「最高品質と最低価格で社会に貢献」を理念に住宅事業、断熱材事業、リフォーム事業、不動産投資事業などを展開する株式会社ヒノキヤグループは、お客様や社内のコミュニケーション活性化を目的に2017年よりLINE WORKSを導入しています。注文住宅を手掛ける部門では営業担当者がお客様のLINEと連携し、完成した物件が引き渡されるまで親密にサポート。建築現場では管理責任者が現場の安全確認に利用するなど、お客様の満足度と工事品質を高めるためのツールとして有効活用しています。
本事例のポイント
- 営業社員のLINE WORKSから見込み顧客のLINEにこまめな連絡が可能に
- グループトークで連絡することでお客様ご家族内の共有もスムーズに
- お客様が知りたい工事の進捗状況が画像とテキストでタイムリーに共有可能に
- 現場の安全管理の徹底、QAチャットボットや部門を超えた連絡ツールとして社内でも活用
御社は2017年からLINE WORKSを活用されていますが、導入のきっかけを教えてください。
萩原さん :
当社が円滑に業務を進めるには、社外で動く営業社員、オフィスにいる内勤者、建築現場を管理する現場監督が密接に連携したうえで、お客様と円滑なコミュニケーションを取る必要があります。しかし、当時は主な手段が電話・FAX・メールだったため、スピーディに情報を共有することができませんでした。そうした状況の改善に向けてコミュニケーションツールの導入を検討し、多くの社員がプライベートの連絡ツールとして使い慣れているLINEに近い操作感のLINE WORKSを選定しました。
LINE WORKSによってどんな業務効率化がもたらされましたか。
萩原さん :
注文住宅を手掛ける株式会社桧家住宅の営業社員は名刺にLINE WORKSの二次元コードを入れ、住宅展示場に来場されたお客様のLINEとの友だち登録を勧めています。つながっていただいたお客様とは、外部トーク連携機能でセキュアに連絡ができるので、電話やメールよりずっとスムーズにコミュニケーションを図れるようになりました。連絡先は以前と比べ2倍の取得数で、その後やり取りの量は3倍になり、競合他社との差別化につながっています。社内統計を取ったところ、LINE WORKSでお客様のLINEとつながった場合の成約率は、そうでない場合と比べて高いことも明らかになっています。
お客様だけではなく社員どうしのコミュニケーションの大半もLINE WORKSのトークに置き換わり、情報共有の速度が格段にアップ。連絡に要する時間の短縮は、業務生産性の向上に結びついています。また社内では、新人社員が戸惑いそうな業界の専門用語などのナレッジ共有Botを構築し、いつでも回答できるようにしています。
グループ全体で2,300名もの方が利用されていますが、大規模な運用を円滑に行うためのポイントを教えてください。
萩原さん :
会社が導入したツールを活発に使ってもらうには、個々の社員のリテラシーを尊重し、あまり細かな規則や制約で縛らない方がよいと考えています。そのような観点からトークグループの作成は申請制にしないなど、自由度の高い運用を行っています。LINE WORKSの運用管理者がトークログを監査できることを事前に周知していることでガバナンスが効いていると思います。また、管理者権限をグループ各社に振り分けてアカウントの追加・変更・削除などを任せることで、運用管理の負担を分散しています。
営業部門ではお客様との意思疎通にLINE WORKSをどのように活用されていますか。
・お客様ごとのトークルームで工事の進捗状況などを画像や動画で密に共有
・お客様ご家族とのグループチャットにすることで、家族間の共有の負担も解消
・トークならではのフランクな雰囲気のやり取りが可能
松本さん :
私は住宅展示場にお越しいただいたお客様に、名刺をお渡しするファーストコンタクトの段階でLINE WORKSとの連携をお願いしています。まずはお客様と営業担当者がつながり、弊社でご契約いただけた後には、建築現場を管理する現場監督やインテリアコーディネーターなどがトークルームのメンバーとして参加。お客様の物件に係わる当社のスタッフがお互いにスムーズに連絡できるだけではなく、写真や動画の共有などで施工中の現場の様子を随時ご覧いただけるといったメリットをお伝えすれば、LINEをお使いになっているお客様の大半の方に友だち登録をしていただけます。受注に至ったお客様の約9割はLINEでつながった方々です。
保科さん :
お客様との連絡の大半が電話やメールからトークに移行したのでやり取りの数は非常に多いものの、電話と違って自分のタイミングでメッセージを送ったりチェックしたりできるので、それだけでも業務効率がかなり高まりました。
松本さん :
お客様側でも、平日の日中はご家族間でタイムリーに会話ができません。私からメッセージを受けたご主人、または奥様がご家族にその内容を伝える手間を省き、ご帰宅時にお互いが内容を把握した状態から会話が始められるよう、ご夫婦の場合はご主人と奥様、2世帯住宅ならご両親などもトークルームに参加されることも勧めるようにしています。ご家族の皆様にトークルームに参加いただくことで、タイムリーに情報を共有いただいています。
保科さん :
私も案件ごとのトークルームにご夫婦で入っていただくようにしています。お互いのやり取りの記録をトークに残すことで、「言った/言わない」のトラブルを防ぐことは、お客様の側も望まれることが多いです。
松本さん :
