全国の歯科医院と歯科技工所を仲立ちし、入れ歯・差し歯・詰め物などの歯科技工物を供給する商社機能を担う株式会社成田デンタル。技工物はすべて1点もののオーダーメードであるため、その製造過程では技工士から医師に対してさまざまな確認事項が生じます。同社はLINE WORKSを導入することでその伝達業務をスムーズにするとともに、社内コミュニケーションも活性化させました。同社の皆さんに、LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお話しいただきました。
本事例のポイント
- 歯科医師・歯科技工士のLINEと外部トーク連携
- トークグループの活用で重要な情報をスピーディに共有
- 資格取得用教材の動画をホームで配信
- BIツールとのAPI連携で売上データを営業社員に自動送信
御社の事業内容をご紹介ください。
石川さん :
当社は全国の優秀な歯科技工所や関連企業と提携し、歯科医院に入れ歯・差し歯・詰め物などの歯科技工物を供給する商社機能を担っています。これは当社が構築した独自のビジネスモデルで、歯科技工所にとっては営業活動が不要となって技工物製作に専念できる、歯科医院にとっては相性のよい歯科技工士とのベストマッチングが実現するというメリットがあります。
以前はどのような課題を抱えておられましたか。
窪寺さん :
私たち営業社員は、歯科医院から預かった歯型模型などを歯科技工所に送って歯科技工物を作ってもらいますが、その製作過程ではしばしば技工士が医師に確認したい事柄が生じます。それを取り次いで得た回答を技工士に伝えるのも私たちの役目ですが、LINE WORKS導入前の主な連絡手段は社用携帯のガラケーによる電話とショートメッセージでした。電話はすぐにつながるとは限らず、ショートメッセージは既読がないので気付いていただけたかどうかわかりません。そのため、伝達業務をスピーディにこなすことが困難な環境にありました。
医師が診療中などで電話に応答できない場合は、技工士からのメッセージを医院の受付担当の方にお伝えすることになります。その結果、メッセージの内容が医師に正確に伝わらず、“伝言ゲーム”のようになってしまうことも少なくありません。また、技工物に関する情報は言葉で伝えることが容易ではないので、場合によっては技工所から歯型模型を戻してもらい、医師に返送して確認をお願いすることもありました。
吉原さん :
そうした煩雑さを解消するため、現場では営業社員が医師や技工士とそれぞれの個人LINEで連絡を取り合う状況が散見されました。技工物に関するやり取りには患者様の個人情報が多く含まれるので、このようなシャドーITは会社として大きなセキュリティリスクになると感じていました。
石川さん :
営業社員が医師や技工士との連絡を取りやすくし、なおかつセキュリティリスクを回避するには、新たなコミュニケーションツールを導入するしかありませんでした。2019年末に社給のガラケーをスマホに切り替えることになったので、そのタイミングで個人LINEを業務上の連絡に用いるシャドーITを防止するべく、セキュリティ性が高く操作性にも優れたLINE WORKSを利用することを決めました。
運用に際してどのような準備やルールの整備をされましたか。
吉原さん :
ビジネスチャットを利用するにあたっての常識的なルールやマナーを記した冊子を作成して全社員に配布しました。
石川さん :
通常の社内連絡には以前から使っているグループウェアのサイボウズOffice、緊急性のある連絡にはLINE WORKSを使うというルールを定めることで、LINE WORKSの通知は急ぎの案件という認識を広め、即応する姿勢を全社員に啓発しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・社員の安否確認や情報周知の即時性を確保
・経営メッセージが社員一人ひとりに直接届き全員のベクトルが揃うようになった
窪寺さん :
社員が出払っているときに営業所や出張所にかかった電話は本社に転送され、事務担当者が対応してくれます。以前は電話の内容がショートメッセージで営業担当者に伝えられており、メッセージがいつ読まれたかわからないことに事務担当者は常に不安を感じていたそうですが、トークなら既読が付くのでそのようなこともなくなったそうです。
吉原さん :
営業部門では、営業社員が緊急性の高いメッセージを共有するための「営業緊急グループ」を作成して活用しています。全メンバーに確実に用件が伝わり、誰に既読が付いたかがわかるので、連絡漏れが生じることがありません。また、全社員が属する「社長からのお知らせグループ」も作り、急いで伝えたい重要事項を社長が自ら発信するようになりました。社員が自発的にアクセスしなければ閲覧されないグループウェアの掲示板とは違い、全社員にプッシュ通知されるので、重要な通達がより早く周知されるようになりました。
