徳島県鳴門市を拠点に、公共・民間工事を幅広く手掛ける吉成建設株式会社。同社はいま、中小企業庁が推進する「100億宣言」に参加し、売上高100億円という野心的な目標を掲げて組織改革に邁進しています。その成長を支えるIT基盤として選んだのが、LINE WORKSを中心としたマルチプロダクトの活用です。現場の図面管理から外部とのスピード連携まで、100億円企業への道を切り拓く、同社のDXの歩みを詳しく伺いました。
本事例のポイント
- 【Drive】現場で最新図面を即座に確認し、事務所への戻り時間を削減
- 【AiNote】文字起こしやAI要約により、数時間に及ぶ定例会議の議事録作成を効率化
- 【アンケート】安否確認の回答率を高め、管理側の集計業務を自動化
- 【トーク】外部取引先と連携し、年末の急ぎ案件もわずか4日間で完結
吉成建設様の事業内容と、現在注力されている「100億宣言」について教えてください。
大前さん:
弊社は徳島と大阪に拠点を構え、公共工事や民間工事を幅広く手がけている建設会社です。「夢ある未来へ」というスローガンを掲げ、創業60周年を目前に、地元徳島で施工実績・組織力ともにNo.1を目指しています。
現在、全社一丸となって取り組んでいるのが、中小企業庁による「100億宣言」への参加です。これは、中小企業が飛躍的な成長を遂げるために、経営者自らが「売上高100億円」という野心的な目標を宣言し、その実現に向けた具体的なアクションを公表する制度です。社長がこの宣言に名乗りを上げたのは、社員のやる気を引き出し、成長のための明確な指標を示したいと考えたからです。今後、より大規模な工事案件に挑戦していくためには、100億円規模の売上とそれを支える組織力が不可欠だと確信しています。

LINE WORKS導入以前には、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
三笠さん:
以前は現場との連絡手段がほぼ「電話」に限られていたため、「折り返し電話の無限ループ」が日常的に発生していました。総務から電話しても現場は作業中で出られず、現場から折り返しがあっても今度は総務が別の対応中。この不毛なやり取りだけで、毎日かなりの時間をロスしていたのです。

鴻池さん:
現場としても、メールで連絡をもらってもiPadや携帯電話では精査に時間がかかるため、現場事務所に夕方戻ってからのパソコン作業になることが多い状態でした。緊急の連絡以外は後回しにならざるを得ず、情報のタイムラグが常態化していたのです。

大前さん:
本社と大阪支店の間も同様です。公式な情報共有がメール中心だったため、互いの動きが見えにくく、相互理解が不足していました。現場とも拠点間ともリアルタイムに、社内全体が一つにつながっていないというもどかしさが課題でした。
LINE WORKSを選定された理由と、導入時のステップについて教えてください。
大前さん:
複数のツールを検討しましたが、LINE WORKSはコスト面で優位な点に加え、普段利用するLINEと操作感が近く、若手からベテランまで馴染みやすい点が決め手でした。まずはフリープランを活用してテスト運用からスタートしました。建築部や大阪支店、総務部のメンバーで試してみたところ、相手の状況を気にせずトークを送っておける「タイムリーなやり取り」がどれほど業務を楽にするかを、身をもって実感しました。
有料版への移行にあたっては、かなり強い決意で臨まれたそうですね。
大前さん:
実は、一度社長への有料版導入プレゼンに失敗しているんです。当時の社長からは「個人のLINEでつながっているのに、有料にする必要性は何か?」と指摘を受けました。また、現場からも同様の声があり、個人LINEとの違いを具体化できていなかったことが原因でした。そこで総務部として、安全性の確保や全社的な情報共有の意義を再整理し、最後は総務部全員で社長を取り囲むようにして「導入によって必ず業務改善します。導入を見送るならフリープランもやめましょう」とアピールし、ようやく承認を得ることができました。
三笠さん:
導入後は、まず掲示板を使って社内の情報発信に注力しました。本社や大阪支店で何が起きているか、現場でどんな立派な建物が完成したかなどを写真付きで発信し続けました。お互いの仕事が見えるようになったことで、事務所と現場、拠点間にあった心理的な「壁」を溶かしていきました。

