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IVR(自動音声応答)とは?
コールセンターや企業の電話窓口では、かかってきた電話にオペレーターが出る前に、まず自動音声が応答するケースが増えています。この自動音声のしくみがIVRです。
ここでは、IVRの基本的な定義と仕組み、そしてよく比較されるボイスボットとの違いを整理します。
IVRの定義と仕組み
IVR(Interactive Voice Response)は発信者の操作に応じて、あらかじめ用意された音声で自動的に応答するシステムです。
「〇〇に関するお問い合わせは1を」という案内を聞いた経験がある方も多いはずです。
仕組みはシンプルで、顧客が電話をかけるとまず音声ガイダンスが流れ、案内に沿って番号を押すよう促されます。
IVRはその番号に応じて、担当部署への転送や定型的な回答の再生といった対応を行います。
オペレーターが一件ずつ用件を聞き取らなくて済むため、電話応対の負担を大きく減らせるのが魅力です。
IVRとボイスボットの違い
IVRとよく比較されるのがボイスボット(AI自動音声応答システム)です。
IVRの多くは電話機のボタン操作で番号を選ぶ仕組みのため、一度に案内できる選択肢の数に限りがあります。
用件が細かく分かれる場合は、発信者が何度もボタンを押してメニューをたどる必要があり、担当者につながるまで時間がかかることがあります。
一方、ボイスボットは発信者が話した内容をAIが聞き取って理解します。
ボタン操作が不要で、「解約について聞きたい」などと普段の言葉で話すだけで用件が伝わるため、メニューをたどる手間がありません。
IVRの主要な機能10種類|できることを一覧で解説

IVRは音声案内を流すだけの仕組みではありません。着信の振り分けから外部システムとの連携まで、複数の機能を組み合わせることで電話業務の大部分を自動化します。
ここでは、実務でよく使われる主要な機能を10種類に整理して解説します。
音声ガイダンス再生
あらかじめ録音した音声やテキストから自動生成した音声で、決まった案内を流す機能です。
IVRのもっとも基本的な役割にあたり、電話がつながると最初に再生されます。
営業時間の案内、電話が混み合っているときのお知らせ、よくある質問への回答などを登録しておけば、オペレーターがそういった対応をする必要がなくなります。
メニュー分岐設計
「ご注文は1番、お問い合わせは2番」のように、顧客が押した番号に応じてその後の案内や転送先を切り替える機能です。
用件を正しい窓口へ導くための土台になりますが、選択肢や階層を増やしすぎると顧客が目的の番号にたどり着けず、途中で電話を切ってしまうこともあります。
よくある用件を先に案内する、階層を浅くするなど、顧客が迷わない構成にすることが大切です。
着信振り分け・自動転送
顧客が選んだ用件や、あらかじめ決めた条件に応じて、担当の部署や拠点へ通話を自動でつなぐ機能です。
番号を押すと案内を切り替えるメニュー分岐に対して、こちらは実際に通話を転送する役割を担います。
複数の転送先を登録でき、時間帯や拠点ごとに振り分け先を変えることもできます。
一次対応の担当者を介さずに適切な窓口へつなげられるため、取り次ぎの手間や待ち時間を減らせます。
通話録音・受電履歴の蓄積
通話の内容を録音し、いつ・誰から・どのような用件で着信があったかを履歴として残す機能です。
録音が残っていれば「言った、言わない」のトラブルを防げるほか、応対内容を後から聞き返して品質のチェックやオペレーターの教育にも活用できます。
通話を文字に起こし、対話形式のデータとして残せるサービスもあり、どの用件の問い合わせが多いかといった傾向の分析にも役立ちます。
音声認識
発信者が話した言葉をシステムが認識し、その内容から用件を判定する機能です。
「解約について」などと話すだけで用件を受け付けられるため、発信者は選択肢の多いメニューを順にたどる必要がありません。
AIと組み合わせれば「解約」「やめたい」といった言い回しの違いも理解でき、判定の精度をさらに高められます。
テキスト読み上げ
文字で用意した情報を、AIがその場で音声に変換して読み上げる機能です。
在庫や予約、注文の状況など、その時々で内容が変わる情報もシステムから取得してそのまま音声で案内できます。
音声をあらかじめ録音しておく必要がないため、頻繁に変わる情報や問い合わせごとに異なる案内にも柔軟に対応できます。
SMS自動送信連携
通話の途中や通話が終わったあとに、顧客の携帯電話へSMS(ショートメッセージ)を自動で送る機能です。
