業務用冷凍冷蔵庫や冷凍冷蔵ショーケースの製造販売を行うフクシマガリレイ株式会社は、 社内コミュニケーションの改善と、外部とのセキュアな連絡体制の構築のためにLINE WORKSを導入。グループ企業を含めた社内連絡がトークで円滑になり、外部トーク連携機能で、顧客や協力会社ともスピーディーで安全な連絡体制が整いました。また、ワークフローシステムとの連携で申請・承認プロセスを迅速化したり、社内の問い合わせ対応Botの構築で業務の負担を軽減させるなど、現場の業務の効率化が進んでいます。
本事例のポイント
- 自社内だけでなくグループ企業と一体導入で情報連携が円滑になり作業効率が向上
- シャドーITを禁止し、顧客や協力会社ともセキュアな連絡体制を構築
- クラウドのワークフローシステムと連携し、申請から承認までのスピードが改善
- Botを活用し、問い合わせ対応業務の負担を軽減
御社の事業概要をご紹介ください。
河田さん:
当社は、業務用冷蔵庫や冷凍冷蔵ショーケースなどを軸とした製品を製造するメーカーです。これまでのマーケットはスーパーマーケットなどの流通小売業様や外食産業様など国内の企業が中心でしたが、近年では東南アジアを中心に海外にも展開を進めています。近年はグローバルビジョンも定め、海外でのマーケット拡大にも積極的に取り組んでおります。
LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
河田さん:
営業社員がお客様や設備工事業者、搬入業者とのやりとりに、個人のLINEを利用していることを把握していましたが、「お客様からの要望」であることもあり、一律に禁止できず、シャドーITに対する懸念も生じていました。一方で、システム開発部門では、外部のシステム会社との共同開発に関するやりとりに別のチャットツールを以前から利用しており、業務効率向上や意思決定のスピードアップにチャットツールが非常に有効であることも認識していました。
課題解決に向けてLINE WORKSを選定された理由をお聞かせください。また、運用ルールなどは定められましたか。
河田さん:
導入のきっかけはコロナ禍による、在宅勤務の拡大でした。当社でも最大で1/3の社員が在宅勤務で業務を行う事になり、離れていても円滑にコミュニケーションをとる必要に迫られ、チャットツールの導入が決まりました。LINE WORKSを選定した理由は、LINEとつながれるため、社員のシャドーITの対策ができること、また操作性がLINEと似ているため、全社の導入展開が簡易であることが決め手となりました。グループ間のコミュニケーションの活性化のため、当社だけでなく、子会社も含めたガリレイグループ全社で導入することになりました。
LINE WORKSの導入事例サイトで情報セキュリティに厳格な銀行でも利用されていることを知り、セキュリティの観点から自社のセキュリティポリシーと照らしあわせてみても問題がないことを確認。さらには、LINE WORKSのサービス上に保存されるすべてのデータが国際認証を取得した高いレベルで保護されることや、国内にデータセンターが置かれていることも安心材料となりました。
辛島さん:
当社では工場の生産現場を除く社員にLINE WORKSのアカウントを付与しています。PCでの利用に加え、外出の多い営業やフィールドエンジニアなど過半数の社員は会社支給のスマホやタブレットも利用しています。
LINE WORKSを展開する際には、「LINE WORKS社内ルール9か条」を策定し、周知徹底しました。特にチャットツールはいつでもどこでもつながる反面、いつも業務に追われることを心配する声も社内であったので「原則 業務時間外は連絡禁止」を当初から明確に打ち出しました。その他の項目として、ファイルの誤送信防止のため、「社内でのファイル送信はLINE WORKS、社外への送信はメールを使う」やシャドーITを禁止するため「私的LINEの利用禁止」、また当社ではBCPや緊急時の連絡ツールとしてLINE WORKS活用するため、BYODも許可しているので「端末へのファイルのダウンロード禁止」といった規則の順守を促し、利用を開始しました。
営業部と人事部でのLINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・部門やグループ企業間のやりとりもトークでスムーズに
・業務効率がアップし、本来の業務に時間を充てられるように
・外部トーク連携機能で社外の相手とセキュアにやりとりが可能
森田さん:
社外にいるときに自分の担当するお客様から事務所に入電があると、以前は事務員から電話でその旨が伝えられていましたが、車での移動中や商談中は応答できません。LINE WORKS導入後は電話に替わってトークでメッセージが送られるようになったので、手の空いたときに確認してスムーズに対応できるようになりました。また、グループ企業を横断して取り組むプロジェクトもあり、連絡先を交換せずとも、アドレス帳から必要なメンバーを探して、すぐにやりとりできるのも便利です。
お客様先への冷蔵冷凍機器の搬入や設置は専門の協力会社に依頼することが多いのですが、これまでは設置場所や既存設備の説明のために営業が立ち会う必要が多くありました。今は、スマホで撮影した設置場所の写真や搬入経路の動画をトークで共有することで、営業が現地調査に立ち会う機会が減り、その時間を新しい営業活動にチャレンジできるようになりました。設置時にトラブルが起きた際も、写真や動画で送ってもらって状況が把握できスムーズに対応できています。
「外部トーク連携機能」を活用し、個人のLINEでやりとりをしていたお客様とは、会社が管理しているLINE WORKSのアカウントと改めてつながってもらい、現在はセキュアな環境で連絡が行えています。お客様は従来のLINEをそのまま使って当社とやり取りできるので、現場の指示や日程調整などをスムーズに行っています。
