U-16プログラミングコンテスト阿南大会実行委員会
2022-02-07
業種
教育・塾 NPO・団体等
目的・効果
遠隔支援 コンプライアンス・セキュリティ プロジェクト管理 学生との連絡 導入のしやすさ
主な活用機能
トーク
グループ
掲示板
アンケート
管理
お話を伺った方
阿南工業高等専門学校 創造技術工学科 情報コース 教授
吉田 晋さん
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プログラミングコンテストで臨場感を演出。競技として参加者や保護者、オーディエンスもオンラインで楽しめる大会運営をLINE WORKSで実現できました。

 

本事例のポイント
  • プロコンのオンライン開催に最適なツールとして採用
  •  進行状況を見える化しライブ感を味わえる
  • プログラミングの楽しさも伝わり参加者の満足感を得られた

 

2020年11月に初の開催となった「U-16プログラミングコンテスト(以下、プロコン)阿南大会」。第一回がコロナ禍での開催となった同大会では、大会運営において、セキュアな環境下で出題者と参加者がコミュニケーションを取ることができるLINE WORKSを導入。

オンラインでの大会開催が可能になっただけでなく、回答提出の速さや成績順位を競っている様子がオーディエンス全員にリアルタイムに見える化されたことで、大会の臨場感を演出することにも成功しました。同大会の実行委員長である阿南工業高等専門学校の吉田教授にLINE WORKSの活用についてお話を伺いました。

 

「U-15/U-16プログラミングコンテスト」とは

2011年に北海道旭川市の有志がU-16プログラミングコンテストを立ち上げたことから始動し、“パソコンが好きな子どもたちをほめ称える場をつくろう”というコンセプトのもと、全国各地で開催されています。現在は、旭川大会実行委員会の協力を得て、ITジュニア育成交流協会がU-15/U-16プログラミングコンテストの仕組みを47都道府県の志をもつ方々にご紹介し、地域でのコンテスト開催や子どもたちの顕彰を支援しています。

阿南大会開催にLINE WORKSを利用するきかっけは?

私自身がエンジニア出身ということもありますが、学生たちにプログラム業界への興味を持ってほしいという想いから、2020年に小学校高学年を対象にしたU-16プロコン阿南大会を初めて開催しました。小学生を対象にしたのは、プログラミングが小学校の義務教育化になったこともあり、小さい頃にプログラミングに触れて好きになってほしかったからです。

 

第一回の開催タイミングがコロナ禍でしたので、対面できない状況の中、オンラインでどう開催しようか悩みました。さらに、大会を開催するからには、臨場感を出してオーディエンスにも楽しんでもらいたいという考えがありました。

 

U-16プログラミングコンテスト阿南大会、第一回・第二回実行委員長で
阿南工業高等専門学校 創造技術工学科 情報コース 教授の吉田先生

 

コロナ禍でなくても、従来からプロコンというのは、ロボットコンテストのように物理的な動きもありませんし、スポーツのように観覧できるような試合をするというものではありません。パソコンで出題された問題に対して各自がプログラムを作成して、サーバーへ提出。最後の結果発表ではじめて誰が1位かわかるという地味なものでした。参加者も自分が速いのか遅いのか、今勝っているのか負けているのかもわかりませんし、オーディエンスとしても、一生懸命パソコンに向かっている子どもたちの様子はわかりますが、試合の醍醐味である途中経過や競い合っている様子はわかりません。阿南大会では、そういった地味さを払拭して、ショーのように参加者もオーディエンスも楽しんでもらいたい。そこからプログラミングの面白さを知ってほしいと思っていました。

 

そこで、時系列で流れるトーク機能があるLINE WORKSに注目しました。出題者と参加者、採点者をグループにして、その中で出題、提出、採点を行い、そのトークルームをZoomで放映すればオーディエンスもオンラインで視聴できるのでスムーズな大会運営ができるのではと考えました。

 

大会が始まるまでの待機画面に、協賛企業の紹介や優勝者への景品の告知を行う

LINE WORKSを選択した決め手は?

教育業界は、個人情報の扱いについては非常にセンシティブです。保護者も含めて関係機関に承認を取る作業というのが大変です。その点、LINE WORKSは、グループウエアの機能性と、セキュリティ面での安全性の両方をもっていました。管理された大会専用の環境を作っていますよと言えることは、保護者の安心感も醸成できます。

セキュリティ面も安全なうえ、LINE WORKSであれば日常生活で子どもたちが使い慣れているLINEと操作性が似ているので、説明しなくてもすぐに使い慣れてくれると思いました。運営も少人数で行いますので、人的にも費用的にもコスト負担がすくない、LINE WORKSを運営ツールとして採択しました。

U-16プロコン阿南大会では、実際にLINE WORKSをどのように運用したのですか?

