和歌山県で人気ラーメン店「ら〜めん幕末」を4店舗展開している幕末株式会社は、社員やアルバイトスタッフのコミュニケーションを促進するため、LINE WORKSを導入しました。件名ごとに情報を整理して発信できるノート機能*の活用によって各店舗内での申し送りを電子化し、紙の「引き継ぎ帳」を撤廃。勤務する店舗や勤務時間が異なる社員どうしが緊密に連絡し合える環境を整えました。
本事例のポイント
- アルバイトはフリープランを使うことでコスパの良いコミュニケーション基盤を構築
- 紙の「引き継ぎ帳」をデジタル化し、出勤時に速やかに業務に入れる
- ノートの活用で業務連絡やシフト管理、SNS運用を実施
- 複数店舗からスタッフの意見やお客様のご意見が速やかに集約され、経営判断が迅速化
御社の事業内容をご紹介ください。
山来さん :
当社はラーメン店「ら〜めん幕末」の運営会社で、和歌山県内に御坊本店、田辺店、海南店、南紀白浜店の4店舗を出店し、御坊市にセントラルキッチンを構えています。看板メニューは豚骨を10時間かけて煮込んだスープの「豚骨らーめん」で、あっさりした味わいが幅広い年齢層のお客様に支持されています。4店舗ともロードサイドにあり、ファミリー層をメインターゲットとしていますが、最近ではお持ち帰りや通販用の冷凍商品を開発したり、御坊市のふるさと納税返礼品として出品したりするなど、売上の維持に向けた新たな事業展開も試みています。
以前はどのような課題に直面していましたか。
山来さん :
当社では約20名の社員と、約30名のアルバイトスタッフが働いています。営業に関する連絡事項を従業員全体に通達をしたり、各店舗のスタッフどうしが「報連相」をするために、以前は個人LINEでグループをつくってやり取りをしていました。しかし、個人LINEには仕事の連絡とプライベートの連絡が来るので業務へ集中しにくくなりますし、私用のLINEを仕事に使うことに抵抗感を抱くスタッフもいます。また、他のスタッフに対する中傷が書き込まれるという事案が発生し、会社が管理できないコミュニケーションツールの利用はリスクを伴うことを痛感。個人LINEを業務に使うことを禁止しました。
向井さん :
私は2店舗の店長をしていますがスタッフの勤務はシフト制なので、交替の都度さまざまな引き継ぎが行われます。LINEの使用が禁止されたことで、以前はLINEのグループで共有していた引き継ぎを手書きの「引き継ぎ帳」で行うことになりました。LINEによる申し送りなら出勤前に目を通せますが、紙の帳面は店に到着しなければ読めません。そのため、出勤後の業務の始動がワンテンポ遅れるようになりました。
山来さん :
LINEの利用をやめるのと時期をほぼ同じくして、働き方改革を推進するため社員に完全週休2日制を導入。その結果、社員どうしが店舗で顔を合わせる時間が以前よりも減りました。社員間の意志疎通を促進し、申し送り事項などをスムーズに伝達するためにも、業務用のコミュニケーションツールを導入することが不可欠だと判断しました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由と、スタッフへのアカウント配布方法について教えてください。
山来さん :
いくつかのツールを比較検討し、操作性がLINEと似ていて誰でも使いやすく、セキュリティ性が高いLINE WORKSを選定しました。社員にはライトプラン、それほど頻繁には利用しないアルバイトスタッフにはフリープランを準備。両者を外部トーク連携機能でグループ化して利用することにしました。
導入に際しては、会社が利用履歴やトークの内容を把握できることを伝え、リテラシーの低い使い方を抑止しています。また、衛生上の観点から業務中のスマホの携行を禁止し、社員には各店舗に備え付けのタブレット端末で、アルバイトスタッフには休憩時間などに私用スマホで使ってもらうルールも設けました。
向井さん :
アルバイトスタッフの採用時には、業務以外の用件でメッセージを送ることは一切ないと説明して、BYODでLINE WORKSを利用してもらうことに同意してもらっています。高校生から年配の人までいますが、多くの方が個人LINEを使い慣れていることもあって、スムーズにLINE WORKSアプリをダウンロードして登録してもらっています。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【ノート】要件を件名に入力してスレッド化することで効率的に伝達
