ソフトバンク株式会社
2019-03-07
業種
小売・卸売 IT・通信
目的・効果
スマートフォン活用 業務自動化・Bot 連携ツール 電話・メールの削減
主な活用機能
トーク
Bot
お話を伺った方
ソフトバンク株式会社 カスタマーケア&オペレーション本部 営業推進統括部 事業推進部 事業推進2課 課長
吉利 謙一さん カスタマーケア&オペレーション本部
営業推進統括部 WEB推進部 推進2課 課長 坂本 忠昭さん
ソフトバンク表参道 店長 大熊 翔さん
ホームページ

全国のショップクルーの質問にコールセンターが即応可能!アバンダンコールゼロで応答率改善、電話と比べAHTが60秒短縮しCSの向上を実現しました。

連携ツール

 

全国に約2,400店舗あるソフトバンクショップは、各店舗とコールセンターを結ぶチャットツールとしてLINE WORKSを導入。店舗からの問い合わせにオペレーターが迅速に回答する体制を整備し、アバンダンコール*やAHT*が改善し、店頭でのお客様の待ち時間を短縮しました。コールセンターではLINE WORKSとチャットボット開発運用ツール “hachidori OPERATOR”を連携させ、蓄積された問い合わせ内容などの統計データを分析することで、さらなる顧客サービスの向上を図ろうとしています。

皆さんの役割をご紹介ください。

吉利さん :

カスタマーケア&オペレーション本部の営業推進統括部に所属する私は、携帯端末や固定回線などを扱うソフトバンクショップや家電量販店などの販売現場で接客をするクルー全体の業務効率化を推進する役割を担っています。

 

坂本さん :

現在はカスタマーケア&オペレーション本部の営業推進統括部 WEB推進部に所属していますが、ソフトバンクショップのクルーによるコールセンターへの問い合わせ業務の効率化に際しては、LINE WORKSとhachidori OPERATORの導入と展開をサポートしました。

 

大熊さん :

私は直営ショップの旗艦店であるソフトバンク表参道の店長として、店舗業務全般と約35名のクルーを取りまとめています。

導入以前の問い合わせ業務には、どのような課題がありましたか。

吉利さん :

全国に約2,400店舗あるソフトバンクショップでは、総勢約2万人のクルーがお客様の新規契約や機種変更などを受け付けています。近年は端末の機能や料金プラン、キャンペーンなどが多様化・複雑化しており、クルーがお客様からの問い合わせに即答できない場合があります。弊社のサイトで情報を確認しても解決できない場合は店舗内の他のスタッフや上長に相談し、それでも分からなければ上長がコールセンターに電話をかけて問い合わせていました。その間、お客様をお待たせすることになるので、オペレーターから回答を得るまでの時間をいかに短縮するかが、以前からの課題になっていました。

坂本さん :

コールセンターは全国に3拠点あり、約100名のオペレーターが対応していますが、まずはIVR(自動音声応答)のメニューガイダンスから目的のメニューを選択するのに一定の時間を要します。また、ある窓口の平均問い合わせ件数は1万数千件/月にも上るため、そもそも電話がつながりにくいことも少なくないのが実情でした。

 

大熊さん :

コールセンターへの問い合わせ時には、質問する前に店舗コードや認証番号などを伝えて本人確認を受ける必要があり、そのこともお客様の待ち時間を長引かせる要因の1つとなっていました。

課題解決のためにLINE WORKSとhachidori OPERATORを導入された経緯をお聞かせください。

吉利さん :

クルーとオペレーターがチャットでやり取りをすれば、電話よりもスピーディーに問い合わせや回答の発信ができるようになるのではないかと考えました。LINE WORKSを選定したのは、多くの人が使い慣れたLINEとインターフェースが似ており、導入教育に時間とコストをかけずに済みそうだったからです。
まず直営ショップでトライアルを行ったところ、利用したクルーによる評価が高かったことから、2018年4月に本格的な運用を開始し、同年10月に全店舗への導入が完了しました。クルーが問い合わせ時に個人の携帯端末を操作するのはお客様に与える印象がよくないので、LINE WORKSアプリをキッティングした問い合わせ専用のスマートフォンを各店舗に配布し、クルーが共用しながら運用しています。

 

坂本さん :

問い合わせの内容・件数や回答までの所要時間などを統計データとして蓄積し、サービス内容改善に役立てるため、コー ルセンター側にはプログラミングレスチャットボット開発運用ツールhachidoriを導入しました。hachidori OPERATORはLINE WORKSとの連携実績があるので、他のソリューションに比べてスムーズに導入・運用することが期待されました。

