社会福祉法人 雪舟福祉会は、岡山県総社市で主に高齢者施設を運営しています。2018年の西日本豪雨災害を機に、緊急時の連絡手段を模索する中でLINE WORKSを導入。これまで電話とFAXが中心だった利用者のご家族や関連業者とのやりとりが迅速かつ正確になり、予定確認のための会議がなくなる、LINE WORKSとAmazonビジネスとの連携で購買業務の負担軽減など、職員が本来業務に集中できる顕著な効果をもたらしています。
本事例のポイント
- BCP対策として全職員が最新情報をリアルタイムに共有
- 利用者のご家族や外部業者のやりとりが迅速化
- 全職員への新型コロナワクチンの接種希望調査を速やかに実施
- Amazonビジネス、DropboxをLINE WORKSで活用し事務作業を軽減
BCP対策として全職員の緊急連絡網の整備に着手
社会福祉法人 雪舟福祉会は、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの高齢者施設8カ所と、保育園1カ所を運営しています。2018年の西日本豪雨を機に、介護事業や保育事業を継続的に運営できるようにBCP(事業継続計画)策定にいち早く着手。
BCP対策の一環として、全職員に一斉に通知できる新たなコミュニケーションツールの導入が必要不可欠だった雪舟福祉会が、複数のビジネスチャットを比較検討した中で、最終的に選定したのがLINE WORKSでした。
スマホで誰でも簡単に使えるLINE WORKSを選定
「LINE WORKSは携帯番号を登録してすぐに使えるので、導入がスムーズに行える利点があります。また選定の一番の決め手になったのは、誰でも簡単に使えることです。既に一部の職員は個人のLINEでグループを作って情報をやりとりしていたので、その延長線上で手軽に活用でき、情報セキュリティも担保できます。管理者の立場では、職員のトーク履歴を抽出できたり、退職するメンバーをグループから外したりができるので、コンプライアンス遵守の面でも有効です」(守安さん)
「勤務時間外は通知をオフ」独自のルールを策定
雪舟福祉会は、2020年7月にLINE WORKSを全施設に導入しました。アカウント数は105で、ほぼすべての職員が利用できる環境を整えました。まず、各施設のリーダーに操作マニュアルを渡して利用してもらい、そのリーダーがほかの職員に教えながら利用者を増やしていきました。基本的な使い方はLINEに近いので導入に支障はなく、約2週間で全員が使えるようになったそうです。
職員間の連絡は、施設や部署、プロジェクト単位でトークのグループを作成して行っています。ただし、LINE WORKSは個人のスマホで利用しているため、職員に強制はせずに、事前にルールを定めて運用する独自の工夫を行っています。
「勤務時間外にLINE WORKSの通知が来るとストレスになるので、日勤シフトの職員は仕事が終わる午後5時以降と、休日は通知機能をオフにしてよいというルールを定めました。逆に夜勤シフトの職員は日中に通知機能をオフにできます。その際、トークを送ってきた相手には自動返信機能で応答メッセージが流れる仕組みになっています。職員に安心してLINE WORKSを使ってもらうためには、機能があることをただ説明するだけでなく、通知をオフにして勤務時間外はトークを見なくて良いことを、法人のルールとして定めることが重要だと思っています」(守安さん)
また、連絡の効率化をはかるため、ケアマネージャーなど一部の職種では、外部トーク連携を活用して利用者のご家族や外部の福祉事業者のLINEと直接つないでやりとりできるようにしています。外部とのやりとりにおいても、法人としてのルールを定めています。
利用者のご家族や外部業者との連絡手段にLINE WORKSを使用することを許可
これまで利用者のご家族や外部の事業者と日々連絡を行っているケアマネージャーにも従来の連絡手段には課題があったと、光岡さんはいいます。
「ケアマネージャーは、高齢者と、そのご家族、介護・福祉事業者をつなぐ重要な調整役です。例えば、福祉用具の手配やデイサービスの日程調整などを行っています。しかし、以前の連絡は電話とFAXが中心でしたので、情報を迅速に伝えることが困難でした」(光岡さん)
「ご家族には、トークで利用者に関する情報のやり取りすることを事前に書面で許可をいただいています。LINEから友だち登録していただく際には、勤務時間外は返信できない旨を丁寧にお伝えしています」(光岡さん)
ケアマネージャーがLINEとつながる手段を持てたことで気軽な連絡がいつでも可能に
「現在は30名以上のご家族とLINE WORKSを通して連絡を取り合っています。ケアプランを変更した際は、以前は次回の訪問までお伝えすることができませんでしたが、今ではプラン表を写真に撮ってすぐにご家族に共有することができます。急遽、翌日のデイサービスを休むとなったときも、LINEで気軽にご連絡いただけるので、すぐに対応でき、業務が迅速に行えます。ほかにも利用日時の調整や、介護保険に関する情報なども共有しています」
「ご家族からも、些細なことでもLINEで気軽に相談できると大変好評です。以前、あるご家族からお庭に咲いたお花の写真を送ってもらったこともありますが、気持ちがとてもあたたかくなりますね。関係作りにも役立っていると思います」(光岡さん)
訪問宅で撮影した写真を共有することで速やかな対応依頼を実現
外部事業者とのコミュニケーション手段が、電話とFAXからLINE WORKSに置き換わったことで、写真も簡単にやりとりできるようになったといいます。例えば、利用者の自宅で転ぶ危険性のある段差を見つけ、手すりを設置したいというケースでは、ケアマネージャーが現地の写真を撮影して外部の福祉事業者のLINEにトークで画像を送る取り組みを実践しています。
