東京・長野・福岡に10店舗のエステティックサロン&スパを展開する株式会社アンジェラックスは、社員間の業務連絡を円滑にするためLINE WORKSを導入。その目的どおり業務に関する情報がスピーディに伝達されるようになっただけではなく、スタンプで気軽に意思を通じ合える環境が整ったことで社員間のコミュニケーションが促進され、職場の雰囲気を向上させることにもつながりました。そうした成果を背景に、「働きがいのある会社」女性部門1位を受賞した同社の最高人事責任者である大杉さんに、LINE WORKSの具体的な活用シーンをお話しいただきます。
本事例のポイント
- 早番、遅番スタッフの引き継ぎが効率化、それぞれの業務開始がよりスムーズに
- お客様からの声をリアルタイムに現場に活かし、施術や接客の質の向上
- 2020年「働きがいのある会社ランキング」女性部門1位を獲得
LINE WORKS以前はどのような課題を抱えておられましたか。
・社員、スタッフ、早番・遅番それぞれの情報伝達にタイムラグがあった
・業務連絡に使用していたLINEはプライベートの線引きができずスタッフから不満
大杉さん :
当時、社員間の連絡の多くは各店舗に1台設置しているPCでのメールで行っていました。施術や接客で忙しい営業時間中にPCを開くことはなかなかできません。各店舗のスタッフどうしの業務連絡は、朝礼や営業時間終了後のミーティングなどで行っており、社員やスタッフどうし、それぞれの情報伝達にタイムラグが発生し、重要な連絡事項が迅速に伝わりませんでした。
また、店舗ごとの日々の業務スケジュールは朝礼の場で全スタッフが共有していましたが、労務環境向上のために社員の勤務シフトを早番と遅番の2交代制にしてからは、遅番スタッフが朝礼に参加することができなくなり、早番と遅番の勤務者どうしが情報を共有することも容易ではありませんでした。
社内のコミュニケーション環境を改善したいと考えていた2012年頃、ある店舗のスタッフが、個人LINEで業務連絡を取り合うようになり、やがて、業務連絡のためのツールが自然とメールから置き換わっていきました。しかし、LINEはもともとプライベートで使うものです。そのLINEに業務連絡が入ることに不満や違和感を抱く社員が現れ始め、会社として対応する必要性を感じるようになりました。
課題解決の手段としてLINE WORKSを選択した理由をお聞かせください。
・LINEと同様に気軽に使え、特別な導入教育も不要
大杉さん :
社員のプライベートを侵食しないようにするには、業務に特化したツールを導入しなければなりません。そこでいくつかのチャットツールを試したのですが、どこか堅苦しさが感じられ、ITにあまり強くないスタッフが使いこなせるか不安が募りました。そんな中、多くの社員が使い慣れているLINEに似た操作性とユーザーインターフェイスを備えたLINE WORKSがリリースされたことを知りました。LINEと同様に気軽に使え、特別な導入教育も必要としないことから、全社のコミュニケーションツールとして導入することに決めました。
導入に際して定められた独自の運用ルールはありますか。
大杉さん :
業務時間外のプライベートな時間を阻害しないよう、夜の10時から翌朝7時まではメッセージをやり取りしない規則を設けました。また、トークの内容はどうしても流れていくので、急を要さず会社からの通達のような保存性の高い情報に関しては、メールで送信するようにしています。
LINE WORKSの具体的な活用シーンと、その導入成果をお聞かせください。
・タイムリーな伝達が接客に即反映され、サービス品質の向上につながる
・早番・遅番に関係なく、スタッフに同じ情報を共有できる
大杉さん :
PCメールと違い、LINE WORKSは接客の合間などのちょっとした時間にメッセージをやり取りできるので、お客様の施術に関する情報や、お客様からいただいた声などもスビーディに共有できるようになりました。以前は、朝礼か終業後のミーティングで伝えられていた情報が、リアルタイムに伝達され、即座に現場で活かせるようになったことで、施術や接客の質の向上にもつながっています。
早番スタッフと遅番スタッフ間の引き継ぎツールとして活用しています。早番スタッフがその日の店舗全体のスケジュールや、来客されるお客様にどんなケアをするべきかといった事項を記したTo Doリストを作成して写真に撮り、遅番スタッフにLINE WORKSで共有しています。遅番スタッフが出勤前の移動中にさっと目を通しておけば、スムーズに業務に入ることができます。一方、業務終了後は、遅番スタッフがTo Doリストの達成できた項目にチェックを入れて写真に撮って早番スタッフに送ることで、その日の業務の成果も共有できます。
個々の店舗や、「東京エリア」のような店舗グループのほか、「発注」「採用」「広告管理」など特定の業務にかかわるチーム単位のトークルームも多数作成されました。エリアを統括するマネージャーは、エリアごとの毎月の売上目標達成に向けて、各店舗の毎日の業績をトークに投稿してエリア全体に一体感を持たせるといった取り組みも行なっています。
チームやトピックごとにトークルームを開設
