電波法改正でトランシーバーが使えなくなる?期限や対象機種・罰則・代替案を解説

電波法改正で使えなくなったトランシーバーは、350MHz帯と400MHz帯のアナログ簡易無線で、期限は2024年11月30日でした。   150MHz帯のアナログ簡易無線は対象外で、手元の機種は免許や登録の記録と技適番号で確かめられます。

目次

    電波法改正で使えなくなったトランシーバーと期限

    電波法改正で使えなくなったのは、350MHz帯と400MHz帯のアナログ方式の簡易無線です。免許を受けて業務の連絡に使われてきたトランシーバーやインカムの一部が対象で、使用期限は2024年11月30日でした。総務省は、2024年12月1日以降にこの周波数で電波を出すと電波法違反になると案内しています。

    簡易無線は、無線従事者の資格がなくても、免許か登録を受ければ業務の連絡に使える無線局です。期限を過ぎて使えなくなった周波数は次のとおりで、免許のいらない特定小電力トランシーバーの周波数は含まれていません(出典: 近畿総合通信局「簡易無線局(免許局・登録局)」、総務省 電波利用ポータル「簡易無線局のデジタル化について」)。

    対象 使えなくなった周波数 使用期限
    350MHz帯のアナログ簡易無線 348.5625〜348.8MHz 2024年11月30日
    400MHz帯のアナログ簡易無線 465.0375〜465.15MHz、468.55〜468.85MHz 2024年11月30日
    400MHz帯のデュアル方式の簡易無線 アナログ方式の35チャンネル。デジタル方式の65チャンネルは引き続き使える アナログ側は2024年11月30日

    デュアル方式は、アナログ方式とデジタル方式の両方の周波数を切り替えて使える機種です。デジタル方式の周波数は使い続けられますが、アナログ方式の電波を出さないようにする改修が要ります。

    使用期限は2008年に決まり、2年延びて2024年11月30日になった

    アナログ簡易無線の使用期限は、総務省が2008年8月に周波数割当計画を変更し、簡易無線にデジタル方式の周波数を割り当てたときに、2022年11月30日と決まりました。新型コロナウイルス感染症の影響で移行が遅れると見込まれたため、総務省は2021年9月1日の制度改正で期限を2年延ばしています(出典: 総務省 報道資料「アナログ簡易無線局の周波数使用期限の延長」(2021年7月14日)、総務省 電波利用ポータル「簡易無線局のデジタル化について」)。

    一般には電波法改正やアナログ無線機の使用禁止と呼ばれていますが、期限を定めたのは、電波法にもとづく周波数割当計画(総務省の告示)と、無線設備規則などの省令です。デジタル方式はアナログ方式より音質がよく、狭い周波数の幅でも効率よく情報を送れるため、総務省は簡易無線のデジタル化を進めてきました。

    2024年の期限後も使えるトランシーバーと旧スプリアス規格

    特定小電力トランシーバーやデジタル簡易無線、IP無線、スマホのトランシーバーアプリは、2024年の期限の対象外です。期限が切れたのは350MHz帯と400MHz帯のアナログ方式の周波数だけで、150MHz帯のアナログ簡易無線も含まれていません。ただし旧スプリアス規格の機器は、当分の間に限って使える経過措置の扱いです。

    方式 無線局の手続き 2024年の期限との関係
    特定小電力トランシーバー 不要(技適マーク付きの機器に限る) 対象外。旧スプリアス規格の機器は当分の間の経過措置
    デジタル簡易無線 免許か登録が必要 対象外
    150MHz帯のアナログ簡易無線 免許が必要 対象外
    IP無線・スマホのトランシーバーアプリ 利用者の手続きは不要(通信事業者が免許を受けている) 対象外

    旧スプリアス規格の機器は当分の間使える

    旧スプリアス規格の無線機は今のところ使い続けられますが、いつまで使えるかはまだ決まっていません。スプリアスは、無線機が必要な周波数の外に出してしまう不要な電波のことです。その許容値は2005年12月1日に新しい基準に変わり、旧基準で作られた機器には2022年11月30日までの経過措置が設けられました。

    総務省は、新型コロナウイルス感染症の影響で機器の製造や移行作業が遅れたことを考え、2021年8月に省令を改正して、この期限を当分の間に延ばしました。免許や登録を受けている旧規格の機器は、2022年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限って使えます。総務省のQ&Aは、免許のいらない無線局の旧規格の機器にも同じ条件を付けるとしています。旧規格で受けた技適の効力も当分の間有効なので、旧規格の特定小電力トランシーバーも、この条件のもとで使い続けられます(出典: 総務省 電波利用ポータル「スプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準の改正に伴う経過措置」、総務省「新スプリアス規格の無線機器への対応に関するQ&A」(Word、2021年8月))。

