アステラス製薬株式会社
2023-07-26
業種
医療・福祉・介護
目的・効果
従業員間の連絡 BCP・安否確認 取引先との連絡 コンプライアンス・セキュリティ LINEとの連絡 電話・メールの削減
主な活用機能
トーク
グループ
カレンダー
アンケート
お話を伺った方
営業本部 セールスオペレーション部 セールス支援グループ 南 恒平さん(右)
  営業本部 固形がん第2営業部 第2グループ
石原 裕司さん(左)   営業本部 流通部 関越グループ
岩田 宗馬さん(中)
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MR-1グランプリを獲得! 医師とLINE WORKSでつながり、スピーディな1:1コミュニケーションがMR業務を円滑にします。

製薬業界で国内屈指の売上規模を誇るアステラス製薬は、コロナ禍でMR(医薬情報担当者)による医療関係者との対面が厳しく制約されるという課題に直面。状況の打開に向けて活用したのが、社内の連絡ツールとして導入していたLINE WORKSでした。医師をはじめとする病院関係者のLINEとの友だち登録を促進し、外部トーク機能でセキュアに連携。気軽なコミュニケーションを図れるようにすることで、MRが円滑に活動できる環境を構築しました。

 

本事例のポイント
  • LINE WORKS IDのQRコードを掲示し、医師のLINEとのつながりを促進
  • 講演会情報などをLINEに送信して参加や視聴を促進
  • 医師との距離を縮めるツールとして浸透

御社の事業内容をご紹介ください。

南さん :

当社は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業の合併により設立された製薬会社です。経営理念は「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」です。日本だけでなく、欧米やアジアにも研究開発拠点や生産拠点を持ち、世界70以上の国と地域で事業展開しています。

 

これまでどのような業務課題に直面していましたか。

南さん :

当社には約1,200名のMRがいます。彼らは医師をはじめとする医療関係者との面会を通じて自社の医薬品に関する情報を提供したり、販売した医薬品の効果や副作用などに関する意見を収集し、開発担当にフィードバックする役割を担っています。

 

石原さん :

以前はアポイントメントを取らずにも、診療時間の終わりを見計らって直接先生を訪ねたり、病院内で待機したりすることができました。しかし、コロナ禍で感染防止のために面会が制限されました。コロナが一段落した現在でも、先生から来院を依頼された場合にのみ病院に入ることができるようになっています。

 

 

岩田さん :

受付に電話をかけても多忙な先生につないでもらえることはまずありません。また、メールへの返信も期待できません。送ったメールが実際に読まれているのかどうかも分からず、意思疎通を図ることが非常に困難でした。

 

 

南さん :

このような状況で、MRは先生方と直接的な接点を持つ機会が失われてしまったため、従来のやり方とは異なるコミュニケーション手段を確立する必要があると感じたのです。

課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由をお聞かせください。

南さん :

営業本部では、コロナ禍における新たな顧客接点を見つけるため多様なアイデアを生み出すことを目的に「つながりプロジェクト」という有志のMRによる継続的なワークショップを行いました。全国のMRをランダムに組み合わせた数名のメンバーからなるグループを作り、それぞれにテーマを与えて活動しました。

 

石原さん :

私が所属するMRグループは4人で構成されており、私たちは「病院とのタッチポイントを増やすためのデジタル活用」をテーマに選びました。その中で、最も若いメンバーである岩田さんをリーダーとして選出しました。

 

岩田さん :

社内に導入されているいくつかの有力なデジタルツールの中でも、LINE WORKSと先生のLINEをトークでつなぎ手軽にコミュニケーションができる環境を構築することが特に効果的だと考えました。そのため、「さあ、始めよう『LINE WORKS』で顧客接点」という活動を推進することにしました。

 

南さん :

営業本部ではシャドーIT対策や非常時の安否確認などを目的に以前からLINE WORKSを導入しており、1,200名のMRにはアカウントが付与されています。製薬会社は情報セキュリティに非常に敏感であり、LINE WORKSは社内コミュニケーションの手段としてのみ運用されてきました。しかし、コロナ禍において柔軟な営業活動が必要となり「つながりプロジェクト」が始まる直前に、コンプライアンスを管理する部門との交渉を行いLINEとの外部トーク連携が規制緩和されるよう取り計らいました。

LINE WORKSを医師との連絡手段とするにあたって、どのような運用ルールを定めましたか。

南さん :

LINE WORKSは面会を申し込む手段として活用されています。MRの活動は、薬機法(旧薬事法)と密接に関わるため厳格な運用ルールが設けられています。社内では「Outlookメールにおける注意事項」というガイドラインが存在し、これを基にLINE WORKSの利用にも適用しました。また、「連絡先交換時には顧客説明用パンフレットを用いて注意事項を事前に伝え、了解を得た上でLINE WORKSを使用する」、「自社製品のプロモーションにつながる情報提供は行わない」、「自社の医薬品に関する問い合わせがあった場合は電話や対面で対応する」といった追加の規則も設けました。しかし、規制緩和によって自社のオウンドメディアのURLや講演会への招待状を送信することも可能になりました。

「つながりプロジェクト」のグループは、どのような方法で友だち登録を促進したのでしょうか。

岩田さん :

名刺にQRコードを掲載したり、スマートフォンの待ち受け画面に表示したりすることで、先生方との連絡先交換がスムーズに行えるようにしました。また、メールの署名や郵送物の表紙にもQRコードを掲載し、先生方に「LINEでMRとつながれる」ということを意識していただけるようにしました。これによって、友だち登録のお願いが効果的に行えるようになりました。

 

