株式会社いわさき様は、有料老人ホームやデイサービス、ヘルパーステーション、訪問看護ステーションといった15の事業所を運営しながら、地域医療・介護の現場を支えています。資料、画像、動画で、患者様の個人情報をスタッフ間でやり取りする機会が多いため、十分なセキュリティ機能を備えたビジネスチャットを利用したいと考え、LINE WORKSを導入されました。
専務の岩崎さん、事務主任の緒方さん、そして看護師長の蒲原さんにお話をお聞きしました。
事業内容と皆さんの役割を教えてください。
専務 岩崎さん:
当社の設立は介護保険制度がスタートした2000年です。ケアプランやヘルパーステーション、デイサービスといった介護事業を中心としていましたが、2014年からは介護医療の分野にも進出し、老人ホームの運営や訪問看護にも力を入れています。2016年2月には新築の住宅型有料老人ホーム「ナーシングホームしのざき」、つづいて2017年9月に「ナーシングホームいわさき」を開設し、運営しています。
当社の拠点となっている北九州市は福祉の充実した街を目指しており、雑誌の企画で「50歳から住みたい地方ランキング」(宝島社「田舎暮らしの本」:2016年7月2日発売の8月号)の1位に選ばれたくらいです。そうした背景もあり北九州市は非常に介護事業所が多い地域といえますが、私たちの事業所は、ほかの事業者様と比較すると、比較的重度の利用者様が多いという特徴があります。医療依存度の高い入居者様を万全の体制でサポートできるような施設づくりを目指しながら、地域医療・介護を支えていきたいと考えております。
看護師長 蒲原さん:
私は訪問看護ステーションいわさきの所長を務めています。職業は看護師です。
所長の仕事は幅広いです。例えば訪問看護のご相談があったら、利用者様がいらっしゃる病院やご自宅にうかがい面談を行ったり、どういう医療措置が必要なのかを、利用者様の疾患を見ながら医師と相談したりといった現場でのお仕事があります。それから、利用者様によってどんな介護保険サービス、医療保険サービスが利用できるのかを判断して、サポートの手続きを進めるなど、利用者様に関わるすべてのことを取りまとめています。
事務主任 緒方さん:
私は、本社にて事務をしています。各施設や施設入居者に関わる書類管理や総務全般を担当しています。
LINE WORKS導入以前に課題となっていたのはどのような点ですか。
岩崎さん:
当社のスタッフは10代から80代と幅広い年齢層に渡っています。高齢のスタッフは特にITリテラシーが低く、PCのキーボードを操作することに抵抗があるスタッフが多いのですが、本社とスタッフ間で共有しなければいけない情報はたくさんあります。これまでは、ミーティングの場を設けたり、各事業所内に設置した掲示板を利用したりしていたのですが、事業が拡大するに伴い、今までの情報共有のやり方に限界を感じていました。
また、現場ではリアルタイムで情報のやりとりが多くあります。スタッフの多くは会社支給の携帯電話を使用しているので、普段のやり取りはSMSが中心でした。しかしSMSでは文字数の制限がありますし、画像が送れないという不便さがあります。結局使いやすいということで、個人所有のスマホを持ち、LINEを利用するスタッフが増えていきました。実際のところ私たちは利用者様の個人情報を扱うことが多く、セキュリティ面を考えると、LINEを奨励するわけにはいきません。また、これは業界の特徴かもしれませんが、スタッフの入れ替わりが激しく、LINEでやりとりしていた場合、退職者の個人端末に利用者様の画像や情報が残ってしまう可能性もゼロではないと考えました。
蒲原さん:
訪問看護の際には、看護スタッフが訪問看護用紙を記入する必要があり、そこには利用者様の名前やご自宅の住所、それからご家族のお名前など個人情報が多数記載されています。利用者様の診療を担当した医師からは、利用者様の病状について細かく記載された資料が送られてくることもあります。
こうした個人情報が記載された紙媒体の資料は絶対に漏洩してはいけないものですが、スタッフ間での情報共有は必須です。LINE WORKSが導入される前は、利用者様のご自宅に申し送りノートを置いて、そこに連絡事項を書き込んで情報共有を図っていました。また訪問看護用紙などは、個人情報に該当するところを1箇所ずつ付箋で隠す、名前を伏せ字にするなどして、スタッフ間で画像を共有していましたが、その作業がとても手間になっていました。
