写真・映画・美術・音楽・文芸・演劇・放送・デザインの8学科からなる日本大学芸術学部。その学園祭の『日芸祭』は、毎年、総勢400名近くの学生が参加する日芸祭本部実行委員会によって企画・運営されています。これまでメーリングリストや個人のLINEを主な連絡手段としていた同委員会は、コミュニケーションツールを統一して、確実かつ迅速な意思疎通を図る目的からLINE WORKSを導入。対面での活動が困難なコロナ禍にあって、組織全体がタイムリーに情報を共有することで、2021年度の日芸祭を成功に導きました。
本事例のポイント
- 複数あったメンバー間の連絡手段をLINE WORKSに統一
- コロナ禍での非対面コミュニケーションを促進
- 多彩な支援機能で運用管理者の負担を軽減
日芸祭の概要と日芸祭本部実行委員会の役割をご紹介ください。
大友さん :
毎年11月に開催される日芸祭は日本大学芸術学部の学園祭で、8学科の学生が日頃の研究成果や作品を発表する舞台です。情報サイト主催の首都圏の大学を対象とする「学園祭グランプリ」では、2018年にグランプリのMVP、2019年に特別賞のパフォーマンス賞を受賞した実績があります。
加藤さん :
日芸祭本部実行委員会は、その日芸祭を企画・運営する学生組織です。毎年度1~3年生の計368名が総務部、広報部、企画部、装飾部、ステージ部、警備誘導部の6部署のいずれかに所属し、別途、Web班、パンフレット班、撮影班が設けられています。その年度の日芸祭が終了すると次年度に向けての準備がスタートし、活動は年間を通じて行われます。
組織内のコミュニケーションに関して、以前はどんな課題を抱えていましたか。
大友さん :
これまでの368名の委員の情報共有は、それぞれのフリーメールアドレスを登録したメーリングリストや個人のLINEでした。しかしメールは複数人での意思疎通が難しく、個人LINEでは重要な連絡がプライベートのトークに埋もれてしまいがちです。また、協賛企業との連絡に利用する専用のメールアカウントやドライブ等は担当者しかログインすることができず、不便な環境での運用を余儀なくされていました。1年生のときから組織に参加していた私は、実行委員会の中心メンバーとなる3年生になる直前に、組織をスムーズに運営するには迅速・確実に情報を伝え合える手段が不可欠だと思い、コミュニケーションツールの導入を検討しました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選択された理由をお聞かせください。
大友さん :
複数のサービスを比較検討し、操作感覚がLINEに近いLINE WORKSが最も定着しやすそうだと感じました。各部の部署長とともに試用したところ、操作に戸惑うメンバーがおらず、すぐに使いこなせるようになったことから、本格的な導入を決定。2020年度の日芸祭に向けて、実行委員会の全メンバーで運用することになりました。
運用開始に先立ってどんな準備をされましたか。また、管理者から見たLINE WORKSのよさはどんな点にあると思われますか。
大友さん :
初めに直面したのは、368名ものメンバーをどうやって登録するのかという課題でした。学生組織ですので、登録に必要なメールアドレスなどの情報を把握できていませんでした。そこで、各部署でGoogleフォームに個々のメンバーの情報を入力してもらい、Excel形式で出力したデータをLINE WORKSに一括でインポートするという方法を取りました。結果的に、驚くほどスムーズに全メンバーを追加することができました。
管理者画面のメンバー情報には「職級」に学年を入れることで、アドレス帳が学年順に並ぶよう工夫しました。年度終わりに実行委員会から抜ける3年生全員を一括で削除することもできて便利です。
管理者画面ではメンバーのインストール状況も一覧表示されるので、未インストールのメンバーには個別に連絡してインストールを促せます。このように、LINE WORKSは管理者を支援する機能が非常に充実しているなと思いました。
運用開始後は、多くのメンバーからの問い合わせが管理者に集中するのを避けるため、各部署長にアクセス権限を与えた掲示板に、パスワード再作成の方法などのFAQを掲載。メンバーからの質問には、FAQで各部署長に対応してもらうようにしました。その結果、ほぼすべての疑問が部署長のレベルで解決されました。
こうして組織全体がLINE WORKSで迅速にコミュニケーションを図れる体制を整えたのですが、残念なことに2020年度の日芸祭はコロナ禍の影響を受けて中止となってしまいました。3年生だった私はその年度をもって実行委員会の活動から退き、翌2021年度に3年生となった加藤にLINE WORKSの管理者役を引き渡しました。
