目次
電子帳簿保存法で見積書は保存対象になる

見積書は、電子帳簿保存法の「国税関係書類(取引関係書類)」にあたり、しっかり保存対象になります。
ここでは、受領分と発行控えの扱い、契約に至らなかった見積書、再発行や改訂された見積書について確認していきましょう。
受領した見積書と自社で発行した控えが対象
見積書は取引関係書類に区分され、取引先から受け取った見積書と、自社が発行した控えの両方が保存対象になります。
例えば、仕入先からもらった見積書はもちろん、自社が顧客へ出した見積書の控えも残しておく必要があります。
電子データで授受したものは電子取引にあたり、電子のまま保存することが求められます。
一方、紙で受け取ったり紙で発行したりした見積書は、紙のまま、または要件を満たしてスキャナ保存する形になります。
「受け取ったものだけ残せば良い」と誤解されがちですが、自社発行分の控えも忘れずに保存しておきましょう。
契約に至らなかった見積書や概算見積書の扱い
「契約に至らなかった見積書まで残すのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
国税庁の一問一答【電子取引関係】問2では、書き損じや検討段階の粗い見積書、一方的に送られてきた見積書などは保存不要と考えられるとされています。
一方で、正式にやり取りし取引の根拠となる見積書は、契約に至らなくても電子取引として保存が必要です。
例えば発注側は、相見積もりを経費の妥当性を示す資料として求められる場合があります。
判断が担当者ごとにぶれないよう、どこまで保存するかの基準を社内でそろえておくと安心です。
参照元:電子帳簿保存法一問一答|国税庁
再発行・改訂された見積書の保存方法
金額や仕様の変更で、見積書を何度も出し直すことはよくあります。
このとき、最終版だけでなく、やり取りした各版をそれぞれ保存しておくのが安全です。
例えば、どの版を根拠に発注したのかを後から示せるよう、版ごとに区別して残しておきましょう。
なお、通常の「見積書の修正」と、電子帳簿保存法上の「訂正・削除」は意味が異なる点にも注意が必要です。
確定版を誤って上書きし、履歴が残らない状態になると、真実性の確保の面で問題になりかねません。
見積書の保存方法は受領・発行形態によって異なる

同じ見積書でも、どう受け取り、どう発行したかによって保存方法は変わります。
ここでは、電子で受領した場合、紙で受け取った場合、自社発行の控えの場合という3つに分けて見ていきましょう。
| 受領・発行の形態 | 該当区分 | 保存方法 |
| メール・Webで受領 | 電子取引 | データのまま保存 |
| 紙で受領 | スキャナ保存 | 紙のまま/スキャン |
| 自社で作成・発行 | 電子帳簿等保存ほか | 形態に応じて保存 |
メールやWebで受け取った見積書は電子データのまま保存する
メールに添付されたPDFや、Webサイト・クラウド、EDIなどで受け取った見積書は「電子取引」にあたります。
これらは、2024年1月以降、電子データのまま保存することが義務づけられました。
例えば、メール添付のPDF見積書を印刷して紙だけ残す方法は、原則として認められません。
Web画面にしか表示されない場合は、スクリーンショットで画像化して保存する方法もあります。
受け取ったファイルは、後述する要件を満たした形で電子保存しておきましょう。
紙で受け取った見積書は紙のまま、またはスキャナ保存する
取引先から紙で受け取った見積書は、これまでどおり紙のまま保存して問題ありません。
加えて、要件を満たしてスキャンすれば、画像データとして保存する「スキャナ保存」も選べます。
スキャナ保存に対応すれば紙の原本を破棄でき、保管スペースの削減や紛失防止につながるでしょう。
スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像でも、要件を満たせば保存が認められます。
紙とデータが混在すると管理が煩雑になりやすいため、どちらでそろえるかを決めておくと運用しやすくなります。
自社で発行した見積書の控えを保存する方法
自社で発行した見積書の控えは、発行のしかたによって扱いが分かれます。
パソコンで作成してデータのまま送った場合は電子取引となり、電子データでの保存が必要です。
一方、パソコンで作成して紙で送った控えは、紙で保存するか、要件を満たして電子データで残すかを任意で選べます。
手書きで作成して紙で渡した控えは、紙のまま保存するか、スキャナ保存する形になります。
どのパターンに当てはまるかを整理しておくと、控えの保存方法で迷わなくなるでしょう。
見積書の電子保存で満たすべき要件

