人材サービスを軸に全国へ拠点を広げ、東証プライム上場のウィルグループの一員として成長を続ける株式会社ウィルオブ・ワーク。人手不足が深刻化し、企業の関心が省力化へと移るなか、同社は自らも業務効率化を進めてきました。その一環として、各拠点の代表電話の一次受付をLINE WORKS キャッチコールへ切り替え、AIが用件を聞き取る運用へ。コストを抑えながら、社員が本来価値を生む業務に集中できる体制をどう築いたのか、その取り組みに迫ります。
本事例のポイント
- 【キャッチコール】代表電話の一次受付をAIが自動で対応
- 【AI一次受付】24時間対応で時間外の入電も取りこぼさず通知
- 【管理】LINE WORKS上で番号発行と設定が短時間で完了
- 【コスト】一次受付の人件費を抑え月約58万円を削減
貴社の事業の特徴と、いま特に力を入れている取り組みについてお聞かせください。
小林さん:
私たちは人材サービスを軸にした会社で、東証プライムに上場するウィルグループの一員です。人材業界は、正直なところ商品で差別化しにくい業界です。扱うものに形がなく、やっていることも各社で大きくは変わりません。そのなかで私たちがずっと強みにしてきたのは、事業部を業界ごとに分ける縦割りの体制です。特定の業界に深く精通したプロフェッショナルとして、その業界のお客さまに最適な人材サービスを提案してきました。
ただ、その強みだけでは生き残れない時代になってきました。いま、お客さまが求めているのは人を増やすことではなく、人を減らしても業務が回る効率化へと変わってきています。ですから私たちも、人材の提供にとどまらず、ITも取り込みながら、業務プロセスを丸ごとお引き受けするような支援に力を入れています。この2、3年、そこへ大きく舵を切ってきました。

山﨑さん:
市場そのものも大きく変わりました。以前は求人を出せば人が集まり、こちらが選べる時代でした。いまは逆で、求職者からいかに選んでいただけるかという世界です。そうした中で、私たちは社内の業務効率化にも本気で取り組んでいます。会社の規模に対して、仕事の進め方が仕組み化・体系化されていない部分が多いという課題があり、誰がやっても同じ品質になるよう、平準化を進めているところです。
キャッチコールを導入する前は、拠点にかかってくる電話をどのように受けていたのでしょうか。
小林さん:
私たちの事業部では、山形にお客さまの業務を請け負う自社のBPOセンターを構えています。もともとは受託した業務を担う拠点なのですが、そこで全国の拠点にかかる代表電話もまとめて受けていました。札幌から沖縄まで、各拠点の電話をいったん山形へ転送し、入電専用の回線を2名の担当が受ける、という体制です。コロナ禍をきっかけに、拠点の代表電話を山形へ転送する運用が広がっていきました。
その体制のもとで、どのような課題を感じていましたか。
小林さん:
いちばんの課題は、2名ではとても受けきれないことでした。取りたくても取れない電話がたくさんありましたし、札幌から沖縄までさまざまな用件がかかってくるので、出られても中身が正確につかめない、担当への連携が漏れる、ということが起きていました。しかも24時間対応ではないので、限られた時間の入電しか受けられません。当時は対応できなかった電話がどれだけあったのか、数値すら取れていない状態でした。
山﨑さん:
私はもともとこのBPOセンターの営業をしていたので、ここは本当に課題だと感じていました。山形で電話を受けている担当者は、本来はお客さまから受託した業務で成果を出すために採用したメンバーです。その人たちが社内の一次受付に時間を取られると、お客さまの業務に手が回らず、稼働も割けません。電話を受けても売上にはつながらないのに、人件費は原価として出ていく。もっといい方法はないのか、とずっと思っていました。

