメで1人ずつ撮影していた手間がなくなりました。

 

新井さん:

営業現場では、新人メンター制度の月次活動報告にも使っています。紙やメールなど複数の経路に分散していた報告を一元化でき、本部側の集計負担も軽減されました。

 

アンケートは社内研修の結果調査以外にも、PC入れ替え希望の調査や新人メンター制度の月次報告などでも活用し、社内問い合わせ・情報収集を一元化している

今後のLINE WORKS活用の展望をお聞かせください。

長島さん:

今回の導入で最も大きかった学びは、現場の要望をそのまま通すのではなく、ルールと設定を設計することで安全性と利便性を両立させるという考え方です。守りがしっかりしているからこそ、現場は安心して攻めの活用ができる。この取り組みは単なるツール導入ではなく、当庫のDXを進めるうえでの土台づくりだったと捉えています。

 

塩木さん:

今後はLINE WORKSを複数システムの橋渡しをするハブのような存在として活用の幅を広げたいと考えています。既存グループウェアとのスケジュール連携で二重入力を解消することは、現場からの要望も強いテーマです。AI活用については、商談の文字起こしやAI要約など可能性を感じていますが、金融機関として情報の精度や説明責任を踏まえたうえで導入する姿勢は変わりません。

 

【お話を伺った方々】

塩木 翔太さん

事務統括部事務企画グループ課長としてLINE WORKSの導入設計・運用ルール策定を主導

 

長島 侑大さん

事務統括部システムグループで導入時の技術検証やセキュリティ要件の整理を担当

 

鈴木 万織さん

本店営業部副部長として融資営業の現場でLINE WORKSを活用しチームを牽引

 

新井 亮太さん

本店営業部営業課で顧客との外部連携を積極推進する入庫5年目の若手職員

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2026年3月当時のものです。