目次
カスハラ事例を読み解く前提|厚生労働省が示す8つの類型
カスハラ事例をネット記事や報道でばらばらに拾い読みすると、どこからが企業が対応すべきカスハラで、どこまでが通常のクレーム対応の範囲なのかが見えにくくなります。厚生労働省が2022年に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は、カスハラに該当しやすい代表的な言動を8つの類型に整理しており、事例はこの類型に沿って読むと自社の現場との距離感がつかみやすくなります。
8類型の一覧と代表的な言動
厚生労働省のマニュアルで示されている類型と、その中でよく見かける言動を整理すると次のようになります。同じ類型でも、チャネル(対面・電話・メール・SNS)によって表れ方が変わる点も重要です。
| 類型 | 代表的な言動 | よく見られるチャネル |
|---|---|---|
| 身体的な攻撃 | 殴る、蹴る、物を投げつける、胸ぐらをつかむ、体当たりする | 店頭・受付・窓口などの対面 |
| 精神的な攻撃 | 暴言、侮辱、大声での威圧、長時間の叱責、人格否定、恫喝 | 対面・電話 |
| 威圧的な言動 | 「訴える」「上司を出せ」「SNSに晒す」など脅しを含む発言 | 対面・電話・メール |
| 継続的・執拗な言動 | 同じ要求を繰り返す来店・電話、執拗な謝罪要求、連日同じ内容のメール | 対面・電話・メール |
| 拘束的な行動 | 居座り、退去要請への無視、長時間の対応強要、土下座の強要 | 対面 |
| 差別的な言動 | 国籍、性別、年齢、障害、容姿に対する差別発言 | 対面・電話・SNS |
| 性的な言動 | 身体的接触、卑猥な発言、つきまとい、個人的な連絡先の要求 | 対面・電話 |
| 従業員個人への攻撃 | 特定従業員の実名・容姿・職場を狙った中傷、個人情報の要求、SNSでの名指し攻撃 | 対面・SNS・口コミサイト |
出典: 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(カスタマーハラスメント対策企業マニュアル)」
類型を押さえると事例の読み方が変わる
8つの類型は、対応難易度と緊急度が大きく異なります。身体的な攻撃と性的な言動は、発生した時点で警察への通報や被害者の保護を最優先にすべき重大類型です。一方、継続的・執拗な言動や従業員個人への攻撃は、1回ごとの単発では判断しにくく、記録を積み重ねて組織として判断する必要があります。事例を読むときは、まずその言動がどの類型に当たるかを見極め、そのうえで対応の優先順位を組み立てていくと混乱が減ります。
類型別に見るカスハラ事例
ここからは、厚生労働省マニュアルに掲載されている代表例や、公開されている判例・行政資料で確認できる範囲の具体的な言動を、類型別に整理します。いずれも特定の企業・店舗を想起させる記述は避け、業種カテゴリと行為態様だけで記述します。
身体的な攻撃の事例
身体的な攻撃は頻度としては多くないものの、発生した場合に最も深刻な被害を生む類型です。代表例としては、店頭でクレーム対応中に商品を投げつけられるケース、受付カウンター越しに胸ぐらをつかまれるケース、高齢者施設や病院で介助・診療中の職員を叩く・殴る・引っかくといった行為が挙げられます。正規の医療・介護行為として必要な身体介入と、明確な害意をもった暴力は区別して記録する必要があります。
精神的な攻撃・暴言の事例
暴言は最も頻発する類型で、「お前」「馬鹿」「使えない」「こっちは客だぞ」といった呼称や人格攻撃が長時間続くケースが典型です。店頭で大声で怒鳴り続ける、電話越しに数十分〜数時間にわたり侮辱を浴びせる、メールで何度も同じ人格否定を書き送る、といった形で現れます。1回の発言内容だけでなく、継続時間・反復回数・業務への支障度を併せて記録することで、単発のクレームと区別できるようになります。
威圧的・脅迫的な言動の事例
「訴えるぞ」「SNSに書き込んで会社を潰してやる」「上司を出せ、出さないと動かない」といった脅迫的な発言は、要求を通すための圧力として使われることが多い類型です。口コミサイトに悪意ある投稿を書き込むと予告するケース、マスコミに連絡すると繰り返すケース、従業員の私生活に関する情報をちらつかせるケースなど、インターネットの普及とともに態様が広がっています。
