コーヒー飲料や食品の輸出入を行う総合商社である石光商事株式会社は、グループ会社を含む組織内の連絡業務の効率化に向けてLINE WORKSを導入しました。トークやカレンダー、アンケートなどの機能を駆使して柔軟に情報を共有できるようにするとともに、社長からのメッセージや会社として取り組む社会貢献活動の内容などを掲示板で周知することで意識啓発を図ったり、Botを活用した社内問い合わせ対応によって、問い合わせ対応業務の負荷の削減や気軽に質問できる環境の構築を実現したりするなど、働きやすい職場づくりにも役立てています。
本事例のポイント
- グループ間、全社、部門間で多角的な情報共有を実現するグループウェアとして活用
- チャットBotやワークフローシステムと連携してさまざまな業務を省力化
- 社長のメッセージ浸透や従業員の社会貢献活動に対する意識啓発にも活用
御社の事業内容をご紹介ください。
経営役 北川さん :
1906(明治39)年に創業された当社は、食品やコーヒー飲料の輸出入を行う商社です。兵庫県神戸市に本社を置き、東京・名古屋・福岡・札幌に支店を持つほか、関西アライドコーヒーロースターズや東京アライドコーヒーロースターズ、ユーエスフーズなどのグループ会社を擁します。事業はコーヒーや紅茶の輸入・加工・販売を行う「コーヒー・飲料事業」、国内外で自社開発した業務用食材を販売する「食品事業」、日本食を中心とした商材の輸出を行う「海外事業」の 3領域からなります。どの事業も開発や営業などの部門を個別に設けず、企画・開発から仕入れ、工場への生産指導、販売までを一貫して行うのが特長です。
「ともに考え、ともに働き、ともに栄えよう」という経営理念のもと、「世界の食の幸せに貢献する」ことをミッションに掲げ、近年はESGへの取り組みに注力しています。また、従業員が働きやすい環境づくりにも努めており、一般財団法人日本次世代企業普及機構が主催する「ホワイト企業認定 ゴールド」を4年連続で取得しています。
LINE WORKS導入以前はどのような課題を抱えていましたか。
情報システムチーム チームリーダー 仲田さん :
当社の事業領域は幅広く扱う商品も多彩なため、買い付けなどに際し部門間や拠点間で頻繁に情報を共有する必要があります。しかし、連絡手段が電話とメールだったため、複数いる関係者への連絡をスピーディに行うことができませんでした。
情報システムチーム 田中さん :
以前から全社でグループウェアを運用していましたが、当社にとっては多機能、かつ操作が複雑だったこともあり、スケジューラやポータル機能くらいしか活用できていませんでした。そのため、従業員のコミュニケーション密度を高めるにはビジネスチャットツールを導入することが不可欠だと考えていました。
課題解決に向けてLINE WORKSを導入された経緯をお聞かせください。
仲田さん :
多くの従業員がプライベートで使い慣れているLINEにUIが近いことに加え、チャット以外にも業務遂行に必要な機能が搭載されていることから、既存のグループウェアを移行させて全社での活用度を高めるのに最適なツールだと判断しました。
田中さん :
まずLINE WORKSのトークを利用することから開始しました。以前から運用していたグループウェアは利用契約期間満了まで約2年間あったため、併用しながら徐々にスケジューラ機能やポータル機能をLINE WORKSのカレンダーや掲示板に移行する計画を立てました。グループウェアは石光商事だけで利用していましたが、LINE WORKSはグループ会社でも利用可能なため、グループ全体でも徐々に活用の幅を広げています。
グループウェアからLINE WORKSに移行して、より便利になった点はありますか。
仲田さん :
グループウェアからの移行はスムーズに進み、ほとんどの従業員がどの機能もLINE WORKSで利用する方が使い勝手が良いと感じているようです。
特にカレンダーは、会社全体や各従業員のスケジュールを把握しやすくなっただけでなく、会議室やZoomアカウントの使用予約も設備予約機能で簡単に行えるようになったことでより効率的に業務が遂行できています。
田中さん :
