昭和25年に創業したヤマグチ株式会社様は、国土交通省が発表する技術力ランキングで鹿児島県1位(2018年度)を獲得。経済産業省が発表する地域未来牽引企業に選出されるなど、技術力に定評があります。しかしその技術力は、良い人間に宿るという理念のもと、人間性の向上にも積極的です。
普段本社に戻ることのない離れた現場とのコミュニケーションを行うために、研修がいらない・誰でも使えるビジネスチャットツールを模索し、LINE WORKSにたどり着いたという山口専務、土木部でLINE WORKSを活用する遠山さん、田底さんに話をお聞きしました。
事業内容と皆さんの役割を教えてください。
山口さん:
当社は土木と建築を主な事業とする総合建築業者(建設業者)です。公共の土木工事や病院・学校・マンションといった大型工事、造成と解体、それからリフォームなど幅広く手掛けています。
私が担当しているのは、サーバーなど社内インフラ、LINE WORKSも含めた通信環境の管理です。また昨今は建築業界(建設業界)もIT化がかなり進んでおり、ITツールを使った業務効率化や、社内の発展のためのデータ整理や情報の管理責任者も担っています。
リクルート活動の責任者でもあるため、毎年採用活動に携わっています。
遠山さん:
土木部IT推進課の課長を務めています。国土交通省の工事を中心に現場業務も行いますが、例えば測量のためにドローンを導入するなど、ICT建機を使って現場のIT化を推進しています。
田底さん:
太陽光発電所の造成工事の現場監督をしています。施工主とのやり取りや、作業工程がスムーズに進んでいるかどうかの確認作業が主な業務です。
LINE WORKS導入以前に課題となっていたのはどのような点ですか。
山口さん:
当社は建築業(建設業)なので、県内の各現場に社員が散らばっています。長い工期になると、年単位になるものもあり、その間は現場に出ている社員はなかなか本社に戻って来ません。私たちは地方の中小企業ですから、部を超えて横のつながりを強化していかないと、競合他社と戦っていけません。しかし、遠方になれば、作業現場へ直行直帰ということもあり、違う現場の社員同士が顔を合わせる機会が少ないのが現状です。
業務に必要な情報伝達は電話かメール、事務所のホワイトボードに掲示する。それから資料を回覧板にして、本社の事務所内で回すという方法で行っていました。しかし紙ベースでの情報共有だと、社員が事務所に戻ってきた時にしか確認ができません。社員全員が確実に情報に目を通すことができる伝達ルートがないということが課題になっていました。
遠山さん:
LINE WORKSを導入する以前、会社から支給されている携帯電話はガラケーでした。社員同士で情報交換をする場合、ガラケーのショートメールを利用するか、毎月本社で開催されている会議の中で行うことが多かったです。私たちは建設業なので安全が第一です。どんなに気をつけていても事故は起きます。他社で事故が起きたりすると、それを事例として伝え、こうした事故が起きないようにと徹底周知してきました。そういった安全に関わる情報はすぐに伝えたいのですが、次の会議を待っていてはタイムラグが生じます。また、ショートメールでは既読の確認ができないので、本当に読まれているのかを確認する術がありませんでした。社内全体に情報が共有できているのか疑問でした。
LINE WORKSを導入した経緯や決め手を教えてください。
山口さん:
LINE WORKS以外にもいくつか試してみたのですが、一定の年齢以上の社員でも簡単に使いこなせるかなと疑問に思うようなツールが多い印象でした。そこで「LINEみたいなもの」がないか探していき、LINE WORKSにたどり着きました。会社で導入する以上、重要なのは全社員が使いやすいことです。土木部の社員同士が、プライベートでLINEを使っていることを知っていたので、LINE WORKSなら多くの社員が使いこなせるのではないかと考えました。
また、何かしらツールを導入するのに、わざわざ社員全員を本社に集めて、時間を割いてまで説明しなければいけないものなら、導入する意味がないと思っていました。その点、LINE WORKSは感覚的に使えますし、本当に必要な機能を絞り込んでいるため、シンプルで使いやすいと感じました。
遠山さん:
