秋田県で土木事業や住宅建築事業を展開する株式会社村岡組は、社員が現場に出ていることが多く、社内で集まれる機会が少ないため、社内コミュニケーションを促進する目的でLINE WORKSを導入。対面や電話より迅速・確実に作業の指示出しや進捗状況の報告がなされるようになりました。住宅建築事業部では、施工案件ごとのトークグループでチームメンバーがやり取りするとともに、設計図面などの重要なデータをフォルダで共有。カレンダーやタスク機能なども有効活用して業務生産性を高めています。
本事例のポイント
- 経費精算業務が目を見張るほどスムーズに
- 案件ごとの情報共有、現場への指示出しが確実かつ速やかに
- タイムリーに会社の状況を把握し、的確な経営判断が可能に
御社の沿革と事業の特色をご紹介ください。
村岡さん :
当社は私の祖父が1939年に創業した会社で、私は4代目の代表です。先代までは道路や橋など公共インフラを整備する土木工事や冬季の除雪が事業の中心でしたが、私が入社してからは住宅建築事業にも力を入れるようになりました。2010年に秋田支店 住宅建築事業部を開設し、人の体に優しい自然の素材をふんだんに使った注文住宅の建築を手がけています。
以前はどのような課題に直面していましたか。
村岡さん :
土木工事を行うインフラ事業部も、注文住宅をつくる住宅建築事業部も、現場作業が主体なので社員が会社にいる時間がありません。以前はコミュニケーション促進のために、こまめにミーティングを開いていたのですが、そのためだけにわざわざ社員に会社に集まるのもどうかと思っていました。やがて住宅建築事業部の一部の社員が業務連絡をするのにLINEを使い始め、施工案件別のトークルームをつくって設計図面を共有したりするようになったのですが、お客様の個人情報を保護する観点から、会社として個人LINEの利用を推奨することはできませんでした。
その後、秋田支店では社員が図面データや業務情報を共有するための無料のオンラインストレージサービス、横手本社では無料のグループウェアを導入しました。しかしどちらも使い勝手がよくないため利用がほとんど進まず、社員どうしのコミュニケーションをスムーズにするためのよりよいツールを探すようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由をお聞かせください。
村岡さん :
LINE WORKSなら業務情報をセキュアにやり取りでき、図面データなども共有ストレージであるグループフォルダで簡単に共有できると知って、オンラインストレージやグループウェアなど別々のツールで進めようとしたことを、一元的に実現できそうだと思いました。操作性がLINEに近く、ITに疎い年配の社員でも使いこなせそうだったことも導入の決め手となりました。
まずは秋田支店で数名の社員が試用し、期待どおりの使い勝手であることを確認してから、秋田支店の建築事業部全員と、横手本社の総務部門で正式な運用を開始しました。すると「LINE WORKSは便利だ」という評判がすぐに社内に広がり、自分たちも利用したいという声が他部門から上がるようになりました。
導入直後にLINE WORKSのどんな便利さが社内で評判になったのですか。
柴田さん :
私は以前、取引先から受け取った請求書を本社の経理担当者にメールで送信していました。扱う請求書の数が多いのでデータを圧縮するのに手間かかかっていましたが、LINE WORKSならグループフォルダにファイルをまとめてアップロードしてトークするだけなので、瞬時に共有できます。処理済みの請求書ファイルは経理担当者がグループフォルダから削除するので、フォルダにアクセスすれば未処理の案件だけ残っているようになり、処理状況も把握できるようになりました。
村岡さん :
そうした活用ぶりを知ったインフラ事業部や除雪事業部などにも導入が進み、現在は現場作業に専従する数名を除く全社の大半の社員がLINE WORKSを利用しています。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
【グループトーク】施工現場単位のグループトークで情報を整理、報連相も密に
【グループフォルダ】設計図面や資料をトークメンバーで効率的に共有
村岡さん :
