都市ガス大手の大阪ガス株式会社は、電話やメールより迅速に複数のメンバーと連絡を取りたいとの社内からの要望を受け、少数部署で試用。業務連絡が飛躍的に効率化することを検証し、6月に大阪ガス社員と大阪ガスマーケティング株式会社などの基盤会社社員、合計6,000名以上に展開しました。オフィスと作業現場の連絡、協力会社との連携、在宅勤務時の勤怠報告など、トークを活用して業務生産性を大きく向上させています。
本事例のポイント
- 保守点検や緊急対応の現場写真を担当者が瞬時に共有
- 外部トーク連携で協力会社のLINEと安全にやり取り
- 緊急時の迅速な連携により初動までの判断スピードが格段にアップ
- 在宅勤務の勤怠報告やコミュニケーション促進に活用
御社の事業内容をご紹介ください。
情報通信部 川下さん:
大阪ガスは東京ガス、東邦ガス、西部ガスと並ぶ大手4大都市ガス会社の1社で、関連会社とともにDaigasグループを形成しています。また、ガスのみならず電力事業や海外への事業展開も行っており、総合エネルギー会社として多角的な事業を推進しています。
これまでどんな課題を抱えておられましたか。
川下さん :
当社のコミュニケーション手段は電話、メール、自社開発の掲示板が中心だったため、業務連絡をスムーズにできないことが少なくありませんでした。家庭用ガス機器の施工・メンテナンスなどを行う大阪ガスマーケティング リビング技術部をはじめ、複数の部門からビジネスチャットを使いたいという要望が情報通信部に寄せられるようになり、新たなコミュニケーションツールの導入を検討するようになりました。
リビング技術部 :
現場に出るリビング技術部の社員や、現場業務をサポートしてもらう協力会社の方は、オフィスと頻繁に連絡を取る必要があります。しかし電話は担当者にすぐにつながらないことがありますし、現場の複雑な状況を言葉で説明するのは容易ではないことから、メッセージを確実に伝えられ、写真を送信することもできるビジネスチャットを導入する必要性を多くの社員が感じていました。また現場付近で待機することも多く、そういった隙間時間を有効活用したいという要望もあがっていました。
大阪導管部 緊急保安チーム :
私たちが所属する大阪導管部 緊急保安チームは、事故や災害などの有事対応が主な業務になります。1車両につき1台のタブレットが貸与されており、現場の状況写真や対応報告書はタブレット専用のアプリで上司に送信しています。しかし、アプリを活用した一方通行の報告ツールであるため、写真の撮り方が正しいかの確認や対応について相談したいときには、都度電話を行う必要があるなど、タイムリーに写真や現場の状況を共有したいと感じていました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由をお聞かせください。
川下さん :
多くの社員がプライベートでLINEを利用していることから、使い勝手が近しいLINE WORKSならスピーディな定着が図れると考えました。また、ほかのチャットツールと比較して運用コストが低かったこと、外部トーク連携機能で協力会社の方のLINEと安全につながれる点にも魅力を感じました。それに加えてセキュリティ性が高い点も大きな評価ポイントとなりました。
全社展開への判断に至った経緯を教えてください。
川下さん :
まずはリビング技術部をはじめ、LINE WORKSを使いたいという要望のあった部署を中心に約400名の社員で試用。試用部署にエバンジェリストを設け部署内の活用を推進していきました。
2ヶ月経過したころ、アンケート機能を使って、詳しい利用状況を調査しました。加えて数名の社員には、電話やメールがどのくらいトークに置き換わり、結果として業務連絡に要する時間がどれだけ短縮されたかを直接ヒアリング調査しました。アンケート結果から9割近くがLINE WORKSの継続利用を希望したことと、ヒアリング調査の結果からトークによって1ヶ月あたりに効率化される時間数が十分であることを試算できたことから、導入効果があると見込むことができました。
それを踏まえて6,000名を超える大阪ガスと基盤会社全社での導入検討を進めました。並行して利用規模を拡大していき、ユーザーは千数百名にまで増えました。利用に関するルールやシステムの整備も行い、2020年6月に大阪ガスと基盤会社での正式な運用を開始しました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
リビング技術部 :
協力会社の方のLINEと外部トーク連携でやり取りできるようになり、電話やメールで連絡をしていた頃と比べると、コミュニケーションが飛躍的にスムーズになりました。ガス機器の設備調査・施工・メンテナンスに関して私どもに質問がある場合は、トークに現場の写真が添付されてきます。電話による説明だけではわかりづらい状況を視覚的に把握できるので、正確な回答を素早く返せるようになりました。
また、以前は打ち合わせ時刻等のリマインドメールや電話が協力会社の複数の社員の方からあってその対応に時間を取られていましたが、トークで確認されるようになってからは、煩わしさを感じなくなりました。こちらから協力会社の方に連絡する場合、電話だと作業や移動をストップさせてしまいますが、トークならそのようなことなく用件を伝えられ、既読機能もあるので便利です。