第一回だった昨年は、大会は私を含めて教員2名、ティーチングアシスタント(TA)3名の計5名で運営しました。今年は、私と、ティーチングアシスタント(TA)2名のみで運営しました。大会には、コロナ禍でしたが第一回6名、第二回は8名の小学生が参加してくれました。

 

あらかじめ参加者のLINE WORKSアカウントを用意し、大会運営側と参加者のみの専用のグループトークに参加させておきます。

大会で参加者が使用する各ノートパソコンにコンテストで使うソフトとLINE WORKSアプリをインストールし、参加者のアカウントでLINE WORKSにログインしておき、会場になる学校の教室にセッティングしました。

 

大会当日は、グループトークで問題を出題し、できた人からプログラムのスクリーンショットを同じトークルームに提出して、採点もその場で行います。誰が先に提出したのか、どんなプログラムを提出したのかなどすべて可視化することにしました。

教室には大きいモニタを用意して、当日付き添いで来られる保護者のみなさんにもトークルーム画面が見えるようにし、来場できない関係者やオーディエンスにはZoomでモニタの画面を共有して大会の様子をライブで視聴できるようにしました。

LINE WORKSで大会を進行するうえで工夫された点はありますか?

グループトークで大会を進行していくと決めた時に、問題になったのは先に提出した回答が見えることでカンニングされるのでは、ということでした。大会開催者の方針によりますが、阿南大会は「プログラミングに興味を持ってもらうこと」がゴールでしたので、オープンにすることで味わえる「速く出せた」「上手くできた」という達成感を感じてもらいたいと思いました。その代わり、加算する点数で工夫をしました。1番早い子は2番目以降の子より多めのポイントを加算し、繰り返し(ループ)ができている子はボーナスポイントを加算するなど、スピードとクオリティで競えるようにしました。

 

 

また、トークで出題すると、回答が提出されてきたときに流れて画面から消えてしまうので、LINE WORKSの画面を映すモニタを分割して出題内容を常時表示させることしました。

 

スコアの入力にはGoogleのスプレッドシートを使い、グラフ化した成績表もモニタに常時表示させました。出題ごとの加算に応じてリアルタイムにグラフが動くので、全員に競い合っている感じが伝わります。

 

モニタは画面を分割してLINE WORKSのトーク画面、得点グラフ、出題内容を表示。
会場にいる保護者やオンラインの視聴者にも大会の状況がリアルタイムに伝わる。

LINE WORKSを活用した結果はいかがでしたか?

円滑な大会進行が実現して、とても良かったと思います。想定どおり、子どもたちが操作に迷うようなことはありませんでした。

 

子どもたちには、「パソコンにログインしたらトークになにか書いてね」と伝えただけでした。使い方の説明に時間を取る必要もありませんでしたし、使い方に関する質問や戸惑う様子もありませんでした。運営側も、指定したメンバーどうしだけのクローズな環境で安心してトークできたので管理も簡便でした。

 

1分を競う参加者。出題された図形を描画するプログラムができた順にトークに回答を送りスピードを競う

 

採点をするTAからは「大きさが違いますよ」や「惜しい」などの応援もトークで送られたので、参加している子どもたちの士気も上がっていました。ひとつのUIの中で大会運営の把握もできましたし、競技の進行状況がライブで保護者やオーディションスに視聴いただけたので、臨場感も伝わったと思います。

 

TAからの採点やコメントを送り参加者を応援する。

 

大会の最後に、アンケート機能で参加した子どもたちから感想を集めました。回答が集まると同時に集計画面がパッと可視化されるので、その場ですぐに共有できたのは良かったです。

 

大会終了時に収集したアンケート結果もその場で共有できる

 

大会終了後は、トークをさかのぼって問題の出し方が良かったか、運営に問題がなかったかなど次回の改善に活かすこともできます。

 

参加した子どもたちからは「楽しかった」というコメントや、面白いスタンプをたくさんトークで送ってくれました。参加者側も気持ちが伝えやすいのは、LINE WORKSならではですね。

 

 

1時間ほどの大会でしたが、参加した子どもの中には僅差で負けて悔しくて泣いてしまうほどの子もいるくらいの熱戦となりました。

第一回の大会でプログラミングに興味を持ち、優勝を狙って2年連続で参加してくれた子もいました。大会開催の目的も達成できることを実感しました。

今後やってみたいことはありますか?

LINE WORKSとモニタさえあれば、人件費もシステム費も低コストでプロコンが運営できることがわかりました。このハイブリッド型の阿南方式はこれからも活用していきながら、オーディエンスが見たときにどうしたら楽しんでもらえるか、さらに工夫を重ねていきたいと思います。

次回は、もっと参加者も多くして、阿南工業高等専門学校で毎年開催される蒼阿祭と同じ日に開催して、蒼阿祭の来場者にもモニタ越しで大会を見てもらいたいです。プロコンなどを通して、プログラミングに興味を持つ子どもたちをこれからも増やしていきたいと考えています。

 

第一回U-16プログラミングコンテスト阿南大会開催レポートはこちら

 

 

【お話を伺った方】
吉田 晋さん

阿南工業高等専門学校 創造技術工学科 情報コース 教授で、U-16プログラミングコンテスト阿南大会、第一回、第二回の実行委員長。自動車関連の部品メーカーにてエンジニア、システム系企業にてグループウエア、システム開発などに従事したのち、母校でもある阿南工業高等専門学校にて教授をつとめる。

 

※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2021年12月当時のものです。

 

【資料公開】教育業界向けLINE WORKS導入事例集