宮城県仙台市に本社を置き、東北6県で橋梁建設などを行う東日本コンクリート株式会社。社内のコミュニケーション手段としてグループウェアを運用していた同社は、モバイルでの情報伝達をしやすくする目的からLINE WORKSを導入。工事現場で業務に携わる担当者はもとより、全社の社員がタイムリーに連絡を取り合えるようにするとともに、クラウドストレージのDriveで業務データをバックアップできる体制も整えました。
本事例のポイント
- モバイル環境でも使えるグループウェアとして利用
- SNSの扱いに慣れた若手社員が活用促進をリード
- 現場どうしをつないで遠隔からOJTを実施
- 技術部門や間接部門で情報の伝達速度が向上
御社の事業内容をご紹介ください。
高橋さん :
当社は従来のコンクリートより強度・耐久性に優れるプレストレスト・コンクリート(PC)を用いた橋梁の設計・施工や、橋桁、梁(はり)、床版、マクラギなどPC製品の製造・販売を主力事業とし、東北に5営業所、宮城県内にPC工場を擁します。東日本大震災以降は被災した橋梁の修繕や更新を多く行ってきましたが、復興関連事業が落ち着いてきた最近は、国の国土強靱化基本計画に沿った橋梁の補修・補強案件が増加しつつあります。
以前はどのような課題を抱えていましたか。
高橋さん :
当社は営業本部、技術本部、管理本部の3事業本部からなり、15年ほど前より全社でグループウェアを運用してきましたが、モバイルでの使い勝手がよくないのが難点でした。事務所に戻ってパソコンを開かなければ情報の確認やコミュニケーションができないため、特に施工現場に出る時間の長い技術部門の社員の多くから、「出先でも簡単に使えるコミュニケーションツールが欲しい」という切実な要望が寄せられていました。以前から全社員に貸与しているスマホをより有効活用することも課題となっており、スマホベースのコミュニケーションツールを導入してグループウェアから切り替えることを考えるようになりました。
齋藤さん :
業務データは本社のファイルサーバーや各現場事務所の外付けHDDで保管していますが、オンプレミスのサーバーはストレージの容量に限りがありますし、大地震などの災害発生時にダウンするリスクがあります。BCPの観点からクラウドストレージにデータをバックアップすることも検討するようになり、グループウェアに替わるコミュニケーションツールをリサーチする過程で、クラウドストレージのDriveを備えたLINE WORKSに着目しました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、運用開始までの経緯を教えてください。
高橋さん :
いくつかのツールを比較した結果、LINE WORKSなら既存のグループウェアで使っていたメッセンジャーや掲示板など、機能面で最も容易に移行させられると考えました。また、別途クラウドストレージを使った場合の利用料を考えると、Driveを活用できるLINE WORKSのベーシックプランは、運用コストの面でも有利だと感じられました。管理本部やいくつかの施工現場で無料版を試用したところ、操作性の良さが確認され、ユーザーの中心層となる若手社員にも好感触だったことから、全社への導入を決めました。
齋藤さん :
その後全社員への説明会を実施し、簡易なマニュアルも配付。組織図に基づく基本的なグループを用意して運用を開始しました。当面、社員がLINE WORKSの操作に慣れるまでは外部のLINE WORKSやLINEとやり取りができる外部トーク連携機能の利用を禁止したほかは特に規則を設けず、自由に活用できるようにしています。全社員に素早く定着させる目的から、LINE WORKSの導入を機に既存のグループウェアは解約しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【グループトーク】従来に比べて情報の伝達速度が大幅にアップ
【カレンダー】会社予定をメンバー全員で共有でき、ホワイトボードの予定管理から脱却
【掲示板】全社向けに投稿されたお知らせをスマホから速やかに確認
高橋さん :
グループウェアを利用していたときと比べて情報の伝達速度が向上し、業務のスピードアップに貢献してくれていることを感じます。現場でトラブルが発生した際は、現場から受けた情報を管理職のグループで報告をいち早く共有し、より素早い対応判断がなされるようになったことも確認されました。
管理本部には、社員から事務手続きなどのさまざまな問い合わせが寄せられますが、その手段が電話からトークに置き換わったことで業務を中断させられることがなく、手が空いたときに対応できるようになりました。
