世界有数のたばこメーカー、フィリップ モリス インターナショナル(PMI)の日本法人であるフィリップ モリス ジャパン合同会社は、シャドーITによる業務情報の漏えいを防ぐため、LINE WORKSを導入。多くの業務連絡がメールからトークに置き換わり、社員間の情報共有が確実かつ迅速になりました。また、派遣スタッフ全員のスケジュールの見える化や、特約販売店への情報発信にLINE WORKSを使うことで、予定共有や連絡業務に要していた負担が大きく軽減されています。
本事例のポイント
- 派遣スタッフの予定を見える化し、ブッキング問題を解消
- 特約店にipadを配布。営業社員が手持ちした資料をデジタル化して配信
- 翻訳機能を使い、外国人社員と活発なコミュニケーション
御社の事業と、皆さんの主な業務内容をご紹介ください。
森さん :
当社はフィリップ モリス インターナショナル(PMI)の日本法人で、加熱式たばこIQOSをはじめとするPMI製品の、国内におけるマーケティングと販促活動を行っています。私はデジタルソリューションを企画・開発する部署でLINE WORKSの導入に関わり、現在はインフォメーションサービス関連部署に所属しています。
田中さん :
LINE WORKS導入時はたばこ販売店をサポートするフィールドセールス部門の営業を担当しており、現在は営業企画関連の部署に所属しています。
伊東さん :
私は全国約1,500名の営業担当者が活動するナショナルフィールドセールス部門で、本社と営業現場の橋渡しをして円滑な業務をサポートするとともに、街頭の喫煙所などでPMI製品の販促活動を行う派遣スタッフの管理をしています。
LINE WORKS導入以前は、どのような課題がありましたか。
森さん :
当社ではPMIが承認するアプリ以外の業務利用は禁止されていますが、以前は従業員によるシャドーITの実態が見られ、そこから機密情報が漏えいするリスクがありました。
田中さん :
営業社員にはスマホ、PC、iPadが支給されていますが、手軽に連絡を取れることから、つい私用スマホの個人SNSを使った情報共有をしてしまいがちでした。
伊東さん :
フィールドセールスの現場では、営業社員と派遣スタッフが数人単位のチームを組み各地で販促活動を展開しています。チーム内での「報・連・相」は主にメールで行われていましたが、SNSのようには迅速にやり取りをできないことが課題となっていました。
また、営業社員は自分のスケジュール管理をOutlookで行う一方で、販促活動をする派遣スタッフの予定はエクセルで管理していました。派遣スタッフの予定を把握するために自身のカレンダーに派遣スタッフの予定を登録していましたが、自分と派遣スタッフの予定が混在して非常に見づらい状態となっていました。グループカレンダー機能を有効にしていないためスケジュールをチームメンバー全体で共有することもできず、派遣スタッフのダブルブッキングが生じることもありました。
森さん :
コンプライアンス部より個人アカウントのSNSの業務利用を全面禁止するよう通知されたことを受け、情報保護の観点から、また連絡業務をスムーズにする目的から、本社が管理できる新たなコミュニケーションツールの導入を検討するようになりました。
LINE WORKSを選定された理由と、導入までの流れを教えてください。
森さん :
コミュニケーション範囲を限定できる、管理者への通知ワード設定ができる、コンプライアンス案件が発生した場合にすべてのログを確認できる、管理者側で組織情報と利用アカウントを制御できるなど、セキュリュティ性の高さに注目しました。LINEが多くのユーザーに普及しているのは使い勝手の良さからだと思いますが、LINE WORKSはそれに似たユーザーインターフェイスを持ち、グループトークや掲示板機能がある点にも魅力を感じました。
導入にあたっては会社支給のスマホかiPadでのみ利用することとし、私用スマホへのアプリのインストールは禁止しました。それ以外に特別な運用ルールは設けず、あえて従業員どうしの私的なやり取りにLINE WORKSを使うことを認めています。これは業務中の個人アカウントのSNS利用を効果的に防止するためで、「問題が起きない限り、管理者がログを閲覧することは絶対にない」とアナウンスしました。
田中さん :
導入手順等に関しては、本社からフィールドセールス部門に定期的に発信されるメールや、各チームの月例会議で説明を受け、FAQが記載されたマニュアルも配布されたので、操作などで迷うことはありませんでした。「管理者がログをチェックすることはない」との安心感から、導入後は業務連絡だけではなく、社員どうしの個人的なコミュニケーションにも積極的に使うようになりました。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
森さん :
個人アカウントのSNSが利用されがちだった社員間の連絡がLINE WORKSで行われるようになり、シャドーITのリスクが軽減しました。
本社からフィールドセールス部門への連絡手段も、メールからLINE WORKSのトークやホーム(掲示板)に置き換わり、業務方針などが個々の従業員に迅速かつ確実に伝わるようになりました。
当社には外国籍の社員も多いのですが、トークの翻訳機能が優れているので、英語が苦手な社員でも外国人社員と活発にコミュニケーションを図れるようになりました。
アンケート機能も使いやすく、社外にいることの多いフィールドセールス部門のスタッフから意見を収集しやすいのもLINE WORKSの利点です。
伊東さん :
派遣スタッフのスケジュールを共有カレンダーに登録するようにした結果、営業社員がモバイルデバイスで随時、派遣スタッフ全員のスケジュールを確認できるようになり、ダブルブッキングが回避されるようになりました。販促活動終了後の業務報告や研修会の案内などもトークで行われるようになり、メールよりもスムーズに連絡ができる環境が構築されています。
一部の販売店とも試験的にLINE WORKSで情報を共有されているそうですね。
田中さん :
販売店に新製品や販促などに関する情報をお伝えする際は、営業社員が1軒1軒を訪問しています。1人あたり50~100店舗ほど担当しているため、全てお伝えするまでに時間がかかり、営業社員の負担にもなっていました。そこで、弊社からiPadを貸与している一部の特約販売店に、LINE WORKSアプリをインストールしていただき、これまで営業社員が訪問して伝達していた本社からの情報を、ホームに掲載して周知する試みを行いました。
その結果、600の特約販売店をカバーする450人の営業社員の訪問回数が大幅に減り、608時間/月ものワークロードを削減できました。販売店にタイムリーに情報提供ができるようになるとともに、営業社員の業務負担軽減にもつなげることができました。
森さん :
営業担当者が販売店に出向いて行っていた各種のヒアリングも、LINE WORKSのアンケートを使えば大きく効率化するので、当社とLINE WORKSでつながる販売店の数は、今後まだまだ拡大する可能性があります。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
田中さん :
現状では販売店に対してホームで情報提供をしているだけですが、今後は販売店からLINE WORKSで当社にお問い合わせなどをしていただける仕組みを作り、よりスピーディなサポートができる環境を構築したいですね。
伊東さん :
販促活動は各チームがさまざまに工夫を凝らしているので、ホームを活用することでお互いの取り組み事例を共有できるようになればと思っています。
森さん :
当社と販売店の契約業務省力化に向け、LINE WORKSとのAPI連携による電子サインシステムの導入を計画しています。また、将来的にはチャットボットを活用した社内向けのヘルプデスク開設も検討するつもりです。LINE WORKSの活用をさらに拡大して、業務生産性を向上させ、働き方改革のさらなる推進につなげていくつもりです。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2019年11月当時のものです。