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インカムのワイヤレス化とは|ケーブルをなくすのは耳元の部分
インカムは本体どうしがもともと無線で通信しているため、ワイヤレス化は耳元のイヤホンのケーブルをなくすことを指します。
トランシーバーやインカムの本体は、電波や携帯電話の回線を使ってスタッフ同士の声を届けています。ケーブルでつながっているのは、腰やポケットに入れた本体と、耳元のイヤホンマイクの間だけです。このケーブルは、しゃがんだり振り向いたりするたびに引っ張られ、棚や台車に引っかかったり、付け根から断線したりしやすい部分でもあります。
ワイヤレス化では、このケーブルの代わりにBluetoothで本体とイヤホンをつなぎます。Bluetoothで機器どうしを直接つないで話す製品もありますが、届くのは近くの相手に限られます。業務用のインカムで「Bluetooth対応」という場合は、多くが無線機やスマートフォンと耳元のヘッドセットをつなぐ機能を指します。インカム本体の種類と違いは、業務用インカムの種類と選び方で解説しています。
インカムをワイヤレス化する3つの方法
方法は、Bluetooth対応の無線機に替える、今の無線機にアダプターを付ける、スマホのアプリを使う、の3つです。
どの方法でも耳元はワイヤレスになります。違うのは、今の機器を使い続けられるかと、通話がどこまで届くかです。
| 比較項目 | Bluetooth対応の無線機 | 今の無線機+アダプター | スマホのアプリ |
|---|---|---|---|
| 必要なもの | Bluetooth内蔵の無線機と、対応するヘッドセット | Bluetoothアダプター(送受信機)とイヤホン | スマートフォン、アプリ、Bluetoothイヤホン |
| 通話が届く範囲 | 無線機の性能による(方式・機種で異なる) | 今の無線機のまま変わらない | 回線がつながる範囲(距離の制限なし) |
| 送信(PTT)の操作 | ヘッドセットや手元のワイヤレススイッチで操作できる機種がある | 組み合わせによってはワイヤレスで送信できない | アプリの画面のボタン。イヤホンのボタンや声で送信できるアプリもある |
| 主な注意点 | 無線機ごとに使えるヘッドセットが決まっている | メーカーが動作を確かめていない組み合わせがある | 圏外では使えない。スマホの電池の減りが早くなる |
Bluetooth対応の無線機とヘッドセットを使う
Bluetoothを内蔵した無線機に、対応するヘッドセットをペアリング(機器どうしを登録して接続すること)して使う方法です。特定小電力トランシーバーやデジタル簡易無線にもBluetooth内蔵の機種があり、最初からワイヤレスでの利用を前提に作られているため、接続が安定しやすいのが利点です。
無線機は、送信と受信を切り替えて交互に話す方式が中心です。そのため、ヘッドセットの側から送信(PTT)を操作できるかどうかで使い勝手が変わります。メーカーは無線機ごとに使えるヘッドセットを対応表で示しています。同じBluetooth対応でも、Bluetoothでの送信操作に対応していない機種とは組み合わせられない場合があるため、購入前に対応表で確かめてください。本体を買い替える場合、デジタル簡易無線は登録または免許の手続きが必要です。
今の無線機にBluetoothアダプターを付ける
Bluetoothに対応していない無線機でも、イヤホンマイク端子にBluetoothの送受信機(アダプター)を付けると、耳元をワイヤレスにできる場合があります。本体を買い替えずに済むため、今の無線機がまだ使えるときの選択肢になります。
ただし、無線機の端子の形や送信の仕組みは機種ごとに異なります。無線機メーカーが動作を確かめていない組み合わせでは、相手の声は聞こえても自分の声を送信できない、音質が落ちる、といったことが起こりえます。声を検知して自動で送信するVOX機能で補う方法もありますが、周りの音を拾って意図しない送信が起きることがあります。アダプター自体の充電も必要になるため、まず1台で試してから台数を増やすと安心です。
スマホのアプリとBluetoothイヤホンを使う
スマートフォンにトランシーバーアプリ(インカムアプリ)を入れ、Bluetoothイヤホンと組み合わせる方法です。声はWi-Fiや4G/5Gの回線で届くため、回線がつながる場所なら別のフロアや離れた拠点とも話せます。