LINE WORKS とhachidori OPERATOR連携イメージ

LINE WORKSでは料金やキャンペーン等に関する問い合わせのためのトークルームと、端末操作に関する問い合わせをするトークルームを開設し、クルーが目的のトークルームにトークするとコールセンターのhachidori OPERATORに表示され、オペレーターが適宜対応する仕組みです。

オペレーターの皆さんはhachidori OPERATOR の操作法をスムーズに習得されましたか。

坂本さん :

hachidori OPERATORはパッケージ製品でありながら柔軟なローカライズが可能なので、試用期間中に操作や機能に関するオペレーターからのニーズを吸い上げてカスタマイズしていただきました。新しいツールが一方的に提供されるのではなく、コールセンターの管理者とhachidoriの担当者が共に仕組みを作り上げ、その上でオペレーターに使い方を研修したので、スムーズに運用を開始することができました。

コールセンターが回答するhachidori OPERATOR操作画面デモイメージ

導入によって、問い合わせ業務はどう改善されましたか。

大熊さん :

LINEに似たチャット形式なので、どのクルーも戸惑うことなく利用できています。以前はクルーからぶつけられた疑問を解決できない場合、私がコールセンターに問い合わせていましたが、LINE WORKS導入後はクルー自身が判断してオペレーターに直接質問を送信し解決できるようになりました。クルーから受ける相談件数が減ったことで、私が他の業務に注力できる時間も増えています。
電話だと「忙しいオペレーターにこんな質問をぶつけてよいのだろうか」という躊躇がありますが、テキストによる問い合わせならそうした抵抗感が少なく、気軽に問い合わせられるのもチャットのメリットです。どの店舗でも、LINE WORKSは問い合わせ業務に不可欠なツールとして定着していると思います。

 

吉利さん :

導入直後はクルーもオペレーターもメールのように冒頭に挨拶文を付けたりしていましたが、その後チャットでは接頭・接尾辞を省力することをルール化。AかBかを問うような択一の質問の場合には、オペレーターも問いへの答えだけを手短に返信するように取り決めました。その結果、クルーが質問してから回答を得るまでのAHT(アベレージハンドリングタイム)は、電話による問い合わせが1件あたり340秒なのに対し、チャットでは280秒と大幅な短縮を実現しています。電話におけるIVRや本人確認を踏まえると、チャットはその時間がなく、質問に至るまでの時間が削減されたため、より効果は大きいと思います。

 

坂本さん :

クルーによる問い合わせ手段は、電話とチャットがほぼ半々となっています。当社は個人情報のやりとりをチャットで行わない運用ルールを定めているので、問い合わせ業務では電話とチャットの併用が避けられません。それでも約半数の問い合わせ時間が平均60秒も短縮されていると考えれば、全社的な業務負担の軽減率はかなり大きいものだと認識しています。

問い合わせに要する時間短縮以外に得られた成果があれば教えてください。

吉利さん :

新規ご加入やプラン変更などを受け付ける店頭はお客様との重要なタッチポイントなので、問い合わせ業務の効率化によるカスタマー満足度の向上や、店頭でお客様を待たせる時間の短縮、実質接客時間の増大は、結果的に当社の収益向上に寄与するはずです。

 

坂本さん :

業界を問わず、多様な知識や対応力が求められるコールセンターのオペレーターは業務ストレスが大きいために離職率が高いと言われています。そのストレスは文字よりも電話による問い合わせの方が大きいというデータもあることから、チャットツールの導入はオペレーターの定着率を高める可能性があります。長期的に考えれば、スタッフの新規採用や教育に要するコスト低減につながることも期待されます。
また、hachidori OPERATORに蓄積されたデータを分析することで、クルーによる問い合わせはキャンペーンや新サービス、法人や外国籍のお客様の加入手続きに必要な書類などに関する内容が多いことが分かりました。こうした分析結果は、問い合わせ業務のさらなる効率化に何らかの形で役立てられると思います。

LINE WORKSとhachidori OPERATORの活用を、今後どのように発展させたいですか。

吉利さん :

現在のところソフトバンクショップのみでの運用ですが、今後は家電量販店様の店頭でも導入を進めていくつもりです。

 

坂本さん :

BOTを活用することで、チャットによる問い合わせのAHTをさらに短縮したいと考えています。問い合わせの一部に自動回答がなされる体制を構築すれば、オペレーターの対応件数そのものを減らすことが可能です。

 

大熊さん :

蓄積されたデータから特に多い質問と回答を抽出し、その事例をクルー全体にナレッジとして共有させる仕組みが用意されれば、問い合わせ業務のさらなる省力化が実現できるのではないかと思っています。

 

※アバンダンコール…放棄呼の総称。待ち呼の状態で、コールセンターのオペレーターに電話が繋がる前に問い合わせた側が電話を切ってしまうこと
※AHT…オペレーターが対応する問い合わせ1件あたりの平均処理時間

 

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2019年1月当時のものです。