江戸時代に創業され、国内の繊維業界を牽引し続けてきたタキヒヨー株式会社。社内システムのSaaS化にともない、イントラネット内にあった社内掲示板をLINE WORKSのホームに移行。運用開始後は、ホームの活用はもちろん、トークによるスピーディな連絡や業務情報の共有も行われ、社員の業務効率がアップ。在宅勤務時の社員間のコミュニケーションツールとしても利用されています。同社の皆さんに、LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお話しいただきました。
本事例のポイント
- 経営者からのメッセージや会社からの通達が、プッシュ通知で瞬時に届く
- ノートやフォルダで案件管理し、商談プロセスの把握や商談中の提案に活用
- 在宅勤務時のコミュニケーション手段として機能
御社の事業についてご紹介ください。
滝さん :
1751年創業の当社は、繊維製品の製造と卸売りからはじまり、現在は全国の量販店や専門店に向けて幅広いアパレル商品を展開しています。
しかし、「アフターコロナ」「ウィズコロナ」といわれるこれからの時代、これまでと同じやり方では今後を乗り越えてはいけません。既存事業を補完したり、違う領域に挑戦したり、ビジネスも変化するべき環境にあります。今後の事業課題は、今やっていないことをどれだけ増やすか。そのために、さまざまな施策や企画がどれだけのスピード感を持って次々と出せていけるかが重要になってくると思います。当社は、新しい業態の柱として、セレクトショップやアートギャラリーなどの出店にも力を入れています。
LINE WORKSの導入に至った経緯と選定理由を教えてください。
香川さん :
これまで社内システムの大半を自社開発していたのですが、開発や保守に要する人的かつ時間的な負担とコストがかかります。それを抑えるため、一部のシステムのSaaS化を推進するようになりました。
イントラネット上にあった社内掲示板のSaaS化において、グループウェアを検討しましたが、既に勤怠管理システムや経費精算システムなどはSaaS化しており、自社開発で継続運用するシステムもあったため、多くの機能が重複していました。そこで注目したのがホーム(掲示板)の機能を持つLINE WORKSでした。トークや無料電話、カレンダーなどの自社システムにはない機能もあるうえに、他社のグループウェアと比較してシンプルかつ低コストで導入・運用できることに魅力を感じ、導入を決定。全社員に配布しているスマホで利用できるようにしました。
水谷さん :
社内の多くの部署で業務連絡に個人利用のLINEが使われようになり、情報漏えいなどのリスク対策を取ることも急務となっていました。LINE WORKSは高いセキュリティ性を持ちながら、LINEに似た操作性を備えていたことも、選定のポイントとなりました。
社員数600人を超す全社への一斉導入にあたって、どのような準備をされましたか。
水谷さん :
まずは運用管理者となる数名で無料プランを試用してみて、トークや、カレンダー機能によるスケジュールの共有といった、社員が有効に使えそうで、社内の他のシステムにない機能を厳選して社内マニュアルを作成しました。社員には「企業版のLINE」と伝え、社員向け説明会を開いてLINEとは異なる機能を中心に解説しました。社内マニュアル作成に際しては、LINE WORKSのウェブサイトに掲載されている資料や、管理画面からの問い合わせを活用し、充実したマニュアルを作成することができました。
導入後のアクティベート率はすぐに高まりましたか。
香川さん :
営業部門は外出する社員が多いため、すぐに活用され、自発的に使い始めました。導入当初は営業部門以外の部署は活用度がそれほど高くありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう在宅勤務の増加とともに、全社的に利用率が高まりました。在宅勤務をしながら会社や同僚とつながるチャネルとして、多くの社員がLINE WORKSの必要性を感じたことがその理由です。
北島さん :
営業部門の社員は個人LINEを使い慣れていたので、LINE WORKSへの切り替えはスムーズに行われました。移行後は個人LINEの業務利用が一切なくなりました。
LINE WORKSの具体的な活用と成果をお聞かせください。
【ホーム】全社向け通達事項を集約。プッシュ通知により瞬時の情報到達を実感
【ホーム】経営者の想いがそのままダイレクトに伝わる
【グループ】案件別にフォルダで画像管理、商談時にその場で画像の提示が可能に
香川さん :