ポータルの代わりに利用を開始した掲示板機能も活発に使われています。LINE WORKSの掲示板では既読数を把握できるので、全社への重要なお知らせを掲示板に投稿したときには、従業員の反応を確かめるのに活かしています。
全社展開において運用ルールなどは定められましたか。
田中さん :
業務時間である7時~19時での利用を推奨しています。また、社用携帯が支給されていない従業員にはBYODで利用してもらっていますが、私用携帯へのアプリのインストールはあくまでも任意としています。
仲田さん :
正式にルール化しているわけではありませんが、タイムリーな返信を求めるやりとりはLINE WORKS、緊急の連絡は電話、記録に残したいやりとりはメールという使い分けが自然と定着しています。
LINE WORKSの活用で、みなさんの業務において実感した効果は何でしょうか。
関西アライドコーヒーロースターズ 専務取締役 石崎さん :
電話やメールに替わってトークでタイムリーにやりとりできるようになった結果、情報共有のタイムラグがなくなり、意思統一のスピードが以前と比べて格段に速まりました。メールは返信がないと読んでもらえたか分からず、確認の電話をかけていましたが、トークは既読がつくので安心でき、なかなか既読にならない場合のみ連絡すれば済みます。情報伝達に要する時間が短縮した分、注力すべき業務に割ける時間が増えたことがもっとも大きな導入成果です。
部門やチームの枠組みを超えた迅速な連携が、ビジネスチャンス拡大にもつながったそうですね。
神戸加工食品チーム サブチームリーダー 山田さん :
私が所属する食品部門では、部門内で日々さまざまな商材の相場情報を共有する必要があります。以前はその手段がメールだったので、業務時間の多くを社外にいる営業社員にとってタイムリーな確認や、双方向のやりとりが困難でした。トークに置き換わってからは、いつどこにいても情報を確認したり発信したりできるようになりました。
他部門や他の商材カテゴリーの社員と速やかに連携できるのも、トークの利点です。当社は「栗」を輸入で仕入れており、私の所属するチームでは扱っていませんでした。あるとき、自分たちの得意先に需要があることを知り、栗を扱っている部門の仕入れ担当者や通関担当者らとのトークグループを立ち上げ、相場など得意先に提供するための情報を速やかに共有。その結果、スピード感をもって得意先に提供でき、販路の拡大につながりました。
新商品開発におけるパッケージデザインの承認業務にも活用されているそうですね。
関西アライドコーヒーロースターズ 品質保証室のみなさん :
新商品の開発時には、パッケージデザインなどの表記内容を営業部門・品質保証部門・製造部門の三者でチェックしますが、以前はデザインの版下を出力して紙で回覧していたため、総勢20名ほどの担当者全員が確認・押印するのに2週間ほどかかっていました。修正となれば再確認にさらに時間を要しますし、どこで確認が止まっているのか探すことも困難でした。早く得意先に提供したい担当営業にとって、心苦しいこともあったと思います。
LINE WORKSが導入されてから、アンケート機能を使い版下のデータを画像で添付して回覧を行ったところ、関係者全員に一斉送信、回答も驚くほどに素早く集まりました。未回答の社員への再通知機能の効果もあり、今は1週間程度で全員のチェックが完了するので、新商品の開発速度そのものがスピードアップしています。
チャットBotや連携機能の活用により、業務負担が軽減されているとうかがいました。
仲田さん :
総務人事や情報システムなどに関する社内問い合わせをチャットBotに入力すると自動的に回答する仕組みを構築したことで、対応に要する業務負担が軽減されました。特に、新卒の社員は社内手続きやちょっとした疑問があったとしても、忙しくしている先輩に質問することに抵抗を感じて遠慮してしまうそうです。ですが、チャットBotなら相手の都合を気にせず気軽に質問ができるので、若手社員の間では「まずはLINE WORKSに聞いてみよう」と積極的に活用しているそうです。
問い合わせを入力するとチャットボットが自動回答。ヘルプデスク業務の負荷軽減に大きく貢献しているだけでなく、新入社員が気兼ねなく質問できる先として活用されている
