働き方改革の本質は生産性向上だというけれど、じゃあ何をすればいいの?
という方のヒントになればという思いで、今回の記事は書いてます。
目次
日本の生産性が低い!だから「働き方改革」?
日本企業の生産性は(海外に比べて)きわめて低い!
ホワイトカラーの生産性向上が大事だ!
業界的に、サービス産業の生産性が低い!
生産性というキーワードで新聞や雑誌によく出てくるのは、こんなフレーズです。
マクロで見れば、確かにそのとおりでして、OECD加盟国の中で日本は21位、G7(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本)の中では過去22年間ずっと最下位です。*1
イタリアより低いんですよ、ちょっと驚きですよね。
そして、日本のGDPの7割以上を占めるサービス産業の生産性は、アメリカを100とすると 50.7 となっています。*2
*1 「労働生産性の国際比較」公益財団法人日本生産性本部
*2 「産業別労働生産性水準の国際比較」 滝澤美帆 東洋大学教授
ですが、そんなこと言われても、
で?
と思いませんか?
「だから働き方改革が必要だ」
と言われても
「それ、ウチの会社、自分の仕事と、どういう関係があるの?」
と思いませんか?
政府やマスコミから出てくるメッセージはすごく偏っていて、働き方改革関連法案の話、特に「残業時間の上限規制と違反時の罰則」や「高度プロフェッショナル制度」、「同一労働同一賃金」の話ばかり。
本当に知りたいことは、法案や制度の話ですか?
(いやいや、その前に全体像を知りたいんだ、という方はこちら「働き方改革」の記事をどうぞ)
「働き方改革」の目的とは
そもそも「働き方改革」の目的は何でしょう?
労働時間(要は残業)の削減ですか?
ワークライフバランスの向上ですか?
前者は手段、後者は結果だと思います。
私は「働き方改革」の目的は、こういうことだと考えています。
企業としての持続性を維持しながら、利益ある成長を実現する
平たく言うと、
働き手は減るけど、お客様の要求はどんどん上がっていく。
このまま放っておいたら、仕事が回らなくなるのは分かってる。
でも、労働時間を減らしたところで、お客様の要求が下がるわけじゃない。
むしろ競合に負けてしまう。
じゃあ、どうすればいいんだ?
という難しい問題の答えを出さないといけない、ということだと思います。
この答えはそう簡単に出せるはずもなく、どこから手を付けるかを考えるだけでも、気が滅入りそうです。
そろそろ「働き方改革疲れ」というキーワードが出てくるんじゃないかと思ってます。
それくらい、このキーワードは壮大なテーマを含んでいます。
もちろん、社内でプロジェクトやタスクフォースを立ち上げて、担当メンバーが全体像を検討できるような大企業であれば、苦労はあるものの、進めることはできると思います。
また、今ならいくらでも「働き方改革コンサルティング」をメニューとして掲げている企業がありますので、そういった依頼をする余裕がある企業であれば、コンサルティングを依頼する手もあるでしょう。
でも、多くの企業、特に中小企業では、そもそも人材が不足しているのだから、検討メンバーは社長か役員のみ。外部にコンサルティングを依頼するような余裕はない、ということが多いと思います。
もっと身の丈にあった解決策、身の丈ITはないの?
では、とインターネットを検索してみても、今ひとつちょうどいい情報が見つからない。
例えば、業務改善や生産性向上というキーワードで検索すると、製造現場や生産工程の話だったり、ホワイトカラーの話だったり、ツールの紹介だったりと、パシッと当てはまるものがない。
管理部門や総務部門、または情報システム部門など、本社部門で働いている方にとっては、生産性向上といえば「作業の自動化」と捉えることが多く、RPA や AI といったキーワードが気になると思います。
一方で、現場の状況を見てみると、こんなことが起きていませんか?
本部からの連絡確認や報告など、とにかく管理職の負荷が高く、お客様対応が遅れてしまう。
メールや掲示板の見落とし・確認漏れで、スタッフひとりひとりに連絡が行き届かない。
そもそも店舗運営で手一杯なので、日中はパソコンを見ている時間なんてない。
外出、移動、打ち合わせの連続なのでずっとパソコンの前にいるわけではない。
スタッフのITスキルが低いので難しいツールは使いこなせない。
現場の方、特に現場の管理職の方が苦労されているポイントは、どうもRPAやAIといった作業の自動化、判断の高度化というアプローチで解決できる問題ではなさそうです。
(「働き方改革を考える上で大事なポイントは」へ続きます)
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