いくつかの選択肢があるなかで、キャッチコールを選ばれた決め手はどこにありましたか。
小林さん:
出発点は、やはりコスト削減でした。本来は売上を立てられる人材を、ただ電話を受けるだけの役割に充てていて、完全にコストになってしまっていました。これをあるべき姿に戻したい、と今期になって考え始めたのがきっかけです。ちょうど別のサービスのご提案をいただく流れのなかでキャッチコールを知り、これはいいなと思いました。
ほかのAI電話受付サービスも一度は検討しましたが、それらは従量課金でコストが読みにくく、社内で稟議を上げづらいものでした。その点キャッチコールは料金が固定でわかりやすかったことが大きかったです。
そして、私たちにとってはこのシンプルさがちょうどよかったのです。社内の代表電話は一次受付が役割なので、聞くべきことは用件・お名前・連絡先、それに誰宛ての電話か、という項目だけです。この数点さえ聞き取れれば十分で、それ以上の高度な機能にコストをかける必要はありませんでした。聞き取ってほしい項目をキャッチコールで設定すれば、私たちの受電にはぴったり合いました。
正直、最初はAIが電話を受けることに不安がありました。ロボットのような聞き取りにくい話し方で、相手に悪い印象を与えるのではないか、と。ところが実際に試してみると、驚くほど自然で、かけてきた方からすれば、人が出ているのかAIが出ているのか、特に違和感なく話せるレベルだと感じました。
導入は、どのような手順で進められたのですか。
小林さん:
いきなり全拠点ではなく、まずは福岡と札幌の2拠点でスモールスタートしました。実際に運用できるかを見極めるためです。それまで一次受付で聞いていた項目をそのままキャッチコールに設定して動かしてみたところ、まったく違和感がありませんでした。1カ月ほど試して問題がなかったので、そこから全拠点へ広げていきました。
設定そのものはとても簡単でした。管理者の設定は、ビジネスチャットのLINE WORKS上で行えますし、動画のマニュアルが用意されていたので、そのとおりに進めればすぐに完了します。番号も、必要な数をお伝えすればまとめて発行していただけて、マスターのアカウントと各支店のアカウントを作り、発行された番号をひもづけるだけでした。拠点が増えても、同じ手順で番号を足していけるので、広げていくハードルはほとんど感じませんでした。
現在はどのように運用され、現場からはどのような声が届いていますか。
小林さん:
いまは各支店の代表電話をキャッチコールに転送し、AIが用件・お名前・連絡先・誰宛てかを聞き取ってテキストにしてくれます。キャッチコールの通知はメールでも受け取れるため、Power Automate(作業を自動化するツール)を使って、全社で使用している別のコミュニケーションツールの支店別チャネルへ通知を流しています。
ふだん使用しているツールにそのまま通知が届くので、現場も自然に運用に乗ることができました。誰が対応するかは基本的に支店長が割り振り、対応中や対応済みといった状況は、リアクションやコメントで共有しています。営業の電話も、用件がテキストで残るので、これは折り返さなくてよい、とすぐに判断ができます。

用件がテキストで共有され、リアクションで対応状況を可視化している
以前、人が受けていたころは、共有される内容の質にどうしてもムラがありました。いまは聞くべきことがきちんと聞けた状態で、そろってテキストで届くので、その安心感は大きいです。
山﨑さん:
連携のスピードも変わりました。人が受けていたときは、電話が立て込むと対応が一段落してからまとめて連携するので、担当者への連絡が遅れて二次的なクレームにつながることもありました。いまはほぼ均一な速さで通知が来ます。しかも時間に関係なく受けてくれるので、夜間や、金曜の退勤後にかかってきた電話であっても、放棄されることなくきちんと共有が残ります。ここがいちばんのメリットだと感じています。

導入によって、コストや働き方にはどのような変化がありましたか。
小林さん:
一次受付にあたっていた人件費として、月におよそ60万円を削減できました。新たにかかる費用はキャッチコールの利用料だけで、こちらは月に2万円ほどです。差し引きすると、月におよそ58万円のコスト削減になっています。
金額以上に大きいのは、電話を受けていた担当者が、本来価値を生む業務に戻れたことです。営業の現場も、以前は支店に人がいるあいだは自分たちで代表電話を受けていました。自分が支店にいるのに、電話をセンターへ回してしまうのは気が引けるところもあったのです。いまは初めからキャッチコールへ転送する設定にしているので、支店で受ける必要がなくなり、営業は営業に専念できる状態になりました。
入電の数でいうと、全国で月におよそ250件ほどです。そのうち折り返しの要らない営業電話は1割ほどで、大半はお仕事を探している求職者の方からのお電話です。取りこぼしたくない大切な連絡をきちんと拾えるようになったことも、実感しているところです。
今後、キャッチコールをどのように活用していきたいとお考えですか。
小林さん:
まずは、この事業部で出た成果を、社内のほかの部門にも広げていきたいと考えています。不必要な工数を削っていくべき場面はまだたくさんありますし、実際に介護の領域を担う事業部でも活用が始まっています。私たちのように拠点を全国に広げ、多くの電話を受けている会社であれば、同じように効果を出せる仕組みだと思います。人にしかできない仕事に人が集中できる状態を、これからもつくっていきたいです。
【お話を伺った方】
小林 弘明さん
コールアンドオフィスデザイン事業部 営業推進部 部長。国家資格キャリアコンサルタント。既存・新規の営業や営業企画、事業部の人材開発を統括し、キャッチコールの導入を主導。
山﨑 友貴さん
コールアンドオフィスデザイン事業部 営業推進部 マネージャー。営業企画を担い、リード獲得や社内の業務効率化の仕組みづくりに取り組む。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2026年9月当時のものです。