全国に拠点を持ち、グループ内の社労士などとも連携しながら1万社以上の顧問先企業の経営を支援するベンチャーサポート税理士法人。顧客との連絡や法人内コミュニケーションにLINEを利用していた同法人は、セキュリティ性を高めガバナンスを強化する目的からLINE WORKSを導入しました。手軽にやり取りできるチャットツールの便利さを維持しながら、セキュアに税務に関する情報をやり取りできる環境を構築し、法人内外のコミュニケーションを円滑にすることで業務効率をいっそう高めています。
本事例のポイント
-約5,000もの顧問先と連携して安全に業務情報を素早く共有
-ログ監査や掲示板の閲覧制限などができる管理者機能でガバナンスを徹底
-非正規社員にはLINE WORKSフリープランを導入し、外部トークグループで業務連絡
御社の事業と皆さんの業務内容をご紹介ください。
坪井さん :
当税理士法人は、社会保険労務士法人、司法書士法人、行政書士法人、弁護士法人などからなるベンチャーサポートグループの一員で、法人名が示すようにベンチャー企業の支援に力を入れています。グループ内の創業支援専門チームが会社設立をサポートし、開業後に税務顧問を任せていただくビジネスモデルを構築しており、2003年の創業以来、2万5,000社以上の起業をお手伝いしてきました。当法人の税理士や税務コンサルタントがグループ内の社労士・司法書士・行政書士・弁護士などと連携しながら、会社設立後の税務と多様なサービスをワンストップでご提供できるのが強みです。
私は税務コンサルタントとして顧問先企業の経営を支援するほか、自社の経理や社内のコンプライアンス強化、生産性向上に向けた業務改善なども担当しています。
千葉さん :
経理を担当する私は、ベンチャーサポートグループが全国に展開する税理士法人14拠点、社労士法人7拠点の請求関係の管理や会計上の振替業務などに携わるとともに、坪井が主導する社内業務の効率化もサポートしています。
これまでどのような課題を抱えていましたか。
坪井さん :
当社が税務顧問となるベンチャー企業の経営者は平均年齢が若いこともあって、私どもとの連絡をLINEで取ることを希望されるケースが少なくありません。その要望に応えるかたちで、多くの社員が顧問先とのやり取りにも社内コミュニケーションにもLINEを使っていましたが、LINEは会社の管理外にある個人のコミュニケーションツールです。そのため、社員と顧問先の間でトラブルが生じた際に、会社がLINEの内容を確認したくても閲覧することができず、実態を把握することが困難でした。また、同一のLINE内にプライベートのトークと業務のトークが混在し、公私の区別がつけられないという問題もありました。
社員数が少ないうちは手軽にコミュニケーションを図れる便利さがデメリットを上回っていましたが、グループ全体の社員数が1,000名を超す規模になると、ガバナンスを徹底させなければなりません。そこで、LINEに替わるビジネスチャットツールの導入を考えるようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選ばれた理由をお聞かせください。
坪井さん :
顧問先のLINEと直接やりとりできることが第一の目的でしたので、他のツールを検討するまでもなくLINE WORKSを選定しました。当税理士法人や社労士法人をはじめとするグループ全体で導入し、社内でも業務に関する連絡や情報共有はすべてLINE WORKSに統一し、個人LINEの使用は禁止しました。
顧問先のLINEとの具体的な活用シーンと導入効果をお聞かせください。
・顧問先のLINEとつながり税務データをセキュアに共有
・コンプライアンス意識を喚起してガバナンスを強化
坪井さん :
当社の顧問先は約1万社あり、外部のLINE WORKSやLINEとつながれる外部トーク連携機能を使って、半数以上の顧客のLINEとコミュニケーションを行っています。税務では顧問先からオンラインバンクの取引データなどをトークに添付して送ってもらうことがよくありますが、ファイルの保管期限がLINE より長いので、担当者がダウンロードするのを忘れたまま期限が切れて顧客に再送してもらうといったご迷惑をかけることが少なくなりました。
LINE WORKSの管理機能によって、会社がアカウントを管理できるようになりました。退社した社員のアカウントを直ちに停止できるなどセキュリティ性が高まり、また、必要に応じてトークログをチェックできることを社員や顧問先に周知することで、コンプライアンス意識を喚起。連絡業務を効率化するだけではなく、ガバナンスを強化することにもつながっています。
社内コミュニケーションではどのように活用されていますか。
坪井さん :
メール、スケジュール共有、会議室予約などに関しては以前から運用しているグループウェアを活用していますが、社員どうしが手早く連絡し合いたいときや、グループのメンバーに素早く情報を共有させたい場合は、LINE WORKSのトークで発信するという使い分けをしています。
千葉さん :
経理業務では顧問先に請求する顧問料などに関して税理士や税務コンサルタントに確認する機会が多く、メールと違って社外にいる担当者と会話のようにやり取りできるのが便利です。
LINE WORKSのフリープランを活用して、非正規社員との連絡にも活用しているのですね。
坪井さん :
税務のアシスタント業務をする担当者の中には、非正規社員もいます。外出中の社員に顧問先から電話があったことを伝えたりするため、非正規社員にはLINE WORKSのフリープランのアカウントを付与して会社で管理し、外部トーク連携で社員や他のアシスタントとつながることで、スムーズな業務連絡や情報共有ができる環境を整えています。
全社向けや法人・各拠点別に掲示板を作成して効率的に通達を出しているのですね。
坪井さん :
会社からの通達には、閲覧制限をかけられる掲示板を活用しています。以前はそういった連絡はメーリングリストを使っていましたが、返信が自由にできてしまうのでメールボックスが煩雑になりますし、誤送信の可能性もあります。
全社員がアクセスできる掲示板の他に、各法人や各オフィスに所属する社員のみに閲覧制限をかけた掲示板を作成し、効率的に情報をアップするようにしています。誰が既読になったかがわかるので、未読の社員に閲覧を促すことで周知の徹底を図れるようにもなりました。
年末調整や確定申告に際して各担当者から顧問先に通知して欲しい注意事項を記載した文書のテンプレートも掲示板で共有。個々の担当者が文書を作成する負担を削減するとともに、顧問先への通知文書の内容にムラが生じことを防げるようになりました。最近は、2023年10月からスタートする仕入税額控除を受けるためのインボイス制度に向けた社内研修に力を入れており、その関連資料の共有も掲示板で行っています。
千葉さん :
ほかに、業務システムから出力された請求書データなどを各オフィスの掲示板にアップし、ダウンロードした担当者から顧問先に送付してもらうといった活用もしています。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
坪井さん :
これまでの活用はトークと掲示板に絞られていましたが、例えば勤怠管理システムを導入してAPI連携させるなど、さらなる業務改善を進めていきたいと思っています。
【お話を伺った方】
坪井 伸樹さん
税務コンサルタントとして顧問先企業をサポートするとともに経理部門を統括。経営企画室の室長として社内の業務効率化も推進する。
千葉 悠未さん
経理業務を担当するほか、社内の業務効率化推進もアシストしている。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年9月当時のものです。