株式会社岡部
2025-12-17
業種
小売・卸売
目的・効果
従業員間の連絡 支店・店舗との連絡 スマートフォン活用 業務の見える化 導入のしやすさ
主な活用機能
トーク
グループ
掲示板
カレンダー
管理
お話を伺った方
代表取締役社長 岡部 弘幸さん(中)
社長室長 岡部 賢人さん(右)
商品部 課長 渡邉 孝行さん(左)
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「言った言わない」を解消。高い現場浸透力で多拠点連携と倉庫業務がスムーズに進む環境へ

福島県郡山市に拠点を置き、95年続く家庭用品卸の株式会社岡部様。以前は電話とメール中心のコミュニケーションで、広域出張の多い営業や多拠点の倉庫との間で情報共有に時間を要し、伝達ミスが生じていました。過去のチャットツール導入も定着せず、デジタル化に難しさを感じていた同社は、「誰もが迷わず使える」操作性に着目しLINE WORKSを導入。使い慣れた機能の活用から始め、対応スピードを大きく改善する“小さなDX”を実現しました。同社がどう変化を生み出したのかに迫ります。

 

本事例のポイント
  •  LINEと変わらない操作性により導入1〜2週間で現場に定着
    – 正確なテキストと写真共有により「言った言わない」を払拭
    – 欠品連絡や人員配置の対応リードタイムを短縮
    – 社内ネットワーク外でもノート機能を使って最新の商品情報を瞬時に確認可能

御社の事業概要をご紹介ください。

岡部 弘幸さん:

私どもの事業は、日用品や日常消費財である家庭用品の卸売です。そして、最大の強みは、全国家庭用品卸商業協同組合の共同仕入れ機構を活用している点にあります。この組合は50年以上の歴史を持ち、300社以上のメーカー口座を有しているため、通常の問屋では難しい、幅広いメーカー様からの仕入れを可能にしています。

 

事業としては、大手ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケットなどへの商品供給、および独自での大手ECサイトへの出店も展開しています。また、私どもは福島県郡山市を拠点としており、東北自動車道と磐越自動車道が交差する交通の結節点という地の利を活かし、北海道から九州まで全国へと商品を供給しています。

 

これまでどのような課題を抱えていましたか?

岡部 賢人さん:

以前は、連絡手段が電話とメールが中心で、気軽に情報共有できる方法が社内にはありませんでした。特に、私が前職でIT企業に務めていたこともあり、社内にチャットツールがないことが不便だと感じていました。

 

 

渡邉さん:

倉庫の現場では、メーカーとの電話のやり取りや出荷作業中に電話に出られないことが多く、まとまった時間が取れないとレスポンスが返ってこない状況でした。情報伝達が1対1の口頭になりがちで、「言った・言わない」といった伝達ミスも発生しやすかったです。

 

 

岡部 弘幸さん:

営業は青森から東京まで広範囲に出張が多く、正確な情報をリアルタイムで発信・共有できる手段が必要でした。

多くのツールがある中で、LINE WORKSを選定された理由は何ですか?

岡部 賢人さん:

以前、別の高機能なチャットツールも検討しましたが、全社員のITリテラシーを考慮すると、使いこなせる人が限定されると考えました。次に、連携を重視した別のチャットツールを最初に試しましたが、想定以上に社内で浸透しませんでした。一部のITリテラシーの高い社員、全体の2〜3割程度以外はほとんど利用せず、操作性のわかりづらさやUIのとっつきにくさが最大の原因だったと感じています。

 

渡邉さん:

私は、そのチャットツールを使っていませんでした。立ち止まって画面を見るという動作に慣れず、電話の方が動きながら対応できて楽だと感じていたからです。

 

岡部 賢人さん:

導入から3〜4カ月で難しいと判断し、次にLINE WORKSを試しました。すると、これまでチャットをまったく使わなかった社員が、自然にトークを見て返信し、情報を共有する行動を始めたことに驚きました。普段から利用しているLINEとほぼ同じ感覚で使える操作性、気軽さ、わかりやすさ。この慣れの強さこそが、LINE WORKSがスムーズに社内に浸透した最大の理由です。説明しなくても使えるという点が、説明が必要な他のツールとの大きな差でした。

スムーズな利用開始のために工夫された点はありますか?

岡部 賢人さん:

特にマニュアルの作成や勉強会は行いませんでした。まずは営業部門の携帯端末をガラケーからスマホへ切り替え、パソコンを開かなくても LINE WORKS を活用できる環境を整えました。その上で、部署や取引先ごとにグループトークを事前に作成し、「1つの情報発信がチーム全体で共有できる」状態を先に用意したことで、便利さを体感してもらい、自然と浸透が進むように工夫しました。

導入後、具体的にどのような効果がありましたか?

