家賃保証をはじめとする住生活関連総合アウトソーシングサービスを提供する株式会社いえらぶパートナーズは、社内のコミュニケーションプラットフォームとしてLINE WORKSを導入。「即レス」文化を根づかせ、あらゆる業務情報が迅速・確実に共有されるようになりました。契約内容の確認や稟議などがスムーズに行われるようになったことで、不動産会社様との契約が円滑化。また、新規代理店との契約書をLINE WORKSで受け取ることで営業開始までのリードタイムも短縮し、売上を高めることにも大きく貢献しています。
本事例のポイント
- 社内連絡をLINE WORKSで行うことをルール化してコミュニケーション速度を向上
- 契約書類の社内確認作業を迅速化し成約までの時間を大幅に短縮
- 新規代理店の営業開始までのリードタイムを縮めることで売上を底上げ
- 外部トーク連携でつながり弁護士など社外の関係者とも速やかに情報を共有
御社の事業概要をご紹介ください。
田代さん:
「親身なサービス×ITで、関わる人すべてを幸せにする」を企業理念とし、家賃保証サービス「いえらぶ安心保証」や生活トラブルサポート「駆け付けサービス」をはじめとする住生活関連総合アウトソーシング事業を展開しています。近年、少子高齢化や人間関係の希薄化などにより連帯保証人が減少し、入居者全体の約95%が家賃保証会社を利用するようになりました。当社のサービスを活用することで、不動産事業者や物件オーナーは家賃滞納リスクを避けられるだけでなく、毎月の入金管理といった煩雑な賃貸管理業務を省力化できるというメリットもあります。
LINE WORKSを導入する以前はどのような課題を抱えていましたか。
田代さん:
創業当初は社員7名と少なかったため、コミュニケーションツールにコストをかける余裕がなく、個人用のSNSのメッセンジャーで業務連絡や書類の決裁を行っていました。しかし、社員が増えるにつれ重要なメッセージが他の情報の中に埋もれてしまい、案件の期日管理に支障が生じるようになりました。
朝日さん:
営業担当者が不動産会社様と新規契約を結ぶ際、相手の希望条件について社内承認を得たり、契約内容のチェックを受けたりするのに時間がかかっていました。審査・契約管理部として、社内のコミュニケーション速度を向上させる必要性を感じていました。
田代さん:
そのため、創業から2年後、社員数が20名ほどに増えたタイミングでビジネスチャットの導入を決定しました。
課題解決のため、LINE WORKSを選定された理由をお聞かせください。
田代さん:
いくつかのツールを比較検討した結果、UIがLINEと共通していてもっとも使いやすいと感じたLINE WORKSを選びました。当社は家賃保証などに関する機密性の高い情報を多く扱うため、すべての通信が安全に暗号化されるなど、セキュリティ面が優れている点も大きな魅力でした。約1カ月間フリープランを試用し、使い勝手のよさを確認した後、有償プランに移行して全社員での本格運用を開始しました。
LINE WORKS導入後、社内コミュニケーションはどのように改善されましたか。
・メッセージに担当者が迅速に反応する「即レス」文化が醸成
・重要な情報が迅速かつ確実に共有され、意思決定のスピードが向上
・書類がLINE WORKS上で共有されるようになり、ペーパーレス化が進展
田代さん:
審査や契約業務を円滑に進めるには、部門間の密な情報連携が不可欠です。そこで、社内連絡はLINE WORKSで行うことを徹底し、発信されたメッセージには「即レス」する文化を根付かせました。依頼事項などはメンション機能で担当者に通知し、対応状況も可視化しています。LINE WORKSを中心にしたコミュニケーションの活性化により、迅速な意思決定が可能になったと実感しています。

社員には、「斜め読みでも良いので、他部署の情報にも目を通してほしい」と伝え、社内の状況を全社員が把握できるようにしました。クレーム対応は遅れるほどリスクが増大しますが、LINE WORKS導入後は、どの部署でどのような問題が発生しているかが一目で分かるようになり、部門を問わず対処できる社員が迅速に手を挙げて対応する文化が定着しました。
