医療法人(社団) 佐藤病院グループ、グループ内で複数のクリニックや療養病床、在宅系介護施設、入所施設を運営しながら、医療・介護の両面から高齢者医療に取り組んでいます。訪問診療における多職種連携を円滑に実践するためにLINE WORKSを活用。医師や看護師と内外の介護スタッフが一体となり、最新の情報をLINE WORKSでリアルタイムに共有することで、在宅患者の容体急変に迅速に対応できる理想的な環境を整えています。
本事例のポイント
- 医療・介護スタッフの多職種連携を円滑に実現
- 患者宅や移動中でもリアルタイムに情報を共有
- 在宅患者の容体急変に迅速に対応
- グループ内の情報交換がスピードアップ
訪問診療に対応した使いやすいICTツールが必要不可欠
三重県桑名市にある医療法人(社団) 佐藤病院グループは、国が推進する地域包括ケアシステムのもと、医療・介護の両面から地域の高齢者医療に積極的に取り組んでいます。特に訪問診療体制を整え、平成29年には訪問診療クリニックを開設し、地域の訪問介護施設のケアマネージャーや介護スタッフ、薬局などと連携を取りながら、患者一人ひとりに対してきめ細かな対応を行っていることが大きな特長です。
「在宅で療養している高齢者は、急に具合が悪くなるなど容態が変化しやすいので、最低でも3つの医療機関や介護施設の法人と関わっています。そのため、ICTを活用した外部連携の仕組みが必要不可欠でした」(佐藤さん)
複数の関係者との連絡は電話とFAXが中心だったので、情報をリアルタイムに共有することが困難でした。電話がかかってくると仕事を中断しなければならず、FAXは操作に手間がかかり、送信漏れや送信ミスが生じやすいことが大きな課題でした。
そうした中、地域の自治体が在宅医療・福祉統合ネットワークを構築。長島中央病院も活用し始めました。しかし、アクセスする度に毎回ログインが必要なシステムだったため、スマホで利用する場合には使いづらい面もあったそうです。
「自治体のネットワークは、事務所のPCで仕事をするには便利です。しかし訪問診療の現場では医師が患者様の自宅に居たり、移動したりしていることが多いので、外出先でも円滑に情報をやりとりできるICTツールも必要でした」(水野さん)
「患者様によっては、他の自治体にお住まいの方もいらっしゃいます。そういった場合は在宅医療・福祉統合ネットワークで情報連携ができないので不便を感じていました」(佐藤さん)
年配のスタッフも直感的に操作できるLINE WORKSを導入
佐藤病院グループが複数のICTツールを実際に試していく中で、最終的に行き着いたのがLINE WORKSでした。
「医療機関や介護施設には年配のスタッフが比較的多いので、年配者でも画面をぱっと見て感覚的に使えることが一番の魅力でした。導入も簡単なので、ほかの事業者に参加してもらいやすいことも大きな選定理由でした」(佐藤さん)
当初は、LINE WORKSのフリープランを試用。その際、佐藤さんが自ら地域の介護施設などで啓発活動を行い、長島中央病院のスタッフがLINE WORKSの設定作業をサポートするなど、LINE WORKSでの情報伝達が可能になったスタッフが徐々に増えていきました。
その後、LINE WORKSで数多くの在宅患者の情報を共有するようになり、患者の様子を写真撮影してやりとりするケースもあるため、ストレージ5GBのフリープランでは容量が足りなくなってきました。そこで、半年後にストレージ容量が100GBのライトプランにバージョンアップ。訪問診療における「多職種連携」を実現しています。
外部トーク連携で10法人以上とリアルタイムに情報共有
さとう糖尿病・訪問診療クリニックは、LINE WORKSの外部トーク連携を活用して、地域の訪問看護ステーションや介護事業所など10法人以上、約16名とリアルタイムに情報を共有できる環境を整えています。
具体的には、在宅患者一人に対してトークグループを作成し、ノートに患者情報やご家族の連絡先、ケアマネージャー名などの基本情報を登録。訪問後にはトークのチャットで病名や病状の変化を時系列でまとめて記載することで、簡易的な共有カルテのような使い方を実践しています。
