株式会社福地組
製品・サービス
PaperOn
お話を伺った方
取締役 建設部 改革推進担当部長 前海 龍一さん(中)
建設部 次長 宇野 貞治さん(左)
総務部 経営企画課 DX特命担当 橋本 風太さん(右)
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書式の違う見積書の転記作業、月100時間近い削減へ。 AI-OCRで大幅に減った、建設現場の過度な残業

沖縄県内の総合建設会社、株式会社福地組には、数百社におよぶ協力会社から、紙やPDFなど、さまざまな形式の見積書が届きます。担当者は、見積書の内容を積算用のExcelや工事費を管理するシステムに手入力していました。この作業を効率化するため、同社は「LINE WORKS PaperOn」を導入。社内では、月100時間近い作業時間の削減を見込んでいます。膨大な入力作業に伴う心理的な負担も大きく軽減しました。

 

異なる形式の見積書を扱う現場で、福地組はPaperOnをどのように導入し、定着させてきたのでしょうか。業務改革と積算を担う前海さん、現場管理を担う宇野さん、DX推進を担う橋本さんに話を伺いました。

 

本事例のポイント
  • 数百社の異なる書式の見積書を、様式ごとの事前設定なしで表としてデータ化
  • 見積書1枚の転記10〜15分から約1分に短縮し、心理的負担も軽減
  • PaperOnへの移行で、操作の流れを大きく変えずに、案件別の文書整理を効率化

– ITの苦手な年配社員が率先して利活用し、若手社員へ使いやすさと効果を提示。定着の促進に

まず、貴社の事業内容と、業務改革に取り組まれた背景についてお聞かせください。

前海さん:

当社は1953年創業の総合建設会社です。沖縄県嘉手納町に本店、うるま市・那覇市にも拠点を構え、住宅や医療・高齢者施設、公共施設の建築から土木工事まで幅広く手掛けています。設計から施工まで一貫して対応する案件も多くあります。

 

業務改革の出発点は、現場社員の長時間労働を改善することでした。業務を見直す中で、工事費を算出する積算や、現場の予算管理に伴う事務作業の効率化に取り組みました。

 

OCRの導入以前、具体的にどのような課題がありましたか。

前海さん:

私が担当する積算では、工事や資材の発注先となる協力会社の見積書を基に、お客様に提示する工事全体の見積りを作成します。以前は専用ソフトがなく、資材の名称や規格、数量、単価をExcelに手入力し、計算式も設定していました。

 

1つの案件で見積書が100枚を超えることもありますが、民間工事では規模にかかわらず、2~3週間ほどで見積りを仕上げることも求められました。複数の案件を並行して担当し、期限に追われながら入力を続ける毎日。それでも必要な作業だから「仕方がない」と諦めるしかなく。今振り返ると、負担の大きさに感覚が麻痺していたのだと思います。

 

宇野さん:

私が担当する現場管理では、着工前に、工事にかける費用を項目ごとに定める「実行予算書」を作成します。施工中のコスト管理の基準となるもので、こちらも協力会社の見積書から明細を転記していました。

 

ただ、日中は現場への対応が優先され、入力作業に集中できません。現場の仕事が終わってから予算書の作成に取りかかることが多く、残業は当たり前になっていました。

 

 

橋本さん:

当社が登録している協力会社は数百社に上り、届く見積書は書式もばらばら、紙・PDF・Excelと形式もさまざまです。Excelでの送付をお願いしていますが、パソコンをあまり使わない会社や、使用しているソフトからExcelで出力できない会社もあり、すべてを統一するのは難しい状況でした。

 

工事ごとの費用を管理する当社のシステムには、CSVデータを取り込む機能がありました。しかし、紙やPDFの見積書はそのまま取り込めず、内容を入力し直していたのです。見積書を表の形で読み取り、取り込み用のデータに加工できれば、この手間を減らせると考え、OCRサービスを探し始めました。

 

OCRサービスの選定では、どのような点を重視されましたか。

橋本さん:

一番は、使いやすさです。現場の担当者は忙しいので、少し触ってみて「これなら自分にも使えそうだ」と感じてもらえるものを探していました。

 

比較した他のAI-OCRのなかには、見積書の書式に合わせて、読み取る範囲をあらかじめ設定する必要があるものもありました。一度設定すれば同じ書式には対応できますが、数百社分の書式に対して1つひとつ設定する作業は、負担が大きすぎて現実的ではありません。

 

そうした中で試したのが「LINE WORKS OCR(※PaperOnの前身となるサービス)」でした。書式ごとの設定をせずに、見積書の表をそのまま表として読み取りデータ化。求めていたことがこれほど簡単にできるのかと、使い勝手のよさを実感しました。そこで、現場でも使いやすさを確かめてもらおうと、宇野にもトライアルに参加してもらいました。