見積書を電子で保存するには、決められた要件を満たす必要があります。
ここでは、改ざん防止(真実性)、検索機能、見読可能性、そしてスキャナ保存の要件を順に解説していきましょう。
| 確保すべき要件 | 主な内容 |
| 真実性の確保 | 改ざんを防ぐ措置を講じる |
| 可視性の確保 | 検索・画面表示・書面出力ができる |
元の電子データを改ざんできない状態で保存する
電子取引データでは、まず「真実性の確保」として、改ざんを防ぐ措置が求められます。
下記のいずれかで対応しましょう。
- タイムスタンプの付与
- 訂正・削除の履歴が残る(できない)システムの利用
- 事務処理規程の整備と運用
例えば、WordやExcelのように後から編集できる形式ではなく、PDFなど変更しにくい形式で保存するのが望ましいです。
事務処理規程で対応する場合は、相互のけん制が働く体制を盛り込むことが求められます。
システム投資が難しい場合は、まず事務処理規程を定める方法から始めるのが現実的でしょう。
取引日・取引先・取引金額で検索できるようにする
次に必要なのが、「可視性の確保」のひとつである検索機能です。
保存した見積書は、取引年月日・取引先・取引金額の3項目で検索できる状態にしておく必要があります。
ファイル名を「20260401_ABC社_110000」のように規則的に付けると、この要件を満たしやすくなります。
表計算ソフトで索引簿を作り、そこから該当ファイルを探せるようにする方法でも対応できます。
なお、基準期間(2期前)の売上高が一定以下でダウンロードの求めに応じられる場合は、検索要件そのものが不要になることもあります。
画面表示や書面出力ができる環境を整える
可視性の確保では、保存データをすぐに確認できる環境も求められます。
パソコンやディスプレイ、プリンタと操作マニュアルを備え付け、画面や書面にすぐ出力できる状態にしておくことです。
あわせて、利用するシステムの概要書などを用意しておくと、第三者にもデータの流れを説明できます。
税務調査で見積書の提示を求められた際に、その場で表示や印刷ができれば安心でしょう。見られる状態を整えておくことも、立派な保存要件のひとつだと覚えておきたいです。
紙の見積書をスキャナ保存する際の要件
紙の見積書をスキャナ保存する場合は、電子取引とは別の要件を満たす必要があります。
見積書は資金や物の流れに直結しない「一般書類」に区分されるため、グレースケール(白黒)での読み取りも認められています。
タイムスタンプは、訂正・削除の履歴が残るシステムを使えば付与を省ける場合もあり、付与期限は最長2ヶ月+概ね7営業日以内です。
なお、見積書のような一般書類は、事務処理規程を定めて備え付ければ、この入力期間の制限なく読み取ることも認められています。
解像度は200dpi以上といった画質の条件もあるため、読み取り機器の設定を確認しておきましょう。
読み取り後は、取引日・取引先・取引金額で検索できるようにしておくと、あとから探しやすくなります。
見積書の保存期間と実務上の注意点

見積書は保存すれば良いだけでなく、決められた期間にわたり、探しやすい状態で保つことが大切です。
保存期間と、部門横断のルール統一、版の区別、保存場所の集約という実務のポイントを見ていきましょう。
法人と個人事業主に求められる保存期間
見積書の保存期間は、原則として法人が7年間、個人事業主が5年間です。
法人は欠損金が生じた事業年度だと最長10年まで延びるため、「10年」でそろえて管理すると誤りを防ぎやすいでしょう。
起算日は書類の作成日ではなく、確定申告の提出期限の翌日から数える点に注意してください。
なお、電子で保存しても紙で保存しても、保存期間そのものは変わりません。
見積書がインボイスの一部を構成する場合は、より長い保存が必要になることもあるため、あわせて確認しておきたいです。
営業部門を含めた見積書の保存ルールを統一する
見積書は経理だけでなく、営業部門が直接やり取りすることも多い書類です。
そのため、担当者ごとに保存場所やファイル名がバラバラになり、後から探せなくなりがちなのが悩みどころです。
「電子で受け取った見積書は指定フォルダへ、ファイル名は日付_取引先_金額で統一」といったルールを全社で共有しましょう。
現場が守りやすいシンプルな決まりにしておくと、ルールが形だけで終わりにくくなります。
部門をまたいでルールをそろえておけば、担当者が代わっても運用が途切れにくくなるでしょう。
改訂版・旧版・重複ファイルを区別して管理する
見積書は改訂が重なりやすく、どれが最終版か分からなくなることがよくあります。
版を区別せずに保存すると、誤った見積書を参照したり、重複ファイルが増えたりする原因になるでしょう。
ファイル名に版数を付けたり、確定版を別フォルダにまとめたりして整理しておくと安心です。
受発注の根拠がどの版にあるのかを示せるよう、履歴を残せる仕組みを整えておくとより確実です。
最終版を上書きして履歴が残らない状態は、真実性の確保の面でも避けたいところです。
保存場所を集約して検索しやすい状態を整える
見積書があちこちに散らばっていると、必要なときにすぐ取り出せません。メール・共有フォルダ・個人PCなどに分散していると、検索要件を満たすのも難しくなります。
保存場所を一箇所に集約し、取引日・取引先・金額で探せる状態にしておくと、税務調査や問い合わせにも落ち着いて対応できるでしょう。
原本と読み取り後のデータを同じ場所にまとめておくと、突き合わせの手間も減らせます。
保存と検索のしやすさは、日々の業務効率にも直結する大切なポイントです。
大量の見積書を効率的に電子保存する方法

