グループウェア

2017.01.30


組織内における情報共有やコミュニケーションを目的として、いまや大企業だけでなく様々な規模の企業で導入されているグループウェア。社内の情報やナレッジを全体で共有でき、チームやプロジェクトでの業務を効率化できるグループウェアには、仕事に役立つ便利な機能が搭載されており、数多くのベンダーから製品が提供されています。しかし、あまりにも種類や機能の数が多すぎて、最適なツール選びに困っている方も多いのではないでしょうか?

 

ここでは、グループウェアの基礎知識や導入メリット、オンプレミス型とクラウド型の違い、製品の選び方などをご紹介します。

グループウェアとは

グループウェアとは、組織内での情報共有やコミュニケーションを円滑にするためのソフトウェアの総称です。メールやチャットの他に、スケジュール管理やファイルの共有、掲示板など、チームで仕事をする上で必要な機能を備えたものがグループウェアと呼ばれます。ドキュメントの共同編集やテレビ会議・ウェブ会議などの機能を備えた製品も出ています。

 

ビジネスに必要な機能が1つのソフトウェアに集約されており、社員一人ずつにそれぞれアカウントを付与してネットワーク経由で利用します。以前はPCにソフトウェアをインストールして利用する方法が一般的でしたが、現在はウェブブラウザで利用するタイプが主流となっています。また、企業内にサーバーを立ち上げて導入する「オンプレミス型」から、インターネットを経由してサービスを利用する「クラウド型」のグループウェアへの移行が進んでいます。

なぜ今グループウェアが必要とされているのか

かつて、社内での情報共有といえば、手書きのメモを置く、職場のホワイトボードに予定を書き込む、掲示板に周知文書を張り出すといった方法が一般的でした。現在でもこれらの方法で情報共有をしているという会社もあるでしょう。確かに仕事をするうえで必要な情報を伝えることはできるかもしれません。
ですが、メモやホワイトボード、掲示板では情報共有のスピードや範囲、確実性などの点で制限があることは事実です。では、グループウェアを導入した企業は、どのような理由から導入に踏み切っているのでしょうか?

【理由1】情報共有の遅れ・もれを防ぎたい

ホワイトボードに連絡事項を書き込む方法では、そのホワイトボードを社員が見に行かなければ情報は伝わりません。掲示板を社内で回覧する場合は、全員に回るまでに時間がかかります。会議や外出などで席をはずしていたり、社内にいなかったりする場合は、オフィスの自席に戻るまで連絡事項が伝わらないため、情報共有に遅れが発生してしまいます。また、きちんと全員に伝わったのかどうかがわかりづらい、多くの連絡事項が書かれていた場合はもれが発生しやすいなどの難点もあります。後述するメールや電話、FAXでも同様の問題は避けられません。情報共有の遅れ・もれは、顧客対応の遅れやトラブルの対応の遅れなど、企業の利益に直接の影響を与える可能性があります。グループウェアを導入すると、毎朝定期的に確認すべき情報や業務予定、業務完了後の日報などを、すべて即時に配信して電子データとして残すことができます。また、各自が自分の都合の良いタイミングで確認することができるため、連絡事項が伝わりやすく、もれを防げます。このような理由からグループウェアが導入されることが多いようです。

【理由2】企業の成長に応じた情報共有の必要性に迫られている

社員の数が少なく、全員が1つのスペースで顔を合わせてコミュニケーションできる環境であれば、ホワイトボードや掲示板で十分だと思われる方もいるかもしれません。ですが、企業が成長し、社員数が増えるのと同時に、一度に会社全体に情報を共有するのが難しくなり、グループウェアの導入に踏み切ったという企業は少なくありません。また、株式の上場により、コンプライアンス遵守やガバナンスの強化などの対応が必要となったため、コミュニケーションの証跡を残すことのできるグループウェアを導入したというケースも多くあります。

【理由3】ペーパーレスを実現したい

掲示板の回覧やメモによる社内連絡は、情報を紙に書いて(または印刷して)共有することが前提となります。そのため、多くの紙が必要となり、紙や印刷のコストが発生するのはもちろん、不要となった紙の処理にも手間や配慮が必要となります。機密情報が書かれた書類を都度シュレッダーにかけたり、セキュリティに配慮した処分を行ったりする手間暇・コストを考慮すると、グループウェアを導入する方が安く、手間もかからないという点がメリットになります。このようにペーパーレス化をきっかけにグループウェアが導入されることもあります。

