業務用インカムはスマホアプリで使える?専用機との違い・注意点・選び方

業務用インカムはスマホのアプリでも使え、声がWi-Fiや携帯電話の回線を通って届くため、フロアや拠点が離れていても話せます。   利用者の免許や登録は不要で、業務用スマホとの2台持ちを解消できる一方、回線の圏外では使えません。

目次

    業務用インカムアプリとは|スマホで使う仕組み

    業務用インカムアプリは、スマホに入れておくと、ボタンを押して話した声が同じグループの全員に届く法人向けのアプリです。声はWi-Fiや4G/5Gの回線とサーバーを経由して届くため、回線の圏内なら別のフロアや離れた拠点とも話せます。利用者が無線局の免許や登録を受ける必要もありません。

    インカムは、離れた場所にいる人どうしが声で連絡を取り合うための通信機器です。現場ではトランシーバーや無線機とほぼ同じ意味で使われ、イヤホンマイクをつないだ無線機を指すことが多い言葉です。スマホで同じように話せるようにするのがインカムアプリで、トランシーバーアプリやIP無線アプリとも呼ばれます。

    免許の手続きがいらないのは、スマホが使う電波の手続きを、携帯電話は通信事業者が、無線LAN機器はメーカーが済ませているためです(北海道総合通信局「よくある質問」)。

    アプリ型はBluetoothで通信するので届く範囲が狭い、と考えられることがあります。業務用インカムアプリでBluetoothを使うのはスマホとイヤホンマイクをつなぐ部分で、声そのものは回線で届きます。回線がつながる場所なら距離の制限はなく、反対に圏外になる地下や山間部では話せません。携帯電話の回線を使う専用機のIP無線機も、声の届き方は同じです。

    アプリストアには個人向けの無料アプリも多くあります。業務用のアプリとの違いは、管理者がメンバーの追加や停止、グループの設定をまとめて行えるかどうかです。

    専用のインカムとアプリ型の違い

    専用のインカムとアプリ型の違いは、声を届ける経路です。専用の無線機は端末どうしが電波で直接つながり、アプリ型は回線とサーバーを経由します。経路が違うため、届く範囲や免許の手続き、費用のかかり方、圏外での使いやすさに差が出ます。

    比較項目 専用のインカム(無線機) アプリ型(スマホ)
    声の届き方 端末どうしが電波で直接やりとりする Wi-Fiや4G/5Gの回線とサーバーを経由する
    届く範囲の目安 特定小電力は建物の多い場所や屋内で100〜200m程度。デジタル簡易無線は見通しのよい屋外で1〜5km程度 回線がつながる場所なら距離の制限なし
    圏外・通信障害のとき 電波が届く範囲なら話せる 回線が使えないと話せない
    免許・登録 特定小電力は不要。デジタル簡易無線は登録か免許が必要 利用者の手続きは不要
    費用のかかり方 本体の購入費が中心。デジタル簡易無線は1台3万〜8万円程度 1ユーザーあたりの月額利用料が中心
    端末 使う人の数だけ無線機をそろえる 業務用スマホに入れて使える。スマホを持たない人には端末の用意が必要
    会話の記録 録音機能のある機種を除き、その場で聞くだけ 履歴の再生や文字起こしに対応するアプリもある

    届く範囲と本体価格は販売各社の案内による目安です。届く範囲は、建物の構造や周りの環境によって大きく変わります。特定小電力無線は、総務省が定める条件を満たした機器なら無線局の免許も無線従事者の資格も要りません(総務省 電波利用ポータル「特定小電力無線局」)。

    業務用インカムをアプリ型にするメリット

    業務用インカムをアプリ型にすると、無線機をそろえる費用と届く範囲の制約が小さくなり、業務用スマホとの2台持ちも解消できます。違いが大きく出るのは、フロアや拠点をまたいで連絡する現場や、スタッフに業務用スマホを配っている現場です。回線の圏内なら距離の制限がなく、費用もユーザー単位の月額で始められるためです。

    無線機をまとめて買う費用がかからない

    アプリ型なら、最初に無線機をまとめて買う費用はかかりません。専用のインカムは使う人の数だけ無線機をそろえ、イヤホンマイクや予備の電池、故障したときの買い替えの費用も見込んでおく必要があります。たとえばデジタル簡易無線を10台そろえると、販売各社の目安で本体だけで30万〜80万円程度です。

    アプリ型の費用は、1ユーザーあたりの月額利用料が中心です。人が増えたり減ったりしたときは、アカウントの追加や停止で調整できます。業務用スマホを持たないスタッフがいれば、端末代と通信費も加わります。利用料は人数×月額×月数で積み上がり、10人が月額500円のプランを3年使うと、試算では18万円です。使う年数の合計で比べると、どちらが自社に合うかを判断しやすくなります。無線機側の費用は、イヤホンマイクや電池など本体以外の費用も含めた方式ごとの総額で見積もると、アプリ型と同じ年数で比べられます。