私と山口専務を含め各年代から社員を選抜して数名で最初に試してみましたが、これなら老若男女使いこなせるだろうと思いました。社員に貸与している携帯の大半はガラケーだったので、まずはスマホに替えるところから始め、LINE WORKSを導入する前段階でマニュアルを作成し、社内独自のルールづくりを進めました。LINE WORKSよりもスマホそのものを使えるようになるように、IT推進課が個別にアドバイスするなどフォローもしています。最初はITが苦手だと言っていた人も、今では頻繁にメッセージやスタンプを送ってくれるようになりました。
LINE WORKSの具体的な利用シーンを教えてください。
山口さん:
当社では常に15~20カ所ほど現場が稼働しています。各現場の状況を把握したいということで、社長から毎週末に現場の進捗情報を報告してほしいと要望がありました。そこでLINE WORKSのホームに「工事報告」という掲示板を作成し、写真と1、2行でもいいのでコメントを送ってほしいとお願いしたら、みんなが次々と報告をしてくれるようになりました。
掲示板の他に使用頻度が高いのはトーク、カレンダーを使ったスケジュール管理です。
遠山さん:
IT推進課では、各現場での事故防止などの工夫、新技術に関する情報などを収集してまとめた「創意工夫便り」を作成して、周知しています。LINE WORKSを導入する前、活動報告は会議の場だけでした。しかしLINE WORKSのホームを活用することで、情報が新しいうちにリアルタイムに共有することができます。また、情報の収集方法も以前はひとりひとりに聞いていましたが、今はトークでメンバー全員に簡単に行えるようになりました。
田底さん:
私が現場を離れている時に、現場でのトラブルや急ぎで確認しなければいけないことが生じた場合、スピード対応が求められる時にLINE WORKSが活躍してくれます。
言葉だけで現場の状況を伝えようとすると、相手によって言葉の受け止め方が違うので、どうしても些細な行き違いが生じます。しかし現場の画像を送れば一目瞭然なので、行き違いや誤解もなくなりました。
また、LINE WORKSは既読がつくので、誰が読んだのかも確認できる点が良いと思っています。こちらがトークしたのに、いつまで経っても既読されない場合は、現場で何かあったのではないかと心配になり、確認の連絡を入れることもあります。既読機能は、現場の安否確認の役割を果たしてくれています。
LINE WORKS導入後、どのような変化がありましたか?
山口さん:
いろいろな変化がありました。まず情報共有のために社員の間で回していた回覧板が9割減りました。回覧板にする資料の印刷枚数が多かったので、印刷費削減につながりました。
また、情報共有のスピードが上がりました。掲示板で社員に資料を一斉配信できるようになってからは、情報共有を翌日に持ち越すことはゼロになりました。
会議の調整が早くなりましたし、会議の回数も減りました。普段本社にいない営業や管理職と打ち合わせをする際、以前は各自の手帳などで予定を管理していたので、それぞれに電話をして空き時間を聞いて、誰かがダメだとわかると最初から調整し直しになる手間が大変でした。LINE WORKSを導入してからは、カレンダー機能で関係者の予定や空き時間もわかるので、調整が楽になりました。簡単な確認であればLINE WORKSを通して行うようになったので、会議そのものがどんどん減っています。情報共有が頻繁に行われているので、入札案件など、一つ一つの案件の意思決定が速くなりました。
遠山さん:
それぞれが担当している現場が遠いので、顔を合わせる機会が少ないのですが、LINE WORKSを導入したおかげで、電話で話すよりも直接コミュニケーションを取りやすくなりました。また自分が経験したことのないケースの工事を担当する時に、LINE WORKSで経験のある社員にメッセージを送って、資料やアドバイスをもらうということが手軽にできるようになりました。
山口さん:
工事報告の副次的な効果として、現場が違う社員間のコミュニケーションが生まれはじめました。閲覧している他の社員から「お疲れさま」とか「ここは少し工夫しよう」といったコメントが入るようになったのです。もともと当社は、お互いが顔を合わせている時には良質なコミュニケーションが取れる会社でしたが、顔を合わせていない時も、良質なコミュニケーションが取れるようになったことは大きな変化だと思います。日常的な社内のコミュニケーションの質や、チームワークが明らかに向上したと思っています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2018年6月のものです。