業務上のグループやプロジェクトチームごとにトークルームを開設できるので、重要な情報をメンバーに迅速に伝達できるようになりました。業務の進行につれてメンバーがめまぐるしく変わることもありますが、その場合の対応も容易です。災害発生時などに必要な緊急連絡網も、LINE WORKSの導入を機に改めて整備されました。
お客様のお宅で対応の難しい状況に直面した場合、以前はいったん事務所に戻って上長の指示を仰いでいましたが、LINE WORKS導入後は上長に現場写真を送って対応の指示を仰ぐことで、事務所に戻ることなくその場を円滑に対応できることが多くなりました。
大阪導管部 緊急保安チーム :
現場での確認問い合わせなどの密な連絡にLINE WORKSをテスト利用するようになりました。チームと事務所のメンバーまでまとめて情報共有できる点が非常に便利で、移動や作業しながら情報共有できるため、初動対応までのリードタイムが半分以上は短縮されたと感じています。また、GPSを用いた位置を共有する機能で自分の現在地を知らせることもできるので、現場に本部を設置する際に有効と考えています。
例えば、100戸近くあるマンションでガス漏れが起きた場合など、どれだけ情報共有を素早くできるかで対応内容が変わってきますし、初動までの判断が速いほど被害の拡大を防げます。写真とトークで現場状況をリアルタイムに関係者に一斉共有することで、次の行動への判断や指示、実行が速やかに行われるようになりました。
リビング技術部 :
総務グループをはじめ、新型コロナへの対応で多くの社員がリモートワークをするようになったことから、在宅勤務の開始と終了の連絡をLINE WORKSで行うようになりました。メールだと一方的な情報発信になりがちですが、上司にトークで業務開始を告げると「お願いします」といったリプライが得られ、ちょっとしたコミュニケーションが生まれるのもチャットの利点です。
川下さん :
情報通信部としては、システム障害などが起きた場合にメンバーどうしが情報を共有し、思い当たる原因についてお互いの意見を交換し合ったりするのに利用しています。当社は最近、家庭用ガス警報器にインターネット接続機能を搭載した警報器「スマぴこ※」を開発しましたが、その名称募集の一環として、LINE WORKSが活用されました。トークは業務連絡だけではなく、多くの社員が自由に発言できる場としても機能しています。
情報通信部 松下さん :
2020年度に入社した私は、川下の業務を引き継いでLINE WORKSの運用管理を担当しています。ユーザーとして感じるLINE WORKSのメリットは、多数の社員に通達などを一斉発信できることです。メールより迅速に見てもらえますし、既読により確実に届いたことがわかり安心できます。また、コロナ禍により入社してからの出社日が数日程度なため、社員のみなさんと顔を合わせる機会がほとんどないのですが、上司への相談やちょっとした会話などが気楽にできています。
運用管理者として大切にしているのは、会社のセキュリティポリシーに準じた安全な運用をすることです。万一の端末の紛失に備え、トークやノートのログはスマホからは1か月しか閲覧できない設定にするなど、多くのお客様の情報を扱うインフラ企業として万全のセキュリティ対策を講じています。
LINE WORKSのAPI連携やトークBotも活用しているようですね。
川下さん :
当社は自社開発したID管理システムを利用しており、LINE WORKSとAPI連携(アプリケーション間の機能共有による情報連携)を行うことで、入社・異動・退社時のアカウント管理を自動化しています。また、情報通信部の問い合わせ対応を軽減する施策として、ユーザーがログインパスワードを数回誤入力してLINE WORKSのアカウントがロックされたときに、他の社員のLINE WORKSでアカウントロックされたユーザーの氏名をトークするとロックを自動解除するチャットボットを試行的に運用しています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
大阪導管部 緊急保安チーム :
私たちの緊急保安チームは4班ありますが、有事の規模によっては他チームに支援を緊急要請します。そういった場合にも、グループトークを使えばチームを超えた情報共有も可能なので、対応をより迅速・確実にするためにも、LINE WORKSの活用の幅を広げていきたいです。
川下さん :
当社には既存の掲示板やスケジューラがあり情報が分散してしまうとかえって混乱や業務の効率性を阻害する懸念があるため、現在LINE WORKS利用はトーク、アンケートに絞り、まずは全社にLINE WORKSを浸透させていきたいと考えています。
利用を促す施策として、情報通信部としては、チャットボットのさらなる活用を模索するつもりです。例えば社内の電子決裁システムとLINE WORKSをAPI連携させ、申請書等の承認依頼があれば上長にその内容をチャットボットで自動通知するなどして、より一層の業務効率化を図れればと考えています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年7月当時のものです。
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