吉田さん:
採用面接の際、採用部署の担当者に面接官を務めてもらいますが、面接に必要な資料は「履歴書」など機密性が非常に高く、取り扱いに注意が必要です。以前はメールで送信していましたが、LINE WORKSでやりとりすることで社外の人への誤送信リスクが低減しました。また、トークに添付したファイルは一定期間後に削除されるので、情報管理の面でも安心です。
新人研修は、グループ企業と合同で行うことも多いので、採用や社員教育に携わる各社の担当者でグループをつくり、研修スケジュールなど伝達事項を一斉に共有できるようになりました。また、以前は新卒採用の内定者への連絡はメールや電話で行っていましたが、今は内定者のLINEとつながっています。内定者も、メールや電話よりチャットのほうが会社と連絡をとりやすいようでやりとりもスムーズです。
ワークフローシステムもLINE WORKSに連携させているそうですね。
河田さん:
当社では、以前よりワークフローシステムのコラボフローを利用していました。稟議や各種申請など100を超えるワークフローが使われています。コラボフローとLINE WORKSを連携させることで、場所や時間に縛られずに、申請や承認手続きができるようになりました。出張や移動などの多い決裁者がいつでもスマホから簡単に確認ができるため、決裁プロセスが大幅にスピードアップしました。当社では社長決裁の案件も、早ければ申請の翌日に完了するケースもあります。
ワークフローシステムをLINE WORKSに連携させ、PCを開かずともスマホから申請・承認が行えるようになり、決裁スピードが向上
森田さん:
新規のお客様から注文をいただいた場合、まず社内で新規取引の申請をしなければなりませんが、コラボフローとLINE WORKSが連携してからはその承認も迅速に得られるようになり、新規のお客様からの短納期の発注に応じやすくなりました。
社内システムに関する問い合わせにLINE WORKSのBotで回答する仕組みも構築されたと聞いています。
河田さん:
情報システム部門には、PCやネットワーク、業務システムなどに関する社員からの問い合わせが多数寄せられます。従来は、電話やメールでの対応が中心でしたが、コロナ禍で課員の在宅勤務率が上がった際に、特定の担当者へ電話が集中しても他の場所にいる課員が気づいてフォローができず、「情シス部門の回答が遅い、電話がつながらない」などの不満が社内から上がるようになりました。
そこで、GAS(Google Apps Script)を活用して、問い合わせの受付から対応までLINE WORKSできるBotを構築しました。LINE WORKSのBotから問い合わせ内容を送信すると、情報戦略部の全メンバーへ通知が飛び、手の空いているメンバーが対応します。問い合わせが1人に集中することなくメンバー間で効率よく対応できるので、回答スピードの向上と業務負荷を軽減につながっています。また、問合せの内容の見える化や回答が目に見えるナレッジとして蓄積されるので、過去の問い合わせ内容から回答することもでき、スムーズに解決できることが増えました。
問い合わせをLINE WORKSのBotで受け付けられるように構築。社員は気軽に質問できるようになり、問い合わせ対応を行う担当者の負担軽減にもつながっている
森田さん:
PCの設定で分からないことがあったのでBotを通じて質問したときには、すぐに的確な回答を得られました。スマホからチャットで質問・回答できるのは社外にいることの多い営業にとってとても助かっています。
他にLINE WORKSのどんな機能をよく活用していますか。
【アンケート】社員へのヒアリングや日程調整に活用
【掲示板】産休・育休中の社員向けの会社情報を発信
吉田さん:
社員研修に参加した社員から感想や意見を収集する際に、アンケート機能をよく利用しています。また、ミーティングの日程調整などにも重宝しています。
辛島さん:
社内通知や通達はグループウェアの掲示板で発信していますが、これらは業務端末からしかアクセスできず、産育休中などで休職中の社員は会社の情報に触れることが困難でした。そこで、BYODで利用を許可した社員のLINE WORKS上に、休職中の社員向けに会社の情報をまとめた掲示板を設けました。LINE WORKSを通じて、会社とのつながりを保ち、会社の動向を確認できるようにしています。復職後もスムーズに業務に復帰できるよう、働き方改革の一環として取り組んでいます。
LINE WORKSの活用を今後どのように発展させたいとお考えですか。
河田さん:
LINE WORKSは連携できるサービスがとても豊富なうえにUIが優れているので、LINE WORKSを起点とした仕組みを増やすことで、さらに現場の業務生産性を高めていきたいです。
辛島さん:
社内システムに関する問い合わせを、今後は生成AIを活用することで、ある程度の回答を自動作成できる仕組みづくりも進めたいです。将来的には、社内システムだけではなく人事・労務・総務関連の問い合わせ対応にも応用範囲を広げられればと思っています。
【お話を伺った方】
河田 淳一さん
全社の情報戦略の企画立案・システム開発・運用保守を行う情報戦略部を統括する。
辛島 彩加さん
ネットワークセキュリティ担当。SaaSの評価・選定に携わる。LINE WORKSの導入も担当。
森田 麻里奈さん
大阪の営業部に所属し、主に外食産業のお客様への直販営業を行っている。
吉田 早希さん
人事部 で新卒採用や社員教育の業務を担当している。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2024年7月当時のものです。