創業以来、100年以上にわたり卒業アルバムの制作を手掛けている株式会社ダイビ。聴覚障がいを持つ従業員とのコミュニケーションをきっかけにLINE WORKSを導入しました。同社は電話・メールでの連絡をトークに置き換え、確認に係る時間を大幅に削減。また勤怠管理システム「奉行クラウド」との連携によって業務の効率化を図り、勤怠管理に係る業務時間を年間で474時間短縮させました。創出した時間はBCP対策や採用関連業務に充て、時代の変化を乗り越えられる組織作りに取り組む予定です。
本事例のポイント
- 聴覚障がいを持つ従業員とのスムーズな業務連絡に活用
- 電話やメールで起こりがちなコミュニケーションコストを大幅削減
- ワークフローのデジタル化や事務処理時間削減、ペーパーレス化を実現
御社の企業概要をご紹介ください。
前田さん:
当社は1918年の創業以来、100年以上にわたり卒業アルバム制作事業を中心に展開している印刷企業です。とくに大学の卒業アルバム制作に強みを持ち、北は北海道、南は沖縄県まで、年間で約2,100校・約26万冊の卒業アルバムを制作しております。今後は少子化による生徒数・学生数の減少は避けられない状況です。厳しい市場環境の中、どのようにしてシェアの維持・拡大を図っていくのかが、当社のみならず業界全体の課題となっています。
LINE WORKSを導入された経緯を教えてください。
吉田さん:
LINE WORKS導入のきっかけは、マスクをつける習慣が始まったことで聴覚障がいを持つ従業員とのコミュニケーションの課題に直面したことでした。その社員は、読唇術つまり口の動きで人の話をほとんど理解できる優秀な人材のため、これまでは大きな問題なくコミュニケーションを取れていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、皆がマスクをするようになり、スムーズなコミュニケーションが難しくなりました。筆談をするにしても生産性が落ちてしまうため、新たなコミュニケーションツールとしてLINE WORKSが候補に挙がり、2020年7月頃より一部部署から導入を開始しました。
前田さん:
LINE WORKSの導入は、生産管理のデジタル化を推し進めている当社の取り組みの一つでもありました。卒業アルバム業界は、繁忙期と閑散期の差が非常に激しい業界です。具体的には8〜9月は就業時間が短く休みも多いですが、卒業シーズンに近い1〜2月に向けて非常に忙しくなります。労働の不均一性をいかになくし、合理的な生産体制を整えるかが当社にとっての大きな課題です。この課題解決の手段として、LINE WORKSの導入をはじめとしたデジタル化の推進を進めています。
最初にLINE WORKSを使用した所感を教えてください。
前田さん :
実際にLINE WORKSを使用し始めると、「さすが餅は餅屋だ」という印象を受けました。実はLINE WORKS導入前に、自社開発したグループウェアでチャットをしていたのですが、LINE WORKSの方が格段に使いやすく機能も揃っています。とくに、アプリのアイコン右上に赤丸で表示されるバッジの機能は素晴らしい発想だと思います。あの赤丸が通知を確認する動機付けになり、さらに操作性の高さやLINEへの馴染みもあり、想定以上に社内での浸透が早かったのが印象的でした。
LINE WORKSはどのように活用されていますか。
【トーク】担当者間や約15の部署間におけるスムーズなコミュニケーションの実現
【掲示板】会議議事録や社内報を掲載し、社内向け情報のペーパーレス化を実行
【タスク】面接日や選考状況を記録し、求職者管理に活用
吉田さん:
主に使用している機能はグループトークやノート、掲示板、カレンダー、タスクです。トークは部署内や部署間、担当者間でのコミュニケーションのために活用しています。例えば、営業部門から製本部門へ、印刷部数の変更やデータの修正などの指示連絡をトーク上で行っています。グループのノートは、部署ごとに業務上の注意点を掲載したり、各写真館の特記事項の情報共有のために使用しています。掲示板については、社内全体のお知らせや会議議事録、社内報などを掲載し、社内向け情報共有の用途で活用しています。
そのほか、カレンダーは社員どうしの予定共有のために、タスクは人材募集時に活用しています。タスクには面接日や選考状況などを記録・共有し、求職者管理に役立てています。
LINE WORKSの導入により、どのような業務改善を実現されましたか。
前田さん:
