国立大学法人 上越教育大学附属小学校
2023-02-03
業種
教育・塾
目的・効果
従業員間の連絡 BCP・安否確認 非対面接客・営業 スマートフォン活用 テレワーク 会議・朝礼 FAX削減・ペーパーレス 導入のしやすさ 電話・メールの削減
主な活用機能
トーク
グループ
お話を伺った方
校長(左中) 清水 雅之さん  
副校長(右中) 青木 弘明さん  
教頭(左) 長野 哲也さん  
主幹教諭(右) 岡田 啓吾さん  
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教員どうしの業務連絡や学校運営をLINE WORKSで効率化。朝会の廃止が実現し、子どもたちと向き合う時間が増えました。

国のGIGAスクール構想を受け、1人1台iPadを使用した授業が行われている、国立大学法人 上越教育大学附属小学校。同校では、業務連絡のミスをなくすためLINE WORKSを導入。LINE WORKSは、テキストとして残り、後から検索もできるため正確な業務連絡はもちろん、教員どうしの朝会の廃止を可能にし、朝の貴重な10分~15分間を子どもたちのために使えるようになりました。さらに、避難訓練・一斉下校時でのコミュニケーションツールとしても活用し、スムーズな学校運営に役立てています。

 

本事例のポイント

-教員どうしの業務連絡をLINE WORKS上で共有し、朝会の廃止を実現

-避難訓練や一斉下校時にリアルタイムな情報共有が可能に

-回覧板で行っていた行事の日程調整や出欠確認にアンケート機能を活用

貴校の特色をお聞かせください。

清水さん :

当校は「生き生きした子ども」を教育目標に掲げ、創造活動に力を入れています。創造活動とは、一般的には総合的な学習の時間と言われるもので、体験を通して、課題解決力や自分の生き方を考える力の育成を目的とした探究学習の授業のことです。実際に当校で実施した創造活動には、例えば、スマート農業に関する当事者へのインタビューや、完全無人コンビニを見学して、お店の仕組みを学ぶ活動などが挙げられます。子どもたちには多様な体験を通して、これからの人生のさまざまなシーンで実際に活用できる知恵を身につけていって欲しいと考えています。

 

LINE WORKS導入までの経緯を教えてください。

青木さん:

教員向けの各種提出物の提出期限や会議の予定などの共有には、ホワイトボートが用いられていました。しかし、記入量が多く一覧性に欠けていたため、見過ごされがちでした。

また、当校含め、多くの小学校で教員どうしの業務連絡に毎朝朝会を実施していると思いますが、口頭での伝達のため内容が正確に伝わっておらず、提出物が期限までに提出されていなかったこともありました。

そういった課題を解決するために、前副校長が主導となって全教員にLINE WORKSの導入を推進しました。導入当初は、先生方から「連絡網もあるし、わざわざ新しいツールを使う必要がありますか?」という声があがりましたが、いざ使い始めてみると、ちょっとした連絡もやりとりしやすく、「LINE WORKSは便利で、入れてみて良かったです!」という反応が先生方からあり、今では皆が当たり前のようにLINE WORKSを使用しています。

 

LINE WORKSの利用が当たり前になったポイントは何だと思いますか。

清水さん :

LINE WORKSを学校のオフィシャルな連絡ツールとしてプライベートのツールと切り分けることができたからだと思います。LINE WORKS導入以前、当時LINEを使用していた教員もいましたが、「LINEを業務連絡ツールとして活用しよう」という声は上がりませんでした。それは恐らく、「プライベートで使用するLINEを仕事では使いたくない」という気持ちがどこかにあったからではないでしょうか。学校専用で使用するLINE WORKSの導入により、プライベートで使うLINEとの使い分けができたことが、自然と浸透していった理由だと思います。

LINE WORKSの学校ならではの活用事例を教えてください。

【グループ】業務連絡はグループトークで確実に共有
【トーク】避難訓練や一斉下校時にも離れた場所にいる教員どうしでスムーズな情報共有を実現
【アンケート】行事や研究の活動公開日の日程調整に活用

 

清水さん:

先生どうしの業務連絡をLINE WORKSのトークで共有することで、朝会を廃止できました。その結果、朝会に使っていた10~15分程度の時間を、子どもたちのために使えるようになりました

 

また、以前のようにメモを取る必要もなくなりました。メモを取る場合、書くことに気を取られて情報を聞き逃してしまうことや、メモの取り方によっては業務連絡を正確に整理できない心配もありました。LINE WORKS導入後は業務連絡がテキストとしてスマホやPCに残り、いつでもさかのぼって確認することができます。さらに、誰が見ているか見ていないかも既読機能で確認できるので、重要な連絡事項も確実に伝達できるようになりました。

 

朝会で行っていた業務連絡をトークに置き換え

 

長野さん:

朝会の短い時間の中では要点を絞って話す必要がありましたが、現在は、長文でしっかり説明することができ、より正確な業務情報のやり取りができるようになりました

ホワイトボードに書かれていた内容の多くがトークで通知されるようになり、ホワイトボードの記入量は大きく減少しました。そのため、ホワイトボードに連絡事項が書かれていると、以前よりも目立つようになり、注視する人が増えるようになりました。