継続的・執拗な言動の事例
継続性・執拗性が問題になる事例としては、同じ商品・サービスの同じ問題について、日時を変えて何度も電話をかけてくる、連日来店して担当者を名指しで呼び出す、解決済みの件を蒸し返してメールを繰り返し送る、といったケースがあります。1回ごとの言動は過激でなくても、累積すると現場の業務遂行に深刻な支障が出るため、発生回数・合計対応時間・関与した従業員数といった客観情報の記録が重要になります。
拘束的な行動の事例
拘束的な行動の典型は、店頭や窓口での長時間の居座り、営業時間外の対応強要、閉店時間が来ても退去に応じない、応接室に担当者を拘束して話を続けるといった行為です。土下座の強要もこの類型に含まれます。厚生労働省のマニュアルでは、謝罪・金品要求のために従業員を長時間拘束し、退去要請にも応じなかった事例が問題事例として取り上げられています。
差別的な言動の事例
差別的な言動には、外国籍の従業員に対する出自を揶揄する発言、障害のある従業員への侮辱、女性従業員・男性従業員への性別を理由とした蔑視、若手従業員の経験不足を人格否定に結びつける発言などがあります。外国人スタッフが増えた小売・宿泊・飲食の現場や、多様な背景の職員が働く介護・医療の現場では、この類型の相談件数が相対的に増える傾向があります。
性的な言動の事例
性的な言動は、接客業や介護・医療といった身体的な距離が近くなる業種で発生しやすい類型です。業務中に身体に触れる、卑猥な発言を繰り返す、個人的な連絡先を要求する、勤務先に来訪してつきまとう、といった形で現れます。性的な言動は一度きりでも被害が重く、被害者のプライバシー保護を最優先にした対応が求められます。
従業員個人への攻撃・SNS中傷の事例
従業員個人への攻撃は、名札で得た名前をSNSで晒す、容姿を揶揄する投稿をする、自宅や家族の情報を調べて接触を図る、口コミサイトに特定従業員を名指しした悪意ある投稿をする、といった事例が典型です。厚生労働省の調査でも、カスハラ被害を受けた従業員の一定割合がSNS・ネット上の書き込みを含む被害を報告しており、現代的な論点として重要度が上がっています。
出典: 厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」
業種別に見るカスハラ事例の傾向
カスハラは業種を問わず起きますが、業種ごとに発生しやすい類型と発生場面には明確な傾向があります。厚生労働省の調査や東京都の条例資料、各業界団体の公表資料などをもとに、業種別の典型的な事例を整理します。
小売・サービス業の事例
小売・サービス業は、カスハラ相談が最も多い業種の一つです。返品・返金を巡るトラブルから始まり、店長を呼ぶよう繰り返し要求する、長時間の叱責が続く、他の客の前で従業員を侮辱する、といった事例が日常的に報告されています。セルフレジ・セルフ決済の普及に伴い、操作が分からない・エラーが出た場面でスタッフに当たり散らす事例も増えてきました。また、名札の名前をSNSに晒すといった個人攻撃も、接客業に特有の論点として目立ちます。
| 業種 | 起きやすい類型 | 典型的な発生場面 |
|---|---|---|
| 小売・サービス業 | 精神的な攻撃/継続的な要求/従業員個人への攻撃 | 返品・返金対応、セルフレジ、ポイント・会員特典の解釈違い |
| 飲食・宿泊 | 精神的な攻撃/威圧的な言動/差別的な言動 | 料理の提供遅れ、予約トラブル、チェックイン・チェックアウト時 |
| 介護・福祉 | 身体的な攻撃/精神的な攻撃/性的な言動 | 入浴・排泄介助、家族からの過剰要求、夜勤帯の対応 |
| 医療機関・病院 | 精神的な攻撃/威圧的な言動/拘束的な行動 | 待ち時間、会計、検査順、説明内容への不満 |
| 運輸・公共交通 | 精神的な攻撃/身体的な攻撃 | 遅延・運休対応、運賃精算、車内トラブル |
| 自治体窓口・公共施設 | 継続的な言動/威圧的な言動 | 申請書類、給付金、住民票などの手続き |