コミュニケーションが圧倒的に円滑になりました。LINE WORKS導入前に使っていたチャットツールやメールでは、連絡を確認したのか送り手からは判断できません。そのため、いちいち「○○さんは確認しましたか?」と電話で確認する手間がかかっていました。一方、LINE WORKS導入後は、誰が既読したかのかが一目で確認できるため、電話による確認作業を省くことができているほか、連絡漏れによるミスも劇的に減らせています。また、情報をトークで一斉にリアルタイム共有できるようになったため、単純に情報の共有速度も上がりました。
吉田さん:
情報の共有速度向上は、業務の滞留防止にも寄与しています。例えば、営業部はLINE WORKSを用いて、お客さま先に居ながらデータの修正依頼を送ることができるようになったため、営業社員が帰社するよりも前に、制作担当が修正対応に取りかかれるようになりました。とくに繁忙期は、リアルタイムに修正指示をやり取りできるので助かっています。
LINE WORKSと奉行クラウドを連携させているとのことですが、どのように活用されているのでしょうか。
吉田さん:
まず、奉行クラウドからの通知やアラートを、該当者のLINE WORKSのトークに通知させています。具体的には未打刻の通知、有給付与および有給残日数のお知らせ、4段階の残業時間の超過アラート、残業申請や休暇申請など各種申請の通知・アラートが該当者のトークへ送られます。
このうち、残業時間の超過アラートは、該当者のトークへ送られると同時に、管理職へはメールで通知される仕様です。また各種申請の通知については、部下(申請者)から申請が届いたタイミングで上長(承認者)に通知が届き、上長の承認後に部下に承認の通知が届くようになっています。
奉行クラウドとのアプリ連携により、どのような業務改善を実現されましたか。
赤松さん:
ワークフローの改善ひいては業務時間の削減を実現できました。ワークフローの改善で大きな効果を上げているのが、未打刻者対応に係る業務の削減です。未打刻者がいた場合、以前は上長へ電話で「○○さん、昨日打刻をしていないですが、有給ですか?打刻忘れですか?」と確認作業をしていました。しかし、これでは電話をする私はもちろん、上長も電話対応のため、業務の手が止まってしまいます。
現在は、奉行クラウドとの連携により、未打刻通知が該当者へ送られるようになりました。その結果、未打刻に係る申請を該当者本人が行うようになり、電話連絡の手間と時間がなくなりました。また、奉行クラウドとの連携で、残業申請や休暇申請など各種申請のペーパーレス化も進められています。以前はすべて紙ベースでの申請だったため、申請者→部課長→経営管理部長と、各階で判子リレーを物理的に行う必要がありました。現在はそれらの作業をすべて奉行クラウド内で完結しています。
この各種申請のペーパーレス化は申請者や承認者の負担はもちろん、総務課の負担も大幅に低減させています。具体的には、残業届のExcel入力やチェック作業、休暇の事由の入力、申請書のシュレッダー作業などの手間がなくなったため、勤怠管理に係る事務処理時間を年間474時間、シュレッダー作業に係る手作業を年間2,880回削減し、年間8,640枚のペーパーレス化できました。
効率化されたことで創出した時間で何をされる予定ですか。
赤松さん :
これまで総務課として手薄になっていたほかの仕事に取り組みたいと考えています。具体的には、緊急事態時における事業継続のための対策、いわゆるBCP対策(事業継続計画)の策定を進めていく予定です。加えて、費用対効果の高い求人媒体の選定や採用手法の見直しなどを行い、より効果的な採用活動の実現も目指していきたいと考えています。
前田さん:
経営サイドとしては、総務課と共に社員教育にもより注力していきたいと考えています。例えば、勉強会やセミナーなども展開し、従業員のスキルを伸ばすサポートができたら良いなと思います。このような新たな取り組みを考えられるのも、奉行クラウドとの連携により総務課のキャパシティに余裕が生まれたからこそです。
今後、当社が業界で生き残るためには、競合優位性の確保および従業員満足度の向上を目的に、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく必要があります。LINE WORKSについては、DX推進の観点から、引き続き社内のコミュニケーションツールや外部システムとの連携を進めていきたいと考えています。
【お話を伺った方】
前田 哲治さん
創業し100年を超える歴史を誇るダイビの代表取締役社長。時代に対応できる組織づくりを目指し、全社で取り組む。
吉田 幸司さん
経営管理部 総務課 主査として総務課の業務全般を統括。
赤松 紗帆さん
経営管理部 総務課 主任として総務全般の業務を対応。