渡邉さん:

導入後は、現場における情報伝達のスピードが劇的に向上しました。以前は1対1のコミュニケーションが中心で、情報共有に時間差が生じることが課題でした。しかし、グループトークで5名・10名へ一斉に共有できるようになったことで、状況に応じたスケジューリングや作業調整が即座に行える体制が整いました。その結果、対応までのリードタイムが大幅に短縮され、現場の動きが格段にスムーズになったと感じています。

 

また、センター(倉庫)どうしの連携も大きく進化しました。在庫の融通だけでなく、人員の調整もリアルタイムで行えるようになり、朝のミーティングで物量を確認した後に人手が不足する場合、他のセンター長がグループトークを見て「うちから1名出せます」と即座に手を挙げられるようになりました。これにより、人の出し手・受け手の判断が非常にスムーズになり、全体最適を意識した運営が可能になりました。

 

岡部 賢人さん:

商品部と営業部間の連携もスムーズになりました。例えば、夕方に倉庫側から欠品情報を営業宛てに連絡したり、明日出荷する商品の確保依頼を行ったりする際にトークを活用しています。

 

渡邉さん:

また、朝一と午後3時半にセンター長が集まるミーティングを毎日2回行っています。その間にトラブルや進捗の困り事があれば、その都度グループに投稿し周知するようにしています。これにより、ミーティング前に全員が状況を把握できているため、話がスムーズに進み、トラブルの早期解決につながります

 

現場における具体的なアナログ作業の改善事例についてお聞かせください。

渡邉さん:

これまでは、電話で13桁のJANコードを読み上げながら棚番や在庫の確認を行っており、聞き間違いが起きないように注意を払う必要がありました。しかし現在は、テキストや写真で情報を共有できるようになったことで、確認の手間が減り、より正確にやり取りできるようになりました。その結果、現場の作業がスムーズに進むようになりました。

 

正確なテキストや画像情報により、電話や口頭で発生していた聞き間違いを解消。事務所と倉庫間の連携、商品確保の依頼や確認がリアルタイム化した

 

岡部 賢人さん:

営業や現場の社員が倉庫内の整備不良やレイアウト変更の際、写真を撮ってグループに共有しています。言葉で説明するよりもはるかに正確に状況を伝えられ、判断や改善のスピードが早まりました

 


テキストだけではなく画像でも共有できるので、モノや現場の状況をすぐに1対Nで共有できる

取引や基幹システムの制約回避にどのように貢献していますか?

岡部 賢人さん:

最新の商品情報は、LINE WORKS のノートにまとめて掲載しています。以前はメールで共有していたため、資料が埋もれてどれが最新なのか分かりづらい状況でしたが、ノートに固定することで、必要な時に迷わず最新データへアクセスできるようになりました。また、社内ネットワークに接続しないと確認できないという課題も解消され、場所にとらわれず情報を確認できる体制が整いました。さらに、大手ECサイトで使用する商品写真などのクリエイティブ素材もフォルダで管理し、関係者間でスムーズに共有できるようになりました。

 

外出中の営業が社内ネットワーク外でも商品情報を確認可能。基幹システムの制約を回避するため、総務部が更新した最新ファイルをノートで共有

まだ活用途上とのことですが、御社独自の活用例はありますか?

岡部 賢人さん:

LINE WORKSを使い始めた当初から行っているのですが、総務課長が手帳に手書きで作成していた出張や来客予定を写真に撮って全体チャットに毎日流し、情報共有をしています。この方法は、正確な情報を迅速に全社員へ届けるための「デジアナの境地」と呼べる使い方だと感じています。最初は休んだ人のアナウンスのみでしたが、現在ではメーカー来訪者の日時などを詳細に記載し、各部署で共有できるように改良されています。

総務課長が手書きの予定表を写真で共有。ITツールに抵抗のある社員も受け入れられた「デジアナ融合」による全社情報共有の成功例

コミュニケーションの変化は、従業員の方の働き方や意識にどのような影響を与えましたか?

渡邉さん:

何より、情報の風通しが格段に良くなったと実感しています。以前は困りごとが1対1の会話の中だけで止まってしまうこともありましたが、今ではオープンなグループトークで共有されることで 、全員が状況を把握できるようになりました。結果として、現場どうしが助け合いやすくなり、組織として大きな前進になっています。

 

岡部 賢人さん:

特に、営業は外出が多くメールでは既読確認ができないため、事務所側は不安になることがありましたが、LINE WORKSならスタンプ一つで返答や確認が取れるため、連絡のストレスが減りました

今後、LINE WORKSをどのように活用していきたいとお考えですか?

岡部 賢人さん:

現在は手書きで管理している外出・出張・休暇などの予定を、今後はカレンダー機能を活用して全体の動きを可視化していきたいと考えています。そうすることで、社内連携がよりスムーズになり、情報共有の精度向上にもつながると期待しています。

 

将来的には、基幹システムとの連携も視野に入れています。例えば、受注状況が自動で通知されるようになれば、都度システムを確認する必要がなくなり、リアルタイムに状況を把握できるため、業務効率のさらなる向上が見込まれます。今後も社内の情報基盤として活用の幅を広げ、業務効率化と生産性向上を継続的に進めてまいりたいと考えています。その実現を力強く後押ししてくれる存在として、大いに期待しています。

 

 

【お話を伺った方々】
岡部 弘幸さん

代表取締役社長。創業95年の同社を率いる3代目社長。全国家庭用品卸商業協同組合の理事長も務める。

 

岡部 賢人さん

社長室長。前職でのIT企業経験を活かし、社内のIT化推進を担当。

 

渡邉 孝行さん

商品部 課長。7カ所の倉庫拠点の運営管理と人員配置、および発注業務を担う現場の責任者。

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2025年11月当時のものです。