【理由4】働き方の多様化に合わせた情報共有を行いたい

会社を構成しているのは、フルタイムで働くホワイトカラーの正社員だけではありません。アルバイトやパート、育児や介護により短時間勤務の社員もいるでしょう。また正社員の中にも、外出の多い営業職の社員や、内勤で1日PCと向き合う社員、店舗や工場・お客様先などの現場で働く社員など、働き方はそれぞれに異なります。会社を構成するこれらのメンバー全員に確実に情報を届けるためには、従来の掲示板やホワイトボード、メモによる情報周知では不十分だと考える企業が増えています。多様な働き手とのスムーズな情報共有のためにグループウェアを導入する例は、今後さらに増えていきそうです。

社内連絡手段としてのメールと電話、FAXの問題点

ホワイトボードやメモ、掲示板に代わる連絡手段として、社内情報共有を主にメールと電話、FAXで行っている企業はとても多いと思います。ですが、一見便利なため多用されがちなメール、電話、FAXにも、実は多くの問題点があることをご存知ですか?

メールの問題点

メールはテキストや画像、ドキュメントの添付など、形式・分量を問わずあらゆるものを送信できるため、非常に便利なビジネスツールです。ちょっとした連絡から、大事な意思決定の通達まで、相手の状況を問わず送ることができ、記録に残すことのできるメールは便利なものですが、メールにはいくつかの問題点もあります。
一般社団法人日本ビジネスメール協会が公開した「ビジネスメール実態調査 2016」によると、
「ビジネスメール 1日の平均通数、送信は約12通、受信 は約55通 仕事でメールを1通作成するのにかかる平均時間は7分」となっており、メールを読む時間を含めると、1日のうち少なくとも60分以上はメールの処理に費やしていることになるという調査結果を発表しています。また、スピード感やコミュニケーションの正確性についても不安があるという結果になっています。
たとえば、メールで社内連絡を行う際には、送信の度に宛先を設定する必要があり、「〇〇部 〇〇さま お疲れ様です、△△部の△△です」などの挨拶文を入れるなど、ちょっとした連絡を行う際にも手間を取る作業が必要です。また、CC(同報メール)で多数のメンバーに送ることができるのが便利な反面、大量のメール処理にとられる時間が、限られた業務時間の中で負担になり、重要なメールが埋もれてしまうという問題点もあります。更に、社外への誤送信などのリスクや、テキストでのかしこまったやり取りによる内容の誤解などのミスコミュニケーション、メールの見逃しや返信の遅れによるスピードの低下などの弊害が発生する場合があります。すべての連絡をメールに頼ることに疑問を感じているという方も多いのではないでしょうか。

 

(出典)一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2016」
http://businessmail.or.jp/archives/2016/07/01/5668

電話の問題点

電話は、「今すぐ確実に相手に伝えたいことがある」という場合には非常に便利な連絡手段です。会話の中で相手の反応を見ながら、必要なことをすぐに相手に伝えることができます。しかし、相手が出ない場合は連絡が取れないため、待ち時間は情報共有の遅れにつながります。また、相手の状況に関わらず相手の時間を占有することになるため、常に相手への気遣いが求められます。その他に、店舗などで電話回線が一本しかない場合、社内連絡に電話回線を占有することになり、その時間はお客様からの電話を受けられないといった営業への影響もあります。またメールと異なり文面として残らないため、結論が曖昧になり、「伝えた、伝えなかった。」という問題を引き起こす可能性もあります。

FAXの問題点

FAXは、紙を利用して情報を伝達するため、手書きの文字や画像、表など、幅広い情報を制限なく送信することができます。一方で、印刷出力するためにはコピー用紙を使う必要があり、環境やコストへの影響が懸念されます。
セキュリティの観点では、電話番号の設定間違いや、短縮ダイヤルの押し間違いによる社外への誤送信など、FAXによる情報漏洩事故は後を絶ちません。メールと並んで個人情報漏えい事故原因の一つとなっています。また、紙の持ち出しは記録に残らないため、故意の社内情報の漏洩に関しても注意が必要です。メールと同様に、セキュリティに関して、各自が利用に際し注意を求められるツールと言えるでしょう。

 

(参考)一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) プライバシーマーク推進センター
平成28年度「個人情報の取扱いにおける事故報告にみる傾向と注意点」
https://privacymark.jp/reference/pdf/H28JikoHoukoku_170828.pdf

グループウェアの導入で改善されるポイント

では、グループウェアを導入すると、どのような改善が見込めるのでしょうか?グループウェアの導入は様々な業務効率の向上をもたらしますが、ここでは特に大きな改善が見込める3つのポイントをご紹介します。