LINE WORKSを導入した経緯や決め手を教えてください。
岩崎さん:
スタッフの多くがPCではなくスマホを使っていることから、スマホとの相性が良く、個人的にも使い慣れているLINEがベースになっているLINE WORKSがよいのではないかと考えました。 まずは30日間の無料トライアル期間を使い、私を含めた数人で使いこなせるかどうかを試してみて、特に問題なく使えたので導入に踏み切りました。現状では100名を超えるスタッフが活用しています。
LINE WORKSの具体的な利用シーンを教えてください。
岩崎さん:
私は連絡事項をトークで伝えるのが中心です。特に現場スタッフのスケジュール調整の際にトークで都度相談したり確認したりすることが多いです。
蒲原さん:
看護スタッフ同士、訪問看護ステーション内にいるスタッフ同士や本社のスタッフとのやりとりにLINE WORKSを利用しています。LINE WORKSが導入されてからは、訪問看護用紙などを撮影して画像で送り、情報共有や引き継ぎに活用しています。セキュリティが確保されているので、隠す作業が不要になり、すごく楽になりました。
また、利用者様のお宅を訪問している時に一人では判断しにくい症状が見られたら、写真や動画を撮影してベテラン看護師に送って相談することもしています。
特に動画は、利用者様のトランスファー(移乗介助)の方法や、発作やけいれんの症状がどういうものかなどをヘルパーさんに教えるマニュアルとしても活用できるので、とても役に立ちます。「こういった症状が見られたら注意してほしい」といった、言葉では伝えにくいことも、動画や画像なら的確に伝えられるようになったので、ヘルパーの対応力が向上し、看護・介護スタッフがその場に居合わせなくてもケアできる範囲が広がりました。
LINE WORKS導入後、どのような変化がありましたか?
蒲原さん:
スタッフが利用者様のお宅を訪問している時は電話に出にくいので、私はできる限り仕事の邪魔をしたくないと思っています。LINE WORKSを使い始めてからは、緊急時以外の電話をかけなくなりました。トークして既読がつけば、読んでもらったことがわかるので安心です。既読がつきにくい人には、「グループトークで送った資料を見ておいてね」と個別でトークしてフォローもしています。
訪問看護スタッフは、業務時間内は訪問先で看護の業務に当たっています。以前は訪問が終わりステーションに戻ってきてから、訪問看護用紙などの個人情報を保護するために加工する作業を行っていたのが、LINE WORKSでやりとりするようになってからはその作業がなくなったので、ステーション全体で3割くらいは残業が減ったと思います。
緒方さん:
情報伝達の方法が変わりました。ミーティングでの管理者宛ての通達や掲示板への張り出しの代わりに、グループトークで一斉配信するようになりました。また、一番便利だと思うのは、グループトークで誰が既読したか、既読していないかがわかるところです。既読の数が少ないと誰が見ていないのかをチェックして、個別にトークしたり、SMSを送ったりしています。確実な情報伝達の一助となっています。
今後の展望についてお話を聞かせてください。
岩崎さん:
今後は訪問看護スタッフや訪問介護スタッフのスケジュール管理にLINE WORKSを利用できないかと考えています。現在、看護スタッフと介護スタッフを合わせると在宅訪問スタッフだけでも100名以上が在籍しています。スケジュール管理は専用のソフトを使っていますが、調整がとても大変で、完成した訪問スケジュールはプリントアウトして紙媒体で配布しています。それから訪問実績の報告も紙媒体で行っています。
先にお話ししましたが、高齢のスタッフにとっては、PCやタブレットを操作するのは簡単ではありません。せめてスマホならば使いこなしてくれると思うので、セキュリティを完備したLINE WORKSのソリューションが今まで以上に拡充していくことに期待しています。
また当社も外国人スタッフが増えてきており、言葉の壁が課題になってきています。トークルームには通訳機能もついているので、今後は通訳機能をフルに活用していきたいと考えています。
※掲載している内容、所属や役職は取材を実施した2018年5月当時のものです。
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