「以前は、福祉事業者に連絡して現地に来てもらい、手すりの設置場所などを確認していました。現在は、その手間が省けるようになり、スピーディに対応できています」(光岡さん)
また、総社市のケアマネージャー協会もLINE WORKSを導入されており、現在は外部トーク連携で研修用のPDF資料をグループトークで共有できる環境が整いました。以前のように資料をFAXでやりとりする手間が省けるようになり、とても喜ばれているそうです。
特養施設で働く職員にむけて新型コロナ対策でアンケートや掲示板などを効果的に活用
雪舟福祉会は、法人内でもLINE WORKSをさまざまな用途で活用しています。その一例が、アンケート機能を利用した「新型コロナワクチン接種意向調査」です。
「総社市からワクチン接種の希望者を教えてほしいという要請を受けて、90名の職員に接種希望調査を実施しましたが、全員からすぐに回答がありました。回答者のデータをCSVに変換して編集すれば、市に提出する書類が簡単に作成できるので、とても便利です」(守安さん)
新型コロナウイルスの最新情報や注意喚起、さらに健康診断のお知らせなど全職員向けの情報は、LINE WORKSのホーム(掲示板)で周知徹底を図っています。
「近隣でクラスターが発生したなど緊急性の高い情報は、守安事務長がトークで全職員に向けて送ってくれます。その場で読む時間がなくても、あとで確認できるので助かります」(光岡さん)
自宅待機をしている担当者の代理訪問で利用者のお宅に伺ったスタッフは、スマホからビデオ通話でつなぎながら対応を行うことができたことで、利用者のご家族とのコミュニケーションやスムーズな対応も行えたそうです。
共通カレンダーの活用で会議を行い手間と時間を削減
LINE WORKSで全職員の共通カレンダーを作り、そこに各部署や施設の予定を書き込むことで効率的な運用を行っています。
「以前は、部署ごとにExcelで予定表を作成し、そのデータをほかの部署に回して閲覧していました。そのうえで、全体のスケジュールを調整するために各部署から9名程度の職員が集まって定期的に会議を実施。会議自体は30分くらいで終わるのですが、事前準備や往復の移動に少なからず時間を費やしていました。しかし、カレンダー機能を活用することで、その会議が一切不要になります。会議の議事録を作成して全職員に配付する手間も省けたので、その時間短縮の効果は非常に大きいです」(守安さん)
機能をフル活用し、職員の働きやすさ、事務作業の効率化を促進
職員のシフト希望をアンケートで収集できないか試したところ、利便性の向上を感じたそうです。アンケート結果をExcelに抽出できるため、職員個人とシフト希望が一覧で確認できるようになったそうです。
「毎月40名以上のシフト希望を紙で提出してもらい、担当者で集計していたものが、アンケート機能なら回答が自動でExcel化されるので、とても効率化されました」(守安さん)
日本語を読むことが苦手な外国人介護職員とやりとりする際にトークの自動翻訳機能も活用。これにより、言語の垣根を超えたスムーズなコミュニケーションも実現しています。
LINE WORKSをDropboxやAmazonビジネスと連携して活用の幅を広げる
また、雪舟福祉会はLINE WORKSと他ソリューションをアプリディレクトリ*で連携することで、さらなる業務効率化を実現しています。
「例えば、LINE WORKSとDropboxを連携させて使っています。現在はDropboxのアカウントを持つ数名の職員が利用しており、パソコン上で作成した書類等を、外出先からスマホで簡単に共有することができ、急な案件なども、いつどこにいても対応することができるようになっています」(守安さん)
さらにAmazonビジネスも連携させ、購買業務にも活用しているといいます。
「以前は、備品や消耗品に応じて購買場所も異なっており、物によっては担当者が現金で立替購入する必要もありました。しかし、今ではどこからでもトークで簡単にAmazonビジネスから注文ができるため、業務時間外や休みの日に買い物に行くようなことがなくなりました。また、注文すると同時に事務処理をする担当者に通知が届くため、いつ誰が購入したのかも分かりますし、月末締で各部署まとまった請求書が届くため、購買後に生じていたレシート管理や立替金処理などの事務作業がすべてなくなりました」(守安さん)
今後は、Bot機能も活用する計画だといいます。利用者の問い合わせに応じて各種マニュアルを自動で抽出したり、申請のワークフローを自動化したりすることを検討されています。
「介護業界は、今後ますます人手不足が懸念されています。その解決策として、LINE WORKSによる業務効率化を積極的に推進し、個々の職員が本来業務に集中できる環境づくりに努めていきます」(守安さん)
【お話を伺った方】
守安 伸聡さん
雪舟福祉会の事務長。施設の運営管理に加え、ICTの導入や運用管理も行っています。介護保険法改正に準じた対応策の検討も行っています。
光岡 明美さん
ケアプランセンターセレーノ総社 管理者。ケアマネージャーとして、LINE WORKSを効果的に活用しながら、利用者のご家族に寄り添ったサービスを提供しています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年4月当時のものです。
【資料公開】介護・福祉事業者向けLINE WORKS導入事例集
【特別対談レポート:善光会×LINE WORKS】サービス品質・従業員の働きやすさ向上につながるICTの活用-施設経営への活かし方-
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