【1】円滑なコミュニケーション

組織の中では様々なタイプのコミュニケーションが発生します。全社への一斉情報周知、チーム内の連絡、他部署との連絡、離れた拠点との連絡などは、情報の対象や性質がそれぞれ異なるため、常に同じ連絡手段が正しいとは限りません。グループウェアを導入すると、メールやカレンダー、ウェブ上の掲示板、ファイル共有などの機能を1つのシステムで利用することができます。伝えたい相手や求められるスピード、情報の性質によってこれらのツールを使い分けて共有を行うことにより、スムーズなコミュニケーションが可能になります。また、オンラインですぐに情報共有が行えるため、外出や打ち合わせなどで席を外すことが多い場合も、それぞれの都合に合わせてタイムリーに情報を確認することができ、情報共有の遅れやもれの改善を図ることができます。

【2】情報周知の徹底

グループウェアの良い点は、アクセスできる環境さえあれば、誰もが必要な情報を入手できる点にあります。業務に必要な情報を全員が確実に知ることができれば、日々の業務効率は大きく変わるでしょう。また、それまでメールや電話、FAX、掲示板、ホワイトボードやメモなどバラバラだった情報共有の手段を1つのツールに統一することができると、どこに情報があるかが分かるようになるため、情報周知を徹底することができます。

【3】業務の「見える化」と「脱・属人化」

グループウェアの一番の利点は、各自がそれぞれの範囲内でしか行っていなかった業務が自動的に「見える化」されることです。たとえば、カレンダーを共有すると、チーム内の他のメンバーや他部署のメンバーの予定が分かるようになり、予定の調整は格段に楽になるでしょう。誰がどのような業務を行っているのかが透明化するため、管理者にとっても業務の状況把握や業務の割り振りが容易になり、各自の報告を待たなくても良くなります。また、個人が作成したファイルを共有して他の人が編集できるようにしたり、過去の資料を蓄積したりしておくことで、ナレッジの共有が進み、個人ではなく会社全体で業務を進めることができるようになります。グループウェアにより日々の業務状況や成果物などを共有することは、業務の属人化を防ぎ、組織力を高めることにもつながると言えるでしょう。

グループウェアの主な機能

グループウェアが持つ機能には様々なものがあり、用途や対象に応じて使い分けが必要です。ここでは、一般的なグループウェアに搭載されている機能をご紹介します。

メール

現在ほとんどの企業で利用されている電子メールは、グループウェアの機能の1つとして組み込まれていることが多く、導入の際には既存のメールシステムからの移行が必要となる場合もあります。独立したメールシステムからグループウェアに切り替えることで、一度のログインで他の機能が使える、他の機能と連携できるなどのメリットがあります。クラウド型のメールサービスでは、ウイルス・マルウェア対策やスパムメール対策があらかじめされているものも多く、外部との一番の接点となるメールを安全に利用出来る配慮がされています。

チャット

現在、メールや電話よりも手軽なコミュニケーション手段としてチャットが注目を集めており、グループウェアに組み込まれることが増えてきています。グループチャットでスピーディな社内情報共有を行ったり、ちょっとした連絡をメールの代わりにチャットで行ったりすることで、連絡スピードを上げ、コミュニケーションを活性化することができます。

スケジュール管理

個人の予定の管理はもちろん、他のメンバーの予定を確認してスケジュールを登録することができます。特定のグループで共有できるカレンダーなどの機能もあります。スケジュール管理機能を使えば、一緒に働くメンバーの出張や出勤状態などの行動状況を把握でき、各メンバーに都度メールや電話で予定の確認を行わずとも予定の調整ができるようになります。

施設予約

人の予定の管理と同様に、会議室や備品などの利用予約を管理することができます。打ち合わせの予定と連動させて会議室を予約したり、空き状況を一覧で確認したりすることができるため、効率的な施設管理が可能になります。

タスク管理

手帳で各自のTO DOを管理するビジネスパーソンは多いですが、グループウェアにもタスク管理機能があるものが多く存在します。受信したメールをタスクに送って返信期限を設定する、他のメンバーにタスクを割り振る、期限の前にアラームを設定するなど、仕事を期限通りに仕上げるための便利な機能が備わっています。

アドレス帳

グループウェアのアドレス帳では、あらかじめ登録されている社員を検索してメールやチャットメッセージを送る、スケジュールを確認するなどの操作が可能です。社員名簿として使うこともできるため、どこの部署にどんな人がいるのかを社内で透明化できるというメリットもあります。組織階層に対応したアドレス帳であれば、組織ごとに社員を探しやすく、日本の企業文化にもマッチするでしょう。また、社外の取引先や顧客の連絡先を個人のアドレス帳などに登録し、連絡先を入力する手間を省くこともできます。

