企業で情報共有ツールを一本化できず、社員が不本意ながらもプライベートなメッセンジャーを業務でも使うといったことは、決して珍しいことではありません。しかし、そういった状況では企業としてセキュリティ対策を行うことができず、情報漏えいという大きなリスクを抱えることになります。安全性の高い情報共有ツールを企業として採用し、一本化することは、情報漏えいを防止するためにも喫緊の課題となっています。
企業も社員も使いたくないプライベートなメッセンジャー
冒頭で社員がプライベートなメッセンジャーを使うことを「不本意ながら」としました。これは企業側が情報漏えいなどセキュリティの問題として、プライベートなメッセンジャーの利用を一刻も早く止めなければいけないということは当然のこととして、社員にとってもプライベートなメッセンジャーを使うことは、できれば避けたいと思っているのが本音であるということです。
プライベートなメッセンジャーを仕事でも使うことで、休日や仕事時間外であっても常に仕事に追われているようで、大きなストレスになります。しかし、企業としてスマートフォン端末を貸与していなかったり、公式のメッセンジャーを社員に配布していない状況で、顧客や上司から求められてしまえば断ることもできず、リレーションを保っていくために仕方なくプライベートで利用しているメッセンジャーを仕事でも使わざるを得ないという現状があります。
また、恒常的に担当内でLINEグループなどを使っての業務連絡をしていくうちに、そういった状況に慣れてしまい、顧客情報などの機密情報さえ扱わなければ問題ないと考えるようになってしまうケースが多いのも事実です。企業も社員も本当はプライベートなメッセンジャーは使いたくないし、使わせたくない。しかしそれに変わる情報共有ツールがないということが、現在の大きな問題のひとつです。
プライベートなメッセンジャーをビジネスで利用する3つのリスク
そもそもモバイルでのメッセンジャー利用は、電車内やカフェなど常に周囲に人がいることを意識しておかないと、取引先とのやりとりについて、相手に悪意がないとしても盗み見られてしまうリスクがあります。さらにメッセンジャーの選択を社員の裁量に任せてしまうことによる情報漏えいリスクには以下のようなものがあります。
1.スマホを紛失してしまった際のリスク
仕事中やプライベートなどでスマホを紛失してしまったという経験はないでしょうか? もし拾った人に悪意があれば、モバイル端末内の情報は簡単に抜き出すことが可能です。そして、プライベートなメッセンジャーでビジネスのやりとりをしていたとしたら、基本的には外部からロックや削除といった操作をすることはできません。
2.第三者に誤送信してしまった際のリスク
プライベートのメッセンジャーを業務で利用していると、個人の友達と会社関係の知り合いとのやり取りが同じアプリ内で混じって存在することになります。頻繁なメッセージのやり取り行っている場合、誤って社外の相手に送信してしまう可能性がゼロとは言い切れません。それが会社の機密情報であったり、顧客の個人情報であった場合、いとも簡単に情報漏えいにつながってしまいます。
3.やり取りが会社側から見えないリスク
もう一点見過ごされがちなポイントが、個人のメッセンジャーでのやり取りは会社側からは見えない・管理できない・記録に残らないという点です。LINEなどのメッセンジャーは、会話の履歴が端末にしか残らないため、どのようなやり取りをしていたかは本人にしか分かりません。社員が悪意を持って情報を持ち出したり、第三者に渡していたとしても、追跡することは難しくなります。また、仮に顧客や取引先とメッセンジャーのやり取りでトラブルになった場合、アプリをアンインストールしたり、社員が辞めてしまえば証拠がどこにも残らないのです。
このようにビジネスで使うメッセンジャーを社員の裁量に任せることで、企業の情報漏えいリスク、コンプライアンス上のリスクは非常に高まります。そういった意味でも、メールだけでは実現できない作業の効率化とセキュリティ対策を両立させるためには、企業が情報管理できるメッセンジャーの導入は急務であるといえるでしょう。
- ※ 本掲載記事の内容は投稿当時の情報となり、2022年4月1日に改定された新料金プランとは一部異なる内容を含む場合があります。