高齢化社会が抱える課題を、食と暮らしに着目して解決に導くモルツウェル株式会社。幅広い事業内容で地域社会の介護をサポートしています。営業や配送、受託施設での業務など、社外で従事するスタッフが多い同社は、連絡手段としてLINE WORKSを導入。発注やトラブルの対応がスムーズになり、効率化が進んでいます。
本事例のポイント
- 電話での連絡がトークに置きかわり、スピーディで確実な情報伝達が実現
- 画像の共有で発注作業や配送業務が効率化
- 訪問介護ヘルパーのLINEとつながり、介護サービス利用者への効果的な栄養改善の指導が可能に
- 部門間でのコミュニケーションが活発化し、業績アップに
御社の事業内容をご紹介ください。
野津さん:
高齢者施設向け調理済み食品の製造販売事業、在宅高齢者弁当配食サービス事業、買い物生活支援・ロジスティック事業、高齢者施設の厨房運営受託・運営サービス事業、ヘルスケアサービス事業などを展開しています。2022年9月に食品製造拠点工場を松江市のソフトビジネスパークに移転新設しました。介護施設厨房向けのソフトウェア研究開発拠点も開設し、食事サービスを中心に介護施設・企業を総合的に支援するシステム開発を始動しました。
LINE WORKSを導入された経緯をお聞かせください。
野津さん:
無料グループウェア「サイボウズLive」のサービス提供終了にともない、移行先を探していた時に、地元の商工会議所主催の LINE WORKSの説明会に参加しました。導入前の業務連絡は、社員どうしはサイボウズ、パートスタッフとは個人LINEや電話で行っていました。個人LINEは、重要な業務連絡がプライベートのトークに埋もれやすく、無関係な友だちへの誤送信による情報漏えいのリスクなど、セキュリティ面で不安を感じていました。また、業務利用の状況がまったく見えず、アカウントを会社が管理できないことも難点でした。LINE WORKSは会社としてアカウントの管理ができ、法人向けにセキュリティ面で優れている点に魅力を感じました。
試験段階から本格的な導入までの流れを教えてください。
平井さん:
まずフリープランを利用し、部課長クラスと管理職でトーク・掲示板の使用感を試しました。全社での展開に先立ち、LINEに慣れている若い世代を中心に各部門の担当者を選任し、研修会を実施。グループの作り方など基本的な操作方法を説明しました。その後、担当者から現場の社員にアカウントを一斉配布し、部門ごとに使い方を指導しました。アカウントは、社員と一部のパートスタッフに配布しています。部署のアカウントを共有PCに設定しているので、配布されていない社員でもお知らせ事項を確認できるようにしています。
運用にあたってルールなどは決められましたか?
平井さん:
現場の声を反映したルールを明文化してLINE WORKSで共有しました。
例えば、大人数のトークルームでは既読がつけば「了解」などの返事をしなくても良い、就業時間以外はチェックしなくても良い、などをルールにしています。また、トークでやり取りをする際、相手の顔が見えないことで、精神的な距離感を感じてしまうこともあるため、相手が自分の顔をイメージできるようLINE WORKSのアカウントにプロフィール写真を設定してもらっています。
各部門でのLINE WORKSの具体的な活用方法と効果を教えてください。
青山さん:
買い物支援と弁当配食サービス事業では、利用者宅を回る配送スタッフとの連絡手段にLINE WORKSを活用しています。以前は、訪問先が不在だった際、配送スタッフが本部に電話で問い合わせをしていましたが、タイミングが合わずにつながらないことも多く、また運転中だと電話がかかってきても受けられないため、対応が遅れてタイムロスが発生していました。LINE WORKSを導入してからは、お互いの都合のよい時に用件を送っておけばよいので、スピーディに情報を伝達できるようになりました。
買い物代行の商品や届け先、回収や利用中止などの情報は、LINE WORKSのノートで共有しています。
また、利用者からのリクエストやクレームのメモも、画像で共有し、スタッフどうしで取りこぼしがないようにしています。テキストと画像でやりとりできるため、聞き間違いも防げるようになりました。
先日、配送スタッフが訪問先で介護サービス利用者が倒れていたのを発見した際も、すぐに本社とLINE WORKSで連絡をとりあいながら、病院やご家族への連絡などスムーズに対応することができました。電話主体だった連絡手段がLINE WORKSに置き換わり、スピーディかつ確実な情報連携ができるようになり、介護サービス利用者の信頼に直結していると思います。
野津さん:
お弁当委託業者にはアカウントを渡して発注に利用しています。FAXからLINE WORKSに移行したことで情報共有がしやすくなりました。
橋本さん:
