2025年8月20日・21日の2日間で、日本赤十字社北海道支部にて「救護班主事」「支部災害対策本部要員」として必要な基礎的知識・技術を習得し、災害対応能力の向上を目的とした研修が実施されました。本研修の一部では、災害時の情報伝達・共有を支えるツールとして 「LINE WORKS」を活用したプログラムが取り入れられました。
■ 本研修のプログラム
■研修の様子
開会のご挨拶
■LINE WORKSの研修目的
令和6年の能登半島地震でも派遣される日本赤十字社災害医療コーディネーターや救護班間でLINEを通じて、現地の道路状況やライフラインの状況、支援内容や支援に必要な物品等、様々な情報をタイムリーかつ迅速に発信・共有することができ、LINEというコミュニケーションツールの災害医療における有用性が明らかとなりました。
今回、2025年3月に締結した協定により、日本赤十字社北海道支部および道内赤十字病院では、LINEよりもセキュリティの高いビジネスコミュニケーションツールであるLINE WORKSの使用が可能となったことから、研修を通じて、LINE WORKSの基本的な使用方法を習得すること、LINE WORKSの各種機能を災害救護活動でどう活用できるか、どのような課題があるのかを検証しました。
■ LINE WORKSを活用した研修プログラム
研修では「体験」から「実践」をテーマに、段階的にLINE WORKSの活用を学びました。
1日目:LINE WORKSの体験
トークや掲示板を実際に操作し、まずは「慣れる」ことを目的に実施しました。普段「LINE」を利用されていることから、操作はスムーズに行うことができていました。
2日目:LINE WORKSを用いた情報伝達
災害発生を想定したグループワークを実施。救護班主事や支部災害対策本部要員の立場で、各機能をどのように災害救護活動に活用できるかを検討・体験しました。こちらも前日の体験を生かし、基本操作としては各グループスムーズに行うことができていました。
グループワークの様子
【グループワークの内容】
情報伝達:支部と病院間、また救護班派遣時の連絡にトーク機能を活用
安全情報の共有:位置情報機能を用いて安全確保やライフライン状況を共有
活動記録:写真やテキストで記録を残し、チーム内で共有
■ 参加者の声
研修を通じて、参加者からは以下のような意見が寄せられました。
新たな活用の可能性として、研修では実施できなかったが、「ノートや予定表を使えば、派遣予定の共有や交通状況の整理に役立ちそう」、「タスク管理や進捗確認機能も活用することで、各所の情報共有がスムーズにできそう」といった声が上がりました。
実用の課題として、「どこに何を書き込むかルールを決める必要がある。掲示板で新規スレッドを立てるのか更新するのかなど、最初に決めておかないと混乱しそう」というような運用ルールの必要性や、他システムとの兼ね合いとして、「EMIS(災害時医療情報システム)との入力バランスをどう取るかが課題。同じ情報を複数の場所に入力するのは負担になる」という声も上がり、実用に向けた意見交換が行われました。
■ まとめ
今回の研修では、災害時における情報伝達の手段としてLINE WORKSが持つ可能性を、実際に操作しながら体験していただきました。
参加者からは、実際の運用に向けてルール作りや既存システムとの連携といった課題も挙げられ、今後の改善に向けた大きな学びとなりました。
日本赤十字社北海道支部における今回の取り組みは、災害時の円滑な情報共有・救護活動の実効性を高めるための貴重な一歩となりました。