熊谷さん:
メッセージを確実に伝えたい相手には、メンション機能が非常に役立ちます。自分がメンションされた未読のトークがある場合、トークルームが常に強調表示されるため、見落とす心配がありません。また、「@ALL」でメンションすれば、重要な情報を全社員に確実に周知できます。
グループのフォルダ機能は、ファイル管理の効率化に貢献しています。例えば、ワークフローで申請を行う際に、Excel・写真・PDFなど複数のファイルをまとめてアップロードすれば、個々のデータを1つずつ共有する手間がなくなり、承認もスムーズに進みます。
家賃保証の申込実績をはじめ、月ごとのさまざまな業務データがフォルダで公開されており、だれもが必要に応じて見たいデータに簡単にアクセスできる環境が整っています。

田代社長の指示により、社内連絡のほとんどがトークで行われるようになり、担当者が内容を確認する書類も紙ではなくPDFで送信されるようになりました。誤りの指摘や修正依頼もトーク上でやり取りされるため、ペーパーレス化が大きく進んでいます。
審査・契約管理業務はどのように効率化しましたか。
・契約書類のチェックが迅速になり、より多くの案件処理が可能に
・新規顧客との成約までの時間を業界平均より大幅に短縮
朝日さん:
社外にいる担当者も、場所や時間に関わらず社内のスタッフと円滑に連絡を取れるため、審査や契約内容の確認に手間取ることはなくなりました。書類の不備に対する指摘も迅速に行えるようになり、契約完了までの時間が短縮。結果として、より多くの案件を処理できるようになっています。
不動産会社様との新規契約では、以前は担当者が合意内容を稟議書として社内に回覧していたため、契約締結までに数日を要していました。しかし、LINE WORKSの導入により、このプロセスが大幅に迅速になりました。契約された不動産会社様に提供する各種書類をまとめたスターターキットは、約1時間で作成可能となり、早ければ翌日には成約に至ることもあります。体感として、成約までの時間は業界平均と比較して大幅に短縮しており、「いえらぶ安心保証」のサービス自体の魅力に加え、このスピード感が当社の躍進を支える大きな要因の一つだと考えています。
熊谷さん:
スターターキットに含まれる各種書類の内容をチェックするためのグループも設け、誤りに気づいた人がすぐに指摘できる体制を整えています。どのような誤りがあり、どのような修正がされたかをメンバー全員が共有することで、契約関係書類作成に関する知識と経験を深めることにつながっています。

新規代理店の獲得手続きも、LINE WORKSによって迅速化されたそうですね。
・営業開始までのリードタイムを短縮し、大阪府だけで年間約500万円の売上貢献を実現
熊谷さん:
当社の代理店となった不動産会社様には、家賃保証に関する「審査申込」「進捗状況確認」「物件・顧客・帳票管理」などをWeb上で行うためのクラウド管理システム「KanrIt!」をご利用いただきます。通常、代理店様には当社との契約書を郵送していただき、その内容が本社のシステムに登録された時点で「KanrIt!」が利用可能になります。しかし、契約成立から契約書が届くまでに平均2週間ほどかかります。そこで、契約書の原本郵送に先立ち、PDFをLINE WORKSで送信していただくことで、直ちに内容を登録し「KanrIt!」をご利用いただけるようにしました。契約後すぐに営業を開始できるようになり、リードタイムを大幅に短縮できました。その結果、不動産会社様にはこれまで以上にスピーディーに代理店として稼働していただけるようになりました。
効果測定のため、大阪府の代理店100社を抽出し、12月から2月の繁忙期におけるランダムな2週間の平均売上額を算出したところ、1社あたり約2万8000円でした。ここ1年間に新規契約した⼤阪府の代理店は約170社あるため、全体では年間約500万円の売上貢献があったことになります。営業開始までの約2週間のタイムラグを解消しただけで、これほどの大きな効果が出たことに驚いています。
契約書の原本が郵送される前に、LINE WORKSで送信された内容を本社のシステムに登録。営業開始までのタイムラグがなくなったことで大きな売上貢献が生まれた
