グループ全体の働き方を改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している株式会社テレビ朝日。同社は全部署へのヒアリングを通して見えてきた、プライベートSNSの業務利用による情報漏えいリスクの低減を目的に、社用スマホの貸与と併せてLINE WORKSの導入を進めました。優れたレスポンス性が特徴のLINE WORKSは、24時間365日稼働しているABEMA NEWS制作部署との相性が良く、さまざまな関連会社・協力会社のスタッフとのやり取りが発生する制作現場でも、利便性の高いコミュニケーションツールとして活用されています。
本事例のポイント
-プライベートのSNSを社内連絡への利用による情報漏えいリスク低減を目的に
-電話によるコミュニケーションが盛んなテレビ局で、電話番号を知らないスタッフとの通話にフル活用
-社内問い合わせやGoogleドライブの通知にBotを活用
御社の事業内容および皆さんの業務内容をご紹介ください。
胡子さん:
テレビ朝日は関東広域圏を放送対象地域としてテレビジョン放送事業を行う特定地上基幹放送事業者です。「すべての価値の源泉はコンテンツにある」という基本理念のもと、地上波、衛星放送やインターネット、ショッピング、メディアシティなどの多方面の領域に対して戦略的にコンテンツを配信する「360° 戦略」を展開しております。本日参加の水野、林が関わる動画配信サービス「ABEMA」もサイバーエージェントとの協業で展開しております。
私はインターネット・オブ・テレビジョンセンター(以下、IoTvセンター)のDX推進担当部長として、テレビ朝日グループ全体の働き方を改革するDXの推進を担当しています。
水野さん:
国内唯一の24時間編成ニュース専門チャンネルABEMA NEWSの担当部長として、チャンネル運営の責任者をしています。具体的な業務内容は、予算関連や各種契約周りの対応、チャンネル方針の策定などです。
林さん:
ABEMA NEWSのアシスタントプロデューサーとして、制作現場の環境整備やシフト管理、撮影スケジュール調整などをしています。なお、私の所属は株式会社AbemaTVで、協業先のテレビ朝日に出向しています。
LINE WORKS導入に至った経緯および導入前に抱えていた課題をお聞かせください。
胡子さん:
2019年1月に私の所属するIoTvセンターが実施した、業務改善に係るヒアリングがきっかけで、多くのスタッフが、個人のLINEを使って業務連絡をしていたことがわかりました。プライベートの友だちに機密情報を誤送信してしまうおそれがあるなど情報漏えいリスクがあると考え、セキュリティ面を強化する目的で、社用スマホの貸与と併せてLINE WORKSの導入を決定しました。
数あるチャットツールの中で、LINE WORKSを選定された理由は何でしょうか。
胡子さん:
「LINEとの置き換え」ができるためです。テレビの制作現場で働くスタッフはとにかく忙しく、新しいITツールの操作を覚える時間さえなかなか取ることができません。そのため、導入ツールは普段使用しているLINEからストレスなく置き換えられるLINE WORKS一択でした。
水野さん:
当社およびグループ各社では、番組や部署によってそれぞれが異なる情報共有ツールを使用しています。そんなスタッフたちに、組織を横断して使用してもらえるツールは何かと考えたときに、「LINE WORKSが一番良いだろう」という判断に至りました。
「LINEでできることはLINE WORKSでも、ほぼできる」ということは、スタッフへの説得材料になることもあり、重視したポイントでした。またあらゆるデバイスで利用できることや、個人スマホに入れてBYODで使用してもセキュリティが担保される点も評価しています。実際にこの3点をスタッフに伝えることで、安心してLINEからの乗り換えを実施してもらえました。
胡子さん:
「LINEでしていることを、そのままLINE WORKSでしよう」という考えのもとLINE WORKSを導入したため、使用に際して厳しいルールや制約は設けず、スタッフには自由に利用してもらっています。
LINE WORKSの利用方法および効果を教えてください。
・部署別・番組別・業務別に、動画や画像をリアルタイムに共有
・電話番号を知らないスタッフとも通話ができる
・掲示板やカレンダーを活用し効率的な情報周知を実施
水野さん:
「グループトーク」については、部署別・番組別・業務別に多様なグループを作成し、連絡を取り合っています。業務別のグループでは例えば、原稿を共有するためのグループや速報対応時に情報共有を行うグループなどを作成しました。
林さん:
グループトークでは例えば、Twitterに投稿する動画を共有して担当者に確認してもらったり、サムネイルの画像を共有したりと、さまざまな情報をやり取りしています。また、ABEMA NEWS側の制作現場では、沖縄のチームともグループトークで連絡を取り合いますが、まるで隣の席にいるような感覚でリアルタイムにコミュニケーションを図れています。
会話しているかのようにリアルタイムでやり取りができるLINE WORKSは、特に24時間365日稼働し、機密性の高い情報を迅速に取り扱う報道やスポーツ番組の部署では、非常に有効だと感じています。
加えて、LINE WORKSにはメンション機能もあるため、1日に数百通ものメッセージが届くなか、自分宛のメッセージを見つけやすい点もポイントです。ちなみに、私は個人的にスマートウォッチにもLINE WORKSの通知が来る設定にしており、すぐに通知を確認できるようにしています。
なお、テレビ朝日社員は有料版のLINE WORKSアカウントを保有していますが、ABEMA NEWSに携わる関連会社のスタッフには、別途フリープランのLINE WORKSを利用してアカウントを発行し、外部トーク連携でつながって情報のやり取りをしています。
水野さん:
LINE WORKSはアーカイブとしても重宝しています。例えば、休日にLINE WORKSを1日見ない日があったとしても、あとでトークを見返すことで、どのようなニュースがあって、そのニュースがどのように編集されて放送されたのか、タイムラインをさかのぼって確認することができます。LINEと比べて、LINE WORKSはファイルデータの保存期間が長く設定できるので、アーカイブとしても機能しています。
林さん:
通話機能も頻繁に使用しています。テレビ局は電話でのやり取りが頻繁に発生する業界です。加えて、現場を支えてくれるさまざまな関連会社・協力会社の外部スタッフとも連絡を取り合わなければなりません。その点、相手の電話番号がわからなくてもLINE WORKSのアカウントを保持している外部スタッフと通話ができるLINE WORKSは、番組制作現場との相性も良いと考えます。
胡子さん:
掲示板も使い始めています。掲示板には全体に対する各種お知らせを掲載していたのですが、発信者は「既読の有無や反応が分かる点が良い」という評価をしています。
またカレンダーには、人事労務関連書類の提出期日を掲載したり、会社独自の休日を登録したりしています。
問い合わせ対応やGoogleドライブへのアップロードの通知にBotを活用しているのですね。
胡子さん:
試験的ではありますが、「おたすけQAボット」を作成し、福利厚生に関する質問に自動応答する仕組みを整えています。
またABEMA NEWS側では、Google ドライブへ映像素材などのファイルがアップロードされると、テレビ朝日側のグループトークに通知される仕組みのBotも運用し、見落とし防止の効果につながっています。
今後のLINE WORKSの運営について、目標をお聞かせください。
胡子さん:
さらなるLINE WORKSの利活用を推進していきたいです。例えば、社内で問い合わせの多い人事労務に関する質問をBotで自動応答できるようにしたり、掲示板やカレンダーの利活用を進めたりするなどして、よりLINE WORKSの浸透を図りたいと考えています。
【お話を伺った方】
インターネット・オブ・テレビジョンセンター(IoTvセンター)DX推進担当部長 兼 技術局 設備センター 兼 株式会社テレビ朝日サービス現職出向
胡子 裕之さん
DX推進担当部長として、テレビ朝日グループ全体の働き方を改革するDX推進を担当。LINE WORKSの導入推進者・管理者
報道局 クロスメディアセンター AbemaNews担当部長
水野 篤さん
アベマニュースチャンネルの担当部長として、チャンネル運営の責任者を務める。LINE WORKSの活用推進者であり、利用者でもある
報道局 AbemaNews アシスタントプロデューサー
林 将平さん
アベマニュースチャンネル全体のアシスタントプロデューサー。AbemaNews社側の無料版LINE WORKSの管理者
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年12月当時のものです。