ファイル共有

作成したファイルをストレージにアップロードすることで、他のメンバーに共有ができるようになります。常に最新版のファイルを共有フォルダに置いておくようにすると、急な問い合わせがあった場合にも他のメンバーがすぐに参照できます。また、万が一ファイルを誤って削除してしまった場合に復旧できる機能や、ファイルを社外の取引先や顧客に安全に共有する機能、PCのデータを自動的にクラウドストレージにバックアップしてくれる機能などを備えたものもあります。

掲示板

オフィスに設置した物理的な掲示板と同じように、会社や部署全体に対し情報周知したい場合に便利な機能です。メールでは見過ごされがちな連絡や、分量の多い情報などを連絡したい場合には掲示板機能を使うと良いでしょう。時系列で過去の連絡内容をストックしておけるので、後から過去にさかのぼって確認できる点もポイントです。特定の組織やメンバーのみが閲覧・編集できる権限設定ができるもの、コメント機能により双方向のコミュニケーションができるものなどもあります。

ワークフロー

ワークフロー機能がある場合、社内で頻繁に利用する稟議書類、申請書類を定型化し、承認を電子化することができます。紙の稟議書を電子化することで、紙や印刷のコスト、機密書類の保管・処分に関わるコストや手間を削減することができます。

テレビ会議、ウェブ会議

グループウェアの発展的な機能として、テレビ会議やウェブ会議の機能を備えたサービスが出てきています。テレビ会議を使うと、離れた拠点にいる社員とも出張することなく顔を見て会議ができます。ウェブ会議では、ドキュメントなどの画面を複数のメンバーが同時に見ながら会議ができるため、従来の顔を合わせる会議と遜色なく、他拠点にいるメンバーとも打ち合わせを行うことができます。

ドキュメントの共同編集

従来のファイル共有から一歩進んだ機能として、業務で利用するドキュメントやスプレッドシートなどのファイルを共同編集できる機能を備えたグループウェアもあります。編集はクラウドサーバー上のソフトウェアで行うため、都度自分のPCにファイルをダウンロードすることなく、オンラインで編集ができ、他の人が行った編集もリアルタイムに反映されます。プロジェクトワークなど、複数のメンバーがドキュメントを編集する必要がある際に活用したい機能です。

オンプレミス型かクラウド型か

かつてはグループウェアを利用するためには、自社でサーバーを構築し、パッケージのソフトウェアを購入して導入する方法が一般的でした。ですが近年、クラウドサービスの形態で提供されるグループウェアが増えています。
以下では、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかご紹介します。

オンプレミス型のグループウェア

自社でサーバーを構築し、パッケージのソフトウェアを購入してサーバーにインストールする方法です。利用者は、社内のサーバーに各自のPCから社内ネットワーク経由でアクセスし、グループウェアの機能を利用します。また、サーバーのみクラウド(IaaS)を利用し、ソフトウェアのインストールや運用は自社で行うという方法もあります。

オンプレミス型のメリット・デメリット

メリット

  • 自社の要件に合わせて、パフォーマンスの調整や、機能のカスタマイズができる
  • 自社システムとの連携が必要な場合の開発が容易

デメリット

  • 導入にかかるサーバー、ソフトウェア、ネットワークなどの初期費用が高額
  • 運用・保守にもコストや手間が必要
  • 導入・運用に際し、専門のITスキルが必要
  • ソフトウェアのアップデートやセキュリティ対策、パフォーマンスの調整などを自社で行う必要がある

 

クラウド(SaaS)型のグループウェア

クラウド(SaaS)型では、事業者がサービスとして提供するグループウェアに各自のPCからインターネット経由でアクセスし、機能を利用します。クラウドサービスが普及した現在、このタイプのグループウェアを提供する事業者が主流となっています。

クラウド(SaaS)型のメリット・デメリット

メリット

  • 初期設備費用が安価、または無料
  • アカウントの数に応じた導入ができる
  • 導入後、早い段階で利用できる
  • 外出先からもインターネットさえあれば利用できる
  • サーバーの運用やバックアップ、ソフトウェアのアップデート、セキュリティ対策などを自社で行う必要がない

デメリット

  • インターネットに接続できない場所では利用できない
  • ユーザー数が多い(万単位など)場合はコストメリットが出ないこともある

 