    フロアや拠点が離れていても話せる

    アプリ型は回線の圏内なら距離の制限がないため、上下のフロアや別の建物、離れた拠点にいる人とも話せます。特定小電力トランシーバーは免許がいらず手軽な一方、建物の多い場所や屋内で届くのは100〜200m程度が目安です。鉄筋コンクリートの壁や床をはさむと、声が途切れることもあります。

    介護施設のフロア間の呼び出し、ホテルのフロントと客室フロアの連絡、本部と店舗の連絡のように、建物や拠点をまたぐ連絡が多い現場ほど、アプリ型との相性が良くなります。

    業務用スマホとの2台持ちを解消できる

    業務用スマホで電話やチャットを使っている現場なら、インカムもアプリにすると、持ち歩く端末をスマホ1台に集約できます。無線機とスマホを別々に持つと、ポケットやホルダーがふさがり、充電や紛失の管理も2台分になります。スマホを持たないスタッフがいる場合は、その人の分の端末を用意するか、無線機と併用するかを先に決めておきましょう。

    声を記録として残せる

    履歴の再生や文字起こしに対応したアプリなら、聞き逃した指示を後から確かめられます。無線機の多くは、録音機能のある機種を除き、声をその場で聞くだけです。どこまで残せるか、何日分さかのぼれるかはサービスとプランで違うため、申し送りや指示の確認にどのくらいの記録が必要かを先に決めておくと比べやすくなります。

    アプリ型の注意点と、専用のインカムが合う現場

    アプリ型の主な注意点は、回線が届かない場所や通信障害のときに話せないことです。地下や山間部で使う現場、水や粉じんが多い現場、スマホを持ち込めない現場には、専用のインカムが合います。専用の無線機は回線を使わずに電波で直接つながり、防水・防塵や電池の持ちを前提に機種を選べるためです。

    回線の問題は、アプリの設定では解決できません。導入前に、バックヤードや地下、別棟など使う場所すべてで試し通話をしておくと、届かない区画が早めに分かります。携帯電話会社の通信障害や回線の混雑でも声が遅れたり途切れたりすることがあるため、非常用に無線機を何台か残しておくと安心です。

    電池と丈夫さ、話し始めの手間は、機器の選び方と運用で補えます。待ち受けを続けるとスマホの電池は減りやすいので、予備のバッテリーを持つか、充電の時間をシフトに組み込んでおきましょう。水や粉じんの多い現場では防水・防塵に対応したスマホや保護ケースを、手がふさがる作業ではイヤホンマイクのボタンや声で送信を始める機能を組み合わせます。

    建設現場のように、地上はアプリ型、地下や山側の区画は無線機と、区画で分けて使うのも一つの方法です。無線機を残す区画で使う機種は、免許の要否や届く範囲で比べた専用のインカムの方式から選んでください。

    業務用インカムアプリの選び方|5つの確認ポイント

    業務用インカムアプリは、聞き取りやすさと遅れ、操作のしやすさ、管理とセキュリティ、料金とプラン、記録と連携の5点で比べると選びやすくなります。どの項目もカタログだけでは差が分かりにくく、実際に使う場所と忙しい時間帯に試すと違いが見えるためです。

    騒がしい場所での聞き取りやすさと遅れ

    騒がしい場所でも相手の声を聞き取れるかは、アプリごとに差が出やすい項目です。厨房や工場、売場のピーク時のように周りの音が大きい場所では、周りの音を抑える処理の有無や、組み合わせるイヤホンマイクで聞こえ方が変わります。声の遅れもサーバーの仕組みや回線の状態で変わるため、Wi-Fiとモバイル回線が切り替わる場所を歩きながら試しておくと安心です。

    現場のスタッフが迷わず使える操作か

    操作は、マニュアルを読まなくても話し始められるくらい単純なものを選ぶと、現場で使われ続けやすくなります。グループの切り替えが画面でどう見えるか、画面のロック中やほかのアプリを使っている間もイヤホンマイクのボタンで話せるかを、使う予定の機種で確かめてください。両手がふさがる作業が多い現場なら、声で送信を始め、無音になると自動で終える機能があるかも比べる点です。

    管理機能とセキュリティ

    管理者がアカウントの追加や停止、グループの変更をまとめて行えるかで、スタッフの入れ替わりが多い現場の運用の手間が変わります。退職した人のアカウントが残っていると、社外の人に会話を聞かれるおそれもあります。通信の暗号化の方式や、会話の履歴がどこにどれだけの期間保存されるかも、提供元の公開情報で確かめておくと安心です。

    料金体系と、必要な機能が入っているプラン

    料金は1ユーザーあたりの月額で決まるサービスが多く、各サービスの公開料金をもとにした目安は月額0円から3,000円前後です。端末単位で課金するサービスや、初期費用が別にかかるサービスもあります。文字起こしや複数のグループを同時に聞く機能など、使いたい機能が上位のプランに限られていることもあるため、必要な機能がどのプランに含まれるかを確かめてから総額を試算してください。最新の料金は各サービスの公式サイトでご確認ください。