見積書の枚数が多いと、手作業での入力や仕分けは大きな負担になります。
ここでは、AI-OCRによる自動読み取り、データの活用、受領から保存までの自動化という3つの効率化の方向性を紹介します。
AI-OCRで取引先・日付・金額を自動で読み取る
見積書を1枚ずつ目視で入力していては、時間もかかりミスも起きやすくなります。
AI-OCRを使えば、取引先・取引日・金額といった項目を自動で読み取り、データ化できます。
様式が異なる取引先の見積書でも、必要な項目を抽出してくれるため、転記の手間を大きく減らせるでしょう。
手書きが混じった見積書や、FAXでかすれた見積書でも、高精度なAI-OCRなら読み取れる可能性が高まります。
読み取った項目は、そのまま検索キーとしても活用できます。
読み取ったデータを検索やシステム登録に活用する
AI-OCRで読み取ったデータは、保存して終わりではありません。
取引日・取引先・金額といった項目をそろえておけば、検索要件を満たしながら、後続業務にも活かせます。
例えば、抽出したデータを販売管理システムへ登録すれば、二重入力の手間をなくせるでしょう。
マスターデータと照合して、商品コードなど社内で使う形に変換できると、後工程がさらにスムーズになります。
読み取りから活用までを見据えて仕組みを整えると、見積書が単なる保管対象から使えるデータへと変わります。
見積書の受領から保存までの作業を自動化する
理想は、受け取りから読み取り、確認、保存までをひとつの流れでつなぐことです。
例えば、メールやFAXで届いた見積書を自動で取り込み、AIがデータ化し、指定フォルダへ保存する、という具合です。
こうした自動化ができれば、担当者は確認作業に集中でき、保存漏れも防げます。
人の手を挟む工程が減るほど、入力ミスや保存ルールのばらつきも起こりにくくなるでしょう。
一連の作業をまとめられるツールを選べば、電子帳簿保存法への対応と業務効率化を同時に進められます。
LINE WORKS PaperOnで見積書管理を効率化