トークを活用することで、工事の指示出しや内容変更の連絡が、対面や電話で行っていたときよりも素早く、確実にできるようになりました。現場で何かトラブルが発生した場合は、その状況を示す画像をチーム全体で確認し、スピーディに対応を検討することもできます。
住宅建築事業部では以前LINEで試みた手法を踏襲し、施工案件単位のグループトークルームを作成して情報を共有するようになりました。現場での作業に必要な図面や資料を各案件のフォルダに保存しておけば紙の束を持ち歩く必要がなく、メンバー間での共有もスムーズです。住宅の設計図というお客様の重要な個人情報を安全に扱えるようになったのも大きな導入成果です。
また、社員からの「報連相」が密になったおかげで、さまざまな業務の進捗状況をタイムリーに把握できるようになりました。頻繁にミーティングを開かなくても会社全体の“今”の様子を俯瞰できることは、的確な経営判断にもつながります。
現場の状況を画像でタイムリーに報告できる。やり取りが活性化し、「報連相」が密に
トークには資料も添付できるので、社員に連絡事項を伝えるためだけにわざわざ会社に戻る必要がなくなり、出先から直帰することが増えました。現場から会社に戻るための移動時間が、週に数時間は削減されていると思います。
トークで流れてほしくない情報にアクセスしやすくするため、多くの社員がノートも活用しています。
柴田さん :
LINE WORKS導入後は、社外にいる社員との連絡手段が電話からトークに変わりました。電話は応答されないことが多く、出てもらえたとしても相手の作業を中断させてしまいますが、トークなら気兼ねなく送信できて、用件も確実に伝えられます。
トーク以外にどんな機能を活用されていますか。
【カレンダー】重要な予定を関係するメンバーにも自動で周知できる
【タスク】自分や担当者の期日のある業務をカンタンに登録できる
【音声・ビデオ通話】電話より楽にかけられ、画面共有でより正確な伝達が可能
村岡さん :
これまで利用していたスケジュール管理アプリをLINE WORKSのカレンダーに切り替え、自分、社員、会社全体の予定を確認しています。共有カレンダーに予定を登録するとメンバー全員にその通知が届くので、全社に関わる重要な日程を周知するのにも役立ちます。
自分が毎日するべきことはタスク機能を使って管理しています。思いついたときにパッと登録できて、カレンダー上に内容と期限が表示されるので、大事なタスクをうっかり忘れてしまうことがなくなりました。
柴田さん :
私は社員に渡した前払い金の清算などを、期限を設定して行ってもらったりするのにタスク機能を使っています。
以前はメールで発信されていた、総務部からの全社員向けのお知らせは掲示板に投稿されるようになりました。誰が既読になったかわかり、未読の社員に個別に閲覧を促せるようになったことを総務の担当者は便利に感じているようです。
アドレス帳で社員を検索するのが手軽なためか、急ぎの用件などの社員からの電話は無料の音声通話でかかってくることが多くなりました。LINE WORKSは弊社の会長も使っており、パソコンの操作方法がわからないときなどに問い合わせの音声通話がかかってきます。状況を言葉だけで説明するのが難しい場合は、ビデオ通話で画面を共有しながら話すこともあります。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
柴田さん :
社員の業務日報の作成と提出にテンプレート機能を活用することを検討しています。また、協力会社の担当者との連絡をスムーズにするため、外部のLINE WORKSやLINEと連携してやり取りができる外部トーク連携の活用も進められればと思います。
村岡さん :
現在、業務アプリ構築のクラウドサービスを使って基幹業務システムを構築中です。そのシステムとLINE WORKSを連携させ、各種業務データを抽出したり入力したりできるようにすれば、業務生産性がますます高まると思います。
【お話を伺った方】
村岡 洋平さん
村岡組4代目代表。一級建築士。ゼネコン勤務を経て入社し、自然素材を用いた健康住宅を建てる住宅建築事業部を立ち上げた。
柴田 祥子さん
秋田支店で広報を担当するほか、パースの作画やインテリアデザイナーとしての業務なども兼務。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年3月当時のものです。