絵文字を使うことでお客様との距離感を縮められるのもLINE WORKSのよさで、信頼関係の深まったお客様とは、スタンプによる感情表現だけで簡潔にやり取りをすることもあります。商談の開始から住宅のお引き渡しまでは1年近く要するので、お客様もあまり堅苦しくないコミュニケーションを取りたいと思われているようです。
頻繁に連絡を取る進行中の案件のトークルームは、ピン留め機能で一覧の上部に固定表示してすぐに開けるようにしています。お引き渡し後はピン留めこそ外しますが、何かご相談があればいつでも対応できるよう、トークルームは削除せずそのままにしています。
注文住宅を建築する現場ではLINE WORKSをどのように活用されていますか。
・口頭だけではわかりにくい施工現場を画像でも確認し、安全管理を徹底
・お客様への連絡が事務所に戻らずとも現場からできるようになり、現場監督の直帰が可能に
・社員間や協力会社の連携が強化され業務速度や工事品質が向上
加藤さん :
工事部門の責任者として複数の現場監督を管理している私は、「設計図面と実際の現場に食い違いがある」、「工事でミスをした」といった相談や報告を受ける立場です。口頭で説明されただけでは詳しい状況がわかりづらいのですが、LINE WORKSを使うようになってからは、問題箇所の写真や動画を送ってもらうことで状況を把握し、毎回現場に向かわなくても直ちに適切な指示を出せるようになりました。
最近は、クレーン車など安全確認が必要な作業前に現場の写真をLINE WORKSで送ってもらい、安全対策がきちんと施されていることを、私が確認・承認してから作業を開始するというスキームを構築することで安全管理を徹底。責任者の私がどこにいても確認・承認できることは、作業のスピードアップにもつながっています。
お客様を交えた案件ごとのトークルームには現場監督や電気設備コーディネーターなども加わり、工事の進捗状況をお伝えしたり、お客様からの質問に直接回答したりします。電気設備の配線図などに変更が生じたときは、そのトークルームで新しい図面データを共有することもあります。
万が一、現場でお客様に報告するようなトラブルが生じた場合、以前は事務所に戻ってからメールでご連絡していましたが、今は現場からトークですぐにお伝えできます。このような迅速な対応は、トラブル発生時のお客様の不満をやわらげる効果があります。また、監督はお客様にその日の作業内容をメールで報告するために、作業後に事務所に戻っていましたが、LINE WORKS導入後は現場から報告し、そのまま帰宅できるようになりました。
他部門の社員とコミュニケーションが取りやすくなったことは、業務速度ひいては工事品質の向上につながっています。また、上司と部下がトークで気軽に意思疎通を図れるようになり、社内の風通しがよくなったことも実感しています。
協力会社のスタッフとの専門的な業務連絡や情報共有には、別途、業種に特化した施工管理アプリを利用していますが、頻繁に連絡をとる相手とは外部トーク連携でLINEとつながり、急ぎの連絡を取り合うケースもあります。
LINE WORKSによって社内コミュニケーションはどう変化しましたか。
保科さん :
社員間の連絡の多くも、電話やメールからトークに置き換わりました。「今から戻ります」のようなちょっとした連絡報告はトークで行われるようになり、電話で作業中の業務を中断することがなくなりました。
展示場の店長として、時にはメンバーに誤りを指導しなければならないことがあります。私は面と向かって指摘するのが得意ではないのですが、トークなら厳しい内容でも多少伝えやすく、指導をする際のハードルが以前より下がりました。
松本さん :
必要に応じて、営業部門以外の社員も交えたグループやトークルームを臨機応変につくれるので、情報を素早く共有することができます。社員どうしの連携が密になったおかげで、設計図面や見積書なども以前より速やかにお客様に送れるようになりました。
工事部門の責任者や設計士などとの打ち合わせには、無料通話もよく使います。図面には現場監督の名前しか書いてないことが多く、それまでコミュニケーションを取ったことのない社員に連絡する必要が生じたときは、以前は電話番号を探すのに苦労していました。しかし今は、LINE WORKSのアドレス帳で名前を検索して、そのまま無料通話をかけたりトークを送ったりできるので便利です。
LINE WORKSの活用を、今後どのように発展させたいとお考えですか。
萩原さん :
LINE WORKSの導入も含め社内業務のデジタル化を多角的に進めたことで業務データが集積されるようになりました。今後はそのデータをインサイドセールスなどに活かしたいと思っています。RPAの活用も進め、入金情報など営業社員が必要とする情報を業務システムからLINE WORKSにBotで自動通知するような仕組みも構築できれば、さらなる業務効率化を実現できると考えています。
【お話を伺った方】
萩原 紀和さん
グループ会社全体のDXを推進するデジタル戦略部の業務を管理。LINE WORKSの運用管理者でもある。
松本 拓也さん
神奈川県川崎市の新・川崎展示場の店長として営業活動を管理する。
保科 香里さん
千葉県千葉市の千葉北展示場の店長として営業活動を管理する。
加藤 寿章さん
埼玉北工事部の工事部門責任者として現場監督を統括し、工程管理・品質管理に携わる。
※掲載している内容、所属やお役職は取材を実施した2022年3月当時のものです。