千葉県いすみ市立夷隅小学校の職員会議では口頭での伝達が多く、以前から職員間では伝え漏れのリスクが指摘されており、会議時間が延びてしまうことも課題でした。LINE WORKS導入後は、事前に掲示板のコメント欄へ投稿することで、確実な情報共有と会議時間の短縮を実現。また、校外学習など遠隔地にいる教員とのタイムリーな指示・伝達も可能となり、教職員の在校時間が減少しました。外部トーク連携によるICT支援員との連携強化で、勉強が楽しくなるICT教育にも工夫をこらすなど、LINE WORKSの存在が教職員の働き方改革の手助けとなっています。
【本事例のポイント】
- 職員会議前に掲示板へ会議内容を投稿し、当日の所要時間を短縮
- 校外学習用のグループトークで、迅速なデータ共有と危機管理として運用
- ICT支援員との外部トーク連携で、トラブルの早期解決
貴校の特色をご紹介ください。
久我さん :
当校の学校教育目標は「夷隅の空に みんなの声をひびかせよう 心も体もたくましく ともに高め合う夷隅っ子の育成」です。「やさしい子、かしこい子、たくましい子」という児童像を目指して、教職員は愛情をもって一人ひとりの児童と日々向き合っています。また児童と地域社会との関わり合いを推進するべく、自然とのふれあいや農業体験などの校外学習を積極的に実施しています。
教育現場での報連相において貴校が抱えていた課題と、LINE WORKSを導入された背景をお聞かせください。
久我さん :
週に2回、授業前の朝の時間帯に職員会議を開いています。以前は各教職員からの共有事項はすべて口頭で伝え、各自でメモを取っていたので、この状態では伝え漏れがいつか生じるのではと懸念していました。また、会議が10分~15分延長する時は児童たちには自習をしてもらうなど、児童を待たせてしまうこともありました。
会議のほかに、教職員に大至急連絡する場合はメール配信サービスを利用していますが、受信者から返信できないため一方的な情報共有となっていました。
もっと素早く、確実に意思疎通が図れる連絡ツールはないかと模索していたところ、他校の関係者からLINE WORKSを勧められ、当校のICT支援員のサポートを受けながら導入に至りました。
LINE WORKSを選定された一番の決め手を教えてください。
原田さん :
当校には幅広い年代の教職員がおりますが、プライベートでは全員LINEを使っています。ほかの連絡ツールも検討しましたが、LINEと似ているLINE WORKSが一番使いやすそうだということで導入を決めました。各々、個人のスマホか、貸与されている職務用のノートパソコンへLINE WORKSアプリをインストールしています。私は児童の前ではスマホの使用を控えたいので、パソコン版アプリを利用しています。導入後は、操作方法を教える手間もなく全員スムーズに使いはじめ、どの端末で使うか選択できるのもメリットのひとつでした。
久我さん :
既読機能も魅力的で、仮に相手から返信がなかったとしても誰が既読したかわかるので、確実に情報が届いているという安心感があります。未読の教職員にはこちらからあらためて連絡することもでき、一方的な情報発信が解消されるだろうという期待もありました。
課題解決に向けてLINE WORKSをどのように活用されていますか。
久我さん :
朝の職員会議を執り行うにあたり、LINE WORKSの掲示板にあらかじめ会議の日にちを記載した投稿を作成し、各職員には事前に連絡事項をコメント欄へ投稿してもらうようにしました。会議ではイチからすべて確認せず、補足があるときだけ説明することにしたので、時間内に終われるようになり授業に遅れることもなくなりました。テキストとして記録が残るので振り返りもしやすく、伝え漏れのリスクも軽減しました。
情報は掲示板のコメント欄へ投稿し事前に共有
そのほか、LINE WORKSの具体的な活用シーンとその効果をお話しください。
久我さん :
