1975年に設立された株式会社シップス。アパレル業界においてトップクラスの知名度とブランド力を誇るセレクトショップとして、長年お客様のライフスタイルに寄り添ってきました。同社は、店舗スタッフとお客様の関係性をより深め、安全かつ品質の高い顧客体験を提供する基盤としてLINE WORKSを導入。スタッフが安心してお客様と繋がれる環境を整え、ブランド価値の向上にも繋げています。その取り組みについて、詳しくお話を伺いました。
本事例のポイント
- 【外部トーク連携】スタッフ個人LINEから安全な公式ツールへの移行完了
- 【トーク】店舗スタッフ間のシフト調整や情報共有を効率化
- 【アンケート】物流部門での勤務調整アンケートで欠員対応を迅速化
- 【グループ】VMD写真投稿や店舗間のコミュニケーションが活発に
貴社の事業内容と業界における立ち位置についてお聞かせください。
阿部さん:
当社は1975年に設立されたアパレル企業で、「SHIPS」、「SHIPS any」をはじめ、メンズ、ウィメンズ、キッズの8つのレーベルを展開し、全国に約70店舗の直営店を構えています。DX部では情報システムとデジタルマーケティングを統括しており、ECサイトの動線改善やレコメンドツールの導入、お客様とのコミュニケーション強化に取り組んでいます。

小宮さん:
事業推進部は今年3月から新たにカスタマーセンターとCRM部門を統合し、店舗営業中心の体制から、顧客体験全体を見据えた組織へと発展しました。この中で、店舗スタッフとお客様との接点を強化する取り組みとしてLINE WORKSを活用しています。
LINE WORKS導入以前、どのような課題をお感じでしたか。
小宮さん:
きっかけは、社内アンケートを実施したところ、スタッフがお客様との連絡手段として個人LINE、ショートメッセージ、個人メールアドレス、電話など、さまざまな方法を併用している状況が明らかになりました。このようにオフィシャルなツールがないことで、顧客対応の状況を会社として把握しきれず、サービス品質の担保にも難しさがあるという課題が浮き彫りになったのです。また、お客様との接点が会社の資産として蓄積されないことも課題として感じていました。

阿部さん:
物流部門では別の課題がありました。以前のコミュニケーションツールでは、メッセージのやり取りに加えて、アルバイトスタッフの出勤募集やシフト調整を効率的に行えませんでした。「この日に欠員が出たので、出勤できる方はいませんか」というアンケートを一括で配信し、回答を集計したいという現場の要望があったのです。
情報システム課 スタッフ:
また、本社勤務者にはメールアドレスがありましたが、店舗スタッフには支給されていませんでした。全社員が同じコミュニケーションツールを共有できないという根本的な課題も抱えていました。

LINE WORKSを選定された決め手は何でしたか。
阿部さん:
物流部門でのトライアル利用がきっかけです。アンケート機能による人員調整の効率化に加え、震災後の経験から、災害時のBCPの観点で緊急連絡網としての役割を果たせるツールが必要だと考えました。
小宮さん:
店舗側の観点では、お客様の個人LINEと、会社の公式ツールであるLINE WORKSをオフィシャルに繋げられる点が最大のポイントでした。LINEと同じ操作感で、お客様にとってもなじみやすいことも大きな魅力だったのです。
導入時の社内展開はどのように進められましたか。
小宮さん:
お客様との連携にあたっては、運用ルールを事前に明確化しました。ポイントは、お客様にお願いする情報を、お名前とSHIPSのメンバーズカード番号のみに絞り、それ以上の細かい情報はお伺いしないこと。お客様の電話番号や住所は不要で、最小限の情報でしっかり繋がれる仕組みを設計しました。
加えて、使用時間帯は出勤時間内に限定するルールを当初から徹底しました。出勤時間外はお客様とのやり取りをしないと決めることで、スタッフのプライベートな時間をしっかり守れる体制にしています。
情報システム課 スタッフ:
全社員がLINE WORKSアカウントを持つことで、本部から店舗スタッフ全員に情報を一斉に届けられるようになったのも大きな変化です。以前は店舗スタッフに個人のメールアドレスがなく、本部からの連絡が店長を経由して各スタッフに伝わるという手間がありましたが、これが解消されました。
外部トーク連携によって、現場ではどのような変化がありましたか。
小宮さん:
お客様にとって最も大きなメリットは時間の自由度です。お電話でのご連絡では時間的な制約がありましたが、LINE WORKSであればお客様ご自身の都合の良いタイミングでメッセージを確認でき、既読表示で読まれたかどうかも双方が把握できるため、コミュニケーションが格段にスムーズになりました。特にお仕事をされている40代、50代の男性のお客様には、たいへんご好評いただいています。
お客様がご自身の都合の良い時間に商品相談を送信し、スタッフが出勤時間内に対応。既読表示で双方が状況を把握でき、商品URLの共有もスムーズ
阿部さん:
管理側の視点では、やり取りのログがしっかり残っているため、何かあった際に経緯を確認できるようになりました。現場スタッフの接客状況を踏まえてアドバイスができますし、お客様への対応内容が可視化されているため、会社として適切にサポートできます。
導入して正解だったと感じる、具体的なエピソードをお聞かせください。
小宮さん: 最も多いのが口コミによるお客様の輪の広がりです。LINE WORKSで繋がったお客様が、ご友人やご家族に「SHIPSのスタッフとLINEでやり取りしていて、とても良い接客を受けている」とお話しくださり、新しいお客様との繋がりが生まれるケースが増えています。