各店舗のその日の業務リストを全員が共有
店長の育成にも活用しているようですね。
・業績が好調の店舗は、トークも社員も活気がある傾向
・伸び悩む店長にトークルームOJTを実施
大杉さん :
私はすべてのトークルームにメンバーとして加わり、常に社内のコミュニケーションの全体像を眺めています。業績が伸びている店舗ほどスタッフどうしのやり取りが多く、その日の成果などをめぐって盛り上がります。一方で、業績が思わしくない店舗やスタッフは、トークに活気がありません。
トークの内容や投稿頻度などから、業績への影響や個々の社員の”元気度”まである程度予測することができます。その傾向に気づいてからは、売上が落ち込んでいる店舗の店長を、業績堅調な店舗のトークルームに一時的に参加させ、好調な店舗のトークの使い方や雰囲気をつかんでもらうといった工夫をするようになりました。その意味で、LINE WORKSは店舗や人事のマネジメントをするうえでも大変有用です。
業績好調な店舗ほど、社員間で多くのスタンプが飛び交う
LINE WORKSの活用は、業績の向上にもつながっていますか。
・社員一人ひとりの施術スキルや接客の質が向上し売り上げにも好影響
・企業風土にマッチしたLINE WORKSが社員どうしの働きやすい環境を後押し
大杉さん :
LINE WORKSを導入してからは、社員1人当たりの売上が毎年15%ほど増加しています。これは前述のとおり、お客様に関するさまざまな情報をスタッフどうしが迅速に共有できるようになったことで、施術・接客の質が向上したことと深い関係があると思います。
当社は2020年の「働きがいのある会社ランキング※」女性部門1位に選出されました。女性が多い美容業界では、ライフステージの変化などによる離職が多いのですが、当社の離職率は5%ほどと驚異的な低さにとどまっています。その背景にあるのは、当社がこれまで培ってきた企業風土です。社員の長所を見出して伸ばしてあげることを人材育成の基本とする当社では、それぞれの得意分野を生かし、チーム全体の動きを円滑にすることを重視しています。
また、社員どうしが本音でコミュニケーションを取り合いながら楽しく働ける職場づくりも大切だと考えています。社員が飾ることなく自分の個性をさらけ出し、仲間どうしのコミュニケーションをより親密にしてくれるLINE WORKSは、そうした企業文化を醸成するうえでも大いに役立っています。
トーク以外に利用されている機能はありますか。
【アンケート】 社員旅行の行き先や従業員満足度調査など
【ホーム】 社長ブログや人事部門ブログなど
大杉さん :
社員旅行の行き先を決める際に社員の希望をヒアリングしたり、従業員満足度を調査したりするのに、アンケートを活用しています。従業員満足度については、以前は無記名のアンケート用紙を配布することで計っていましたが、筆跡から回答者が特定される可能性があります。LINE WORKSのアンケートなら回答者が管理者に知られることなく答えられますし、集計も瞬時にできるので非常に便利です。
社長のブログや人事部門のブログなど、全社員に伝えたい会社からの情報を掲載するなど、ホーム(掲示板)も活用しています。
新型コロナウイルスの感染拡大に対して、どのように対策されていましたか。
・会えなくなった社員どうしでサロン再開に向けた議論をトーク
大杉さん :
5月の大型連休明けまでは、店舗の営業を休止しました。その間もお客様へのご連絡など、するべき業務はたくさんありましたが、出社した社員も、在宅ワークの社員も、LINE WORKSによってスムーズに情報共有をすることができました。毎朝各店舗の社員どうしが、計測した自分の体温を報告し合ったり、予防策をトークしたりしています。
新型コロナウイルスの感染拡大による店舗営業休止中も、
社員は前向きな気持ちで活発にコミュニケート
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
・アンジェラックスの業務効率化を実現したLINE WORKSが波及すれば、美容業界の働き方は変わる
大杉さん :
お客様から担当者を指名されることが多い美容業界では、思うように休憩や休日を取れないことが多く、働き方改革を推進することが困難です。そんな中、当社はLINE WORKSの活用によってスタッフどうしの引き継ぎや連携をスムーズにすることで残業や休日出勤を縮減し、働きやすい職場づくりを進めることができました。そうした取り組みが従業員満足度の向上や離職率の低下につながっているわけですが、それが当社以外にも波及して、美容業界全体の働きやすさの実現につながればと思っています。当社としても、現状に満足することなく、今後もコミュニケーション環境のさらになる向上を図っていくつもりです。
※Great Place to Work® Institute Japan主宰、2020年版日本における「働きがいのある会社」女性ランキング、小規模部門(25~99名以下)。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2020年4月当時のものです。