 

宇野さん:

PDFの見積書を読み取らせてみて、まず「こんなに精度高く読み取るんだ」と驚きました。見積書を見ながら、すべてを一から入力する必要がなくなるのは、大きな魅力でした。

 

操作にも迷うことが少なく、「自分が使えるなら、ほかの現場担当者も大丈夫だろう」と思えたことが、導入の後押しになりました。

OCRの導入によって、日々の業務はどのように変わりましたか。

前海さん:

見積書の内容を一から入力する作業が、読み取ったデータを確認・修正する作業に変わりました。OCRで読み取り、CSVで出力したデータを見積作成のExcelに貼り付けます。以前は1枚の転記に10〜15分かかっていましたが、今では1分ほどで済むようになりました。文字のチェックはしますが、手入力に比べてはるかに短時間で処理できます。

 

心理的な負担も大きく減りました。見積書の分量は工事の種類や扱う資材によって異なりますが、特に電気・設備関係は明細が多く、1社分で20〜40ページに及ぶこともあります。以前は、細かな明細が何ページも続く見積書を前にすると、「これを今から全部入力するのか……」と、取りかかる前から気が重くなっていました。

 

今は、その膨大な転記をOCRに任せられます。読み取り後の調整は必要ですが、大量の入力を抱えるストレスがなくなったことは、本当に大きな変化です。

 

橋本さん:

社内の検証レポートでは、半日かかっていた作業が30分になったり、1案件で約40時間かかっていた作業が約12時間へと約7割短縮された例も報告されています。

 

現在、OCRを利用している社員は5名ですが、利用者全体では、月100時間近い作業時間の削減になると見ています。少人数での活用でも、大きな効果を感じています。

その後、「LINE WORKS PaperOn」に移行されましたが、移行のきっかけや使い勝手の変化を教えてください。

橋本さん:

「LINE WORKS OCR」では、契約プランで読み取れる枚数に対して、実際に使っている枚数が少なく、枠を余らせていました。そんな中、LINE WORKSの担当者から、「LINE WORKS PaperOn」なら当社の利用枚数をカバーしながら、月額費用を抑えられるプランがあると紹介いただき、試してみることにしました。

 

実際に使ってみると、PDFの見積書を表として読み取り、CSVで出力する基本的な流れは変わらず、読み取り精度にも問題はありませんでした。現場が無理なく移行でき、しかも費用を抑えられるなら、切り替えない理由はありません。

 

 

前海さん:

私が便利になったと感じるのは、工事案件ごとに文書を整理できる点です。PaperOnの前身サービス「LINE WORKS OCR」では読み取り結果が順番に並び、ほかの社員のデータも増えていくため、必要な見積書を探すのに手間がかかっていました。PaperOnでは、案件ごとにフォルダ(プロジェクト)を作り、見積書をまとめて保存できます。「この案件の見積書はここ」と分かるので、必要な文書を見つけやすくなりました。

現場での利用を広げるために、どのような工夫をされましたか。

宇野さん:

忙しい現場では、新しい操作を覚えること自体が負担に感じられます。そこで、私たちのように現場経験の長い社員がまず使い、若手にも1人、2人と試してもらいました。若手だけで始めると「若い人だから使えるのだろう」と受け止められがちですが、ベテランも使う姿を見せることで、ほかの担当者も「自分にもできそうだ」と感じやすくなります。

 

橋本さん:

私が便利さを説明するだけでなく、同じ実務を担う宇野や若手社員から「前より楽になった」と伝えてもらうことが大切です。日頃から一緒に仕事をしている人の実感には、説得力があります。まず使って効果を感じてもらい、その経験を周囲に伝えてもらうことが、利用の広がりにつながっています。

 

最後に、今後はどのように業務改善に取り組んでいきたいですか。

橋本さん:

見積書で得られた効果を、ほかの帳票や部署にも広げていきたいと考えています。総務などの入力業務でも、PaperOnを活用できる場面はあると思います。

 

県内の建設会社の間でも、請求書の電子化などで足並みをそろえようという動きがありますが、各社の対応状況は異なります。紙で届く書類が残っていても、OCRでデータに変えれば、入力の手間は減らせます。今回の取り組みで、その効果を実感できました。

 

こうした経験は、社外のイベントでも紹介しています。社内で活用を広げるとともに、同じ課題を抱える建設会社にも改善のヒントとして役立ててもらえればうれしいですね。

 

【お話を伺った方々】

前海 龍一さん

取締役 建設部 改革推進担当部長。業務改革の推進と積算・見積り業務を担当。

 

宇野 貞治さん

建設部 次長。現場監督として現場管理を担当。

 

橋本 風太さん

総務部 経営企画課 DX特命担当。業務改善・DX推進を担当。