群馬県前橋市の荒井会計事務所は、従来使用していたビジネスチャットの置き換えで、外部のLINEとセキュアにつながれるLINE WORKSを導入。職員がお客様のLINEとつながり、コミュニケーションをより円滑に図れる環境を整えました。さらに、社内の申請業務にBot機能を活用し、申請が承認されたことを申請者のLINE WORKSに自動通知したり、システムエラー発生時には専用のトークルームに即座に通知する仕組みも構築。申請やエラーの状況を確認するために生じるムダな時間が削減されています。業務を積極的にデジタル化することで、士業の働き方改革を実践しています。
本事例のポイント
- お客様のLINEとつながり円滑なコミュニケーションを実現
- 新規お客様の管理と共有が効率化し、フォローアップがより容易に
- Botを活用して申請フローの結果が自動通知される仕組みを構築
荒井会計事務所の事業概要をご紹介ください。
豊田さん:
1988年創業の荒井会計事務所は、社会保険労務士法人や行政書士事務所を併設するほか、司法書士と提携しての開業支援や経理・給与計算、社会保険などのアウトソーシング、人事などに関するコンサルティングも幅広く行っています。
会計事務所をはじめとする「士業」業界は紙ベースのアナログな業務が多いといわれますが、私たちは積極的にIT活用を進めてきました。社内業務におけるデジタル化にとどまらず、お客さま側の作業を効率させるクラウド会計の導入支援にも注力。代表的な会計サービスである「freee会計」「MFクラウド会計」「弥生会計」等のベンダー公認資格を持つスタッフを含む専門チームが、適切な会計システムの選択から導入、運用まで一貫してサポートする体制を敷いています。
反野さん:
私が在籍するグループ会社のPWTコンサルティングでは、Webアプリケーション開発やRPAの活用などによるバックオフィス業務の省力化をご支援しています。お客さまが煩雑な作業から解放されて事業に集中してもらえる環境づくりをトータルでサポートできるのが、荒井会計事務所グループの強みです。
LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
豊田さん:
お客様との連絡をスムーズにするため、以前から他のビジネスチャットを利用していました。新規の顧問契約時にそのアプリをインストールしていただくようお願いしていたのですが、耳慣れないツールを導入することに抵抗を感じるお客様が一定数おられました。また、導入いただけたとしても送ったメッセージを見てもらえずに、結局は電話で連絡を取らざるを得ないケースも多々あり、連絡の二度手間になっていました。
課題の解消に向けて既存のビジネスチャットからLINE WORKSに切り替えられた理由をお聞かせください。
豊田さん:
日常的なコミュニケーションツールとして広く普及しているLINEと外部トーク連携機能でつながれるLINE WORKSがリリースされたとき、「これならお客さまも抵抗感なく受け入れてくれるはず」と確信し、それまで使っていたビジネスチャットからLINE WORKSに切り替えることを決めました。
反野さん:
さらにLINE WORKSにはBot機能があり、さまざまなシステムと連携してトークルーム上で利用できることも大きな魅力でした。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・お客様のLINEと外部トーク連携でつながり連絡業務を効率化
・新規顧客に関する情報をノートに集約してチームで共有・管理
・新卒内定者のLINEともつながり気軽なコミュニケーションを促進
豊田さん:
新規契約のお客様に、私どものLINE WORKSとお客様のLINEでつながってもらうことをお勧めすると、大半の方がすんなり受け入れてくれました。お客様はご自身の普段使いのLINEを使用するだけで良いので、新しくアプリをインストールしていただく必要がありません。とくに個人事業主のお客様の場合は、普段使用するLINEで連絡を取れることを歓迎する傾向があります。
以前のビジネスチャットを使っていただいていたお客様にも、私たちのLINE WORKSとLINEでつながって連絡いただくよう切り替えをお願いし、現在はほとんどの方と外部トーク連携でやりとりするようになりました。電話やメールで再度連絡する必要がなくなり、トークでやり取りが完結することが増えて、お客さまへの連絡業務が効率化したことを実感しています。
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加藤さん:
クライアントサクセス コーディネーターである私は、新規のお客様に対応し、新規契約に関する見積書の作成などを行っています。成約前のお客様の情報を社内に共有するため、新規契約に携わるメンバーが所属するグループに、お客様ごとのノートを作成し、お客様の事業概要や対応履歴、見積書などを保存しています。これにより、個々のお客さまの情報を時系列に把握できるようになりました。例えば、過去の対応履歴や見積もり内容がすぐに確認できるため、フォローアップが容易になりました。