石川さん :
以前は災害発生時などの安否確認を営業所単位の個人LINEグループで行っていましたが、「災害緊急グループ」を作成することで、全社員の安否確認を瞬時に行える体制も構築されました。
経営方針などは営業所長会議で伝え、各営業所所長から個々の社員に伝達してもらっていましたが、伝えるべき情報に漏れがあったり、正確に伝わらなかったりということがありました。個々の社員に直接トークで発信できるようになったことで情報伝達にスピード感が生まれ、全社のベクトルを合致させやすくなったと感じています。
外部トーク連携はどのように活用していますか。
・チャットを通じて歯科医師や歯科技工士への伝達スピードが向上
・写真の視覚情報と併せて速く正確な説明ができる
窪寺さん :
外部のLINE WORKSやLINEと連携してやり取りができる外部トーク連携により、歯科医師や歯科技工士とスムーズに、またセキュアにコミュニケーションを図れるようになりました。以前は診療中の医院の受付担当者に医師への用件を伝えても、その日のうちに折り返しの電話をもらえないこともありましたが、トークなら医師に確実にメッセージが届き、手のすいたときにレスポンスをもらえます。
井村さん :
技工士から歯型模型などの写真とともに確認事項を送ってもらうことで、言葉だけでは伝えにくい情報を医師に正確に伝えることができます。2020年度に新卒入社した私のような若い世代にとってはチャットが最も身近なコミュニケーションツールであり、それをビジネスシーンでも活用できることを便利だと感じています。
トーク以外にどんな機能を活用されていますか。
【ホーム】勉強用の動画を投稿、どこにいても学べる環境を整備
【アンケート】100人以上の意見収集を効率的に実施
【API連携】売上データが営業社員のLINE WORKSに配信され営業部門の士気向上に貢献
吉原さん :
新型コロナによって業務に関連する資格取得のための勉強会を開くことが難しくなったことを受け、教材動画をホームにアップしています。
また、営業社員がよりよい営業活動をするためにどのような業務データを必要としているかを確認するためにアンケートを活用しています。一斉に配信されるだけでなく、回収作業や集計作業も不要なので業務効率化につながっていると思います。
ほかに、BIツールのMotionBoardをAPI連携させることで、売上データなどをbotで営業社員のLINE WORKSに配信するようにしました。営業所の共有PCから社内ネットワークにアクセスしなければ閲覧できない情報が、どこにいても各社員の手元に定期的に届くようになり、営業部門全体の士気向上に貢献しています。
LINE WORKSの活用を歯科医院や歯科技工所にも勧めているそうですね。
石川さん :
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、新規に取引を開始する歯科医の件数は一時的に大きく減少しましたが、その後V時回復を果たすことができました。その要因の一つとして、コロナの影響で歯科医師へのアプローチがしにくくなった部分を、LINE WORKSによるコミュニケーションで補ったこともあるのではないかと考えられます。
当社との連絡がスムーズになるだけではなく、歯科医院内や歯科技工所内のコミュニケーションツールとしても有用であることから、フリープランのLINE WORKS導入をお勧めしています。台風災害等に際しての提携技工所の安否確認や技工物の輸送遅延など情報共有を行うため、今後は当社と各技工所メンバーとするグループも作成する予定です。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
吉原さん :
アンケート機能については、今後は歯科医院に対しても技工物の品質などに関して効率的に情報を収集・分析するなど活用したいと考えています。
石川さん :
最近は業務に利用するITツールの種類が増えてきましたが、ITリテラシーがあまり高くない社員もおります。今後は必要な機能を、可能な限り操作性の高いLINE WORKSに集約していくことも検討しています。
お話を伺った方
石川 典男さん
1983年に株式会社成田デンタルを設立し、歯科医師と歯科技工士を仲立ちするビジネスモデルを構築。
吉原 大騎さん
営業部門を経て、現在総務部で社内情報システムを担当。自社のブランディング戦略にも携わる。
窪寺 英樹さん
営業推進部 課長と北東京営業所の主任を兼務。営業所では20名弱のメンバーをマネジメント。
井村 菜央さん
2020年入社。歯科技工専門の営業職として歯科医師と歯科技工士をサポート。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年12月当時のものです。