京都を中心に、大阪や滋賀にも「栞屋(しおりや)ブランド」の和創作料理店を展開する株式会社chicfeel(シックフィール)様。本部と全16店舗間のスムーズな情報共有や、自然災害等による緊急時の安否確認体制に課題を感じ、LINE WORKSを導入しました。経営支援部の西土さんと、Foods bar 栞屋 店長の奥川さんに、その活用シーンや導入効果をお聞きしました。
事業内容と皆さんの役割を教えてください。
西土さん:
当社が運営する「栞屋グループ」の各店舗は、厳選した素材を使った料理と、京都の町家をイメージした上質な空間、そして洗練されたサービスで多くのお客様に「美味しさ」と「くつろぎ」をご提供しています。
社員が50名、パート・アルバイトが100名ほどおります。本部の経営支援部に所属する私は、経理・財務から人事採用・労務、広報まで、営業以外の管理業務全般を担当しています。
奥川さん:
私は京都市伏見区にある「Foods bar 栞屋」の店長として運営管理にあたるとともに、営業中は調理や接客も行っています。店には私を含めて4名の正社員と30名ほどのアルバイトスタッフがおり、人事面の管理をするのも私の役割です。
LINE WORKS導入前はどのような課題がありましたか。
西土さん:
店長会議で決定した内容を店舗で働く社員に伝える際、店長による説明の仕方が不十分なために情報が一人一人にしっかり届かないことがあるのが課題でした。また、会社からの伝達事項は各店舗のPCにメールで送信し、店長から店舗の社員に伝える仕組みだったため、同じ理由から本部の意思が周知されにくいという状況もありました。社内報を発行したことがありますが、迅速な情報伝達にも向かないことから、組織全体がスピーディーかつ確実に情報を共有できるコミュニケーションツールの導入を検討するようになりました。
奥川さん:
同じ会社の社員でも、勤務先の店舗が異なると互いの連絡先を知らないケースが少なくありません。店舗運営の施策などに関して情報交換をしたい場合があるので、必要に応じて全社員がスムーズに意思疎通を図れる環境が整備されれば、という思いがありました。
西土さん:
それに加え、自然災害発生などの緊急時にどう対応するかも、以前からの課題となっていました。有事の際には、店長が社員やアルバイトの安否や出勤の可否を確認し、本部に報告することになっていましたが、2018年6月に発生した大阪北部地震の際は電話がつながらなくなったこともあり、それが徹底されませんでした。特に一人暮らしの若手社員の多くが交通機関のストップで出勤できず、電話以外の連絡手段もなかったことから店舗側では混乱が生じ、不安の声が上がったのです。この経験から、通常の業務連絡および緊急時の安否確認において、本部が全社員と確実に連絡を取れる体制の整備が必要だと痛感させられました。
LINE WORKS採用に至った経緯を教えてください。
西土さん:
複数のビジネス向けチャットツールを比較検討する過程で社内アンケートを実施したところ、全社員がスマホを所有し、LINEを利用していることが分かりました。飲食業界にはITを苦手とするスタッフが多いのですが、LINEと似た感覚で操作できるLINE WORKSなら、抵抗感なく受け入れてもらえるだろうと判断しました。比較的低コストであることや、30日間の無料トライアルがあることも大きな魅力でした。
正式導入後は私が管理者となり、全社員にLINE WORKSのアプリをスマホにダウンロードしてログインするよう書面で通達。セキュリティ面に配慮し、運用開始後の業務情報のやり取りは全てLINE WORKSで行うことをルール化しました。
奥川さん:
それまでLINEで業務に関する連絡を行っていましたが、同じアプリをプライベートにも業務にも使うために混乱することがありました。LINE WORKSを使えばそのようなことはなくなるので、私も含め多くの社員が、業務連絡専用のアプリを会社から用意してもらえることをありがたく感じました。
LINE WORKS導入後、どのような変化がありましたか?