 

 

岡田さん:

全職員が所属しているグループの他、学級担任や研究室、管理職といったグループも作成し、関係者間の連絡もスムーズです。また、画像も簡単に共有できるので、児童指導の場面でも活用しています。例えば、片付け方やトイレの使い方など、口頭だけではうまく指導できないこともあります。そうした事柄については、現場の状況の写真をLINE WORKSで共有し、その写真をモニターに投影して『これについてどう思う?』と児童に投げかけるようにしています。具体的な指導がしやすくなったことで、児童自身の改善にも結び付きやすいように感じています。

 

画像も活用し、より正確で分かりやすい業務連絡を実現

 

青木さん:

避難訓練時にもLINE WORKSを活用しています。これまでの避難訓練では、全児童が体育館に避難していました。ただ最近は、コロナ対策および実践性の観点から、避難場所を3ヵ所に分けています。このとき、避難場所間で避難状況の情報共有をしなければならないのですが、その連絡手段としてLINE WORKSは非常に機能しました。

 

電話の場合、1対1のやり取りしかできず、避難場所が3ヵ所となると、スムーズな情報共有ができませんが、LINE WORKSであれば、トークやグループ音声通話を用いて、3ヵ所にいる担当教員全員が一度のやり取りで状況の報告および確認ができます。災害発生時や緊急事態時においては電話がつながらない可能性もあり、一刻を争う場面でも複数人と同時に安定したやり取りができるLINE WORKSは有効だと感じました

 

岡田さん:

新型コロナウイルス感染症の陽性者が出た場合に実施する一斉下校時のやり取りでもLINE WORKSを利用しています。一斉下校が決まると、親御さんには学校へお子さんを迎えに来てもらうのですが、コロナ感染対策の観点から、玄関でお子さんを親御さんへ引き渡していました。このとき、お子さんは教室にいるため、玄関にいる先生と教室にいる先生との情報伝達が必要になります。

 

 

そこで、親御さんが玄関にいらしたタイミングで、玄関にいる先生が「○○さんの親御さま、いらっしゃいました」と教室にいる先生へトークを送り、教室にいる先生は該当の子どもへ声を掛け玄関に降りてもらうようにしました。また、親御さんからお迎え時間の変更などの連絡も多いので、職員室にいる電話番の職員もグループのメンバーに追加して、トークでタイムリーに情報を共有し連携をとることができました。LINE WORKSがなければ、都度電話でやり取りしていたところでしたが、LINE WORKSの利用により、手間なく、かつスピーディな情報伝達が実現できました。

 

そのほか、行事や教員の研究活動公開日などの日程調整に、アンケート機能を活用しています。以前は回覧板で日程調整していましたが、今はすべてLINE WORKS上で調整しています。

 

教育現場の校務効率化を目的としたICT活用の現状、およびその現状におけるLINE WORKSの意義をどう捉えていますか。

清水さん:

ICT活用による校務効率化の余地があると思っています。例えば、議事録作成一つとっても、多くの学校では会議後に議事録を作成し、紙に印刷して配っているのが現状でしょう。しかし中学校の中には、生徒会の会議中に担当者がオンライン上で議事録を共同編集しているところもあります。それと同じことを職員会議の場で行うだけでも、手軽なICT活用で紙の削減や素早い意思決定に繋がります。

 

当校がICT活用の一環として取り入れたLINE WORKSは、コミュニケーションの効率化を図れたという意味で、導入した意義があったと考えます。LINE WORKSを導入した結果、朝会が廃止され、子どもに向き合う時間も増やすこともできました。常々、私は教員へ、「子どもへの理解が一番大切」と伝えてきましたが、LINE WORKS導入により、そのための時間を創出できたことは非常に良いことだと考えます。

 

青木さん:

常態化している教員の過重労働問題は、教員の働き方の構造的な部分に原因があると考えます。LINE WORKSによって一斉下校や避難訓練をスムーズに実施が可能になり、局地的な改善は数多く実現できました。身近な課題から解決していくことも大切だと思いますので、その意味でLINE WORKSの存在は非常に大きいと考えます。

今後、LINE WORKSを教育現場でどのように活用していきたいですか。

清水さん:

ICTリテラシー教育にも活用できたら素晴らしいと思います。ICTリテラシー教育をする上では、子どもたちにデジタル端末を実際に使ってもらい、テクノロジーを体験させることで、情報活用能力を養うことが大切だと考えているためです。

 

例えば、ディベートの授業で、スクリーンを設置し、LINE WORKSのやり取りを映しつつ、議論をしても面白いかもしれません。LINE WORKSをディベートに取り入れることで、受け取った情報に対して、適切な言葉を用いて対応する瞬発力が身につけられると考えます。

 

 

【お話を伺った方】

清水 雅之さん 校長

 

青木 弘明さん 副校長

 

長野 哲也さん 教頭

 

岡田 啓吾さん 主幹教諭

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年9月当時のものです。