普段使いのBluetoothイヤホンを使えるサービスもあり、専用のヘッドセットをそろえなくても始められます。送信はアプリの画面のボタンで行うのが基本で、イヤホンのボタンや声で送信を始められるアプリもあります。一方で、地下など回線が届かない場所では使えず、スマートフォンの電池の減りも早くなります。アプリの仕組みや選び方は、トランシーバーアプリとはで詳しく紹介しています。
Bluetoothの通信距離と使うときの注意点
Bluetoothは本体と耳元をつなぐ近距離の無線で、相手に声が届く距離は無線機の電波や回線の側で決まります。
通信距離は送信出力と周りの環境で変わる
Bluetoothは、2.4GHz帯(2400〜2483.5MHz)の電波を使う無線の規格です。規格を管理する業界団体のBluetooth SIGは、機器どうしが安定してつながる距離には1km以上から1m未満まで幅があると説明しています。距離は、送信出力やアンテナ、障害物などで変わります(Bluetooth SIG「Understanding Bluetooth range」)。
規格書では、送信出力の上限によって機器をクラスに分けており、上限はクラス1が100mW、クラス2が2.5mW、クラス3が1mWです(Bluetooth Core Specification「Radio Specification」)。クラスが決めているのは出力で、距離ではありません。クラス2の機器は、10m前後が一般的な目安とされています。
壁や棚、金属やコンクリートなどの障害物があると電波は弱まります。本体とイヤホンの間を離しすぎないよう、本体は身につけて使うのが基本です。
Wi-Fiや電子レンジとの電波干渉
2.4GHz帯は、Wi-Fi(無線LAN)や電子レンジなども使う周波数帯です。Bluetoothには使う周波数を細かく切り替えて干渉を避ける仕組みがありますが、Bluetooth機器やWi-Fiが多い場所では、雑音が入ったり音が途切れたりすることがあります。導入前に、実際に使う場所で試しておくと安心です。
技適マークのあるイヤホンを選ぶ
Bluetoothのイヤホンやヘッドセットは、接続のために必ず電波を出すため、技適マーク(電波法の技術基準に適合していることを示す表示)が必要です。技適マークのないBluetooth機器を使うと電波法違反になるおそれがあり、罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(総務省 電波利用ポータル「技適マークのQ&A」)。海外から直接購入したイヤホンを使うときは、本体や充電ケース、取扱説明書の表示を確かめてください。
電池とペアリングの管理
ワイヤレスにすると、無線機やスマートフォンに加えてイヤホンも充電が必要になります。シフトの交代時に充電する場所とルールを決め、予備のイヤホンを用意しておくと、電池切れで連絡が途切れるのを防げます。
複数の無線機とイヤホンを共用する職場では、ペアリングの組み合わせを取り違えやすくなります。無線機とイヤホンに同じ番号を付けて組み合わせを固定しておくと、管理しやすくなります。
現場の条件に合うワイヤレス化の方法
今の無線機を使い続けたいか、届く範囲を広げたいか、会話を後から確かめたいかで、向いている方法が変わります。
| 現場の条件 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 今の無線機がまだ使え、費用を抑えたい | 今の無線機+アダプター(対応を確かめたうえで) | 本体を買い替えずに耳元だけワイヤレスにできる |
| 無線機の買い替え時期が近い | Bluetooth対応の無線機 | 対応ヘッドセットと組み合わせ、送信の操作までワイヤレスにできる |
| 別のフロアや離れた拠点とも話したい | スマホのアプリ | 回線がつながる範囲なら距離の制限がない |
| 携帯電話の電波が届かない屋外や山間部で使う | 無線機を使う方法(対応機への買い替え、またはアダプター) | 回線に頼らず、無線機の電波で通信できる |
| 聞き逃した内容を後から確かめたい | スマホのアプリ | 音声の再生や文字起こしに対応するサービスがある |
無線機の電波が届く範囲は方式によって異なり、屋内ではフロアをまたぐと届かないこともあります。方式ごとの目安はトランシーバーの通信距離にまとめています。