■ 従業員エンゲージメント向上
社員の帰属意識の醸成
西土さん:
トークについては「全社員」、「店長」、「仕入れ」などのグループを作成し、多様な業務連絡に活用しています。大半の社員は店舗勤務のため、以前は会社への帰属意識が低い側面がありました。しかし、LINE WORKSのアドレス帳が名簿の役割を果たし、他店にどんなメンバーがいるかが可視化されたことで、個々の社員に組織の一員としての意識づけがなされたように思います。
悩みを抱えた社員のケア
西土さん:
店舗に勤務する若手社員が、トークで私に悩み事を相談してくれるようになったのも大きな導入効果の一つです。直属の上司である店長に相談するのはためらわれても、経営支援部になら打ち明けやすいということがあります。そのおかげで、人事面での細かなケアもできるようになりました。
■ 店舗運営向上
店長の意識改善によるサービス品質向上
西土さん :
店長に、情報を早く伝えることの重要さに対する意識が芽生えました。これまでは、過去一ヶ月かかっていた指示や情報が店舗スタッフまで届いていないこともありましたが、店長が管理職のトークルームで「伝達完了」の報告をし合うようになり、1週間以内には全員に伝達したことが報告されるようになりました。
また、栞屋グループでは店舗ごとに工夫した付き出しを提供していますが、LINE WORKSの導入後、本部から抜き打ちでその日の付き出しの画像を提出するよう求められるようになりました。それぞれの付き出しの内容とコストが一覧として店長会議で共有されるため、前回見映えのしなかった店舗の付き出しが次の回にはしっかり改善されるなど、お客様にご提供する料理の品質向上につながっています。店長同士が翌月の売上目標を示し合うようになったり、さまざまな情報共有によって切磋琢磨する姿勢が強まったことを感じています。
店長不在時のクレーム拡大を抑制
奥川さん:
例えば、私が休暇など不在時に、店舗スタッフが誤ってお客様の洋服を汚してしまった場合、状態の写真や、対応報告を速やかにトークで送ってもらうことで正確な状況把握や、迅速かつ的確な次の行動指示が可能になり、大事にならないよう対処ができるようになりました。
当日仕入れ商品の事前共有で余裕あるメニュー考案
奥川さん:
仕入れ担当マネージャーが朝市場で調達した食材の写真を共有し、その調理法に関する指示出しを迅速にできるようになりました。店舗側としても到着する前に食材の状態が分かるので、どういった料理にするかなどを事前に考えることができます。
災害直前の対策方針の周知徹底
西土さん:
店長会議での決定事項や会社からの通達などをホーム(掲示板)にアップすることで、説明不足による誤解や情報格差など、以前からの課題だった「意思伝達の徹底」を図ることができました。
ホーム機能は、緊急時の情報伝達にも役立っています。2018年9月に大型台風が接近したときは、社員が安全に出勤・帰宅できるよう、営業時間短縮や臨時休業に関する店舗ごとの判断を店長に促す通達を前日にホームで行いました。以前なら、本部が各店長にそれぞれ電話連絡をしなければなりませんでしたが、その手間を省くことができ、公休日の店長に連絡がつかないといったこともなくなり満足しています。
奥川さん:
台風接近に際してどう対応すべきかが明確に指示されたので、休業すべきかどうかの判断や、スタッフの出勤確認、シフト組み直しなどがスムーズにできました。大阪北部地震のときとは違い、本部と各店舗店長、また店内のスタッフ同士が事前にしっかり連絡し合えたことで、当店は混乱なく営業することができました。
今後、LINE WORKSをどのように活用していきたいですか。
西土さん:
これまでは社員旅行など社内活動への参加の可否を紙文書で確認していましたが、レスポンスを早めるためにアンケート機能を利用したいと思います。アンケートには安否確認のためのテンプレートも用意されているので、これを活用して緊急時の連絡体制も一層強固なものにするつもりです。
奥川さん:
まだ運用開始から日が浅いこともあってトークとホームの利用が中心ですが、社員の予定をひと目で把握できるカレンダーをはじめ、LINE WORKSに備わった多彩な機能を店舗運営のさらなる効率化に役立てたいと考えています。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2018年10月当時のものです。