| コールセンター・電話窓口 | 精神的な攻撃/継続的な言動 | 料金・契約内容の問い合わせ、故障対応 |
出典: 厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」/東京都「カスタマー・ハラスメント防止ポータル」
飲食・宿泊の事例
飲食店では、料理提供の遅れや注文間違いをきっかけに、従業員を大声で怒鳴りつける、土下座を要求する、食事代の返金に加え慰謝料を要求する、といった事例が頻出します。宿泊施設では、チェックイン・チェックアウト時や客室対応の場面で、「客なのだから何でもしろ」という過大要求が繰り返される事例、夜間に深夜対応を執拗に求める事例が目立ちます。インバウンド対応に関連した差別的言動の事例もこのカテゴリで増えています。
介護・福祉の事例
介護・福祉では、利用者本人からの身体的な攻撃(叩く・ひっかく・つねる)と、家族からの過剰要求(他の利用者と同等以上の対応を要求する、個別の生活支援を業務外で求める)の両方が相談される点が特徴です。厚生労働省は、介護現場のハラスメント対策として「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を公表しており、利用者・家族からのハラスメントを切り分けた事例集も示されています。性的な言動についても、身体接触を伴う介助業務のなかで発生する事例が報告されており、職員の心身への影響が大きい類型として扱われています。
出典: 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル等」
医療機関・病院の事例
病院では、待ち時間の長さ、検査順、診断内容、会計金額をきっかけとした精神的な攻撃・威圧的な言動が目立ちます。受付や会計窓口で「なぜこんなに待たせるのか」と長時間叱責するケース、診察内容への不満から主治医を変えるよう繰り返し要求するケース、看護師や医療事務を名指しでSNSに投稿するケースが報告されています。救急外来や夜間帯は、一人の医療従事者に負荷が集中しやすく、組織的な情報共有と応援体制がないと初動対応が遅れる傾向があります。
運輸・物流・公共交通の事例
鉄道・バス・タクシーといった公共交通では、遅延や運休時の精神的な攻撃、身体的な攻撃の両方が発生します。駅係員に殴る・蹴るといった暴力が及ぶ事例は、各鉄道事業者と国土交通省が連携して公表するポスター・リーフレットでも繰り返し取り上げられています。配送・宅配の現場では、再配達を巡るトラブルや時間指定への不満から、ドライバーに対する暴言・脅迫が発生する事例が報告されています。
自治体窓口・公共施設の事例
自治体窓口では、申請書類の不備、給付金の支給要件、住民票や戸籍関連手続きを巡って、職員に大声で迫る事例、同じ要求を異なる部署に繰り返し持ち込む事例、帰らずに居座る事例が典型です。東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例では、公共窓口の従事者も保護対象に含まれており、行政も組織として対応する義務が強化されています。
出典: 東京都「東京都カスタマー・ハラスメントの防止に関する条例」
コールセンター・電話窓口の事例
コールセンターでは、オペレーター1人に対して長時間の電話が続くケース、同じ内容で日時を変えて繰り返し架電されるケース、個人の名前や勤務シフトを聞き出そうとするケースなどが典型です。電話は記録が取りやすい一方、一対一で閉じた空間になるためオペレーターが孤立しやすく、上席者への即時エスカレーションの仕組みが機能しているかが運用の分かれ目になります。
カスハラの判例から読み解ける判断の傾向
カスハラに関する判例は、損害賠償請求・不法行為・傷害・強要などの争点として扱われることが多く、裁判所が「正当なクレーム」と「違法な行為」をどのように線引きしてきたかを知る手がかりになります。ここでは、厚生労働省のマニュアルや裁判所の公開資料で確認できる匿名事例に絞って紹介します。個別の事件名・当事者名は記載せず、判断の論理だけを抽出します。
判例1|長時間の拘束と謝罪強要に関する事例