    総務省は、社会経済状況の回復を踏まえて移行期限を総合的に検討するとしています。

    手元のトランシーバーが対象か確かめる方法

    手元のトランシーバーが対象かどうかは、免許や登録の記録にある周波数と、本体の技適番号で確かめられます。簡易無線は周波数を、古い特定小電力トランシーバーはスプリアス規格を見ます。期限の対象は周波数で決まり、規格の新旧は総務省の技適の検索で表示されるためです。

    免許や登録の記録で周波数を確かめる

    簡易無線は、免許や登録の記録に書かれた周波数で、期限の対象かどうかを判断できます。登録局の周波数はすべてデジタル方式なので、登録局として使っている簡易無線は対象外です。免許局の場合は、記録の周波数に、期限を過ぎたアナログ方式の周波数が含まれていないかを確かめます。

    記録は、手元の紙の免許状か、総務省電波利用電子申請のサイトで閲覧できる免許記録で確かめられます(出典: 総務省 電波利用ポータル「無線局の免許状等のデジタル化」)。

    技適番号で旧スプリアス規格か確かめる

    無線機のスプリアス規格が新旧どちらかは、本体の技適番号を総務省のサイトで検索すると分かります。

    1. 本体の銘板やラベルで、技適マークの横にある番号を確かめる
    2. 総務省の技術基準適合証明等を受けた機器の検索を開き、番号を入力して検索する
    3. 検索結果の「スプリアス規定」の欄が「新規定」になっているかを見る

    番号が読めない機器や、検索しても見つからない機器は、メーカーか購入した販売店に問い合わせてください。新規定になっていない機器は、旧スプリアス規格の機器への対応策を確かめて、買い替えの時期を決めておきましょう。

    総務省の機種一覧とメーカーの案内で確かめる

    使用期限の対象になった主な機種は、総務省総合通信基盤局が配布したチラシの裏面に、メーカー別の一覧で載っています(総務省総合通信基盤局 アナログ簡易無線機の使用期限のチラシ(PDF))。一覧はアナログ方式だけの機種と、改修が必要なデュアル方式の機種を分けて示しています。一覧にない型番や判断がつかない機種は、購入した販売店か、最寄りの総合通信局に問い合わせると確かめられます。

    使えなくなった無線機を使い続けた場合の罰則

    期限を過ぎたアナログ簡易無線で電波を出すと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。従業員が業務で使った場合は、会社も罰金刑の対象です。アナログ単体機の免許は2024年11月30日で効力を失っており、電波を出すと免許のない無線局の開設や運用にあたるためです。

    免許や登録を受けずに無線局を開設・運用した場合の罰則は、電波法第110条で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。第114条の両罰規定により、従業員が会社の業務として違反したときは、行為者に加えて会社にも罰金刑が科されます。総務省東海総合通信局は、使用期限を過ぎたアナログ簡易無線の運用を、免許を受けずに無線局を運用した電波法第4条違反として扱い、罰則に第110条と第114条を挙げています(出典: 電波法(e-Gov法令検索)、東海総合通信局 報道資料(2025年12月12日))。

    電波法の罰則にあった懲役は、2025年6月1日の刑法などの改正で拘禁刑に変わりました。古い解説に書かれた1年以下の懲役は、改正前の表記です。

    対象の無線機が見つかったときの手続きと処分

    簡易無線を使ってきた事業者は、アナログ単体機を電波の出ない状態にしてから廃棄し、デュアル方式の機種はメーカーなどでアナログ側を止める改修を受けます。総務省は、単体機の免許はすでに失効して廃止届は不要で、改修していないデュアル機は次の再免許を受けられないと案内しています。

    機器 必要な対応
    アナログ単体機(350MHz帯・400MHz帯) 廃止届は不要。アンテナやバッテリーを外すなど電波を出せないようにしてから廃棄する
    400MHz帯のデュアル方式の機種 メーカーなどでアナログ側の電波を止める改修(停波措置)を受け、無線局の変更申請などをする。改修しないと次の再免許を受けられない

    アナログ単体機をデジタル簡易無線に買い替える場合は、新しい機器で免許か登録を受けてから使います。登録局で使う場合は、申請の手順と手数料を導入前に確かめておくと、使い始めが遅れません。電波を出せないようにした古い機器は、事業で使った無線機の廃棄の手順を確かめてから手放してください。

    買い替え先の選び方と代替案の比較

    アナログ簡易無線の買い替え先は、デジタル簡易無線、特定小電力トランシーバー、IP無線・トランシーバーアプリの3つです。屋外の広い範囲ならデジタル簡易無線、近い距離なら特定小電力、フロアや拠点をまたぐならIP無線やアプリが合います。方式によって、必要な手続きと届く距離、費用のかかり方が違うためです。