【ノート】シフト共有・変更に活用し、管理コスト軽減
【外部トーク】新聞社と行う広告出稿のやりとりが円滑に
山来さん :
情報を必要とするメンバーだけに適切に伝わるよう、各店舗、店長、総務のほか、新メニューの試作にかかわるスタッフなど、役職や業務シーンごとなど目的に合わせたグループをつくって運用しています。
当社ならではの運用法は、伝えたいことをトークでは発信せず、まずLINE WORKSのノート機能の件名に書き込むようにしていることです。一定期間残しておきたい情報を保存するのがノートの本来の用途だと思いますが、私たちは件名を付けたノートに用件を書き込み、ノートのスレッド内でコメントを返しながら情報を共有しています。そうすることで掲示板のスレッドのように内容が話題ごとに整理され、件名を検索すれば必要な情報に素早くアクセスすることもできます。後日、残しておきたい内容のみ会社のNAS等に移し、その他の情報は定期的に消去。ノートに書き込まれる内容は各店舗の申し送りや、社員による残業申請など、時間がたつと不要になるものが中心なので、消去しても不都合はありません。
向井さん :
紙の「引き継ぎ帳」からLINE WORKSのノートに移行したことで、情報の伝達が迅速かつ確実に行われるようになりました。出勤前に申し送り事項を把握しておけるので、次のシフトに入るスタッフはすぐ業務に取りかかることができます。
毎月の勤務シフト表も、スタッフがわざわざ店舗にくることなく共有できます。突発的に欠員が出たときは、替わりに出勤してくれるスタッフを募るとことも簡単にできるので、管理業務の負荷が軽減したことを感じています。
山来さん :
各店舗だけではなく全社的な情報伝達も円滑になりました。例えばセントラルキッチンが自家製麺の加水量やカットするチャーシューの厚さなどを変更しようとするときは、各店舗からの意見を迅速に出してもらえますし、店舗ごとに取り組む新メニューの試作品に関する情報も共有されてお互いに刺激を与え合っています。また、各店舗に寄せられたお客様からのご意見なども速やかに共有されるので、以前より経営判断を早く下せるようになりました。
SNS運営や広告出稿にもLINE WORKSを活用して効率化しているそうですね。
山来さん:
店舗PRのSNSに投稿する原稿はノートで共有しながら担当するスタッフが作成し、私が最終チェックを行う流れを確立しました。また、広告出稿先の地方紙の担当者もLINE WORKSを使っていることを知り、外部トーク連携で広告原稿をスムーズにやり取りしています。
SNS投稿用の原稿もノートで共有しながら編集
ノート以外にどんな機能を活用されていますか。
山来さん :
必要に応じていつでも閲覧できるよう、業務マニュアルはフォルダにアップロード。新人スタッフの教育用動画にアクセスするためのリンク共有もしています。
向井さん :
社員から意見を集めたり、会議への参加の可否を確認したりするときは、アンケートを使います。社員の勤務地は4店舗とセントラルキッチンに分散し、勤務する時間帯もまちまちなので、アンケート機能は非常に便利です。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
山来さん :
さらなる業務効率化のためにまだ活用していないLINE WORKSの機能も役立てたいと思います。勤怠管理システムとAPI連携させ、出退勤時刻をLINE WORKSで入力できるようにするといったことも検討しています。
【お話を伺った方】
山来 謙治さん
2005年に「ら〜めん幕末」(現在の御坊本店)をオープン。2009年に幕末株式会社を設立して法人化。
向井 達矢さん
店長として海南店と御坊店の営業を管理している。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年10月当時のものです。
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