店舗でのクレーム対応中に、顧客が担当者を数時間にわたり店内に拘束し、土下座を含む謝罪を執拗に要求したケースでは、裁判所は強要・業務妨害に該当すると判断しています。拘束時間の長さ、退去要請への応答、要求内容の不相当性が重視されており、クレームが正当な範囲を超えて違法行為となる典型例として厚生労働省のマニュアルでも紹介されています。
判例2|土下座・人格否定に関する事例
土下座の強要は、たとえ商品の瑕疵があった場合でも、要求手段として社会通念上相当とは認められないという判断が定着しています。裁判所は、人格否定を伴う執拗な謝罪要求について、被害者に対する精神的苦痛を生じさせる違法行為であると評価してきました。企業側が「顧客を怒らせたこちらに非がある」と感じてしまうと対応がぶれやすいのですが、要求手段が相当性を超えた時点で毅然と対応する判断材料として、判例の存在は重要です。
判例3|従業員への暴力・傷害に関する事例
カウンター越しに従業員を殴打し、負傷させた事例では、暴行罪・傷害罪として刑事責任が問われ、同時に民事上の損害賠償責任も認められています。従業員個人が直接の被害者であり、企業としては被害届の提出、警察との連携、被害者の治療・休業補償、他の従業員への再発防止措置が一連の対応として求められました。
判例から読み取れる共通点
匿名判例を並べてみると、裁判所がカスハラの違法性を判断する際の着眼点は、おおむね次の3点に整理できます。どの事例にも共通して見られる観点で、社内でカスハラか否かを判断する際にも活用できます。
- 行為態様の悪質性(暴言・暴力・脅迫・差別など、要求手段が相当性を超えているか)
- 継続性・反復性(単発の強い言動か、長時間・複数回にわたる言動か)
- 企業側の対応遅延(被害が拡大する前に組織として対応したか、現場に丸投げしたか)
出典: 裁判所「裁判例検索」/厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」
事例から学ぶ企業の対応原則
事例を読むだけでは社内の改善には直結しません。どの業種でも共通する対応の原則を4つに整理し、そこに事例を当てはめていくと、自社の運用設計につなげやすくなります。
原則1|カスハラかクレームかを類型と要求妥当性で切り分ける
現場で最も迷うのが、正当なクレームなのかカスハラなのかの切り分けです。厚生労働省のマニュアルは、要求内容の妥当性(商品・サービスの瑕疵や企業側の過失と結びついているか)と、要求手段・態様の相当性(暴言・脅迫・長時間拘束などに該当していないか)の2軸で判断するよう示しています。事例を読むときも、この2軸に当てはめて「どちらが逸脱したのか」をラベル付けしておくと、社内で共有する際に迷いが減ります。
原則2|一人で対応させず現場で即共有する
カスハラ事例に共通して言えるのは、従業員が一人で対応し続けた場面で被害が深刻化している点です。店頭で怒鳴られ続けている場面、電話窓口で長時間拘束されている場面、夜勤帯の介護・医療現場でひとりが詰められている場面に、早い段階で他のスタッフや上席者が介入できる仕組みがあれば、被害の拡大は抑えやすくなります。連絡は口頭・内線・チャットなど、業種と現場環境に合った方法で構いません。重要なのは「現場が即座に応援を呼べること」と「離れた場所にいる管理者がリアルタイムで状況を把握できること」です。
原則3|記録を残し、組織としての判断に繋げる
事例を有効な判断材料に変えるには、記録の粒度と一貫性が必要です。発生日時、場所、当事者、行為の具体的内容、対応時間、関与した従業員、顧客の属性(氏名・連絡先が判明している範囲)、対応の経緯を、できるだけその日のうちに記録に残します。電話の場合は事前告知のうえで録音する運用が増えており、東京都の条例や厚生労働省のマニュアルでも、適法な範囲での録音・録画は記録手段として許容されています。記録は個々の事案の対応だけでなく、社内の再発防止研修・マニュアル更新・方針策定の原資にもなります。
原則4|事後のケアと再発防止に取り組む