    方式 無線局の手続き 届く距離の目安 主な費用
    デジタル簡易無線 免許か登録が必要(資格は不要) 見通しのよい屋外で1〜5km程度、市街地や屋内は数百m〜1km程度 本体は1台3万〜8万円程度と、毎年の電波利用料
    特定小電力トランシーバー 不要(技適マーク付きの機器に限る) 見通しのよい屋外で1km前後、市街地や屋内は100〜200m程度 本体の購入費
    IP無線・トランシーバーアプリ 利用者の手続きは不要 携帯電話の回線(アプリはWi-Fiも)が届く範囲 月々の通信料や利用料。IP無線は専用機の費用もかかる

    距離と本体価格は販売各社の案内による目安で、建物の構造や周りの電波の状況によって変わります。デジタル簡易無線の登録局の電波利用料は、2025年10月1日の改定後の額で、1台あたり年290円(包括登録)か年200円(個別登録)です(出典: 関東総合通信局「デジタル簡易無線局(CR)登録局のページ」)。

    デジタル簡易無線は、アナログ簡易無線と同じボタン操作で使え、携帯電話の圏外でも通話できます。建物の中や上下の階をまたぐ連絡では、届く範囲が狭くなります。

    特定小電力トランシーバーは免許も登録もいらないので、買ってすぐ使える方式です。出力が小さいため、同じフロアや売場の中のような近い距離の連絡に合います。近い距離の連絡で足りる現場は、チャンネルやアンテナなど機種を選ぶときの確認項目をもとに機種を絞ってください。

    IP無線とトランシーバーアプリは携帯電話の回線を使うため、フロア間や拠点間でも距離を気にせず話せます。圏外や通信障害のときは使えないので、地下や山間部の現場では電波の入り方を先に確かめておくと安心です。

    スマートフォンをトランシーバーのように使うアプリには、LINE WORKSラジャーのようなサービスもあります。インターネット回線を使うため、利用者が無線局の免許や登録を受ける必要はありません。ボタンを押して話すPTT方式で音声がグループに届き、アドバンストプランでは発話を自動でテキストに変換できます。

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    よくある質問

    150MHz帯のアナログ簡易無線も使えなくなりましたか?

    150MHz帯のアナログ簡易無線は、2024年11月30日の期限の対象に入っていません。近畿総合通信局の周波数の一覧では、154.45〜154.61MHzのアナログ方式が今も免許局の周波数に含まれています。免許の有効期限と、旧スプリアス規格の機器かどうかは確かめておくと安心です。

    使わずに保管しているだけでも違反になりますか?

    電波を出せる状態で置いていると、使っていなくても違反になる場合があります。北海道総合通信局は、免許が必要な無線機を免許なしで電波を出せる状態にしていれば、電波を出したかどうかにかかわらず原則として不法無線局の開設にあたると説明しています(北海道総合通信局「電波利用環境FAQ」)。使わないアナログ機は、アンテナやバッテリーを外して電波を出せない状態にしてください。

    2025年10月の電波法改正で使えなくなる無線機はありますか?

    2025年10月1日に施行された電波法の改正で免許状と登録状は紙で交付されなくなりましたが、免許や登録を受けている無線局はそれまでどおり運用できます。手元の紙の免許状や登録状は、内容に変更がなければ証明書とみなされるため、特別な手続きはいりません。免許や登録の内容は、総務省電波利用電子申請のサイトで閲覧する形になりました。

    まとめ

    電波法改正でトランシーバーが使えなくなると言われているのは、350MHz帯と400MHz帯のアナログ簡易無線のことです。手元の無線機について押さえておきたい点は、次の4つです。

    • 使えなくなったのは350MHz帯・400MHz帯のアナログ簡易無線と、デュアル方式の機種のアナログ側。期限は2024年11月30日
    • 特定小電力トランシーバー、デジタル簡易無線、150MHz帯のアナログ簡易無線、IP無線・アプリは期限の対象外。旧スプリアス規格の機器は当分の間の経過措置
    • 対象かどうかは、免許や登録の記録の周波数と、技適番号の検索結果のスプリアス規定の欄で確かめる
    • 期限を過ぎたアナログ機で電波を出すと1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。業務での違反は会社も罰金の対象

    古い無線機が残っていれば、周波数と規格を確かめ、使わない機器は電波を出せない状態にしてから処分しておくと安心です。買い替えるときは、連絡を取りたい範囲と必要な手続きをあわせて比べると選びやすくなります。

    免許や登録の管理を増やしたくない場合や、フロア間・拠点間の連絡が課題になっている場合は、アプリ型も選択肢になります。スマートフォンをトランシーバーのように使えるLINE WORKSラジャーも、その一つです。フリープランは0円で試せます(会話は40分で一度切断)。有償プランは30日間の無償トライアルがあります。

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