自社に合ったグループウェアの選び方

自社にぴったりなグループウェアを選ぶ場合、どういった基準で選定すれば良いのでしょうか?グループウェアを選ぶポイントを順番にご紹介します。

【1】どの業務をグループウェアで効率化したいかを見定める

グループウェアを利用して業務を効率化する場合、どの業務が非効率なのか見つけ出すことから始めなければいけません。まずは、現状のコミュニケーションツールでどのような情報共有が行われているのかを洗い出しましょう。すべての情報共有をメールに依存しており必要な情報が行き渡らない点が問題であれば、掲示板機能が必要になるかもしれません。外出する社員が多く、連絡がつきづらいことが問題であれば、ビジネスチャットの導入で改善される要素があります。ドキュメントや写真、動画などのファイルの共有が多い会社では、ファイル共有機能は必須となるでしょう。このように、現状の情報共有にまつわる問題点から必要なグループウェアの機能を洗い出すことで、要件を満たすグループウェア製品を絞り込むことができます。

【2】自社に必要な機能の優先順位を見極める

上記にご紹介した通り、グループウェアに含まれる機能は多岐にわたる上、提供ベンダーにより様々な違いがあります。これら全てを満たす製品を導入しようとしても、機能が多すぎるため情報が共有される場所が分散してしまい、結果的に情報が見つけづらくなるという場合があります。必要な機能に優先順位をつけて絞り込むことにより、情報共有の分類がシンプルになり、活用方法が明確になります。

【3】社員が使いこなせるツールかを見定める

どんなに優れたツールを導入しても、社員がそれを使いこなせなければ意味がありません。候補となるグループウェアが見つかったら、自社の社員のITリテラシーを考慮し、現場で使ってもらえるかどうかを考えてみましょう。たとえば、店舗や外出先などで働く社員が多い会社で、PCでの操作がメインのグループウェアを導入してもなかなか使われないものです。導入の意思決定を行う本社側からはなかなか見えないかもしれませんが、どの現場にいる社員の情報共有に課題があってグループウェアの効果を実感してほしいのかを想像してみましょう。それにより、本当に導入して効果のあるグループウェアを見極めることができます。

【4】導入の範囲を決める

グループウェアの目的が社内の情報共有手段である以上、一部の部署のみに導入しても効果はなかなか得られません。本来は全社に一斉に導入することが望ましいですが、それが難しい場合、コミュニケーションが多く発生する部署に限って導入するという方法もあります。どの部署とどの部署の間に多くのコミュニケーションが発生し、現在課題を抱えているのかを知ることで、導入の範囲を決めることができます。

【5】費用を検討する

利用したいグループウェアが決まったら、月間コストや年間コストを具体的に算出していきます。クラウドサービスとして提供されているグループウェアは、いくつかのプランごとに月額もしくは年額の単位で料金が設定されるのが一般的です。また、ひとりあたりの料金設定になっていることも多いため、導入段階に応じて購入することで費用の最適化が期待できます。初期設定費用やオプション費用などを含め、サービスの料金体系が自社の導入計画や使い方に適しているかを検討しましょう。単純な費用に加え、費用に対して妥当な導入効果が見込めるか検証することもおすすめします。グループウェアの導入により削減できるコストとして、「メール処理時間」「スケジュール調整時間」「会議時間」「紙の購入・印刷費用」「出張費用」などが考えられます。

【6】トライアルで導入可否を判断する

本格的にグループウェアを導入する前に、トライアルでサービスを体験しましょう。多くのグループウェア提供ベンダーでは、本格導入の前に無料トライアル期間を設けています。トライアルを行う際は、情報システム部門内だけではなく、ぜひ事業部門や店舗などの現場のメンバーにも使ってもらいましょう。実際に現場で使いこなせるツールかどうかを検証できますし、現場で効果が実感されれば、その後の本格展開もスムーズに進みやすくなるはずです。

おわりに

ビジネスのスピードが向上し、顧客や取引先からの要望に対しスピーディ、タイムリーに対応することが求められる現在、グループウェアを活用して社内の情報共有を効率化する必要性が高まっています。日々の業務連絡や情報周知、会議の設定、書類の共有など、グループウェアを導入することで効率化できる日々の業務は意外に多いものです。グループウェアが社内に浸透すると、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、業務そのものの効率化が期待できるでしょう。
また、業務やナレッジを個人が持つのではなく、チームの他のメンバーや、他の部署のメンバーと共有し、コラボレーションを積極的に行うことは、組織力を高め、会社としての成長につながります。

 

本記事でご紹介した情報を参考に、ぜひグループウェアの導入を検討してみてください。

  • ※ 本掲載記事の内容は投稿当時の情報となり、2022年4月1日に改定された新料金プランとは一部異なる内容を含む場合があります。