齋藤さん :
多くの部署で、ホワイトボードに替わってカレンダーで予定が共有されるようになりました。検査の日程や月次の締め日など、部門のカレンダーに登録しておけば、重要な業務予定を所属社員全員で把握できるので便利です。
行事の日程変更を担当者がトークで共有。さらに予定の変更がカレンダーで反映されたことが関係者全員のLINE WORKSで通知され、予定の詳細を閲覧することもできる
掲示板は、以前のグループウェアでも使っていましたが、LINE WORKS導入後は、現場にいてもスマホから確認ができるので、重要な通達事項がよりスピーディに周知されるようになりました。
施工現場ではLINE WORKSをどのように活用されていますか。
【グループトーク】いつでも連絡が取り合え、工程管理や品質管理がより万全に
【ビデオ通話】離れた場所に居ても現場の状況をリアルに伝達
星野さん :
現場で業務に携わる社員のグループをつくって連絡を取り合っています。グループウェアは社内のパソコンからしかアクセスできなかったのに対し、LINE WORKSのトークはスマホでのタイムリーなやり取りを可能にしてくれます。
管理者である私は発注者様との打ち合わせなどで現場を離れることも多く、メンバーから電話がかかってきても応答できないことも多いのですが、トークならちょっとした隙間時間にメッセージをサッと読んでパッと返信することができます。以前は送信したメッセージがいつ読まれたかわかりませんでしたが、既読が付くことで安心できるのも特長です。いつどこにいても現場からの状況報告を受けられ、指示出しができるLINE WORKSは、万全な工程管理や品質管理をするために欠かせないツールとなっています。
鈴木さん :
2021年に新卒で入社した私の世代にとってはLINEが主なコミュニケーション手段なので、同じような感覚でさくさくやり取りできるツールを業務で使えることをありがたく感じています。メールと違い、要点だけを端的な文章ですぐに伝えられるトークは、時間を有効活用することにもつながります。新卒社員は2ヵ月間の研修後に各現場へ配属されましたが、同期社員のグループがあるので離れていても簡単に連絡が取れ、親睦を深め合うのにも役立っています。
1人のときに業務でわからないことがあると、ビデオ通話で現場の様子を上司や先輩に見てもらいながら相談することもあります。管理本部に提出する書類をトークに添付して送信したり、フォルダに保存された図面や写真を現場で閲覧したりといったこともでき、それらの作業を1つのアプリで行えるのがLINE WORKSの良さだと思います。
高橋さん :
若い社員ほどLINE WORKSの多様な機能を自然に使いこなせているようです。長年使ったグループウェアに替わり、LINE WORKSがスムーズに定着した背景には、各部署で若手が年配社員に使い方を手ほどきしてくれたことがあります。ここ10年ほど新卒採用を安定的に行ったこともあって、当社の社員は30歳代以下が半数近くを占めるようになりました。「若い社員が使いやすい」という側面からも、LINE WORKSは最適なツールだったと思っています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
高橋さん :
Driveを活用できることがLINE WORKSを選定した決め手の一つでしたが、現在はどの業務データをどこに保存するかのルールを整備している最中です。各現場では施工過程の多数の写真を撮影して現場事務所の外付けHDDに保存していますが、その写真を各事務所でしか見られないという課題もあり、その解決も含めて全社的なデータ管理のあり方を整理していくつもりです。
齋藤さん :
これまで外部トーク連携は認めてきませんでしたが、今後はルールを明確にした上で協力会社の方などとの連絡に使えるようにすることも検討し、さらなる業務効率化を図りたいと思っています。
【お話を伺った方】
管理本部 管理部長代理
高橋 暁さん
経理をはじめとする間接業務全般を担う管理部の業務を管理。
管理本部 管理部
齋藤 貴裕さん
経理業務のほか社内の情報インフラ整備にも携わる。
技術本部 技術部 工事課
星野 仁志さん
現場の代理人として橋梁工事の工程と品質を統括管理する。
技術本部 技術部 工事課
鈴木 ほの香さん
橋梁工事の現場で出来形管理や安全管理を担当。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年11月当時のものです。