    記録の残り方とチャットとの連携

    記録は、音声の履歴を再生できるだけか、文字起こしまで残るか、何日分さかのぼれるかで比べます。オフィスの担当者がチャットで送った文字を現場で音声として聞けたり、現場の声を文字にしてチャットに残せたりするアプリなら、声と文字のどちらでも連絡を取り合えます。社内ですでにビジネスチャットを使っている場合は、そのチャットと連携できるかも確かめておきたい点です。

    ビジネスチャットと連携できるアプリの一つが、LINE WORKSラジャーです。LINE WORKSのトークと連携して使えるトランシーバーアプリで、ボタンを押して話す会話と、複数人が同時に話せる双方向通話に対応しています。アドバンストプランでは、発話を自動でテキストに変換でき、トークに送った文字を音声で読み上げることもできます。

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    専用のインカムからアプリ型へ移る手順

    専用のインカムからアプリ型へ移るときは、使う場所の回線を確かめ、1つの部署で試してから広げると、連絡を止めずに切り替えられます。アプリが安定して使えると分かるまで今の無線機を並行して使えば、切り替えの途中でも連絡が途切れないためです。

    用意するもの

    用意するのは、スマホと業務用インカムアプリのアカウント、Wi-Fiか4G/5Gの回線の3つで、手を空けて話すならイヤホンマイクも加えます。スマホはアプリが対応するOSのものを選びましょう。業務用スマホを持たないスタッフがいる場合は、共用の端末を用意するか、その人の分は無線機を残すかを先に決めておきます。イヤホンマイクを有線にするかBluetoothにするかは、Bluetoothでつなぐときの通信距離と注意点を確かめてから決めておきます。

    進める手順

    手順は、回線の確認、少人数での試用、ルールづくり、全体への展開の4段階に分けると進めやすくなります。

    1. バックヤードや地下、別棟など、使う場所すべてで回線と聞こえ方を確かめる
    2. 1つの部署や店舗で、無料プランやトライアルを使って日常の連絡を試す
    3. グループの分け方と、名乗り方や急ぎの連絡の伝え方などの話し方のルールを決める
    4. 必要な人数とプランを決め、ほかの部署や拠点へ広げる

    圏外の区画や非常用に無線機を残す場合は、無線機とアプリを役割で分けて使います。中継用の機器を介して、無線機とアプリを同じグループで話せるようにできる製品もあり、今ある無線機を使いながら少しずつ移していけます。

    よくある質問

    無料のインカムアプリでも業務に使えますか?

    少人数で試す段階なら使えます。個人向けの無料アプリには、管理者がメンバーを追加・停止する機能がないものや、話せる人数や通話時間に上限があるものがあります。毎日の業務連絡に使う予定なら、法人向けサービスの無料プランやトライアルで本番と同じサービスを試しておくと、後から乗り換える手間を省けて安心です。

    スタッフの私物のスマホで使ってもよいですか?

    使うことはできますが、私物の端末を業務に使うかどうかは会社の規程で決めることです。認める場合は、通信料をだれが負担するか、退職や異動のときにアカウントを止める手順、会話の履歴がどこにどれだけの期間残るかを先に決めておくと安心です。業務用スマホを配る場合と比べると、端末代は抑えられる一方で、管理の手間は増えます。規程に書く項目は、費用負担や労働時間、個人情報の扱いなど私物の端末を業務に使うときの社内ルールと照らし合わせると、抜けを防げます。

    iPhoneとAndroidが混在していても同じグループで話せますか?

    両方のOSに対応したアプリなら、同じグループで話せます。対応するOSのバージョンはサービスごとに決まっていて、古いOSや業務専用の端末は対象外になることもあります。スタッフの端末を確かめてから選びましょう。

    インカムアプリで複数人が同時に話せますか?

    同時通話に対応したアプリなら、電話のように複数人が同時に話せます。ボタンを押している間だけ声を送るPTT方式は、一度に1人が話す交互通話が基本です。話しながら指示を受ける作業が多い現場では、同時通話への対応と、一度に話せる人数の上限を確かめておきましょう。

    まとめ

    業務用インカムをスマホアプリにするかを決めるときに押さえておきたい点は、次のとおりです。

    • 業務用インカムアプリは回線とサーバーを経由して声を届けるため、回線の圏内ならフロアや拠点が離れていても話せる。利用者の免許や登録は不要
    • 主なメリットは、無線機をまとめて買う費用がかからないこと、届く範囲の制約が小さいこと、業務用スマホとの2台持ちを解消できること
    • 圏外や通信障害のときは話せない。地下や山間部、水や粉じんの多い現場は専用のインカムが合い、区画ごとに併用する方法もある
    • アプリは、聞き取りやすさと遅れ、操作、管理とセキュリティ、料金とプラン、記録と連携の5点で比べる

    声の届き方や遅れ、電池の持ちは、カタログを見比べるだけでは分かりにくいものです。候補を2つほどに絞ったら、実際に使う場所と忙しい時間帯で試してから決めると、導入後の手戻りを減らせます。

    アプリ型を試す候補の一つに、LINE WORKSラジャーがあります。インターネット回線を使うため距離の制限がなく、LINE WORKSのトークと連携して使えるトランシーバーアプリです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。

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