「これまで外部の介護スタッフさんからは、医師は多忙なので質問がしづらいというイメージを持たれていました。しかし、LINE WORKSを導入したことによって、以前よりも気軽に情報共有がしやすくなり、緊急時にも臆することなくすぐに相談できるので、医師とのコミュニケーションが円滑になったようです。患者様のケアを安心して行えると大変好評です。その結果、病院自体の評価アップにもつながっています」(佐藤さん)
患者の急な容体変化も「多職種連携」で迅速に対応
現在、LINE WORKSで内外の介護施設と密に連携しながら、100名以上の在宅患者の情報をリアルタイム共有しています。電話やFAXでは、内外の関係者に向けていっせいに情報配信することはできません。しかし、LINE WORKSでは、患者様の日々の状況をトークすれば、関係者間で瞬時に情報を共有できます。
「以前、患者が病院から自宅に戻り、その日の夜に痛みで眠れなくなることがありました。その際、ご家族がケアマネージャーに連絡してケアマネージャーがLINE WORKSのグループトークで私に連絡。すぐさま電話診療を行い、グループトークで薬局に鎮痛剤の調合を依頼し、訪問看護師に患者の様子を見てきてほしいと指示を出しました」(佐藤さん)
その後、訪問看護師が患者の自宅で鎮痛剤の投与や点滴を行うことで、素早い応急処置を実現しました。また、グループトークには事務局の水野さんを招待し、患者の再入院の手続きの準備も進めているそうです。
「自分が現地に行けないときは、現地にいるスタッフに患者様の様子をスマホで動画撮影してLINE WORKSにアップロードしてもらうケースもあります。それを見て迅速な判断をしています」(佐藤さん)
佐藤病院グループ内で情報交換の場として有効活用
その一方で、佐藤病院グループ内でもLINE WORKSを情報交換の場として活用しています。現在、訪問診療医師が、さとう糖尿病訪問診療クリニックで2名(佐藤さん含む)、長島中央病院で3名の合計5名。訪問看護師は6名です。さらに佐藤病院グループは、介護老人保険施設やサービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援事業所など複数の介護施設を運営しています。その中で、各事業所の相談員14名とケアマネージャー2名もLINE WORKSを常時活用しています。
「保険制度に準じて、患者様の状態によって受け入れる介護施設が決まります。しかし、その際、ご家族が望む環境や費用面、医療依存度、介護の度合いなど、さまざまな視点での検討が必要になります。そのため、対象となる各事業所の相談員がLINE WORKSのトークに参加。そのやりとりの中で、患者様の状況を確認しながら最適な介護施設を選定し、患者様のご家族に提案しています」(水野さん)
多職種連携による迅速な対応は、患者のご家族からも「安心して日常生活が送れる」と大変に喜ばれているそうです。特に訪問診療は今後も増え続ける傾向にあるので、ICTを活用した多職種連携の重要性がますます高まっています。
「医療機関では、国の方針のもと、訪問診療のウエイトが年々増加しています。その点、LINE WORKSは、セキュリティ対策も強化されていますし、移動中でもスマホを使って最新の情報を確認できるので、とても便利です」(水野さん)
佐藤病院グループは、今後もLINE WORKSの外部トーク連携を中心とした機能をフル活用しながら、医療機関と介護施設が一体となった多職種連携によって、地域包括ケアシステムを積極的に推進していく考えです。
【お話を伺った方】
佐藤 沙未さん
佐藤病院グループ さとう糖尿病訪問診療クリニックの訪問診療医師。LINE WORKSの管理者兼利用者で、外部トーク連携の推進役を果たしています。
水野 智史さん
長島中央病院の事務局の責任者。LINE WORKSの導入と利活用をバックヤードでサポートしています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年4月当時のものです。
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