鴻池さん:
現場としては、会社の通達がメールで一斉送信されてきても、作業中はなかなか読むことができませんでした。でも、LINE WORKSの掲示板なら、通知からタップするだけでサッと見に行けます。会社全体の動きがタイムリーに入ってくるようになり、メールよりも圧倒的に情報が取りに行きやすくなりました。
具体的な活用の広がりと、その効果について教えてください。
大前さん:
社長自身もDXに対してより一層前向きになり、今ではトークで直接現場や事務方へスピーディな指示が飛んできます。経営層とのやり取りがタイムリーになったことで、組織全体のスピード感が劇的に変わりました。実際「100億宣言」についても、LINEWORKSで社長から常務への指示で始まり、専用トークルームが作成されました。

鴻池さん:
現場技士として手放せないのがDriveによる図面管理です。これまでは、容量の大きい図面データをメールでやり取りしたり、事務所に戻って確認したりする必要がありました。現在は、図面データをDriveに集約することで、スマホ一つで現場から即座に最新の図面を確認できるようになり、データ共有や確認にかかる時間が大幅に削減されました。
現場での図面確認画面。Drive上の最新図面をスマホで即座に確認でき、現場業務が効率化された
三笠さん:
アンケートによる安否確認訓練も大きな成果です。以前の複雑なシステムでは総務が代理登録する手間がありましたが、今は数タップで回答が完了します。全従業員50名の回答状況が一目でわかり、管理側の集計業務も自動化を実現しました。

外部連携でも驚くべき効果がありました。名刺を依頼している印刷会社様にフリープランの導入を勧めたところ、外部トークでの連携が始まりました。昨年末、急ぎの名刺発注が必要になった際も、トークで校正をスピーディに進めた結果、年末の繁忙期にもかかわらず、わずか4日間で納品まで完了したのです。

また、車両や重機の管理もカレンダーの設備予約に集約しました。誰がいつまで使っているかが可視化され、現場での「行方不明」を解消しました。

新たに導入されたAiNoteの活用状況はいかがでしょうか。
大前さん:
大阪支店の現場から「会議記録を正確に残したい」という要望があり、2025年7月からAiNoteを導入しました。建設現場では設計者や施主様との長時間に及ぶ定例会議が多く、「言った言わない」のトラブルを防ぐエビデンスが非常に重要です。
鴻池さん:
定例会議の後に録音を聞き直して議事録を作成するのは非常に時間がかかる作業ですが、AiNoteの自動文字起こしやAI要約を活用することで、議事録作成の時間が大幅に短縮されると期待しています。AIがトピックごとに整理してくれるため、会議の内容を関係者へ共有するのも容易になりました。
AiNoteによる会議の自動文字起こし。AI要約でトピックごとに整理してくれるため、議事録作成の質を高めつつ、大幅な時短を実現している
今後の展望についてお聞かせください。
大前さん:
次の目標は、協力会社で構成される安全協力会「かねよし会」の全メンバーとLINE WORKSでつながることです。業界全体の生産性を上げるためには、自社だけでなく地域全体を巻き込んだ「協働」が不可欠です。すでに一部の役員様とは連携を始めており、活用を広げていきたいと思っています。
三笠さん:
私たち総務部の原動力は、優秀な若手社員が誇りを持ってバトンを受け継げるような会社にすることです。100億宣言という大きな目標に向かって、これからもデジタルを武器に、徳島の建設業界をリードする新しい働き方を追求し続けます。

【お話を伺った方々】
大前 志鶴さん
総務部 次長。LINE WORKS導入の旗振り役。現場を支えるDXを情熱的に推進。
三笠 友希さん
総務部 課長。経営層との架け橋として「100億宣言」の推進を担う。
鴻池 以央さん
建築部 技士。入社3年目。現場の安全管理を担当。Drive活用など若手視点でのデジタル活用を実践。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2026年1月当時のものです。