地図のURL、問い合わせフォーム、受付番号、予約内容など、口頭では伝わりにくい情報を文字で確実に届けられます。
送ったフォームへ顧客を誘導すれば、その後のやり取りを電話からWebに移し、以降の対応を無人化する使い方もできます。
外部システム連携
CRMやPBXといった外部システムと連携する機能です。
着信した電話番号をもとに顧客情報を自動で呼び出して画面に表示したり、対応した内容を履歴として自動で記録したりできます。
オペレーターは、誰からのどのような問い合わせかを把握したうえで応対を始められるため、名前や契約内容を一から確認する手間が省け、応対時間の短縮にもつながります。
コールバック予約
入電が集中してオペレーターがすぐに対応できないときに、都合のよい時間に折り返す予約を受け付ける機能です。
電話がつながらない「あふれ呼」をそのままにすると、問い合わせや申し込みの機会を逃してしまいます。
折り返しを予約してもらえば顧客を長く待たせずに済むうえ、オペレーターが落ち着いて対応できる効果も見込めます。
電話番号認証・本人確認
顧客の電話番号や、入力してもらう暗証番号などをもとに、本人であることを自動で確認する機能です。
個人情報や契約内容を扱う窓口では、案内に入る前の本人確認が欠かせません。
この工程を自動化すれば、なりすましのリスクを抑えてセキュリティを高められるうえ、オペレーターが口頭で確認する手間や時間も省けます。
IVRの機能を活用するメリットと得られる効果

ここまで紹介した機能は、単に電話をさばくだけでなく、運営コストや顧客の満足度にも影響します。
ここでは、IVRを活用することで得られる代表的な効果を、4つの視点から見ていきます。
オペレーターの一次受け削減と人件費の最適化
IVRが用件の振り分けや定型的な回答を代わりに担うことで、オペレーターが最初に電話を受ける件数を大きく減らせます。
「営業時間を知りたい」「住所を確認したい」といった簡単な用件なら、人が対応しなくても自動音声だけで完結するためです。
対応する件数が減ればより少ない人数で運営でき、人件費の最適化につながります。
空いた時間で、オペレーターは人でなければ難しい応対に集中できるようになります。
夜間や休日の電話応対の実現
IVRは自動で応答するため、オペレーターがいない時間帯でも電話を受けられます。
日中は仕事などで電話をかけにくい顧客にとっても、夜間や休日に用件を済ませられるのがメリットです。
急に入電が増える繁忙期でも、一次対応を自動音声が担うことで取りこぼしを防げます。
これまで営業時間外だからと取りこぼしていた問い合わせを拾えるようになり、機会損失の削減にもつながります。
カスタマーハラスメント抑止
IVRやボイスボットが電話の一次対応を引き受けることで、オペレーターが理不尽な要求や暴言にさらされる場面を減らせます。
通話が録音されていることも、行きすぎた言動を思いとどまらせる抑止力になります。
従業員を守る取り組みとして、カスタマーハラスメント対策の重要性は年々高まっています。
通話データの可視化によるCX改善
IVRを通した通話は、録音や着信の履歴、音声認識の結果としてデータに残ります。
このデータを集計すれば、どの用件の問い合わせが多く、どのメニューで顧客が離脱しているかが見えてきます。
例えば特定の段階で電話を切られやすいとわかれば、その案内文や分岐の見直しにつなげられるはずです。
こうしたボトルネックを一つずつ改善していくことが、応対時間の短縮や顧客満足度(CX)の向上につながります。
IVRの機能を選定する際のポイント

IVRは製品によって、搭載する機能も料金体系もさまざまです。
導入してから「必要な機能がなかった」「思ったより費用がかさむ」と後悔しないために、選定時に確認しておきたい3つのポイントを紹介します。
自社の業務フローへの適合性
機能が豊富でも、自社の電話業務で実際に使えなければ意味がありません。
まずは、どのような用件の電話が多いか、月にどれくらいの件数が入るかを整理し、そのうえで必要な機能を見極めることが大切です。
あわせて、想定するメニューの分岐や転送のシナリオが実務に即しているかも確認しておきましょう。
現場の運用に合わないシナリオを組むと、かえって顧客を混乱させてしまいます。
既存PBX・CTI・CRMとの連携可否
すでに使っているPBXやCTI、CRMと連携できるかどうかは、重要な判断軸になります。
連携できれば、着信と同時に顧客情報を呼び出したり、応対履歴を自動で記録したりでき、既存の設備を生かしたまま電話の入口だけを効率化できます。