他にも、勤怠や予約システムなど、必要な社内システムやWEBサイトへのリンク先を集約させ、LINE WORKSからアクセスできるようにしています。ブラウザでブックマークをしたり、デスクトップにショートカットを作成したりする必要がないので、業務効率化に一役買っています。
また、LINE WORKSとワークフローシステムのコラボフロー*を連携させることで、トーク画面から直接申請内容にアクセスし、承認処理が行えるようになりました。手元のスマホでいつでも利用できるので、社外に出る機会の多い管理職は特に便利だと感じています。
SDGsの推進や従業員のウェルビーイング向上にもLINE WORKSが役立っているそうですね。
田中さん:
掲示板には社長が発信する専用のスレッドも立てられ、一週間の行動を振り返ったり、従業員へのメッセージを投稿したりしています。全国に支社を持つ当社では、普段から社長の様子を知ることができる機会はありませんが、社長自らが継続して発信することで、会社のトップの考えを全社員に漏れなく伝えられるだけでなく、従業員との距離感を縮める一助にもなっていると思います。
サステナビリティ推進チームのみなさん :
当社はSDGsに賛同しており、2030年までに温室効果ガス排出量を3割削減するため、サステナビリティ推進チームとしてさまざまな施策を展開しています。こうした活動では各部門と密に連携を図る必要があるため、LINE WORKSは連絡ツールとして欠かせない手段となっています。例えば、非常に複雑な温室効果ガス削減の計算方法を分かりやすく解説した動画や、SDGsにつながる社会貢献活動の取り組み内容などを掲示板で発信することで全社に向けて意識啓発しています。こうした取り組みは、社会貢献活動に関わることが少ない部署の従業員にも関心を持ってもらうきっかけになっています。
北川さん :
また、当社が「ホワイト企業認定 ゴールド」を取得している背景には、男性従業員の育休取得率100%という実績があります。休職中でも要望がある従業員には、LINE WORKSで重要な業務情報を共有することで、会社とのつながりを維持しています。これは、育休に限らず出産や介護などさまざまな理由で一時的に休職する従業員が復帰しやすい職場づくりに役立っており、エンゲージメントの維持・向上につながっています。
また、LINE WORKSによって管理職と一般従業員が持つ情報の質や量に大きな差異がなくなったことで、従業員の立場に関わらず見解を述べられる雰囲気も醸成されました。従業員の意見を聞きながら制度や職場環境の改善を行ったことで、「働きやすさ」と「やりがい」の両方が高まり、ウェルビーイングの向上に結びついています。以前に増して多くの若手従業員が活き活きと働いているように感じられるのも、そのおかげだと思います。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させていきたいですか。
北川さん :
LINE WORKSをさらに有効活用して、従業員がどこにいても仕事ができる環境を拡充させたいです。結婚・出産・育児・介護をはじめとするさまざまなライフイベントが発生する従業員に対しても出社の負担を減らすなど、いっそう働きやすい会社づくりをしていきたいと考えています。
【お話を伺った方】
北川 克史さん
食品の輸出入管理業務に携わった後、経営戦略室室長に就任。経営戦略の策定などに携わる。
仲田 隆光さん
経営戦略室に所属するとともに、情報システムチームのチームリーダーを兼務。
田中 聡美さん
情報システムチームで社内のIT推進を担当。
山田 宏一さん
神戸加工食品チームのサブチームリーダーを務める。
石崎 昇さん
石光商事とグループ会社のコーヒー関連事業を管理する。
サステナビリティ推進チーム
石光商事グループの「サステナビリティ方針」に基づき、その実践を推進する。
関西アライドコーヒーロースターズ株式会社 品質保証室
コーヒー製品の開発や品質管理を行う。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年12月当時のものです。
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