また、ノートでは、私が作成した見積書に誤りがないかを上長が確認して承認するフローも作りました。この仕組みが見積もりミス防止につながり、顧客からの信頼獲得にも寄与していると思います。
お客様ごとの事業概要や見積書などのデータをノートで管理。新規契約に関わるメンバーが必要な時にいつでも確認できる
私は採用業務も担当しており、新卒の就職内定者のLINEとつながり、密に連絡のやり取りをしています。最近の学生はメールでのやり取りを堅苦しく感じるようですが、日頃から使っているLINEなら内定先の会社と連絡する際の心理的ハードルが下がるはずです。このようにコミュニケーションの壁を少しでも低くし、心の距離感を縮めてもらうことで、内定辞退者を減らすことにつながればと思っています。
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豊田さん:
個人のLINEを教えたくないという内定者も中にはいますが、そういう場合は会社のLINE WORKSのアカウントを渡して使ってもらい、連絡のやりとりをしています。
いつ読まれるかわからないメールと違って既読機能があるので、会社から重要なメッセージを送信したとき、既読がつかない人にだけ電話をするといったことができるのもLINE WORKSの利点です。
LINE WORKSのBot機能はどのように活用していますか。
・申請の承認が完了したことを申請者に自動通知
・システムエラー発生時すぐにトークルームに自動発信
反野さん:
社内のさまざまな申請手続は各社員からGoogleフォームで豊田が管理するタスク管理ツールに送信されます。以前は処理が完了したら、承認者の豊田から個別に申請者に伝えていたので、申請が多い時は対応に手間と時間がかかっていたそうです。そこで、GAS(Google Apps Script)で構築した承認フローをLINE WORKSのBotと連携しました。これにより、申請に対する承認/却下の判断が下されたことを申請者にBotで自動的に通知されるようになりました。
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また、社内システムにトラブルが起きたときに、エラー発生情報を専用のトークルームに自動通知させる仕組みも構築しました。以前は、担当者がシステムをチェックするまでエラーの発生を把握できませんでしたが、この仕組みがあることですぐに把握し、迅速に対処することができます。影響が大きくなる前に対処できるようになり、システムの保守を担当する社員が、エラーの有無を都度チェックしたり、見つけたエラーに対応したりする時間は、1人1日30分程度短縮されたように感じます。
豊田さん:
承認フローをLINE WORKSのBotと連携させて、承認したことをわざわざ申請者に伝えなくて済むようになったことで、私の業務時間で1日に15分程度は省力化しています。申請者にとっても、承認されたかどうかを確認する必要がなくなったことは業務時間の短縮にもつながっているはずです。社員1人あたり1日に数分の短縮だとしても、会社全体としての毎日の積み重ねとして考えれば非常に大きな生産性向上につながるので、こうした効率化は積極的に追求するべきだと考えています。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。
豊田さん:
私たちは、お客さまに送付してもらうべき書類が届かないので催促をするといった間接業務に、毎月多くの時間を割いています。もちろんそれも重要な仕事ですが、その業務は会計事務所が提供する本来的な価値ではありません。例えば、期日になっても未着の書類があれば、お客様にLINE WORKSのBotが自動的に送付を促す通知をするといった仕組みをつくるなど、より発展的な活用方法を生み出し、より生産的な業務に注力できる環境を整えていきたいと思っています。
また、これまで士業にまつわるさまざまなアナログ業務をデジタル化してきましたが、そのノウハウをLINE WORKSを通じて個々のお客さま、ひいては業界全体に展開していければと考えています。
【お話を伺った方】
豊田 啓彰さん
荒井会計事務所グループなどで士業事務所の生産性向上に携わる。freee会計スペシャリスト、MFクラウド プロフェッショナル等の資格を有する。
加藤 達也さん
クライアントサクセス コーディネーターとして新規契約の関連業務を担当。新卒採用担当も兼務。
反野 凌輔さん
PWTコンサルティングでRPAやAPIなどを通じ、士業や中小企業の生産性向上のためのサポートに取り組む。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2024年9月当時のものです。