見積書の取り込みからデータ化、保存までをまとめて効率化したいなら、LINE WORKS PaperOnが心強い選択肢になります。
ここでは、多彩な取り込み方法、AIによる省力化、システム連携、書類保管という4つの観点で紹介します。
紙・PDF・FAX・メールから見積書を取り込める
PaperOnは、紙・PDF・FAX・メール・複合機・スマホ撮影など、多彩な経路から見積書を取り込めます。
例えば、取引先からFAXで届いた見積書も、メール添付のPDFも、同じ場所に集約できるのです。
現場や外出先で受け取った見積書も、スマホで撮ってそのまま取り込めます。
キーワードに基づく自動仕分け機能を使えば、見積書だけを所定のプロジェクトへ振り分けることもできます。
書類が生まれたその場からデータ化を始められるため、保存までの流れがスムーズになります。
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AIによる読み取りと修正提案でデータ化を省力化する
取り込んだ見積書は、高精度なAI-OCRと生成AIが読み取り、表記ゆれや誤読を自動で補正してくれます。
さらに、過去の修正履歴をもとにした修正提案機能により、確認の手間を減らせます。
例えば、取引先ごとに様式の違う見積書でも、必要な項目を抽出して業務で使えるデータに整えられます。
正読率が色分けで表示されるため、確認すべき箇所もすぐに見つけられるでしょう。
承認のステータス管理も備わっているので、ダブルチェックの体制を整えやすくなります。
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CSV・Excel・APIで既存システムと連携できる
読み取ったデータは、CSVやExcelでの出力、APIによる連携にも対応しています。
例えば、抽出した見積データを販売管理システムへ取り込めば、二重入力の手間をなくせます。
マスターデータと照合して、商品コードなど業務で使う形に変換することもできます。
APIを使えば、読み取り結果の取得や承認ステータスの更新など、既存の業務フローへ細かく組み込めます。
仕組みを大きく変えずに、見積書のデータを後続業務へつなげられます。
LINE WORKS PaperOnの資料をダウンロードする
LINE WORKS DriveやPaperOn Driveオプションへ原本とデータを自動保存できる
LINE WORKS PaperOnは、クラウドストレージであるLINE WORKS DriveやPaperOn Driveオプションと連携して保存まで対応します。
読み取った原本画像と抽出データを指定フォルダへ自動で保存できるため、探す手間が大きく減ります。
特に有償のDriveオプション(PaperOn Drive)なら、メタデータの付与や画像内の文字検索により、電子帳簿保存法の保存要件への対応まで支援してくれます。
ユーザー数に依存しない定額で使えるため、全社に広げてもコストが読みやすいでしょう。原本とデータをまとめて残せるので、証跡管理や監査対応もスムーズに進められます。
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電子帳簿保存法と見積書についてよくある質問(FAQ)

最後に、見積書の保存でよく寄せられる疑問を、Q&A形式でまとめました。
判断に迷ったときの参考にしてみてください。
Q1. PDFの見積書を印刷して紙だけ保存しても良いですか
いいえ、原則として印刷した紙だけの保存は認められません。
PDFなど電子データで受け取った見積書は電子取引にあたり、電子のまま保存する義務があるためです。
保存に対応できない「相当の理由」があると認められる場合には、一定の条件のもとで書面保存が認められる猶予措置もあります。
とはいえ猶予措置はあくまで例外なので、まずは電子のまま保存できる体制を整えておくと安心です。
Q2. 採用しなかった見積書も保存が必要ですか
正式にやり取りした見積書であれば、契約に至らなくても保存が必要になる場合があります。
一方、書き損じや検討段階の粗い見積書、一方的に送られてきた見積書などは保存不要と考えられています。
とくに発注側は、相見積もりを経費の妥当性を示す資料として求められることがあるでしょう。
判断に迷う場合は、社内で保存基準を決めておくと対応がぶれにくくなります。
Q3. 変更前の見積書も保存する必要がありますか
やり取りした各版を保存しておくのが安全です。
どの版を根拠に発注したのかを示せるよう、改訂版・旧版を区別して残しておくと良いでしょう。
とくに電子取引で授受した見積書は、それぞれが保存対象になり得ます。
最終版を上書きして履歴が消える状態は、真実性の面で避けておきたいところです。
Q4. 金額が未確定の見積書はどのように検索管理しますか
見積書は金額が確定していない段階の書類ですが、記載された見積金額を検索キーとして扱えます。
ファイル名や索引簿に「取引日・取引先・見積金額」をそろえて記録しておけば、検索要件を満たせるでしょう。
例えば、改訂のたびに版数を加えておくと、金額が変わっても取り違えを防げます。
金額が動きやすい書類だからこそ、命名ルールを決めて一貫して管理することが大切です。
電子帳簿保存法に沿った見積書管理をLINE WORKS PaperOnで効率化
見積書は電子帳簿保存法の対象書類であり、受領分も発行控えも保存が必要です。
電子で授受した見積書は電子のまま保存が義務なので、改ざん防止・検索・見読可能性の要件を満たすことが第一歩になります。
保存期間は法人7年(最長10年)・個人5年を目安に、版や保存場所を整理して探しやすい状態を保ちましょう。
見積書の枚数が多く負担が大きいと感じるなら、取り込みからデータ化・保存までを効率化できるLINE WORKS PaperOnの活用もぜひ検討してみてください。
自社に合った管理体制を整えて、見積書の保存を無理なく続けていきましょう。
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参照元:電子帳簿保存法関係|国税庁