高齢者施設の厨房運営受託事業は、本社で一括調理した食事を高齢者施設に配送するサービスです。施設の厨房にいるスタッフから毎日午前中に食事内容・数量の連絡があり、それに合わせて調理。食事の時間までに配送し、現地で仕上げ・配膳しています。以前は、施設にいるスタッフが手書きの注文書を電話で読み上げて発注していましたが、LINE WORKS導入後は注文書を撮影して画像で共有できるようになり、スムーズな発注とミスの予防につながっています。
また、各施設を回って管理していた業務も、LINE WORKSのトークやビデオ通話でできるようになったため、訪問回数を減らすことができました。2022年4月現在、受託先は松江市・出雲市で10施設。車で片道1時間かかる施設もあるので大幅な時間削減とガソリン代の削減になっています。
平井さん:
ヘルスケアサービス事業では、ヘルパーやケアマネジャーと連携し、訪問介護サービスの栄養管理に活用しています。外部のLINE WORKSやLINEと連携できる外部トーク連携で、ヘルパーのLINEとつながり、介護サービス利用者の食事内容と摂取量を撮影した画像をトークで送ってもらっています。それまでは連絡ノートに「半分食べた」「3割食べた」など手書きで書いた文書で報告してもらっていたので、タイムラグが発生していました。画像も手軽に送れるLINE WORKSによって、タイムリーかつ詳細に介護サービス利用者の食事内容や摂取量を把握できるようになりました。より具体的な指導をこまめに行うことができるため、効果的な栄養改善を進められています。写真を撮るだけなのでヘルパーの負担が軽減したのも良かったと思います。
また、提携しているフィットネスジムもLINE WORKSを導入しているので、外部トーク連携でつながり、ジム会員への栄養指導を行っています。会員名ごとにLINE WORKSのノートを作成し、運動と食事の情報をインストラクターと共有しています。隣県のジムなので、現場に行かなくてもこまめにやりとりできるので助かっています。
他にLINE WORKSを導入されてよかったと思われることがあればお聞かせください。
岩室さん:
LINE WORKSで業務連絡の掲示板がオンライン化されているのはとても便利ですね。壁に紙を貼り出すタイプのアナログな掲示板では、どれが最新の情報なのか分かりにくいですが、 LINE WORKSの掲示板は常に最新の情報がチェックできるので、見落としがありません。
LINE WORKSの活用によって、会社全体にどのような効果をもたらしていますか?
野津さん:
全部門の様子が体系的に整理され管理しやすくなったことで、所属部門外の動きが見えるようになり、それぞれの社員が業務を俯瞰することで一人ひとりの行動も変化していると思います。
当社の営業担当は常に施設や業者を回っており、他の社員と対面でコミュニケーションする機会がほとんどありませんでしたが、LINE WORKSの導入後、事務方や他部門と密にやりとりできるようになったことで営業効率が改善され、売り上げアップに直結しています。社員一人あたりの付加価値額は導入前後で比較すると、1.4倍になっています。
また、厨房委託セクションは、訪問業務の減少によるガソリン代の削減や、発注ミスの削減による食材のロス率軽減も実現し、総合的に利益率アップにつながっていると実感しています。
今後どのようにLINE WORKSを活用していきたいですか?
平井さん:
業務をさらにスムーズで効率的なものにするため、介護事業所やケアマネジャーの所属先、さらに介護サービス利用者やそのご家族ともLINE WORKSでつながり、より円滑な連携体制を作っていきたいと考えています。
また、社内ではBotを活用して、有休の申請や就業規則に関するQ&Aを返答できるようにしてきたいです。
野津さん:
LINE WORKSは電話や対面より気軽にコミュニケーションできるので、現場からの報連相が活発になりました。問題や疑問がある場合はすぐに相談できる状態になったことで、課題の見える化が進みました。今後は、見える化された課題の改善に、LINE WORKSを活用していきたいと考えています。
【お話を伺った方】
専務取締役
野津 昭子さん
財務担当。 LINE WORKSの導入を主導。
事業統括部 三河屋サービス課 係長
青山 伊津子さん
弁当配食サービス事業、買い物生活支援などに管理責任者として携わる。
事業統括部 受託サービス課 課長
橋本 真一さん
高齢者施設の厨房運営受託を担当し、そのノウハウをもとに新ビジネスの考案・研究も進める。
事業統括部 受託サービス課
岩室 匠さん
高齢者施設の厨房運営受託とともに、それに関わる新規事業を推進。
事業統括部 開発管理 係長
認定栄養ケア・ステーション@三河屋責任者、管理栄養士
平井 康平さん
訪問介護サービスやスポーツジムなどで栄養指導に関わる。