外部トーク連携機能を活用することで、社外の関係者との情報共有も円滑になったそうですね。
・弁護士とのリアルタイムなコミュニケーションを実現
・代理店やベンダーともトークグループで情報共有
田代さん:
家賃滞納が発生した場合、法的な対応が必要になることがあります。以前は、提訴に必要な書類を弁護士に郵送して確認してもらい、問題がなければ賃貸借契約解除通知を内容証明郵便で滞納者に送付していました。しかし、この対応にかかる日数に比例して損害額が大きくなるという課題がありました。LINE WORKS導入後は、外部トーク連携でつながった弁護士に書類のPDFを送り、不備がなければ即日内容証明郵便を発送してもらえるようになりました。これまでは滞納者への内容証明郵便発送までに10日ほどかかることもありましたが、この期間が短縮されたことで、当社の損害も軽減できています。
訴訟に発展した場合の状況も、法務担当者と私がLINE WORKSで共有するようになりました。以前は会議で報告を受けるだけでしたが、現在はリアルタイムに状況を把握し、その場で迅速に指示を出すことができます。
外部トーク連携は代理店やシステム開発ベンダーとの間でも活用しており、案件やプロジェクトごとに社内外の担当者がトークグループを作成しています。定例会議の内容共有や新規メンバーのオンボーディングなど、さまざまなコミュニケーションをLINE WORKSによって効率化しています。
LINE WORKSのその他の活用機能についてお聞かせください。
【アンケート】社員の意見を素早く収集
【スタンプ】【リアクション】社内のコミュニケーションを活性化
熊谷さん:
社員の意見をヒアリングする際には、アンケート機能を活用しています。回答状況が可視化されるため、未回答者へのフォローアップがしやすく、集計結果がグラフ表示される点も便利です。
会社全体の一体感を醸成するには、リーダーシップだけでなくフォロワーシップも大切だと考えています。私はトークグループへの投稿に積極的にスタンプやリアクションを返すように心掛けており、これらの機能も社内コミュニケーションの活性化に役立っていると実感しています。
経営者として、LINE WORKSの導入成果をどのように評価されていますか。
田代さん:
おかげさまで、創業7年目も順調に売上を伸ばすことができています。その背景には、迅速な情報共有体制の構築と、それによる業務効率化があります。LINE WORKSは、当社にとって単なるコミュニケーションツールではなく、事業成長を加速させるための不可欠なインフラとして機能しています。
今後、LINE WORKSをどのように発展させたいですか。
田代さん:
家賃保証の管理システム「KanrIt!」とLINE WORKSをAPIで連携させ、当社へのさまざまなお問い合わせ対応をLINE WORKS上で完結できるようにすることで、お客さまとのコミュニケーションをより円滑にしたいと考えています。
社内ではペーパーレス化が進んでいますが、不動産会社様から当社へ送られる契約申込書の約4割は依然としてFAXで届きます。保証中のお客さまからの変更届などもFAXで多く寄せられ、その処理に大きな手間がかかっているため、文字情報を自動的にデータ化するLINE WORKS OCRの活用にも関心があります。
また、業績優秀な社員の営業トークや、滞納者への電話対応のトークスクリプトを作成し、他の社員の教育に役立てたり、社内QAツールを作成するなど、今後はさらなる業務効率化に向けてAIを積極的に活用する意向です。そのようなAI活用のインターフェースとしても、LINE WORKSは有効だと期待しています。
【お話を伺った方】
田代 望さん
金融機関勤務などを経て、2018年にいえらぶパートナーズを設立。
熊谷 李奈さん
マーケティングやWebデザインなどの関連業務を担当。
朝日 勇太さん
入居者の審査や契約などを行う審査・契約管理部の業務を管理する。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2025年4月当時のものです。