加藤さん :
ITツールに明るくない自分に管理者が務まるのだろうかという不安がありましたが、運用の基本的な枠組みがしっかり構築されていたので、スムーズに引き継ぐことができました。新年度の本格的な活動が始まったのは2021年4月で、新たに実行委員会に入ってきた1年生をメンバーとして追加。LINE WORKSの基本的な操作は容易で、パスワードを忘れたメンバーに対応することがあるくらいで、管理者としての負担を特に感じることなく運用することができました。
2021年度の実行委員会では、LINE WORKSをどのように活用されましたか。
【グループ】対面が困難な状況下でのスピーディな連絡手段に
【アンケート】オンライン会議の日程調整とメンバーからの意見聴取に活用
【ノート】会議に欠席したメンバーが読めるよう議事録を共有
【アドレス帳】連絡先を知らないメンバーにも簡単にコンタクト
加藤さん :
全委員が所属するグループ、部署や班ごとのグループ、部署長や班長などのグループのほか、必要に応じて部署や班の枠を超えた小規模なグループをつくってやり取りをしました。メーリングリストや個人LINEで連絡していた頃と比べると、情報共有の速度が格段にアップし、重要な伝達事項が埋もれることなく確実に伝わるようになったと思います。
大学の授業は2020年度に続いて2021年度もオンラインベースで行われ、実行委員会の学生が対面する機会も普段ほどはありませんでしたが、実行委員会がきちんと機能したのは、LINE WORKSという連絡ツールがあったからだと思います。顔を合わせたことのない1・2年生もたくさんいましたが、名前さえわかればアドレス帳からすぐにコミュニケーションがとれたことも、実行委員会の運営を円滑にしてくれました。
櫻井さん :
私が部署長を務める広報部では、アンケート機能を使うことで、部署や班ごとのミーティングの日程調整が簡単にできました。また、議事録はノートに投稿して、会議に参加できなかったメンバーには後から確認してもらい、アンケートで意見を聴取しました。そうすることで、欠席したメンバーも含め全員の考えを活動に反映させることができました。
委員会のメンバー内の連絡はトーク、日芸祭に協賛していただく企業様などとの連絡はメールといったように使い分けることで、情報を整理して把握することができました。
また、制作途中の日芸祭のポスターのデザインデータなどはフォルダに保存して共有したので、メンバー全員がいつどこからでもアクセスして確認作業を行ったり、意見交換がスムーズに行えました。
そうして準備された2021年度の日芸祭の様子はいかがでしたか。
加藤さん :
予定どおり2021年11月3日から5日にかけて開催されましたが、コロナ禍は依然として続いていたので、キャンパスに入れるのは在学中の学部生と大学院生に限られ、学外の方はオンラインでイベントに参加いただきました。
櫻井さん :
それでも2年ぶりに日芸祭を開催できたことに意義があり、のべ3,800名ほどの来場がありました。開催当日の広報部のメンバーはインフォメーションでの案内業務に就き、そのシフト表をフォルダに保存して共有するなど、LINE WORKSは会期中も活用していました。
大友さん :
私は実行委員会のOBとして後輩たちの姿を見守っていましたが、部署や班ごとに各機能の使い方を工夫し、コロナ禍での日芸祭を成功に導いたのを目にして、LINE WORKSを導入して本当によかったと思いました。
引き継がれる後輩の皆さんに、メッセージをお願いします。
加藤さん :
コロナ禍の先行きが見えず、今後の日芸祭がどのような形で開催されることになるのかわかりませんが、委員どうしを結ぶコミュニケーションツールとして、引き続きLINE WORKSを有効に運用してもらえればと思います。
【お話を伺った方】
大友 祥碁さん
日芸祭本部実行委員会のコミュニケーションツールとして、広報部に所属していた2020年度にLINE WORKSの導入を主導。学科は音楽学科情報音楽コースに所属し、インスタレーション作品の制作を中心に活動している。
加藤 さくらさん
2021年度日芸祭本部実行委員会で広報部に所属。UX班の班長も務め、LINE WORKSの管理者を兼務。
櫻井 昂希さん
2021年度日芸祭本部実行委員会で広報部の部署長を務めた。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年1月当時のものです。