名刺やスマホの待ち受け画面には友だち登録してもらうためのQRコードを表示。担当MRとLINEで手軽に連絡できるようになることをPRするチラシも作成し、医師の登録獲得につなげていった

 

石原さん :

当初、私たちは平均5人、計20人の新規友だち登録の獲得を目標にしていましたが、驚くべきことに想定より短期間で合計36人の新規友だち登録を獲得することができました。多くのMRは「医師は自分たちとはLINEを交換したがらないだろう」という先入観を持っていましたが、実際には医師の方もMRと簡単に連絡を取れるようになることを望んでいることがわかりました。

 

取り組みを続けていく中で気付いたのは、友だち登録をするタイミングが重要であるということです。初めて会ったときにはなかなか難しいことがあるかもしれませんが、何度か会ってお互いを知ることで、登録に応じてもらえるケースが多いです。また、「早い段階で登録を強引に押し付けないこと」と「一度断られたからといってあきらめないこと」も重要だと感じました。

LINE WORKSでつながることで、医師とのコミュニケーションはどのように改善されましたか。

・LINEでのやり取りなので、意思疎通の速度が飛躍的にアップ
・ちょっとした連絡も気軽にし合えるようになり関係値が向上
・薬剤師や事務担当者との連絡手段としても活用

 

石原さん :

LINEに送ったメッセージは先生が都合よいタイミングで確認でき、レスポンスも迅速なため、面会の予約が以前と比べて大幅にスピードアップしました。また、講演会や勉強会などに関する事務連絡や直前のリマインダーも手軽に行えるようになりました。返信がなくても既読が表示されるだけで、メッセージが確認されたことが分かるのも安心です。メールと比較して埋もれることが少ないためか、LINEを通じてURLを送付するようになって以降、講演会などの動画の視聴回数も確実に増えています

 

オンライン講演会のURLも医師のLINEに送付。メールで送る場合に比べて視聴される可能性が高くなった

 

当社の製品に関する質問はLINE WORKSではお答えできない旨を事前にお伝えしていますが、それでもLINEから問い合わせが寄せられます。その場合は電話や対面での対応となりますが、医師の製品に対する疑問を速やかに把握できるようになったことは成果と言えます。

 

1対1で先生とやり取りをすることが多いですが、複数のMRが同じ先生を担当している場合は、情報の重複発信を防ぐためにグループを作り複数人で共有しています。

 

また、医師以外にも薬剤師や事務担当者の方々のLINEとつながったことで、資材の発注などさまざまな連絡がスムーズに行えるようになっています。

 

岩田さん :

LINEはメールよりも手軽にメッセージを送信できるため、先生方からは当社の医薬品を新たに患者さんに処方した旨の報告をいただくことがあります。この報告により、よりタイムリーな症例フォローアップが可能となっています。

 

医師からの新規処方の報告が、その後の万全な症例フォローにつながる

 

講演会があったときに、参加する先生から会場の場所が分からないとの連絡を受け、すぐに地図のURLをトークで送ることでスムーズに案内できたことがありました。こうした柔軟な対応は、LINE WORKSとLINEの連携によって可能になったと思います。

 

先生方からは、「情報のやり取りがタイムリーにできる」「電話までするほどではない些細な質問も気軽にできる」といった点を高く評価していただいています。

 

南さん :

従前のMRの活動では、病院の中で偶然に医師と出会って短い会話を交わすことも重要でしたが、コロナ禍ではそれが制限されました。そこで、LINE WORKSがその代替手段となってくれたのです。直接的な製品の説明はできませんが、LINE WORKSは先生方との距離を縮める役割を果たしていると考えています。

病院関係者とMRのトーク画面。雑談風のやり取りやスタンプの活用など、形式張らないやり取りが関係値を築くのに役立っている

皆さんのグループの取り組み内容は営業本部全体に広がっているそうですね。

南さん :

営業本部では、つながりプロジェクトの集大成を発表する場として、22年度に「MR-1グランプリ」というイベントを開催し、優れたMR活動を表彰しました。このグループのLINE WORKSを使った取り組みは、2022年度のグランプリを獲得しました。評価されたポイントは、手元にあるLINE WORKSを使って迅速に活動を始めることができる汎用性と、他のMRでも同様の成果が期待できる再現性の高さです。この取り組みに対する他のMRからの反応も大変好評で、石原さんと岩田さんは活用方法について詳しく指導を求められ、全国各地の拠点を訪れました。その結果、グランプリを獲得してからわずか数か月で約400人もの新規友だち登録が行われました。

 

 

岩田さん :

異動がある年度末には、従来のメールアドレス交換だけでなく、LINE WORKSとの連携を提案するMRが増えたことで成果が生まれました。ただし、重要なのは登録者数を増やすことではなく、コミュニケーションの質を向上させることです。私たちは今後も、より効果的なLINE WORKSの活用方法を探求し、新たな知見を営業本部全体にフィードバックしていきたいと考えています。

LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。

南さん :

医師とMRのコミュニケーション環境が大きく変化する中で模索した最適な方法が、医師のLINEとMRのLINE WORKSを連携させることでした。引き続き、よりよい医療情報の提供につながる顧客接点の改善に努めるとともに、基幹病院と地域の各医療施設を結ぶ医療連携への応用なども検討していきたいと思います。

 

 

【お話を伺った方】

南 恒平さん

営業本部のセールス支援グループで、フロントラインで業務をするMRの活動をサポートする。

 

石原 裕司さん

2010年入社。泌尿器がんの医薬品を扱うMRとして大阪エリアの基幹病院や開業医を担当。

 

岩田 宗馬さん

2019年入社。開業医担当のMRを経て2023年度より営業本部 流通部に勤務。

 

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年4月当時のものです。