また、休眠顧客の再来店も目立っています。例えば、ご夫婦でご利用いただいていたお客様で、奥様がLINE WORKSで繋がっていたことをきっかけに、ご主人も再び店舗にお越しいただけるようになり、ご家族全体がSHIPSの定期的なお客様として戻ってきてくださった事例があります。
最近では推し活コーディネートのご相談も増えています。SNSで推し活文化が広がる中、ライブやイベントへの参加機会が増えていることが背景にあります。店頭ではなかなか相談しづらいテーマでも、トークによるパーソナルなやり取りの場であればお客様も安心してご相談いただけるようになりました。推しの担当カラーに合わせた商品をご提案し、店舗在庫がなければ取り寄せ対応も行っています。

導入効果について、具体的な数値があれば教えてください。
小宮さん:
現在、全国で100名余りのスタッフがお客様と繋がっており、月平均で約40名の新規顧客との連携が生まれています。個人レベルでは半期で6名から10名程度の連携目標を掲げているスタッフもおり、外部トーク連携済みのお客様の売上で、個人では半期100万円から200万円、チーム全体では1,000万円規模の売上を作っているスタッフもいます。
お客様からも「SHIPSのスタッフとLINEでやり取りしている」ことをご友人にお話しいただくなど、ステータスとして捉えていただくケースもあり、ブランド価値の向上にも繋がっています。単なる販売員とお客様という関係性を超え、パーソナルコーディネーターとしての深い信頼関係が築けてきていると感じています。
社内での他の活用事例はありますか。
阿部さん:
物流部門では進捗管理やアンケート機能を使った人員調整が効果を発揮しています。
物流部門での活用例。シフト表の共有や在庫確認、出荷状況の連絡などを効率的に実施
また、各部門で細かくグループを作って利用しており、メンズ・ウィメンズ・キッズ別のVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)写真投稿専用グループなど、業務に応じた情報共有の場として活用しています。

店舗では売上数値の共有や、本部から発信する商品情報の各スタッフへの配信にトークが活躍しています。店舗スタッフ同士のコミュニケーションでも、個人LINEを交換せずLINE WORKSのみで連絡を取り合う店舗が増えました。退職時に個人LINEの繋がりが残ってしまう問題も解消されています。
管理面での使いやすさはいかがでしょうか。
情報システム課 スタッフ: 1,200IDという大規模な環境でも、直感的に操作でき、やりたいことがすぐにできるのが大きな特徴です。パスワードリセットなどのお問い合わせがあっても、電話を受けながら即座に対応が完了するほどのスピード感です。
また、アカウントの追加やパスワード再設定の際、そのまま「メール送信」ができる機能が非常に便利だと感じております。管理者側で別途ユーザーへ連絡する手間が省ける点が、他社のサービスと比較しても優れていると感じます。
今後の活用展望をお聞かせください。
阿部さん:
店舗・倉庫を含めて全スタッフがLINE WORKSのアカウントを持てたことで、社内の情報プラットフォームの基盤ができました。社内には複数のコミュニケーションツールが分散している状況がありますので、全員が持っているLINE WORKSを軸に集約していきたいと考えています。本部からのタスク配信もLINE WORKSに寄せることで、店舗スタッフが本来の接客業務に集中できる環境を整えていく構想です。
小宮さん:
LINE WORKSは安心・安全な顧客対応のツールとして導入しましたが、現在はまだ100名余りのスタッフが活用している段階にとどまります。外部トーク連携が売上向上に繋がる実績が明確に出てきていますので、これを全店舗スタッフに浸透させ、より多くのお客様に質の高いサービスをお届けしていきたいと考えています。
【お話を伺った方々】
阿部 一成さん
DX推進と情報システムを統括し、店舗と本部のコミュニケーション基盤整備をリード。
小宮 英樹さん
顧客体験の向上を担当し、店舗スタッフとお客様の安全な繋がりづくりを推進。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2026年4月当時のものです。