反対に連携できないと、情報を手作業で照らし合わせる手間が残り、導入の効果が半減しかねません。
今使っているシステムの型番や仕様を控えたうえで、対応状況を確認しておくと安心です。
料金体系と費用対効果(ROI)の見極め
IVRの料金は、導入費用、毎月の基本料金、追加機能の費用などで構成されます。
回線数や稼働時間、通話量に応じて料金が変わるプランもあるため、自社の使い方に合った料金体系かを確認しましょう。
特に、コール数が月によって大きく増減する場合は、繁忙期に費用がふくらみすぎないかを試算しておくと安心です。
導入で削減できる人件費や取りこぼしを防ぐことによる売上の向上とあわせて、費用に見合う効果が得られるかを見極めることが大切です。
【事例】IVRの機能を発展させた現場の成果

ここまで見てきたIVRの機能を、AIによってさらに発展させたのがボイスボット「LINE WORKS AiCall」です。
年間3000万件の電話対応実績を持ち、金融・通信・物流・保険など幅広い業界で導入されています。
既存のPBXをそのまま活用しながら電話の入口をAI化でき、対応コールが増えても定額で利用できる点も強みです。実際の現場で成果を上げた3つの事例を紹介します。
35種類の用件自動分類でオペレーター対応30%削減
セゾンカードを発行する株式会社クレディセゾンは以前よりIVRを運用していましたが、離脱率の高さや自動応答で完了できる用件が限られていたことを課題に感じ、LINE WORKS AiCallを採用しました。
従来は6階層にもおよぶIVRシナリオがあり顧客が目的の窓口までたどり着きにくい状態でしたが、AiCallの導入後は、顧客とAIの対話で用件を35種類に分類し、「Webによる手続きの仕方をご案内するSMS送信」「IVRによるご案内」「オペレーターにつないでの対応」へ適切に振り分ける仕組みを構築しました。
その結果、月に約10万件あったオペレーターへの着信を、約3万件も削減することに成功しました。
宅急便集荷依頼の自動化で顧客満足度80%超
物流大手のヤマト運輸株式会社では、繁盛期や夜間帯に電話がつながりにくい状況になることが課題でした。
そこでAiCallを活用し、集荷依頼の一次受付を自動化する体制を整えました。
実証テスト後の顧客アンケートでは満足度80%以上を記録し、「電話の待ち時間がない」「AIオペレータとのやりとりがスムーズ」といった声が寄せられました。
AIが定型的な集荷受付を担うことで、オペレーターは複雑性や緊急性の高い問い合わせに時間を割けるようになりました。
また、受付内容が自動でドライバーへ連携されるため、手作業による入力ミスもなくなっています。
全国218店舗の問い合わせ対応を効率化
家電量販店「ジョーシン」を展開する上新電機株式会社では、修理受付の電話に1件あたり15分以上かかっていました。
特に夏場はエアコンの修理依頼などで受電数が通常月の2倍から2.5倍に増え、営業開始後の2時間に電話が集中していました。
そこで、夜間の修理受付をAiCallで自動化し、朝に集中していた電話を分散させました。
修理受付で特につまずきやすいのが、対象の商品をどう特定するかという点です。型番は不規則な文字列のため、音声だけでは正確に聞き取りにくいという問題がありました。
AiCallでは、対象となる型番100万アイテムのデータを登録したデータベースを用い、顧客が話した型番を音素に分解してマッチングすることで、聞き取りにくい型番でも商品を絞り込めるように設計しました。
その結果朝の電話集中が解消し、店舗のスタッフは来店客の接客に集中できるようになりました。
目的に合ったIVR機能を見極め電話業務を効率化する
IVRには、音声ガイダンスやメニュー分岐といった基本の機能から、音声認識や外部システムとの連携まで、さまざまな機能があります。
大切なのは機能の多さではなく、自社にどの用件の電話が多く、どこに手間がかかっているかを把握したうえで必要な機能を選ぶことです。
既存システムとの連携可否や費用対効果まで確認して選べば、電話業務の効率化と顧客満足度の向上を両立できます。
一方で、番号選択を前提とするIVRだけでは、細かく分かれる用件や増え続ける入電に対応しきれない場面も出てきます。
「オペレーターが足りず電話がつながらない」「受付の項目が多く一件に時間がかかる」といった課題を感じているなら、話し言葉のまま受け付けられるAIボイスボットの導入が有効です。
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