アプリ型のサービスには、LINE WORKS ラジャーもあります。スマートフォンにアプリを入れ、ボタンを押して話すPTT方式で使うサービスで、普段使いのBluetoothイヤホンや有線イヤホンをそのまま使えます。インターネット回線を使うため、距離の制限を受けません。
ワイヤレスで使うイヤホン・ヘッドセットの選び方
イヤホンは騒音の大きさと周りの音を聞く必要があるかで型を選び、送信ボタンの位置や電池の持ちも確かめます。
| タイプ | 特徴 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| カナル型(耳栓型) | 耳の穴に入れて外の音を遮る。騒音の中でも声を聞き取りやすい | 工場・建設現場など騒音の大きい場所 |
| 耳掛け型 | 耳にフックを掛けて固定する。動いても外れにくい | 倉庫・物流、イベントなど動きの多い現場 |
| 骨伝導型 | 耳の穴をふさがず、周りの音も聞こえる。騒音が大きいと聞き取りにくい | 接客・介護・見回りなど、周りの声も聞きたい現場 |
| ブームマイク付きヘッドセット | 口元にマイクを固定でき、騒音の中でも声を届けやすい | 騒音の大きい場所で話す機会が多い現場 |
騒音の大きい職場では、耳を守ることも大切です。厚生労働省の騒音障害防止のためのガイドラインは、等価騒音レベル(一定時間の騒音の平均的な大きさ)が85dB以上の場所で、聴覚保護具の使用などを求めています。一方で、安全のために周りの音や会話を聞く必要がある場合は、遮音性が必要以上に高いものを選ばないよう配慮することも示しています。周りの音を聞きたいなら骨伝導型や片耳のタイプ、騒音が大きいならカナル型と、現場の音の状況に合わせて選んでください。
型を決めたら、次の点もあわせて確かめておきます。
- 使う無線機やスマートフォンとの対応(無線機はメーカーの対応表で確認)
- 送信(PTT)ボタンの有無と、手袋をしたままでも押しやすい位置か
- 連続使用時間がシフトの長さに足りるか
- 汗や水しぶきへの強さ(IPコードの1桁目が防じん、2桁目が防水の等級)
- 周りの騒音を抑える機能のあるマイクか
- 長時間つけても痛くならないか、耳に触れる部分を交換・清掃できるか
耳が痛いときの対処や、聞き取りにくいときの見直し方は、インカムが聞き取れない原因と対策で紹介しています。
よくある質問
インカムは有線とワイヤレスのどちらがよいですか?
ケーブルの引っかかりや断線に困っているなら、ワイヤレスが向いています。有線には、充電がいらず、電波の干渉を受けないという利点があります。イヤホンの充電を管理しにくい現場や、Bluetooth機器が多く接続が不安定になりやすい場所では、有線を残す選択もあります。
インカムをワイヤレス化するのに免許は必要ですか?
Bluetoothのイヤホンやヘッドセットは、技適マークが付いていれば免許なしで使えます。免許や登録が必要かどうかは無線機本体の方式で決まり、特定小電力トランシーバーは不要、デジタル簡易無線は登録または免許が必要です。スマートフォンのアプリは、免許も登録も要りません。
ワイヤレスにすると音が遅れたり、音質が落ちたりしますか?
機器の組み合わせや電波の状態によっては、わずかな遅れや音質の変化が出ることがあります。気になるかどうかは組み合わせによって変わるため、導入前に実際の無線機やスマートフォンとイヤホンで試してください。有線のケーブルが傷んで音が途切れていた場合は、ワイヤレス化で改善することもあります。
まとめ
インカムのワイヤレス化は、本体と耳元のイヤホンをつなぐケーブルをなくすことで、方法は3つあります。
- 今の無線機を活かすならアダプター、買い替えるならBluetooth対応の無線機、距離の制約をなくすならスマホのアプリ
- Bluetoothが受け持つのは耳元までで、通話が届く距離は無線機や回線で決まる
- 無線機に使うイヤホンはメーカーの対応表で確かめ、技適マークのあるものを選ぶ
まずは今の無線機の型番から、Bluetoothへの対応とメーカーの対応表を確かめるところから始めてみてください。別のフロアや拠点との連絡まで見直したい場合は、スマートフォンをインカムのように使えるアプリ型も選択肢になります。LINE WORKS ラジャーも、その一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。