会社から社員へ、さまざまな通達事項を発信する「通報」や各種申請書類のフォーマットなど、全社員向けの情報やデータはホームに集約するようになりました。掲示板をイントラネット上に置いていたときは、PCからログインして自らイントラネットにアクセスしなければ、情報が更新されているかわかりませんでしたが、LINE WORKSならスマホにプッシュ通知が届きますし、通知画面から即座に情報にアクセスできます。新しい情報が上げられた瞬間に多数の既読がつくので、情報周知のスピードがアップしたことを実感しています。
滝さん :
社員へのメッセージを自らホームの「通報」に投稿しています。以前は紙の文書として配布していましたが、それではメッセージが社員に届くまでにタイムラグが生じ、想いが直接伝わりにくかったと感じています。ホームを活用することで、今の私の思いやこれからどうしたいかなどの考えを個々の社員に直接伝えられるようになりました。校正を入れずに生の気持ちをダイレクトに伝えられる、これは非常に大事なことです。
また、トークでリアルタイムな意思疎通ができるようになったことで、リモートでも業務上の「報・連・相」がしっかり行われています。対面しなくてもコミュニケーションをしっかり図れる環境を整えることは、「コロナ以後」の世界にとって極めて重要だと思います。
北島さん :
私の課ではお客様(バイヤー)ごとに、担当する営業社員・デザイナー・私がメンバーとなってグループトークルームを設け、トークで業務連絡をしています。タイムラインで流れては困る商談に関する内容は、案件別にしてノートに、デザイナーが作成した服の絵型の画像はフォルダに保存することで、案件ごとの商談プロセスをメンバー全員が時系列に把握できるようになりました。
これまでお客様が絵型を確認されたいときは、帰社後にメールで送信していましたが、今は商談中にLINE WORKSのフォルダにある画像をお見せすることが可能になりました。社外に出ることが多い営業社員にとって、会社のサーバーにアクセスすることなく業務資料を閲覧できるのは本当に便利です。
その他にどんな機能を活用されていますか。
【アンケート】新規企画のマーケティング調査に社内で活用
【カレンダー共有】ホワイトボードからクラウドのカレンダーへの移行は業務の生産性に寄与
【無料通話】国際電話の利用が減り、通信コスト削減
水谷さん :
新型コロナの影響で多数の社員が在宅勤務をするようになった際、ホームウエアを企画する部署がマーケティングの目的で、リモートワーク中にどんな服装をしているかを全社員にアンケート調査しました。
社員へのアンケートの例
カレンダーは共有機能を活用しています。多くの社員は自分が所属する課のメンバーのスケジュールを一覧にしています。これまでは、スケジュール共有ツールを使っていなかったため、営業部門ではホワイトボートが用いられていました。中には遠くのデスクから双眼鏡でホワイトボードを確認する社員もいましたが、そうした状況が改善されたことも業務生産性の向上につながっていると思います。
香川さん :
以前は海外にある関連会社と国際電話で連絡を取ることが多かったのですが、現地の社員にもLINE WORKSのアカウントを発行し、無料通話やトークができるようにしました。それにより、通信コストが大きく削減されています。国内においても電話で行われていた連絡のかなりの部分がトークに置き換わっており、トータルの通信費縮減効果はかなりのものになると思われます。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
滝さん :
在宅勤務が当たり前になる「アフターコロナ」において大切なのは、業務に必要な情報をどれだけデータ化できるか、非対面のコミュニケーションをいかにスムーズにするかです。それを実現するためにはツールが不可欠ですが、ツールを操作するのは人間の側ですから、これからも組織や業務の内容に合わせてLINE WORKSをより機能的に使いこなす方法を模索していきたいと思います。
水谷さん :
業務に使うExcelファイルなどは、現在社内ネットからしかアクセスできず、社員からは社外からアクセスしたいという要望が出ています。例えば、LINE WORKSのDriveを活用すれば、全社的に業務効率がさらに高まるのではないかと考えています。システム部としては、このような社員のニーズにも柔軟に応えていきたいと思っています。
お話を伺った方々
滝 一夫さん
代表取締役 社長執行役員であり、8代目の経営者。
香川 竜太郎さん
システム部の部長として、社内システムの開発・運用・保守業務全般を管理。
水谷 祐弥さん
システム運用管理課に所属し、サーバーやネットワークの管理、SaaSの新規導入などに従事。
北島 健太さん
未就学児からローティーン向けの洋服を企画・提案する部署で課長を務める。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年6月当時のものです。