被害を受けた従業員のメンタルケアと、再発防止の体制整備は、事例対応の締めくくりとして欠かせません。産業医・カウンセラーへの相談、部署異動や休業の選択肢提示、類似事案の情報共有、顧客側への対応方針の明文化など、個人の努力に依存しない仕組みに落とし込むことで、同じ事例が繰り返されるリスクが下がります。現場で起きた出来事を、スマホで音声や短いメモとして即座に本部へ届けられる仕組みがあれば、記録と情報共有を切れ目なく回しやすくなります。LINE WORKS ラジャーのように、スマートフォンをインカム代わりに使い、音声と自動テキスト化を組み合わせて現場と本部をつなぐ仕組みは、カスハラ発生時の初動対応と事後記録を下支えする手段の一つです。
よくある質問(FAQ)
カスハラ事例を社内で共有するときに注意すべきことは何ですか
当事者の氏名や生々しい発言の引用をそのまま共有すると、被害を受けた従業員の二次被害や、特定される形での情報流出につながります。共有の目的は「類似事案への備え」であって「加害者への報復」ではありません。類型・業務場面・対応の学びを抽象化した形で共有し、原資料は担当部署に限定して管理するのが安全です。
匿名化すれば事例を外部に公表してよいですか
匿名化しても、店舗の場所・日時・取扱商品などから当事者が特定できる場合があります。外部公表は企業の広報方針として扱う領域で、個別事例の外部公開は原則として慎重であるべきです。参考にしたい場合は、厚生労働省や東京都などの公的機関が公表している匿名事例集をベースにするのが安全です。
判例と同じケースなら自社も同様の対応をすればよいですか
判例はあくまで個別事案の判断であり、結論だけを真似ても通用しません。判例から学べるのは「どのような行為態様が違法と評価され、何が判断の決め手になったか」という考え方の枠組みです。自社の事例を判例に照らすときは、行為態様・継続性・対応経緯の3軸で整理すると参考にしやすくなります。
業種横断で参考になる資料はどこにありますか
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は業種横断で使える基本資料で、類型・対応手順・書式例まで網羅されています。介護・医療については厚生労働省の業種別マニュアル、東京都内の事業所は東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の関連ガイドラインが追加の参照先になります。一次資料から読むことで、ネット記事に伝聞として流通している事例との距離感もつかみやすくなります。
事例にあるような悪質な客を出入り禁止にできますか
法律上は、契約自由の原則のもとで店舗・施設は入店拒否や出入り禁止の措置を取る権限を持っています。実務上は、ルールの事前周知、警察との連携、再来店時の対応フローまでを整えたうえで運用する必要があります。感情的に「出禁」にするのではなく、社内の判断基準と手続きを文書化し、再発防止の一環として位置づけると運用が安定します。
まとめ
カスハラ事例は、厚生労働省が示す8類型と業種別の傾向という2軸で読むと、自社の現場で起きている出来事と重ねやすくなります。事例は数の多さより、類型・要求妥当性・要求手段の相当性に照らして整理することが大切です。
- 事例は厚労省8類型の枠組みで読み、対応の優先順位を整理する
- 業種ごとに起きやすい類型と発生場面が異なる
- 判例は行為態様・継続性・対応遅延の3軸で判断されている
- 一人で抱え込ませず、現場と本部で即時共有する仕組みが被害拡大を防ぐ
- 事後の記録とケア、再発防止までを一連の運用として設計する
カスハラ対応は、2026年10月の改正労働施策総合推進法の施行に向けて、雇用管理上の措置義務として取り組みを求められる領域になります。事例から学ぶ最大のポイントは、現場で起きたことをその場で孤立させず、記録と応援の両輪で組織として受け止める仕組みを用意しておくことです。スマートフォンを使って現場と本部を音声と文字でつなぎ、初動と記録の両方を支援するLINE WORKS ラジャーは、こうした仕組みづくりを検討するときの選択肢の一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。