校外学習などの移動を伴う業務でも効果を感じています。当校では年間でおよそ18回の校外学習を実施しており、その様子を学校のホームページに掲載しています。以前は引率する教職員がデジタルカメラで撮影し、学校に戻ってからそれらの写真データを受け取っていました。行き先によっては、受け取るまでに1日中待機する場合もあり、ホームページの更新は夕方ごろになることもありました。LINE WORKS導入後は校外学習用のグループトークを作成し、現地で共有できるようになったため、すぐにホームページを更新できるようになりました。保護者や校外学習でお世話になっている地域の方々へ情報をすぐお届けできるようになったことに加え、無駄な待機時間がほぼなくなったことでほかの業務に時間を使えるようになり、昨年度に比べて教職員の在校時間が短くなっていると感じております。LINE WORKSの導入は働き方改革の一翼を担っています。
迅速なデータ共有で、教職員の待機時間を減らし速やかな業務遂行が可能に
原田さん :
校外学習におけるLINE WORKSの活用はホームページの更新以外にも、現地対応でも効果を得ています。通常は、ほかのお客様にご迷惑をかけないよう現地に到着する前にバスの中で参加人数をチェックし、施設の入場料を準備します。しかし、ある校外学習では急遽大型バス2 台に分かれて移動することになり、以前なら到着しないと集計ができませんでしたが、LINE WORKSのおかげで児童たちの出欠席の状況をすぐ報告してもらえたので、スムーズに入場できました。
また、現地で紛失物やけが人が出た際に速やかに対応するため、職員間で連携できるような体制を整えられました。LINE WORKSは危機管理の役割も果たしてくれています。
久我さん :
日常的な報連相もトークルームでやりとりするようになりました。急病などによる欠勤の相談においては、欠勤する教職員から実施予定だった授業内容を報告してもらい、私から別の教職員へ業務を振り分けられるようになりました。
日常の細かな報連相もトークルームで常に共有
ICT教育の現場でも、LINE WORKSの外部トーク連携機能が役立っているそうですね。
原田さん :
ICT教育の一環として、児童一人につき一台のタブレットを配布しております。児童たちへのサポートや教職員への研修のために、月に一度、ICT支援員に来校していただいています。そこで、来校日以外の日でも連絡ができるように、ICT支援員のLINE WORKSアカウントと私たちのLINE WORKSアカウントを外部連携しました。授業を担当する教職員が一番不安に感じているのは端末のトラブルです。電源が入らなくなったり、画面がフリーズしてしまったりなどの症状を確認した際には、トークルーム上ですぐに相談ができるようになりました。解決方法が書かれた資料やURLをすぐに送ってもらえるので、現場の教職員だけでも解決できるようになりました。また、「九九を覚えるのに楽しいアプリはありませんか?」といった学習に役立つアプリなどの相談も気軽にできるようになりました。密な連絡ができるようになったことで、児童の学びにも良い変化をもたらしています。
久我さん :
以前はICT支援員との主なやりとりはメールや電話だったのですが、メールソフトがインストールされているパソコンは一台しかなく、パソコンを使用している間はほかの教職員から連絡ができなかったり、電話をしてもお互いに不在で行き違いもあったりしました。外部トーク連携をはじめてからは時間と場所、端末を問わず気兼ねなく連絡ができるようになりました。
ICT支援員との連携強化でトラブルを即座に解消
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
原田さん :
年間行事予定、月行事予定、週の行事予定など複数の種類があるのですが、カレンダー機能を活用できればパソコンとスマホからいつでも確認できるようになるので便利そうですね。
久我さん :
グループトークのノート機能にある議事録テンプレートを使ってみたいです。現在は主に予定や議事録は資料を印刷して共有していますが、こうして少しずつLINE WORKSに移行していくことで将来的にはペーパーレスにもつながるのではと期待しています。
【お話を伺った方】
教務主任 久我覚さん
学校行事などのスケジュール管理や連絡事項の取りまとめなどの運営を統括。
教諭 原田幸穂さん
2年生の担任。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2023年3月当時のものです。